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GAMEPLAY
 難易度Normalにて10時間位。操作が上手く行かずに失敗したりが結構あったので、慣れている人ならもっと早いだろう。7〜8時間程度が平均のようだ。だがこのゲームは実際の物理的なボリューム(マップの数や広さ)は小さめで、そこだけをとるとそんなにクリアに時間が掛かる様には見えないのだが、以下の各項で述べるようなプレイ時間が長くなる要素を幾つか含んでいる。


 ロケーションは捕鯨船“Eastern Spirit”と海底油田掘削施設“Star of Sakhalin”の二箇所のみ。そして両方共に全体が大きな一つのマップの様な構造を採っている。アイテムを入手しないと開かない扉類は存在するが、各エリアはマップ全体として見ると連結されており、徐々にその連結通路が開かれていく。言い方を替えると、最終的にはマップ内のほぼ全エリアにアクセスが可能になるという構造。そして同じエリアや通路を何回も繰り返し通りながら進める必要が出て来る。

 大きな特徴となっているのが暴風雨の中での船体表現である。前半パートの捕鯨船は荒れ狂う海上を漂っており、その揺れをゲーム上で再現しようというのが狙い。船は縦横の両方向にランダムな幅で常に揺れており、それに伴って画面上でその揺れ動いている様を表現している。船自体が揺れているので、その揺れは外部デッキのみならず船内にも適用される。ちなみに「船が揺れるのをシミュレーションする際に、プレイしている人が船酔いに似た症状を発しないか?」の質問には、「初期バージョンではテスターの中に症状を訴える者もいたが、修正の結果製品版では問題は無い」としている。

 この揺れは視覚的なエフェクトだけでは無く、実際のプレイにも影響を及ぼす。戦闘のシステム上は銃の照準が揺れるという要素は存在しないが、船の揺れに連動して照準が揺れ動いてしまうという風になっており、敵に狙いを付けるのは難しくされている。その他には以下の様な影響が現れる仕組み。

・吊り下げられているオブジェクトが揺れ動いており当たるとダメージを受ける
・デッキに巨大な波が押し寄せている部分では、その波に飲み込まれてしまうとダメージを受ける(避けながら移動する必要がある)
・風の影響で移動速度が鈍る
・豪雨で視界が遮られる
・極端に傾くと転んでデッキ上を滑ってしまい、そのままオブジェクトに衝突するとダメージを受ける
・滑って行った先に障害物が無い場合には落下してしまうので、縁に捉まっている状態から素早く這い上がらないとならない
・敵の方が滑って海に落下してしまう事もある

 この揺れ動く船の表現は良く出来ていると感じられるし、ユニークな要素でもあって評価出来る点である。なお海底油田の方ではその適用は一部のみとなり、普通の環境が多くなってしまうのは残念なところ。エリア毎の見た目のバリエーションが多彩になり、武器種や敵種が増える事で補ってはいるが、没個性という感は否めない。


 ストーリーは極秘で研究していた新種の生物が逃げ出して人間に寄生し、一帯がパニックに陥るという特に意外性や面白味の無いありきたりの物。背景事情はマップ内のドキュメントを読む事で深く理解出来るが、それ自体を入手する事が任意なので、あまりストーリー面を重視していないと思われる。全体として登場人物は少ないし、主人公やパートナーのアンナにも魅力が感じられない。


 ホラーという観点からの評価としてはほとんど怖くないという印象。このタイプにはありがちだが、戦闘面を充実させようとした結果として銃器や弾薬数が豊富となり、プレイするキャラクター自身も強いので怖さが生まれて来ないとなっている。The Sufferingなどもそうだが、ホラーというよりはアクションゲームという方が適切だろう。

 ホラーに定番の暗闇要素も大して無く、ライトを使わないと先を見通すのが困難といった箇所は滅多に出て来ないし、暗闇にて敵が襲ってくるというシーンも稀である。その他ではショッキングなイベントとか、グロテスクな表現なども控え目というゲーム。そうなるとゲーム画面から感じられる雰囲気的な怖さが重要になってくるが、それについても不気味さなどは希薄となっている。ロケーションが現実世界で且つホラーとは縁が薄い所が舞台だし、悪魔や幽霊等のオカルト要素も絡んでこない。「これでプレイヤーを怖がらせようという気があるのかな?」と思える位に、ホラー要素については淡泊であるという評価になってしまう。

問 題 点
 このCFにおいては、根幹となるゲーム性に大きな問題が在るのではなくて、その外部に在るシステム面の方が問題を引き起こしている状況にある。それは深刻な影響をゲームに対して与えており、かなりのマイナス点として計上せざるを得ない。


 第一に参照用のマップが無い。アイテムとして入手したマップを参照したりが出来ないので、どういう風な構造をしているのかは自分で考えないとならない設定である。そしてマップ自体がどちらも迷い易い構造である事が弊害を引き起こしている。プレイ前に迷い易いとは聞いていたのだが、想像以上にどういう風になっているのかが掴み辛い。エリア表示はロード後に時々出るし、ハンセンはロシア語が解るので照準でドアの上の文字を指し示すと翻訳が表示されたりといった補助は存在するが、それだけでは大した足しにならないというのが正直な所。船の方はマニュアルに簡単なマップが掲載されているので、それを見ながら例えば「リアデッキに向かえ」という指令に対して、どっち方向がリアに当たるのか程度は判断出来たりもするが、後半戦はそれも出来なくなる。

 上で書いた様に広いマップ全体にアクセス出来る構造であるのと、各エリアが多数の扉で複雑に連結されている点からして解り難い。行く必要は無いオプションエリアが結構有るし、既に行った事がある場所へ行けと指示されても、前には通れた扉がロックされており知っているルートでは帰れなくもなったりと、マップを構造把握して目的の場所へ移動する事自体が難しいゲームである。更に目標として具体的に「どの場所へ行け」ではなく、漠然とした指示だったり、場所に関する情報は与えられなかったりもあり、とにかく行ける場所をひたすら順番に回ってみるというハメに陥る事も少なくない。エリアを順にクリアして行く構造で後戻りが出来ないのならば探索すべき場所は少なくて済むが、全体が一つの大きな構造となっている点が問題を大きくしている。

 FPSゲームだとマップが実際に3D構造をしているので、連結構造を頭の中でイメージして「この壁の向こうはあのエリアだな」とか把握出来たりもするのだが、このゲームでは接続地点では全てロードが入るので、各エリアの縮尺や形状が正確なのかという保証が無い。つまりロードで接続されるのだから、各エリアのサイズや形状がどんな物であっても他への影響は無いので、全部を組み合わせた時にピタリと収まる一つの大きなマップになるとは限らないという意味である。(エディターで見た訳では無いので実際にはどうなのかは判らないが)。

 謎解き要素は特に無いので、(ボリュームも少ないし)目的地点に到達する事をパズルとして設定しようと考えたのかも知れないが、ここまで解り難いとフラストレーションになっているとしか言いようが無く、デザインとして失敗しているという評価。反対にほぼ迷わないというプレイヤーが居た場合、今度はゲームが短過ぎるとなって別の欠点が露わにされてしまう事になるだろう。



 第二にセーブのシステムに問題あり。まずはセーブポイントの間隔が長い。失敗即死の設定上短い間隔で連続するパートも一部あるが、大半はかなりの長さを進めないと次のポイントまで到達出来ない。全ゲーム中で25箇所だそうなので、8時間でクリアしたとするなら単純計算で480/25から大凡20分に一回程度。しばらく探索や敵と戦いながら進んで、中ボス戦をクリアして、間違えれば一発死の場所をクリアして、そこでやっとセーブ地点といった設定が良く出て来る。

 そしてこれが上の迷い易いという件と重なって更なる悪化を招いている。何所へ行ったら良いのかorどうやって行ったら良いのか、が解らない状態で彷徨き回る事が多い為、次のセーブ地点に到達するまでの時間が異常に長くなってしまう恐れがある。掲示板の書き込みに、「次のセーブ地点まで進めて終わらせようと考えて始めたが、一時間以上経過してもセーブ地点に到達出来ない」という怒りの書き込みを見たりもしたが正にそんな感じで、本当に一時間以上セーブ出来ないケースも有り得る設定である。私自身も最初のセーブ地点に到達するまで一時間以上掛かったが、それまではどこかでオートセーブでもされているものだと思い込んでいた。

 長い時間迷っていると同じエリアを繰り返し通る為に、リスポーンした敵に遭遇, 弾の無駄使いで困った状況に, 波等のトラップでダメージを受ける等で、体力が危うい状況へと追い込まれる危険性があって、長時間のプレイが死亡で無駄になってしまうという悲劇も起こり得る。


 セーブ地点が次は何所になるのかの見当が全く付かない訳だが、それがアイテム携帯不可というシステムと相まって酷い事になっている。ヘルスや弾薬が少ない状態でセーブされてしまうと、そこからが難しいエリアだった際に面倒な事態になる。マップ内を走り回ったりしてヘルスや弾薬を回収する事は可能だが、死んでそのセーブポイントに戻る度にその作業を繰り返さないとならないからだ。アイテムを持ち運べるのならば、見付けた物を可能なだけ携帯していれば良いのでそんな事にはならない。

 そしてセーブ地点に到達してしまった場合、するかしないかを選べるのみでキャンセルが出来ない仕様である。つまりトリガーで画面に選択肢が出てしまった時点で、ヘルスと弾薬が少なくてもセーブをするしかない。或いは拒否してやり直し、ヘルスとアイテムを回復させてからその地点にやって来るという風にしても良いが、これだとその前のセーブポイントから長い時間を掛けてまたそこまでやり直さないとならなくなる。実例としてラスボス戦前の最後のセーブポイントから先にはメディキットや弾薬が無いので(死体から取れるチャンスはある)、ヘルスや弾薬が少ない状態でセーブされてしまうと詰みに近い状況になる恐れもあり、そうなったらその前のセーブポイントからやり直して、アイテム類を貯めてから再度セーブポイントへと到達するしかない。


 それと主にPC版での問題となるが、ゲームを始めてしまうとオプション画面にアクセス出来なくなってキー設定すら変えられなくなる。じゃあ一旦終わらせればとなっても、任意でセーブが出来ない上に間隔が長いので、何時変更出来るタイミングになるのかの判断も出来ない。


 総じてセーブの間隔設定は、一度クリアして道順を理解している人向きという感じで、あまりにも間が空きすぎている。間隔が長いので失敗出来ないという緊張感は凄く高いのは確かだが、それが意図的だとしたら一応の効果を挙げている反面、フラストレーションになる恐れも相当に高いので、難易度別にセーブポイントの数を変えるとかにした方が良かったように思う。難易度Normalでこの少なさは厳しい。


COMBAT
 武器は以下の7種類。下の3種は後半のマップにならないと出て来ない。

 ハンドガン  レーザーサイトとフラッシュライト付き。前半の船では武器種が少ないので出番は多い。ヘッドショットが基本のゲーム性なので、他の弾の節約も兼ねて使い所は結構ある武器である。
 AK-47  レーザーサイト付きで、遠距離でも使えて連射性能も高い武器。手に入ってからはメイン武器となる。やや反動が強いのでフルオートでは使い難く、小刻みに撃つ必要がある。また派手に撃っていると弾が無くなり易い。 
 ショットガン  破壊力の高い近接武器。しかしヘッドショットが重要なこのゲームでは、照準が出ない分慣れないとヘッドショットは難しい。ヘッドショットを狙わずに吹き飛ばしてダウンさせてから踏み付けのコンボには適した武器。それとヘッドショットの要らないタフな相手にはダメージが大きいので重宝する。
 スピアガン  直接攻撃するのでは無い特殊武器。矢の突き刺さった場所にミュータント達が集まってくるガスを短時間噴出する。
 SMG  レーザーサイトとフラッシュライト付き。リコイルが少ないので正確性はAK-47より高いとも言える。弾当たりのダメージは少ないが、高速連射で一気に大きなダメージを与える事が可能。その分弾薬の消費が早いのが難点。
 火炎放射器  炎で燃やして継続ダメージを与える効果を持つ。当て易いので便利だし使える武器。ただしアウトドアでは風の影響を受けるので自爆の恐れがあり、また着火させた後に自分に掴み掛かられても同じ事になるので注意。それと効かないタイプの敵が数種存在している。
 グレネードランチャー  飛距離は短めで弾数も少ない。直撃では爆発しないし、落ちてから爆発までにも間があるので、遅い敵か足止めしてからでないと近くで爆発させるのは難しい。


 戦闘面での特徴を順に述べる。最も頻繁に出て来る敵のミュータントはExocelが脳に寄生した人間なので、頭部を破壊しないと倒す事が出来ない。よってヘッドショットを決めるか、体を撃ってダウンさせてやり起き上がる前に頭部を踏み付けて倒すかになる。或いは全身を焼いてしまっても良い。そして座り込んだり寝転がっている状態のミュータントも多いので、先制して頭を先に撃っておくのも、突然起き上がって不意打ちを喰らわない様にする為に重要となる。ただし頭部が小さいのもあって、突っ込んで来る敵の頭部をヘッドショットするのはそれ程簡単では無い。ショットガンには照準が出ない, 暗い場所だとフラッシュライトの影響でレーザーサイトが見え難くなるという問題もある。

 前半の船のパートでは画面がランダムな振り幅で揺れ動いており、照準もそれに沿って動かされてしまう故に、ヘッドショットを決めるのが更に難しくなっている。とは言えこれはゲームを面白くしている要素でもあると言えよう。対抗手段として掴むという動作があり、左手側に手摺り等が有る場合にはそれを片手で掴んで照準を安定させる事が可能。ただし体を固定する関係上狙える範囲は限定されてしまう。


 火薬缶やガス管のバルブを撃って、近くに居る敵を焼き殺す事が出来る。しかしこれにはデメリットもあり、焼かれた敵からはアイテムを回収する事が不可能になっている(火炎放射器も同じ)。よってヘルスが少ない時に襲われた場合、利用出来る爆発物を使って倒す方が安全だが、これだとアイテムを回収出来なくなってしまう。一方で普通に倒せば、アイテムとしてメディキットを回収出来る可能性が出て来るという選択肢を持つ。付け加えるとミュータントの死体は短時間で消滅してしまうので、アイテム回収は素早く行わないとならない。人間の死体はゲーム中ずっと残っている。

 敵に掴み掛かられた際には中央にバーが表示されて、アクションキーを連打してバーをフルにすればそれを振り解ける。時間が掛かるほどその間にダメージを受けるシステム。だが振り解く瞬間に“Shoot”の文字が表示され、そこで攻撃ボタンを押す事に成功すると必殺のクリティカルヒットを自動的にアニメーションとして発動させられる。そのタイミングはシビアだがほとんどの敵は一撃で仕留められるので、わざと捕まって多少のダメージは負ってでもこれを狙いに行くという手もある。


 タクティカルな面白い武器として存在するのがスピアガン。矢を撃った場所に緑色のガスを発生させ、このガスにミュータント達が集まってくるという性質を持つ。効果持続は10秒間で、これが効かないタイプも居る。使用方法としては、爆発物の近くに誘き寄せて一気に爆発で片付ける, タフな敵をこれで足止めしグレネードを撃ち込んだりして一気に高ダメージを与える, 危機的状況において敵から逃げる為の手段として利用する等。所持弾数は4発なので頻繁には使えないが、有るか無いかで大きな差が出るアイテムである。緊急時用に常に一発は温存しておくべきだろう。



 続いては戦闘面での問題点。エイムにアシスタント機能があると面白くないだろうという観点からそれを外しており、その考え自体には賛成するがこれが大きな障害となっている。ショルダービューでの戦闘が基本となるが、この視点にした時のマウス感度が異常というレベルで遅い(垂直同期の設定は無く最初からオン)。特に垂直方向へは水平方向の数分の一程度の感度しか無い。環境の違いはあるとは言え、少なくとも私のPCではプレイした当時の物でも、今回リプレイしてみたPCでも一緒である。

 まあそれ自体はウィンドウズ上でのマウス感度を上げれば調整は可能なのだが(通常移動時はマウスで視界移動出来ないので影響無し)、厄介なのは感度を過敏にすると今度はヘッドショットが狙い辛くなるという点。では重要なヘッドショットを優先して感度を犠牲に出来るかとなるとこれは不可能に近い。このゲームでは人間に寄生して脳を支配するExocelsという蜘蛛の様な小さな敵が居るのだが、コイツは最大の難敵と言っても良い位に嫌な相手となっており、ゲーム中戦闘で死ぬのは半分以上はこれが出て来た時と言っても過言ではない。

 動きはスローなので簡単に倒せるケースもあるが、脚を数m伸ばして突き刺し血を吸ってダメージを与えて来る。しかも複数で出て来る事が多いので囲まれると更に厳しい。問題は床を這っているかと思えば天井へと移動したりと上下方向に動いてくるところで、マウス感度が低いとその動きに追随出来ず、床や天井へと照準を向けるまでの間に攻撃されてしまう。脚が長いので安全圏に離れるのが難しく、どれかを攻撃していると別の物に視界外から脚を刺されてダメージを受けるというパターン多し。そこでどうしても素早く上下方向に視点切り替えを行えるようにしておくのが必須というレベル。すぐに逃げるのが得策というケースも在るが、逃げられない場所での戦闘シーンも出て来る。

 このゲーム性ならばアクセラレーションをオンにする機能を持たせて、ゆっくり&高速の両方に対応出来るマウス感度を実現するべきである。ただし今回リプレイ時に使ったマウスはそれ自体に感度切り替え機能(ボタン)を持っており、感度を相当高めた設定(特に垂直方向)を作っておいて普段はそれを使い、ヘッドショット用に感度を下げたいとなったらマウスのデフォルトボタンを押して普通の感度に即戻すという風に出来るので、これだと随分と対応がし易くなるという感じだった。なおコントローラーを使用すれば感度の問題は解決されるのだが、やはりこれもスティックでのエイム操作に慣れていないのに加えて自動照準機能が無いので、マウス操作の方がまだマシだろうと考えて使わなかった。


 次にカメラと操作性の問題。敵を狙うにはショルダービューがベストなのだが、ミュータントには高速でこちらに突っ込んで来るタイプも居るし、カメラ位置によってはExocelが足下に入り込んだのが見えないというケースも生じる。なのでスプリントでの退却が必要なのだが、その際には通常視点に戻されてしまう事になるし、敵から目を切ってしまう状況にもなる。そして敵に背を向けて一旦逃げたあと、ショルダービューへと切り替えてから振り返ろうとすると、旋回速度の遅さから追って来た敵の攻撃に正面を向くのが間に合わない、といった事態が初めの内は発生する。とりあえずこれはTPS視点で振り返ってからショルダービューに切り替えという動きに慣れてくれば問題は改善される。

 だがカメラが自動切り替え式になっている場所ではもっと困った事になる。上の例の様に瞬間的に定点カメラの位置が切り替わってくれるのならまだ良いのだが、左右移動キーでキャラクターが左右移動では無く左右旋回動作を行い、それに遅れてカメラが実際に回転しながら動く状況だと、思った方向をとっさに向く事が困難である。その為にこういった場所で戦闘をすると、スプリントで逃げる時やそこからまた構えて意図する方向に照準を向けるのが大変となってしまう。

 その他ではダウンさせた敵の近くに行って頭を潰す時に、その時の立ち位置が微妙でInteractionが点灯しなかったり、ドア等の他のInteractionが可能な物が近くに在るとそちらが優先されてしまうので踏めなくなる。それとカメラ位置が回転する場所だと、踏む為の位置調整もやり難くなり、起き上がった敵に攻撃されてしまったりも発生する。


 第三に「問題点」の項でシステムに問題があると書いたが、この戦闘面でもシステムにおかしな所が見受けられる。2つのマップはそれぞれ全体が一つに接続されている構造だが、両方共に弾薬倉庫と医務室が存在しており、戻って来さえすれば弾薬倉庫では全武器の弾薬を最大値まで何回でも無限に補給が可能(イベントで破壊される事はある)。医務室の方はメディキットを(調べた限りでは)6回まで取れるようになっている。

 このシステムの良い面としては、最大限まで弾薬を繰り返し補給出来るので弾薬不足による詰みは無くなる, 難所でも弾薬を増やす事で易しく出来るので詰みの可能性が減る, 回数限定だがメディキットを取れるので危うい状況でも脱出が可能, 制作側からするとアイテムの配置量という難しいバランス調整から解放される、等が考えられる。

 対して悪い面としては、弾薬を大量に持ち歩けるので恐怖感が減退, 同じく戦闘が簡単になってしまう(特にスピアガンを繰り返し使えるのは影響度大), 戻って補給するのが前提となると、一々帰ろうとしないプレイヤーに取ってはアイテム不足に陥る可能性がある等。両方合わせて考えると、マイナス面の方が大きいと感じられる。特にサバイバルホラー系のゲームで弾薬を無限に補給出来るという点には違和感あり。



 敵は種類が少ないがそれぞれに個性的であり、効果的な(or効かない)武器がタイプによって異なるのも面白いところ。数は少ないが船員は普通の人間で頭部を撃つ必要は無い。ただしExocelsが居る場所では死体に寄生される恐れがあるので頭部を破壊しておくのが無難である。ミュータント達と戦っている場面も結構あり、決着が着くまで待っていても良い。

 人間が変化したミュータントは3タイプ位か。高速ダッシュで突っ込んで来る者もいるので気を付ける必要がある。頭を破壊するか焼き払う必要があるが、頭部破壊してもしばらくは攻撃を続けてくるのには注意。それと頭を潰してもそこからExocelsが湧いて出てくる事があるので、安心せずに慎重に対応しないとならない。

 ExoShadeは四つ脚で壁や天井まで移動出来る巨大なイノシシの様な敵。吠えると周囲の電気が消えて暗闇となり、光る目を頼りにしないと居場所が掴み難い。非常にタフなので普通の銃器では効果が薄く、ショットガンや火炎放射器等を使わないと長期戦になる。クリティカルヒットの対象なのでそれを狙っても良いだろう(ただし一回成功させただけでは死なない)。他には透明化するExoSpectre, 巨大な中ボス格のExomassなどが登場する。


 総合的な難易度としては(Exocelsに対応出来るだけのマウス感度を備えているという前提で)Normalにて普通レベルか。とは言え個人的にはカメラアングルと操作に慣れるまでは苦労させられたゲームで、後半になって慣れてくると大分失敗も減った。その慣れた後の観点から見直してみると、サバイバルホラーとして見るならちょっと緩いかも知れないし、それ故に怖さが損なわれるのであまり良いバランスとも思えない。死んでしまった時の理由は、敵が多いとか強いからよりも、操作が上手く行かずに死んでしまうという方が多いので、こういう操作に慣れているプレイヤーだと、より簡単に感じられる可能性が高いだろう。

 弾薬が無限に補給出来るので攻撃時の破壊力が高いし、ヘッドショットを狙わずとも胴体に弾を多目に撃ち込んでダウンさせて潰すというやり方が通用してしまう。それとスピアガンを数多く利用出来るので窮地を乗り切れる確率も高い。火炎放射器は焼いた敵からアイテムが取れなくなるというデメリットを持つが、弾薬が豊富ならばそれを気にせずに焼いてしまえるので入手後は難敵の処理も楽になる。メディキットの方も無限ではないが十分に入手が可能という程度は用意されており、自動調整なのか「ヘルスが少ない時に死体をUseするとメディキットが出る確率が高い」様に思える点も難易度を下げている。

 ただしセーブ間隔が非常に長い為、失敗して死んだら長時間のやり直しになるという恐怖感の方は多分に持っている。もしこれが短時間でのチェックポイントセーブ方式だったなら、ずっと簡単なゲームとなっていた事であろう。なおこれはセーブの仕様を褒めているのでは無く、それならセーブ間隔を短くして代わりに戦闘を難しくするべきだったという話。

GRAPHICS
 自社製エンジンを使用。同時期のゲームの中では水準以上のクオリティなのは確か。特に嵐と船の揺れが様々な影響を与えたりする点が細かく作り込まれており、風や雨がデッキを叩くエフェクト, 画面上に流れる様に水滴が付着する効果, 揺れ動く各種オブジェクトなど、そのリアリティの高さは評価出来る。

 ハンセンのアニメーションは船の傾きに応じて変化するが、コンソールではメモリが少ないので多彩なアニメーションパターンをオンメモリに保持するのが難しい。そこで多関節のモデルとして製作し、周囲のオブジェクトへの干渉を傾きに応じてダイナミックに計算するというアニメーションシステムを構築している。


 ワイドスクリーンには未対応。解像度は5つしか用意されていない。設定は影やライティング等の3項目を5段階に調整出来るのみ。当時からしても重いゲームでは無い。

SOUND
 PC版は3Dサウンドに対応しておらず、これはホラー物ではかなり痛い欠陥だと感じる。Xbox版は当然ながらドルビーデジタルに対応しているのだが、PC版のパッケージにはそのロゴが見当たらず、SPをサラウンド設定にしても3Dにはなってくれない。

 武器のサウンドには特筆すべき点は無し。雰囲気を醸し出す環境音はアウトドアでは良いのだが、インドアパートに入ってしまうと寂しくなるという印象。

 声優の台詞は変では無いが、やや感情がこもっていない様な感を受けた。

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