GAMEPLAY |
全部で12章から構成されている。探索どれだけするかやログ関連をちゃんと読むかにもよっても変わるし、後は各人のペースの問題も有るので、初回プレイでは10−15時間程度と結構幅があると思う。ストーリーの変化や分岐要素は存在しないが、初回には使わなかった武器でのプレイが可能なのでリプレイ性は高い。 大きな特徴がHUDレスの表示システムで、ゲーム画面上に独立したHPや銃の弾数等のステータス表示は行われない。HPはアイザックの背中の部分に示されて、弾数は銃を構えた時にホログラムとして掲示される方式である。またインベントリー画面の様な切り替え表示も使われておらず、参照するI/F画面はホログラムとして実際にゲーム内の世界に表示される。ショップでの買い物時も含めて全てがリアルタイムで行われるようになっており、完全な安全地帯というのは存在しない。画面を切り替えられる方式だと、ゲーム内世界に存在しているという没入感が途切れてしまうからという事からのデザインである。 主人公のアイザックは最初と最後に顔が出る他はスーツを着込んだままであり、また一切の台詞は無い。それとゲーム内には別撮りのCGムービーは存在せず、限定されたシーンでゲーム内のエンジンを使用したイベントシーンが在るのみ。替わりにホログラムとして表示される通信ビデオスクリーンでのやり取りが主になっている。こういった点は強い影響を受けたとしているHalf-Life 2譲りのもので、「ゲームの途中にカットシーンを挟むのは、プレイヤーのゲーム世界への集中力を切ってしまうのでマイナスである」。「主人公が喋ってしまったら、その時点で彼はプレイヤー自身ではなくアイザック・クラークになってしまう。これはプレイヤーがその世界内に実際に居るという感覚を削ぐので止めた。」という話である。 ロケーションはほぼ全てが戦艦石村の中となるが、マップの構成はセクション毎にバラエティに富んでいる。ただ同じ場所に再度来たりというシーンも有るので、12個の異なるマップが用意されている訳ではない。各マップの基本構造は似通っていて、中央部のハブとなる部分にショップやアップグレードベンチ等が用意されていて、そこから幾つかの方面へと進んで目標を達成しては中央のハブへと戻り、また別方向へと進んで行くという形がほとんどである。なおロード時間はほぼゼロに近く、マップ単位の切り替えも一瞬である。 指示された目的を達成するとすぐに次の指令が出されるというパターンが最初から最後まで続くので、その意味では一本道だし単調ではある。複数の目標に対してどういう順番でクリアして行くかという自由は若干存在するが、その順番によって先の展開が変わるという物ではないので、自由度が高いとかリプレイ時の展開に富んだゲームでは無い。 また謎解き要素は低目。進行ルートでは迷うような形状の場所はほとんど無いし、常にガイドボタンを押せば行く方向がホログラムで表示される。パズル的にオブジェクトを動かして目的を達成する様な箇所は在るが、特に難解と思えるようなシーンは無い。この辺もカジュアルな層を考えての設定だと思われるが、サバイバルホラーでの難解な謎解きが好きという人には残念ながらこの点は楽しめないだろう。 ストーリーは意外性もあってそれなりの出来栄え。疎かにされがちなアクションゲーム系の中では良い部類とも言える。背景設定なども複雑で、結構な量の資料がゲーム内では手に入る。だが続編を意識しての事なのか、ハッキリしない点も残されており消化不良という印象も受けた。 ホラーゲームに欠かせないのが、プレイヤーが戦い難いシチュエーションを設定してやり、そこから恐怖感や焦りを引き出すというパターンである。当然このゲームでも幾つかのそういったシーンが用意されている。 まず無重力状態では360度方向を見渡す必要が出て来るのだが、停止時のカメラアングルは上下方向が制限されているので、この視点では現在の場所と目的地点との関係が非常に掴み難い。武器を構えてズーム視点にする事で全方向が確認可能になるが、これだと今度は視野が狭くなるというデメリットあり。もう一つは無重力空間では壁を這えるタイプの敵が襲って来るというパターンが多く、周囲の状況が掴み難い状態で360度全方位からの攻撃となるのでこのケースではかなり戦い辛い。特に暗い空間では尚更。パニックを引き起こすという意味では良く出来ているが、同時に戦い難さから来るストレスも相当な物となる。 同じく行動時間に制限のある無酸素空間。単なる作業系だと特に厳しくはないのだが、ここでも敵が襲って来ると難易度が増して緊張感から焦りが生まれて来るようになっている。空気缶を持っていれば任意に補給が可能だが、この際にもリアルタイムでインベントリーを開いて操作しないとならない。しかしこちらは途中に酸素補給器が用意されていたりと無重力に比較すると簡単であり、またスーツのエア量を改造しておくという対応策も用意されている。 次に2箇所ほどタレットに乗り込んでのシューティングゲームとなるセクションが用意されている。これは恐怖感とは異なったタイプのイベントだが、難易度が高過ぎるとして批判も出ている箇所である。(隕石シューティングの箇所ではその出現パターンがランダムなので、繰り返していれば簡単なパターンが来た時にクリアのチャンスとなるという救済措置はあるようだが)。開発側も気分転換となるアクセントの意味で用意したが、難しくし過ぎたと反省のコメントを残している。ただしマウスではこういった操作は有利となるので、PC版ならば一回目でクリア出来る程度に簡単になっている。 そんな中で最も出来が良いのは敵から逃げないとならないシーンで、恐怖感の演出としては非常に上手く出来ていると感じた。 後はミニゲームが2箇所在って、得点によってアイテムが手に入るが特に面白いという物でもない。なおその他の定番である、見付からない様にして敵の脇をすり抜けたりや、他人をエスコートして守らないとならないといったシーンはこのゲームには含まれていない。 日本では発売禁止の要因にもなった残虐表現については、死体の類はマップ内に数多く転がっており、また綺麗ではなく損傷して内部が見えている者も存在する。ただおそらく引っ掛かった部分は部位損傷の方であり、これ等の死体はプレイヤーが撃ったり踏ん付けたりして体の各部位を切断が可能。Kinesisで持ち上げて投げたりも出来る。それと最近は頭部を破壊は出来るが首自体が無くなってしまう物が多い中で、このゲームでは切断された首がちゃんと転がって残るようにもなっている。この死体の損傷表現については当初は満足が行くレベルに達しなかったので、製作スタッフの家族の緊急治療室に勤める人物にアドバイザーとして参加して貰ってそのクオリティを上げたそうだ。また自動車事故の現場写真の資料も使われたと話している。 |
I/Fの問題点 |
幾つか操作系で気になった点をここにまとめておく。 このゲームでは構えの状態にならないと出来ない動作が多く、例えばライトは銃に付いているので照らしながら移動するには構えのままでないとならない。その辺のキー操作を考えてか、このエイムモードに入るには「押している間だけ」と「切り替え方式」の2つが別に用意されている。これは特に珍しい仕様ではないが、普通は各人が気に入っている操作方しか使わないと思うので混乱は起きない。 しかし結構エイムモードにしている時間が長いので私は両方使っていたのだが、一時的なエイム状態から切り替えキーを押した際に有効だったり反応しなかったりと定まっておらず、また切り替えモードでエイム状態の時には、一時キーを押しても反応してくれないという点には不満が残った。 無重力状態時に照準で指定した地点へと空間を飛ぶ事が出来るのだが、それが可能な場所の判定基準が分からない。非常に近くや凸凹した場所は無理というのは判るのだが、同じ様な表面でもOKな場所とエラーになる場所があって混乱する。 一部のキー設定がデフォルトから変更出来ないという制限があって、人によっては問題となる可能性がある。またマウスのサイドボタンに操作をアサイン出来ないというケースも出ている。 USEキーで操作する場所の近くにアイテムがあると操作が重なってしまって、位置を調整しないと上手く目的の場所をUSE出来ない事がある。 |
GRAPHICS |
前作のThe Godfatherで使用したエンジンを改造して使っている。特別にグラフィックスの凄さを売りにしているゲームではないが、最高設定にすれば高いレベルにはなるので特に不満は無い。 良い点は敵の造形やアニメーションでその不気味さが良く出ている。アイザック自身のアニメーションも滑らか。敵別の死亡アニメーションの種類もかなりの数が用意されており凝っている。エフェクト系では炎の表現はなかなか綺麗だし、無酸素のバキューム状態の空間表現も良く出来ていて印象に残った。ライティングによる影の生成は悪くは無いのだが、全てのオブジェクトを対象とした完全なるダイナミック仕様では無いようで、もっと高度な方が理想的ではある。総合的にはエフェクト系は良く出来ていると言える。 逆にテクスチャ系はそれ程高精度ではなく、ポスターや看板等は綺麗なのだが一般的な壁や床等はボケた感じの箇所も良く見られる。PC用に高解像度の物を収録したのでは無さそうだ。また同じ様な質感の物が繰り返し出て来たりもする。それとFSAAは擬似的な方式を使っているようでシャープさが足りない。 ワイド画面対応。パフォーマンスとしては軽い部類に入ると思われる。 |
SOUND |
3Dサウンドの設定は2CHか5.1CHサラウンドの選択となる。定位感はかなり良い。 武器のサウンドはかなり低音が強調されており迫力がある。好みの分かれそうな音だが個人的には気に入っている。BGMは主に環境音的な使われ方がされており、戦闘時には恐怖感を煽るようなタイプの物が流れる方式。 船外に出た際には音が聞こえなくなり、スーツを伝って聞こえて来る物だけに限定される。この状態での音の変化もそれらしく出来ており質が高い。ホラー系ではサウンドが重要な要素となるが、総合的には十分に水準を越えた良い出来となっている。 |