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GRAPHICS
 Unreal Engine 3を使用。エンジンが発表された際にデモとして使われていたモデルや風景がGoWの中には多く見られる。Xbox 360で使用していた物よりも新しいバージョンが使われており、パフォーマンス的にも性能が向上している。DirectX 9と10の両方に対応しているが、ベンチマークの結果等を見ても大差ないし、特別にグラフィックスのクオリティが向上する訳でもない。ただしUE3エンジンの仕様としてアンチエイリアスはDX10でないと使えないようになっている。

 目に付くのはやはりキャラクタのモデリングの複雑さで、100万ポリゴン以上で制作されているキャラクターをノーマルマッピングによって数千ポリゴン程度で表現している。画面全体のポリゴン数で言えば、実際にポリゴンで全て構成した場合の1/400程度に抑えて見た目は一緒に出来るそうで、それがゲーム画面全体のオブジェクトへの精細な描画を可能にしている。発表当時インパクトが強かったノーマルマッピングも既にポピュラーになって来ているのでインパクトは薄いが、それでもその緻密さについては目を見張るものがある。建物のディテールも優れているが、背景としてのみ存在しており実際には行かれない壁紙的な使われ方が多くなっている。


 PC版ではメモリ容量の利点を活かしてテクスチャ系は高解像度の物が使用されており、その分Xbox 360版よりは綺麗になっている。またビデオ処理機能自体はXbox 360でもレベルが高いのだが、メモリを多く消費するPixel Shaderによるテクスチャの重ね合わせ処理には限界があり、この点でもPCはより高解像度で多段階の各種テクスチャに対して処理が行えるので精度が上がっている。

 Xbox 360版と同時期に出ていればインパクトも高かったと思うのだが、一年遅れとなり既に他にUE3を使用したゲームも出ているので、FPSを普段からプレイしている人には驚かされるような要素はあまり無いと思われる。カラーを派手に使わずモノクロームなデザインなのも、綺麗というイメージを減少させている理由となる。しかし格好良いキャラクタを制作したり綺麗な風景を描く事が出来るのかはテクノロジーではなく担当者の才能に強く依存し(それが無ければどんな優れたツールを使っても無理)、その点では担当デザイナーは良い仕事をしているという印象。同じく2007年に発売されたテクノロジー的には同類のゲームと比較しても、アート的な面ではかなり高いランクに位置していると思える。

 グラフィックスの設定ではポスト・プロセッシングを変化させられるようになっており、Default, Muted(抑えた), Vivid(生き生きとした), Intense(強い)から好みで選べる。Defaultは落ち着いた感じだがやや暗いという印象があって、特に暗いマップではプレイがし難いという印象。個人的にはVividが良いのではないかと思うが、HDRの効果が強められる感じなので不自然と感じる人もいるかも。なおここに掲載されているSSはDefaultとVividが混在している。


 GoreやBlood関連はチェンソーでの攻撃場面を含めて派手だが、好みでカットする事も可能。

 パフォーマンス的には極端に重いというレベルではなく、E6850, 2GB, 8800GTS 640MBにて1280*960で設定を最大にしてプレイし、特別にスローダウンといった問題は発生しなかった。8800クラス以上ならば(特に高解像度にしない限りは)大きな問題は無さそうである。アンチエイリアスを使えないからというのもあるとは思うが、クオリティを考えると優秀な部類と言えるだろう。

 問題点としては、マップのローディング?が挟み込まれるので時々止まったようになるというのが有った(戦闘シーンでは発生しない)。設定の問題かとも思ったのだが設定を低くしても出るという人もいるようで、仕様として仕方が無いのかも知れない。


 画質設定別の比較画像のページ (画像が多いので転送量の関係で別のサイトに設置しています。御了承下さい。)


SOUND
 EAXやSP設定は無く単純。UE3でもEAXを採用しているゲームは有るのでもっと力を入れて欲しかった。武器のサウンドは良いと思うが、更にクリアで迫力があればと感じられた。

 戦闘シーンでのBGMは秀逸。またキャラクタのボイスはイメージとも合っており良く出来ている。字幕表示可能。




MULTIPLAYER
 まずこれを書いている時点(2007/12)ではマルチプレイにはその内容以前に大きな問題があるので、それから先に記載しておく。最大の問題はDedicated Serverが用意されていないという点で、それ故にサーバーの数は相当に少なくなっている。DSが無いという事は常設サーバーが建てられないという意味になり、誰かがサーバーを立てた状態で待っていなければならない。よって知り合いと打ち合わせしてサーバーを建てない限りは、待つ方は建ててから延々と人が来るまで待つしかなく、入る方も誰かが建てているタイミングでしかプレイが出来ない。またDSでないと処理負荷が高くなるので多人数でのマルチプレイには不向きとなり、二人でのCo-op程度にしか向いていないというようにもなる。

 GoWのPCで使われている詳細なシステムは不明だが、DSが無いのだからマルチプレイは誰かのPCがホスト役を担当する事になる。Pingの低いホストの優位点は調整されているのか判らないし、ホスト役だった人が落ちた際に別の人への切り替わりがスムーズに行われるのかも定かではない。そもそも8人対戦をListen Serverの形式で行うには無理があり、パフォーマンス的な問題からPing以外でのラグも発生し易くなるはずである。

 またオンラインでのプレイにはLIVEのアカウント(ゲーマー・プロフィール)が必要となるが、無料のシルバー会員では機能が限定されてしまう。(GOLDの機能はその後無料開放された)。これまでPCでマルチプレイを行っていたプレイヤーには有料のゴールド会員は馴染まないが、ゴールドでアクセスしないとサーバー数も限定されてしまうようだ。(ランキングに対応したサーバーはゴールド限定)。加えてLIVEのI/Fは非常にシンプルであり、サーバーへのPingすら見ることが出来ない。根本的にカジュアルな視点から作られており、これもPCのFPSファンには許容出来ない問題点となっている。

 それとオンライン対戦がLIVEに限られるとなると、MSはセキュリティの観点から個人ベースのサーバーがLIVEのネットワーク内に建てられるのを嫌がると思うので、それがダメとなったら今後DSが提供されるのかどうかも怪しくなって来る。理想的にはLIVEから完全に外のネットワークで自由に個人がDSを建てられるという普通のFPS形式が認められれば良いのだが、LIVEを使う人とプレイヤー人口が分離してしまうという問題もありどうなるかは不明である。

 Xboxから来ているのでボイスチャットが当たり前の様になっており、文字を打ち込んでチャットをする機能すら用意されていない。現時点ではコンソールから直接コマンドを入れてメッセージを送るしか無い状態。

 XPであれば、\My Documents\My Games\Gears of War for Windows\WarGame\Config
 VISTAであれば、[USERNAME]\Documents\My Games\Gears of War for Windows\Wargame\Config

 の中に"WarInput.ini"が有るので、それをメモ帳等で開いて以下の様に変更する。

[Engine.Console]
ConsoleKey=Tilde
TypeKey=Tilde
MaxScrollbackSize=1024
HistoryBot=-1
bEnableUI=True

 後はプレイ中に@キーを押すとコンソールが表示されるので、そこで say Hello の様にsayコマンドを使用する。


 Co-opに対応しており、こちらはキャンペーンの項目の中に含まれている。2人でのCo-opとなり、常にホストがMarcus、クライアントがDomを担当する。キャンペーンと連動しており、JoinとOutも自由という方式。つまりシングルプレイをCo-op形式で始められて、誰かが途中で入ってくればその人がDomを担当し、抜ければすぐにAI操作に切り替わる。クリア状況はシングルプレイとの区別無くそのままプロフィールに反映されるので、最初からCo-opで全体をクリアしても良いという設定になっている。

 最高難易度のInsaneはCo-opを想定して用意されており、オフラインの単独プレイでは突破が難しい箇所も存在している。しかし実績にはそのInsaneのクリアが含まれているので、Co-opを使ってクリアして解除するという形がポピュラーな様だ。なおDomを人間が操作するとかなり難易度が下がるので、プレイには少なくともHardcore以上が推奨される。

 Co-opはシングルプレイと同じ様に進行し、4人でのプレイならば他の2人はAIがそのまま使用される。違いとしてはMarcusが倒れてもゲームオーバーにはならず、Dom役が彼を救助出来ればそのまま続ける事が可能になる。変化が生じるのは道が分岐してMarcusとDomが分かれるシーンで、ここではそれぞれが単独でそれぞれのルートをクリアしないとならず、どちらかでも死ぬとチェックポイントからやり直しとなるルール。

 Co-opの設計には大変力を入れたそうで、実際にプレイしてみても非常に面白い。是非一度体験して見る事をお薦めする。片方が生きていれば相手を復活可能なので連携が重要になるし、お互いが異なる武器を持って上手く役割分担も可能。難点はInsaneで開催されているケースも多く、その場合には片方でも死ぬとやり直しのシーンでは先に進めなくなるケースも出て来る。


 対戦モードはプレイしていないので概要だけ紹介。最大で8人までとなり、COGとLocustとのチーム戦形式。

 モードとしてはWarzoneは一般的なTDM。Assassinationはチームに一人存在するリーダーをどちらが先に倒すかの勝負。Executionは倒れても復活が可能となっており、それを防ぐ為に敵のプレイヤーに対して近付いて止めを刺さないとならないルール。Annexは2-5個の中からランダムに選択される目標地域をお互いに奪い合って出来るだけ長時間確保し続けてポイントを稼ぐというモード。PCではこれに加えてKing of the Hillが用意されている。これはポイントが切り替わらないAnnexにExecutionのルールを追加した物。

 マップが狭くPCのマルチプレイとは感覚が異なるという話も聞くが、Xbox 360では大変に人気が有るという点は間違いない。


 Editorが同梱されているので今後ユーザー制作のマップやMod(シングルプレイとマルチプレイ用の両方)が出回って来る可能性も有るが、どの程度出て来るのかはまだ未知数である。

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