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BASICS

*視点は後方三人称固定。特殊なアクションの間は限定的にカメラ位置を操作可能になる。
*カメラ操作キーでカメラの方だけを回転させて周囲を観察する事が出来る
*普段のカメラ位置はオプションから高さ, 距離, 角度等を変更可能(この中のSSはデフォルト位置)
*走りと歩きが可能で、歩きモードでは縁から落下しなくなる

*獲得した武器類は全て持ち運べる
*インベントリー表示で武器一覧を画面上に出し、マウスクリックで選択する事も可能
*武器はホルスターキーで仕舞い、再度押しで最後の装備を再び構える
*弾数の表示は具体的な数ではなくゲージで示され、リロードの概念は無い
*移動速度は変わらないが、武器によっては発射時に動けなくなる物が在る
*HPの回復はキノコやフルーツを採って行う方式


 特殊な要素としては水分(Edenの命の水)のゲージが存在し、以下の様な役割を果たしている。

◎ダメージの1/4を吸収するアーマーとして働く
◎ファイアーソードとエレクトリカルソードは、それぞれ水分量が1/4と1/2に達していないと普通の剣としてしか機能しない
◎90%を越えるとジャンプ力とスピードがアップ(青い軌跡が表示される)
◎水の入ったアイテムを穫ればサイズに応じて回復する
◎水の中に入れば半分までは補給される(回数制限無し)


 スリング(パチンコ)という両手用の武器が用意されていて、三種類の弾(石, 爆発する放射能岩, 毒ガス弾)を切り替えて発射出来る。石は無限に使えて他は弾薬要。攻撃用としても使えるが、高所のアイテムにぶつけて落としたり、パズルの解法に使ったりもされる。


 携帯用として、ヘルスの全回復, 水分の全回復, 一定時間周囲にシールドを張るという三種類の特殊アイテムの瓶を各一個ずつだけ持ち歩ける。何時でも武器の様に使えばその場で適用される。


 その他ではゲーム中に三種類のアーマーが手に入るのだが(一つはよく探さないと見付からない)、これが具体的にどれだけの効果を挙げているのかは確認が出来なかった。


COMBAT
 戦闘方法は近接攻撃用の剣と遠距離攻撃用の銃器がミックスされており、そこに更に両手で別々の武器を持てるという概念をプラスする事によって、ユニークなシステムを生み出している

 武器グループ1は剣のスロットで、片手持ちの剣が三種類(ノーマル, ファイアーソード, エレクトリカルソード)となり、これらは右手にのみ装備出来る。剣の利点はコンボ攻撃が可能な事で、通常の攻撃は右クリックで左に振って右へ戻すという2連の振りなのだが、戻す際に左クリックに切り替えて押したままにすると、更に連続して斬り付ける攻撃を繰り出せる。これはダメージが高いだけではなく、当たっている敵を受け身状態にしてその攻撃を停止させられるという大きなメリットがある。
 両手持ちの剣は2種類。両方とも相当大きなダメージを与えられる武器だが、チェンソーソードは燃料としてガソリンが必要でその消費量が激しい。斧は振りがスローで連続攻撃が出来ないというデメリットを持つ。

 武器グループ2はスリングが3種類と盾が2種類。スリングは両手持ちで戦闘時にも使えるが、止まっている敵でないと狙い難いし、またダメージもそれほど与えられない。盾は左手のみに装備可能で敵の攻撃をブロック出来る。大型の方が防御力が高いが、動けなくなるという欠点あり。

 武器グループ3は片手用銃器。クロスボウ(エネルギー弾), Uzi, ハンドガンで、左右どちらの手にも装備可能。両手共にこのグループの武器を装備しても良いし、Uziを二丁手に入れれば両手持ちにも出来る。

 武器グループ4は爆破系。時限式の爆弾(片手)とロケットランチャー(両手)。

 武器グループ5は重火器。全て両手持ちの武器となり、ショットガン(エネルギー弾とグレネードランチャー), XP-80(ミニガンとプラズマビーム), 火炎放射器, ソウルサッカー。中でもソウルサッカーは敵から水分を吸い取れる特殊武器で(あまり離れると吸収出来ない)、吸い取った水はジュリーの水分ゲージに補充される。水が無い状況では重宝するし、サブ攻撃でその水の固まりを礫にして撃ち出すという高ダメージ攻撃も行える。なお敵一体から吸い取れる水の量や、吸い続けてそのまま倒せるのかは敵の種類によって異なる。


 そしてプレイヤーは上記の様な武器を、シチュエーションに応じていろいろと組み合わせて戦闘を行える。

*近距離戦なら剣、遠距離戦なら銃器
*弾薬が少ない状態ならば剣、弾薬が豊富な時は銃器
*HPが少ない時は距離をとって銃器、HPが余裕ならば近付いて剣
*剣が向いている敵なら剣、銃が向いている敵なら銃、両タイプの敵がミックスされているなら銃と剣の両手持ちで対応
*タフな敵なら両手持ちのダメージが大きい武器、数が多いならば連射が効く片手持ち武器
*スピードが速い敵には片手持ち武器(オートエイム)、遅い敵なら両手持ち武器(マニュアルエイム)

 敵によって効果のある武器は異なっており、ある種の敵は特定の武器以外ではダメージを与えられない物までいる。異なるタイプの敵がミックスされて登場するシーンも多目。よって武器の使い分けが必要となり、またそこにはプレイヤーの好みや技量に応じて、どの武器で戦うかという自由度と、それによる戦闘の変化という面白さが生まれるようになっている。この辺は作り手側も「多彩な変化を持つ深い戦闘システム」として自画自賛しており、確かにこのFAKK2の中でも優れている面だと言える。



 しかしこの凝った戦闘システムにはいろいろと問題も感じられる。まずはゲームプレイの項でも触れたゲームの長さについて。全体の長さは2010年現在を基準にするなら短くはない。だがゲーム内容は戦闘とアクロバティック・アクションのパートが半々位なので、仮にクリアまで12時間とするなら戦闘のパートはその半分の6時間位となり、戦闘(シューティング)ゲームとして見るならこれは短いと言わざるを得ない。実際に戦闘シーンのボリュームについては物足りなさが残った。これは戦闘面の方が好きな私の意見になるが、逆にアクロバティック・アクションが好きな人にとっても、そちらのパートだけを計ると短いと感じるという意味では同じ様な不満になるであろう。

 戦闘システムに深さを持つのは確かだと思うが、これだけ短いとその深さを十分に味わう前に終わってしまうというのも事実。しかも難易度選択を持たないので、リプレイ性も損なわれている。ここまで凝るなら戦闘メインで作った方が良かったように見えるし、アクロバティック・アクションの方も重要ならばやはり全体をもっと長くするべきだった。全体で16〜20時間程度ならば、戦闘パートがその半分として8〜10時間程度になるので、これなら悪くない長さである。


 次にこの複雑な戦闘システムを自在に操れるだけの操作体系を持っておらず、武器の切り替えが上手く行かずにストレスが溜まる。武器は上記の様に5グループに分けられており、該当する数字キーを押してグループを開き、更にその数字キーを連打して目的の物まで到達させてクリックして選択するという方式。こういったカテゴリ別の武器選択システムは特に珍しくないが、これだけの数の武器を5つのカテゴリに詰め込むと、下の方の物を選ぶには数字キーを何回も押さないとならず、素早い武器選択が行えない。
 しかも片手武器の場合には、武器選択時に左右クリックを使い分けてどちらかの手に装備するという選択肢が余計に加わる。慣れない内はどうしても左クリックが選択という習慣があるので、右手にしか持てない剣を左クリックで装備しようとして空振りしたりしてしまう。そしてそれに慣れると今度は左手に武器が欲しいと思った際に右クリックして、右手の剣を仕舞って銃を持ってしまったりが発生する。

 ホイールでの武器選択にも問題があり、素の状態でホイールを回すとどんな武器を持っていてもグループ1の1スロットからの選択になる。なので先にグループ番号を押してからになるが、その時でも選択は常に1番スロットから始まる。現在の武器を基準にしての切り替えがサポートされていない。

 いったん激しい戦闘モードに入ってしまうと、途中で持っている武器セットを切り替えたくても余裕が無く、そのまま現在の武器セットにて押し切ってしまうというケースもしばしば。距離を取ったり障害物に隠れたりして撃ち合うゲームならば切り替えに余裕があるのでこの様なシステムが活きると思うのだが、近距離戦中心でスピード感のある反射神経型アクションなので、シチュエーションに応じた武器切り替えシステムというのが存分に活かされていない。

 結果的に自分の好みのセット数種類を繰り返し使い回すという感じになり、状況に応じた武器選択ではなく、使う武器セットがパターン化するという状態に陥る。例えば好みの組み合わせを何種類かショートカットに登録可能ですぐ呼び出せるとかにしておけば良かったのではないか。


 それと剣と銃器のバランスが取れていないという印象。中盤までは弾薬が少な目であり、しかも多くの武器で同じ弾薬を使うという設定なので、ある武器の弾を使い切ると他の武器も使えなくなってしまったりする。よって銃器のみを使っていては弾薬が足りないし、また片手持ちの武器はダメージもあまり高くないという設定である。(有効なのはUziを両手持ちにするくらい)。

 それに比較すると剣の方が使えるという風になり、剣での戦いに慣れた人からはわざわざ銃器を使う意味が薄いという批判も見られた。実際にコンボ攻撃の際も、左手に武器を装備していると追加攻撃は2連斬りまでだが、左手が空いていれば更に追加で2連斬りを繰り出すのでより高いダメージを与えられる様になっており(しかも敵は反撃出来ない)、また左手に武器を持っているとコンボが切れた際に(左クリックを押したままなので)誤射してしまうという問題もあるので、左に武器を装備せずに剣だけで戦う方が良いという状況を生み出している。私自身もHPが少ない状態でさえなければ、近接戦に持ち込んで剣でのコンボ攻撃に頼るという戦法を使う事が多かった。最後の第三のパートでは銃器が活躍するようになるが、もう少し中盤までの銃器の弾薬を多くするとか、刀の方の使い勝手を調整するとかにした方が上手くバランスが取れたように思える。



 戦闘全般に関してだが、難易度設定は無いが標準的なNormalよりはやや難しいレベル。受けるダメージの割には回復アイテムが少な目というのがその大きな理由である。クイックセーブと救済措置(後述)を持つので大きなストレスは無いが、セーブをあまりしなかったり先を急ぐタイプの人にはもっと難しくなるだろう。(先を急ぐ人が不利という理由は、アイテムや弾薬がメインルートから外れたアクションを達成したりして到達しないとならない場所に多く置かれているからである)。序盤から中盤の方が回復アイテムや弾薬が少ないので厳しく、後半になるとそれが増えるのでむしろ難易度が下がるという印象である。

 片手武器はオートエイムとなり、三人称視点なので激しく動く敵やこちら側が動きながらの攻撃には適しているが、複数の敵に対して狙いを変更するのがやり辛かったり、照準が敵の正面ではなく足下に出たりするので解り難いという欠点を持つ。一方で両手武器はマニュアルで狙いを付けるのだが、デフォルトのカメラ位置だとジュリーの正面に来た時に彼女自身が邪魔になって見え難くなるというケースはあった。これは気になるならばカメラ位置を細かく調整可能だが、カメラを離すと今度はジャンプ系のアクションで距離感が変になったりするという恐れがある。

 近接戦ではポリゴンが重なってしまうのは仕方がないとして、剣による攻撃では切断や出血が派手だし、銃器攻撃でも出血や被弾リアクションは見られるので当たっているという感覚はちゃんと持っている。

 敵の種類は多くないが、プレイ時間が短いのであまり気にはならなかった。デザインとしてユニークな者が幾つか存在している。AIは単純にこちらを見付けたら襲って来るスタイル。



 前半は回復アイテムの数が少な目であり、また全般を通じて「現在の低いHPでは、そこから先は何回リトライしても無理」というデッドエンドに比較的陥り易いゲームである。やや難しいと書いたのは、単に敵を倒すだけではなく、ダメージを少なく抑えて勝つ事を要求されるシーンが結構在る(先に回復アイテムが無い等)のと、ノーダメージで倒すのは困難という敵が存在するからだ。
 デッドエンドを避ける為の対策としては、第一にフル回復が可能なヘルスの瓶を持ち歩けるので、いざとなったらこれで回復する。しかしこれは一個だけしか携帯出来ないし、しかも相当レアなアイテム(シークレットに存在等)なので持っていなければ終わりとなる。第二に回復用のフルーツは時間が経つと再度実がなるので、フルーツの木が存在するエリアまで戻れるなら、そこでHPがフル回復するまで待つ方法。第三に周囲の到達可能な枝道に回復アイテムが存在しないかを探す(高所のアイテムはスリングで落とせる事もあるのを忘れずに)。最後にやはり重要なのは、クイックセーブを含めてHPが十分な状態でのセーブを定期的に行っておくことである。

 水分の方は入れる水源さえあれば幾らでも半分までは回復可能だが、逆に水の瓶では少量しか補充されないので、90%以上の高速移動状態まで持って行くのはかなり難しい。アーマーの役割を果たしてくれるが、その分攻撃を受けると減ってしまうので貯めにくいというのもある。ソウルサッカーを使って敵から集めるというのが早道だろう。ただ90%以上にしてもそれほど劇的に変わる訳ではないので、あまりそれにこだわる必要はないという感想。

 他に戦闘を難しくしている要素としては、後方や上空からの不意討ちが多いというのが一つ。また敵が居るのが分かっていても上空は三人称視点なので特に見辛く、地上の敵とミックスして登場されると対応が難しくなる。それと狭い足場とか周囲にガスが噴出している場所等の、戦い難い所での戦闘になるケースも厄介。爆発する鳥や敵の打撃攻撃によって吹き飛ばされたりするので、狭い足場ならばそのまま落下して即死したり、毒の沼に落とされたりしてしまう。特に鳥の方は水平方向を見ている時に上空から垂直落下の体当たりで飛んで来られると避けようがない。バーや縁に捉まって移動中に襲われたりするのも同様に対応が難しい。いずれもクイックセーブをこまめに行う事でやり直しのストレスを軽減は出来るが、避けようの無い死亡が発生したりするのはちょっと問題ではある。


 最後に幾つか触れていない問題点。ラスボス戦が相当難しい上に、最後のトドメの刺し方が解り辛い。私も攻略で答えを見るまで解らなかったが、偶然達成するのでもない限りは、同様に達成出来ない人が結構出るのではないか。それとゲームプレイの項でも書いたように、某特殊武器をゲームの途中で入手しているのといないのとでは、このボス戦でも大きな差が出る事になる。

 序盤だけだが街中にいるNPCは敵に反応しないので、会話イベント中に羽虫に襲われたりして斬り付けると、それがNPCに当たってしまう恐れがある。適当に歩き回っているNPCに偶然当たってしまうというのも同じ。一回でも当てたらその場でゲームオーバーである。

GRAPHICS
 Quake IIIのエンジンをライセンスして、自社製のUBER Toolsという拡張ツールで改造している。(このツールはAmerican McGee's Alice, Medal of Honor: Allied Assaultでもライセンスされて使われている)。

 主な改造点としてスケルタルアニメーションとLOD(level of detail)システムを組み込んでおり、グラフィックス面では定評があるQ3エンジンを更にグレードアップしている。特にジュリーのアニメーションは細かく滑らかで、約7000枚のフレームを制作して各種の複雑なアニメーションを実現しているそうだ。

 エフェクト系ではGhostと呼ばれる自作のパーティクル(粒子)描画システムを導入し、武器のエフェクトや炎, 煙, 爆発等を複雑に重ねて描画可能としている。それとこの時代では影の描画はBlobと呼ばれる丸い単純な物をキャラクタの下に描くというのが普通だったが、それをオブジェクトの形状に合わせてちゃんと描写するという複雑な描画方式も選択可能である。Q3エンジン特有の影が空間を突き抜けてしまうという問題は見られるものの、この時期のゲームでそれを選択出来るのは評価出来る。


 総合的には同時代のゲームの中では上位ランクに位置しており、特にエフェクト系の美しさが目立つ。反対に目立つ欠点はキャラクタのモデリングに粗さが目立ち、また使い回しも多いという点である。

 ワイドスクリーンには未対応(不可能ではないが直すのは面倒)。対応解像度は少ない。ビデオ系の設定はかなり細かく変更出来る。

SOUND
 3DサウンドはEAX2までとA3Dを選択可能で、音の定位感もちゃんとしている。

 BGMはタイトル通りにメタルやテクノ系が多いが、なかなか良い曲が揃っていると感じられた。

 銃器系のサウンドはシャープさが感じられず並のレベル。環境音の方は音数も多くて凝っている。

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