HEAVY METAL: F.A.K.K.2
10/04/16
SYSTEM / GAMEPLAY
COMBAT / GRAPHICS / SOUND
BOTTOMLINE
公式サイト
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製作・販売: Ritual Entertainment / Gathering of Developers
発売: 2000/08
日本代理店: P&A
概 要 | アニメ映画『Heavy Metal 2000』とのコラボレーションとなる三人称視点のアクションゲーム。 順を追って説明すると、まず『Heavy Metal』とはフランスで1974年に刊行された雑誌『Metal Hurlant』の(英訳)北米版。SFやファンタジーを題材としたイラスト&コミックスの掲載されたフルカラーの雑誌で、バイオレンスやエロティックな内容を多分に含んだアダルト向け(18禁)の物となり、イラストレーターやアニメーション関連の人々に多大な影響を与えているそうである。1981年には雑誌の内容をベースにしたオムニバス形式の映画『Heavy Metal』も制作されている。 その二作目となる映画が『Heavy Metal 2000』であり、企画を担当したのは雑誌の現オーナーであるKevin Eastman(ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズの原作者として著名)。映画の内容は、彼の執筆でイラストをSimon Bisleyが担当したグラフィックノベル『The Melting Pot』に基づいている。 この映画の主人公である女性のモデルになったのがKevin Eastmanの妻であるJulie Strain。ペントハウス誌等で活躍した身長185cmのグラビアモデルで、多数のマイナー映画に出演しており「B級映画のクイーン」という異名を持つ。このゲームにおいても主人公のモデルとなっており、声も彼女が担当している。 ゲームの内容は映画の後を描いたストーリーとなっており、制作はSiN等で知られるRitual Entertainmentが担当。ストーリーの制作はRitualが手掛けておりオリジナルである。続編を作りたいという希望を表明はしていたが、既に同社はカジュアルゲームの制作会社MumboJumboに吸収されている。代理店はGOD GamesでこちらもTake Twoの買収後に消滅している。 タイトルのF.A.K.K.2とは“Federation-Assigned Ketogenic Killzone to the second level”の略。つまり宇宙連邦政府が指定した生命体にとって危険であるバイオハザードの第二レベル = 非常に危険度が高い侵入禁止エリアの意味。同時に主人公ジュリーのニックネームでもある。なおこれは当然4文字言葉の“FUCK”に引っかけての命名だろう。 元々は映画のサブタイトルがFAKK2だったのだが、こちらは途中で2000へと変更されている。しかしゲームの方は既に発表してからしばらく経過済みだった為に、ここで2000へと変更すると混乱を招くという意味からFAKK2のままとされた。 プラットフォームはPC, Mac, Linux。シングルプレイのみでマルチプレイは含まれていない。パッチでマルチプレイ用のコンテンツを追加する予定で、完成間近というアナウンスもあったのだが結局出ずに終わっている。マルチプレイModの制作もβで終了。 映画とのタイアップ物には外れが多いというのが定番だが、このFAKK2では評価自体は79.6%とかなり良かった。しかしセールス面では上手く行かなかったそうだ。その最大の理由としてドリームキャスト版のキャンセルが挙げられる。PC版の発売後にDCへの移植版の制作に取り掛かったのだが、DCのセールス不調により一時ペンディングとなり、2001年の撤退をもってこのゲームも代理店によりキャンセルされた。DC版が出ていればそちらでのセールスは勿論の事、知名度が上がる事でPC版のセールスの方もブーストされるという期待があったのだが、土壇場でのキャンセルにより全てが駄目になった。 同じくHMのライセンスゲームとしては、カプコンからDCとアーケード筐体用にHeavy Metal: Geomatrixが出ている。 初回版の後はGOD Games関連の作品を5本集めたオムニバスに収録されていたのは知っているが、単体で廉価版として再発されていたのかは資料がない。現在日本からでも新品が買える所としては、オールドゲームに強いCDAccessが在る。後はebayやamazonから日本に出荷可能な売り手を捜すとかになる。 日本ではP&Aが日本語マニュアル付き英語版を販売していたが現在では流通していない。中古やオークションに頼る事になるだろう。 |
STORY | 映画の方の簡単なストーリー。ある時炭鉱で働いていたTylerという男が不思議なクリスタルを見付けたが、彼はそのクリスタルのパワーに取り憑かれて、その後は権力を高めて世界の神になるべく自らの軍を組織するに至る。その彼が発見したのが不老の水を用いて生活する一族で、その秘密を探るべく数人を誘拐して残りの一族を抹殺。そして不老の泉の源泉を探ろうとするが、生き残ったジュリーは復讐の為にタイラーを追跡するというもの。 ゲームの方はタイラーを倒した後の話となり、ジュリーは宇宙に散らばった一族の生き残りを集める旅に出て30年後に故郷であるEdenと呼ばれる星に帰り着いた。そこにはやはり不老の泉が存在しており、30歳以上の人間はそれ以上歳をとらないで生きる事が出来た(不死ではない)。その後彼等は他の侵略者から身を守る為に惑星全体にエネルギーシールドを張り巡らすと同時に、FAKK2ビーコンを宇宙へと飛ばしてここは危険地帯だと偽装し、他の生命体をEdenに近付けない様にしていた。 しかしGITHと呼ばれる集団が突然Edenに侵略を開始する。彼等は惑星数個分にも及ぶ巨大な宇宙船で銀河を旅して征服を続ける一団で、そのリーダーは巨大な髑髏状の乗り物に乗っている事で知られている。ジュリーは母星を守るために再び戦いに赴く事になるというストーリー。 |
PATCH & DEMO |
パッチの最終版はV1.02。北米(US)と英国(UK)ではパッチが異なるので注意。 デモは最初の物とパッチ適用版の2種類が出ており、V1.02相当の“Heavy Metal: F.A.K.K. 2 updated demo”の方を選ぶべき。最初の物+デモ用V1.02パッチでも良い。 |
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動作環境 & トラブル |
DirectX 7.0以上要 OSはVistaでも問題無い模様。ベースはQuake3エンジンなので64bitOSでも大丈夫ではないかと思う。ただしインストールはオートランメニューからではなく、直接setup.exeから起動しないとならないかも知れない。或いは管理者モードが必要になる可能性もある。 [動作確認] (XP SP3, E6850, MM 2GB, Geforce 8800GTS 640MB, 196.21, SB X-Fi)にてインストールから起動まで大きな問題は無し。問題点としてはスピーカー設定で4SPを選ぶと、強制的にOSの設定の方まで2CH設定に戻されてしまう。サラウンドを選択すればそのままで3Dサウンドが有効になる。他には細かい点だが、メニュー画面だけが小さくなってしまうというのもあった。 初期バージョンでは安定性に欠ける状態だったらしいが、プレイ当時のWin98環境にてV1.02での動作は安定していたゲームである。 ビデオカードはAGPバス対応要と曖昧だが、実際にReadmeに掲載されているテスト済み対応カードからするとVRAM 16〜32MB辺りを想定しているようだ。一応動くとしているリストアップされたカードにはPCIバス用を含めて相当古い物まで含まれており、最低線はVRAM 4MB辺りか。いずれにしろ10年前のゲームなので、最低ラインの性能は5年前位の普通のPCでもクリアしているだろう。 しかしQ3エンジンという事で3D APIにはOpenGLを使用しており、Direct3Dやソフトウェアモードでは動作しない。なので安いPCやノートPCのオンボードのビデオ機能だと、PCの性能的には問題無くてもOpenGLへのビデオ用ドライバの対応がちゃんとしていない為に、メニューすら起動しなかったり、動くが描画がおかしくなるというケースが発生しうる。 OpenGL関連のトラブルはこちら だがこのゲームではかなり細かくビデオ系の設定をいじれるようになっており、起動はするが描画が変といういう場合には、各種設定を下げる事で画質を犠牲にする代わりに問題を修正出来る可能性がある。具体的にはVideo→Advancedの項目を開いてやり、中央に“Enable GL Extensions”から始まる5項目が有るが、ここのチェックを全て外してみる(Use Vertex LightingはONでも良い)。後は右欄のUse GL Fog(霧の描写)をオフに。他のグラフィックス系の設定バーは左の方に寄せて低下させてみる(全てがグラフィックス関連の項目ではないので注意)。 起動自体に失敗する等の際のセーフモードは、ショートカットのプロパティから以下の例の様に付けて実行する。 "...\Heavy Metal - FAKK2\fakk2.exe" +safe |