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シ ス テ ム

キャンペーン
 難易度設定は一種類だけで選択出来ない。チャプターやマップ単位のリプレイ機能は持っていない。


セーブ&ロード
 何所でも制限無く自由に行える。クイックセーブもサポート。またマップの区切りでオートセーブされる。


OBJECTIVES
 現在の目標を表示する機能は無い。方向ガイドやマップ機能も無し。


EXTRAS
 特に無し。


英語
 字幕は無し。会話の量はあまり多く無い方だが、時々ヒントになる事をジュリーが呟いたりするので、英語が全く理解出来ないとやや不利になるケースも考えられる。

GAMEPLAY
 マップ数は25個程度であり、全体のプレイ時間は12時間位だった。2010年現在では特に珍しくもない長さだが、当時のアクションゲームはもっとずっと長い物が一般的だったので、これが大きな欠点となった事をRitual側も認めている。「メディアのレビューやユーザーからのフィードバックの中で、最も不満が多かったのがプレイ時間の短さだった。早い人だと10時間以内でクリア出来てしまう程度であり、それでマルチプレイも無いとなると文句が出るのも理解出来る。しかし限られた時間の中ではこれが限度であり、無理に引き延ばして薄っぺらい内容のマップを倍にするよりは良かったと考えている」。私としてもこの長さには不満があるのだが、それについては戦闘の項の方で語りたい。


 ゲーム全体は大きく分けてホームワールド, 郊外エリア, 神殿の3つのブロックに分かれており、ジュリーの衣装もそれに合わせて何種類か変化するようになっている。マップ数が少ない割には景観の変化には富んでおり、見た目に美しい場所や特異なデザインのロケーションも含まれている。元々ハイレベルのイラストを掲載している雑誌がベースなので、世界のデザインや綺麗さという点では力が入っているし、評価出来る仕上がりにもなっている

 ストーリーはボリュームが短いというのもあって複雑ではなく、場面転換による展開にも乏しい。明らかに続編を意識した中途半端な所で終わってしまうのもマイナスである。


 開発の当初から、同じくタフでワイルドな女性主人公が活躍するTomb Raiderの対抗馬となる事を目標に掲げており、その通りにアクロバティックなアクションを要求されるパートがかなり多く設けられている。具体的には「落下即死の足場をジャンプ&縁にしがみ付きで渡る」, 「触れるとダメージを受ける噴出ガスや動くオブジェクト等の障害を、タイミングを合わせて避けながら通り抜ける」, 「動いているプラットフォーム上をタイミング良く渡っていく」, 「ロープやバーを利用しての空間移動」, 「何等かのメカニズムを作動させて、それが止まるまでに一連のアクションを達成させる」等々。
 設定として、「ここは通れるのではないかというルートがあって、実際にアクションを成功させて進むとシークレットとしてアイテムが手に入る」とか、「ちょっと見た目には到達出来無さそうな高所や離れた所にアイテムが見えていて、それに到達するルートを考えさせる」というシーンが数多く出て来るというのも似ている。

 ただし完全なコピーではしょうがないと考えたのか、いろいろと異なる面も見られる。第一にTRの様にアクロバティック・アクションに偏っておらず、戦闘面にも力を入れていてその比率は五分五分くらいなので、ずっと長い時間その手のアクションばかりという訳では無い。第二にメカニズムを動かすタイプを中心にしたパズルが用意されているが、TRに比較するとその数は少ないし難解でもなく、攻略サイトに何回も頼らないと進めないようなゲームでは無い。第三に進行が一本道であり、脇道探索を除くと進むべき道が解り易い構造である。TRではそもそも何所に進めば良いのかが解らないというケースにも遭遇するが、FAKK2では現在達成するべきアクションは明示される事が大半である。

 そしてアクロバティック・アクション自体が(TRに比較すれば)易しい設定である。決して簡単ではないが、クイックセーブが自由に出来るという助けもあるので、難所で長時間詰まるといったストレスは無かった。TRの様に、やり方まで解っているが実際に操作としてその一連のアクションを達成出来ないので進めない、という程高度なアクションは要求されない。個人的にはあまりにも難易度の高いパズルやアクションは好きではないので、戦闘パートもあるし(TRの様に)それがメインのゲームではないのならこの程度で丁度良いとは思ったが、初期のTRの様な高難易度が好きな人には物足りなさが残ると思われる。逆に言えば万人向けのバランスの取れた難易度であり、プラットフォームをジャンプしたりするゲームは好きだがTR辺りは難し過ぎるという人には向いていると言えるし、戦闘パートが目当てでこの手のアクションには興味が無いという人でも過度にストレスにはならないようなレベルにも収まっている。

 とは言っても厄介な要素も一部には存在している。代表的な物としては、アクションを行う際に敵が襲って来るというケース。敵を先に倒せれば良いのだが、それが出来ない箇所も登場する。他にはちょっとした段差をジャンプで登れないのだが、実際には近付いて前進キーでよじ登り動作をさせればOKだったという操作上の問題。同様に壁に生えているツタを掴んで登ったり左右移動したりが可能なのだが、そのツタの画が凄く粗いので最初の内はそれに気が付き難いという点。そして初回は避けようがない意地悪なトラップもある事等。最後にメカニズムが動作してからの時間制限があるタイプで、うっかり途中でクイックセーブをしてしまうとそこからでは絶対にクリアが不可能になるという箇所も僅かだが出て来る(よって通常セーブと併用しながら定期的にセーブは行うべき)。


 ジュリーが行えるアクションは豊富で、縁にしがみついて左右移動や這い上がり動作, 障害物の乗り越え動作, しゃがんだ状態から左右へのローリング, オブジェクトを掴んで押したり引いたりして移動, 壁に背中を付けて狭い足場を横歩き, パイプを掴んで渡ったりや脚を巻き付けての移動, ロープアクション, モンキーバーでの前後左右移動等が可能である。その他に戦闘の操作方法を合わせて、ゲームを開始した直後にチュートリアルのマップを選択する事が出来るので、このゲームに関してはそれを受けておいた方が良いだろう。マニュアルにも書いてあるが長いので実際にやって憶えた方が良いし、操作方法を知らないと困る場所も出て来る。

 だがその分操作の方はややこしい面も感じられる。例えば両手持ち武器で両手が塞がっている状態では出来ないアクションが多い。縁にしがみつく動作やパイプを掴んだり障害物を乗り越えたりする動作等がそれに当たる。特にロープに飛びついたりジャンプして向こうの縁にしがみつくアクションなどは、うっかりやるとそのまま落下してしまうので危険である。つまり一端ホルスターキー等で武器を仕舞わないとならず、リアルと言えばそうだが面倒な仕様という感の方が強い。このゲームに限った制限ではないが、特にFAKK2では戦闘シーンも多いので、戦闘直後にうっかりという失敗が起きてしまう。更にややこしいのは、剣と銃の様な組み合わせならば両手が塞がっていても可能なのだが、両手持ちの武器では出来ず、両手持ち状態となるがスリングならばOKという点で、余計に間違え易い。


 メインルートは解り易い構造だが、クリアの為には必要が無いエリアというのも勿論あるので、弾薬やHPを無駄にするという恐れあり。危険な状態であれば分岐でセーブして置いた方が無難である。だが分岐ルートには大抵アイテム類が存在するので、行ってみた方がプラスマイナス合わせると良いという事も多々ある。

 マップの内部デザインは一方通行も多く、正式な出口では切り替え表示が出てそれを知らせてくれるが、普通の分かれ道では通ってしまうとイベントになって後方が塞がり、他の分岐道には進めなくなるという設定が結構出て来る。よって全部回ってアイテムを回収するタイプの人は分かれ道ではセーブしておくのが安全。中でも問題と感じたのは、中盤のあるマップで特殊な武器を手に入れられるのだが、それを達成する前に次へと進められてしまう。この武器は(攻略記事によれば)そこでしか手に入らず、また有ると無いとでは終盤の戦闘に大きな差が出るので、そういうデザインならば後半の何所かで誰でも入手可能にしておくべきではなかったかと考える。


 雑誌の内容が過度なバイオレンス描写を含んでいるだけあって、ゲーム内でのバイオレンス表現も過激な部類である。剣で敵の胴体や頭部を切断可能だし、切り口から血が噴き出したりと流血量も多い。ただモンスター系ばかりなので人によって感じ方は異なるだろう。バイオレンスをオフにする設定も用意されている。

開発の経緯
 発売後のインタビューや後日談が残されているので、ゲーム内容と関連する物を幾つか紹介してみる。


 ゲームの開発が始まったのは1997年で、SiNを制作中にKevin EastmanからRitualに対して今度制作する映画のゲーム化の依頼が入った。その後Kevin Eastmanと何回かミーティングを開いた結果、Ritualの実力を信用してくれた彼はストーリー設定について完全な自由を与えてくれたそうだ。ラスボスが○○なのもRitualの案で、これも認めてくれている。

 制作に使用するエンジンを何にするかはギリギリまで決まらなかった。メンバーが慣れているのはQuakeエンジンになるが、SiNで使用しているのはQ2エンジンをベースにした物であって、グラフィックス面には最高レベルを求めるゲームとしては物足りない。そこでUnrealやLithTechも研究したが、最後はまだ完成前のQuake III Arenaのエンジンをライセンス出来たので、これを元に改造を加える事に決定している。


 開発における大きな問題は、ゲームの最終的なデザインが決定した時点でリリース予定日まで1年も無く、また映画との同時発売は絶対的なデッドラインなので延ばす事が出来ないという事実だった。当時は今ほど平均的な制作期間は長くなかったが、それでも18〜24ヶ月位が一般的だったのでこれは相当短い。実際にゲームの追い込み制作期間は五ヶ月にも及び、最後の一月などは全くの休み無しでの仕事になった。

 制作期間の短さからシングルプレイのみという決定が下された。マルチプレイの有無がゲームのセールスや評判にどれだけ大きな影響を及ぼすかは解っていたし、Ritualの社員達もマルチプレイが好きだったので苦渋の決断だったと言う。「マルチプレイをカットしてシングルプレイのコンテンツに全精力を注ぎ込めた事は、結果的には正しい判断だった。だが同時にセールスと評価の面では大きな失敗になったのも確かだった」。


 幾つかの反省点も挙げており、開発スタート時に18人居た制作チームのメンバーは最後には11人になったのだが、この内で最初から居るメンバーは一人だけという状態だった。途中での入れ替わりがあまりにも激しかったので、デザイン面で発案者に突っ込んだ内容を聞こうにも既に居なかったり、ツールやプログラムの方でも制作した当人が居ないので修正が効かず、一から別の物を制作し直したりと余計な手間が掛かってしまった。

 次に忙しさが原因で発売前にデモを出せなかった。デモによりインパクトを与えて発売前に盛り上げを図る事が出来なかったし、デモをプレイするまでは購入しないという層が多い為に、発売時のセールスに悪影響を与えてしまったとしている。

 最後にRitualの有名人Levelordによれば、「あまりにもゲーマー向けの内容や難易度バランスに作ってしまった」のが失敗だったそうだ。映画のタイアップという観点からすると、ゲームに慣れていないユーザーがプレイする可能性も高い訳で、もっと親しみ易いゲーム性にするべきだった(難易度設定を設けるとか)という意味になる。

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