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COMBAT
 まずは基本要素から。

*三人称視点固定。カメラは360度回転可能で、Camera Oriented(カメラ基準)のキャラクタ移動操作となる。
*武器はメインとサブ(ハンドガン)を各一種類だけ携帯可能。味方の所持品や敵の落とした物と随時交換が可能。
*グレネード系は2種類の内のどちらかを選択 * 2タイプで計2種類を携帯可能
*近寄ってUSEキーにて自動的に近接攻撃(敵を倒す)
*チャプター単位で武器はリセットされる
*短時間スプリント可能だがメーターは無し
*ジャンプは出来ない。段差を上りたい時には“前進キー+USEキー”を使用する。
*ズームを押すと状況に応じて左右の肩越しの視点になる
*リロードはUSEキーを使う
*走ったりしゃがんだりしても照準は変化しない
*リコイルは実際に照準が上に向かって跳ね上がる
*HPは赤の危険表示になったら隠れれば復帰する自動回復方式(ダメージにより倒れた際の扱いは部隊操作の項を参照)


 デモの時には被弾ダメージ量が低過ぎるようにも感じたのだが、それはEasy固定だったからで製品版のNormal以上ではもっと厳しい。一般的な自動回復のゲームと比べると倒れるまでに耐えられるダメージ量は低めであり、これは倒れてもアドレナリンによる救済措置が存在するからだと思われる。Overdoseによる死を除けば、味方によるアドレナリン注射が間に合わないというケースは無かった(当然遠くまで単独行動した場合には間に合わない事もあるのだろうが)。

 一方で攻撃面については、アクション系のゲームの中では比較的敵を倒すまでに必要なダメージ量は少なくて済むというバランス。ヘッドショットならばほぼ一発で倒せる。多くの武器は手動でバースト射撃をすればそれ程散らないという部類。照準の大きさに変化はがないがトレーサー(軌跡)がハッキリと見える仕様なので、武器によって今どれだけ散っているのかは把握し易いとは言える。

 しかし武器類では種類による性能変化がそれ程感じられないのが難点。サブマシンガンやアサルトライフル系は似たり寄ったりで差別化に成功していない。リロード速度や所持している際の移動速度にあまり変化が見られない点もその一因だろう。またチャプターによって出現する物は限定されているので、弾切れを防ぐ為に敵が使っている武器を拾うというケースが多く、多数の中から自由に好きな武器を携帯するという事も出来ないゲームである。個性的な武器としてはライトマシンガンのM249。スナイパーライフルは用意されたマップが限定されており、ショットガンは2種類存在するがこの武器が有効となるチャプターはほとんど用意されていない。

 射撃の感覚としては、まず一応武器によるサウンドの変化は感じられる。気になるのはオブジェクトとの位置関係に応じてズームの度合いが変化し銃身自体が見え難くなる事も多いので、そうなると銃を撃っているという感覚が損なわれる。当たった際の出血エフェクトは見易い部類で、また被弾箇所によって敵のリアクションもちゃんと異なるようになっている。ラグドール効果も存在。血は背面の壁に飛び散ったりもするし、死体から床に流れ出したりもする。ゴア要素は無し。


 戦闘では基本としてカバーシステムを導入しており、カバーの背後からズームすれば被弾面積を最小に抑えられる。命中率が落ちるがブラインド・ファイアも可能。特徴はカバーのシステムとしては少数派と思われる自動カバー方式を採用している点で、カバーに張り付く際のキーが存在せず、障害物の近くに来ると自動的にカバー状態になる。離れる時も自動で、例えばカバーの後ろを左右に動いて端に来た場合でも、わざわざカバーキーを押さずに離れる事が出来る。

 当然マニュアル操作方式と自動方式では一長一短があるが、その中で自動方式の問題となる「張り付きたくない場所でもカバーに入ってしまう」という点についてはほぼ問題が無く、移動中に意図しないケースでのカバー状態というのに遭遇する事は少なかった。しかしその逆に張り付きたい時にカバーに上手く貼り付けないというのが大きな問題となっている。単にオブジェクトに近寄ってもカバーには入らず、そこから左右へと動く事でカバー状態になるというケースが一般的。だがこの基準がハッキリせず、場合によっては何回も下がってはカバーに近寄ったり、左右へと動いてみるという動作を繰り返さないとならない。特に幅の狭い柱等が微妙である。よって撃たれて赤画面の状態等では、失敗を考えると近くのオブジェクトに走ってカバー状態へと持ち込む行為は危険であり、普通に逃げて物陰に隠れるという行為を採らざるを得なくなる。

 カバーからのズーム状態において視点を左右に動かして行くと、体の角度が一定ラインを超えたら勝手にカバー状態から外れてしまう事があるのもやり難い。それとカバーから身を乗り出してズーム視点にした時の射線の通り方が変で、銃口の前がカバーで塞がれていても照準はそのままカバーを透過して遠くの敵に合うようになっており、撃って初めて目の前のカバーに弾が当たってそれでは当たらない事が判る。

 最後に根本的な難点として、ゲームの前半戦はそれ程難易度が高くないので、特にカバー動作を意識しなくても戦えてしまえるケースが多い。逆に後半の敵の攻撃が激しくなるシーンでは、かなり広範囲からの敵の集中攻撃となる為に、前に出てカバーに付いても横や後ろから攻撃されてしまうのでカバー動作があまり役に立たないという状況が増えている。つまりカバー動作自体はそれ程有効ではなく、敵から離れている場所で普通に撃ち合うか、危険ならば物陰に隠れては出るという程度でも充分に戦えてしまうので、重要性が薄れた要素となってしまっている。


COMBAT(続)
 戦闘全般の印象だが、単体の敵は簡単に倒せるのでCH10のTokyoのパート辺りまでは比較的スンナリ進むバランスである(難易度Normal)。倒れても味方による救出があるので、ゲームオーバーにまでなる可能性は低いと言える。しかしCH11以降は大幅に難易度が上がり、かなり難しいセクションも出て来るようになる。原因は敵が大量に増えて周囲や上階といった広い範囲から同時攻撃を受けるようになるのと、固定銃座からのマシンガン攻撃が出現するという点。特にマシンガンは同時に数カ所から撃たれたりもするし、銃座の敵を倒しても他の敵AIが空いた席にやって来てそれを使い出すので実に厄介。ただし限定された前方エリアからの攻撃だけではなく、横や後ろといった広範囲からの多数の敵との激しい戦いという点は、ゲームのプラス面としても受け止めている。

 それに関連してゲームのセーブ方式に問題あり。チェックポイントがエリア単位を原則としており、その為にそのエリア内での戦闘(イベント)が長く続く場合には、結構前の段階からやり直しになるというケースが出て来る。つまり難しくて時間が掛かる場所ほど、死ぬとかなり戻されてやり直しになるという困った設定になっている。例えば、敵兵士と戦闘→戦車を破壊→ヘリとの戦闘というパートの場合、普通ならばボス格のヘリとの戦闘の前にセーブが行われる所を、死ぬと最初から全部やり直しとなる。しかし兵士と戦車の破壊まではまず失敗する事の無い作業的な戦闘に過ぎないので、ヘリを倒せないと面白くもないパートを繰り返しプレイしないとならなくなる。また戻された際にムービーのシーンが繰り返し再生されるケースが多く、Enter押下でスキップも可能なシーンもあるが、飛ばせないムービーを何回も見せられる事もある。

 その他では自動車に搭乗しての戦闘パートが二箇所含まれており、これは地上戦に比較して結構難しい箇所になっている。置いてある車類はカバーにも使えるが、撃たれると燃えてから爆発するので注意が必要。一方で敵のマシンガンを装備した車両を撃って破壊し使用不可能にしてしまうという作戦が有効でもある。

 スナイパーカメラというのも独特な要素で、スナイパーライフルを持った敵から狙われている場合、その敵からの視点が画面上にスコープとして映し出される様になっている。通常は一発でダウンさせられるので、自分に照準が合っている状態ならば逃げないとならない。走ってさえいれば当たらないので、走りながら敵の居場所を探して反撃するか、可能ならば無視して逃げてしまう。敵の視界から外れるとカメラが消えるので、それを頼りに敵の居場所を探る事も出来る。


 続いて部隊での戦闘についても大きな欠陥有り。味方の特徴としては、射撃精度は低いので一定距離以上離れている敵には長時間掛かっても当てられない。しかし耐久力の方はプレイヤーよりも高いので、接近しての撃ち合いには強いという設定になっている。よってフォローさせるよりも前線に移動命令を出して戦わせた方が有効であり、プレイヤーは味方の後方の安全な位置から攻撃しているのが利口である。或いは側面や後方の敵を相手にさせておくというやり方も役に立つ。ゲームの前半についてはこうしていれば部隊での戦闘は機能するので、仲間はありがたい存在と言える。

 ところが後半になるとそれが一転する。先に述べたように敵の数が倍以上というエリアが増えて、更に固定銃座からのマシンガン攻撃が複数の方向から雨あられと降り注ぐというシチュエーションも出て来る。しかし味方AIはディフェンスに関しては無頓着なので、前線に位置させると集中砲火でダウンするケースが頻発する様になる。(それを恐れて前に出さないと、射撃は下手なので敵を倒せなくなり意味が無い)。しかも倒れた味方はプレイヤーしかアドレナリン注射で起こす事が出来ないので、自らが危険を冒して倒れている味方の位置まで行かないとならないが、敵の攻撃が集中している位置だと注射の間に自分も撃たれて倒れてしまう可能性が高い。かといって周囲の敵を安全になるまで倒していたのでは、今度は時間切れでゲームオーバーになる危険が生じてしまう。

 結果的に味方の援護を必要とする激戦地ほど、味方を使って戦う事が出来ないという意味の無い状況を生んでしまっている。味方が倒れるかどうかは運任せな所もあるので絶対ではないが、敵の攻撃が激しい難所をクリアするには味方の部隊は一切連れて行かない方が成功率は高い。自分がダウンした時の為にある程度近くの後方に移動命令を出して待機させておき、戦闘エリア内の敵は自分一人だけで慎重に倒していく。ある程度削って脅威が低下した時点で、初めて味方部隊を連れて前に出るというやり方。
 こういったバランスはプレイテストの時点で分かる事だと思うし、「倒れた味方は治療まで起き上がれないが、死んでゲームオーバーにはならない」とでもしておけばまだ良かったように思う。また(少なくともNormal以上では)AIの味方同士ではアドレナリンで助け合えないという設定もどうかと感じる。


 部隊での戦闘を合わせた全体的な感想として、繰り返し長いエリアをプレイさせられるチェックポイント位置の問題。味方が死んでしまう事によるやり直しの発生。カバーに上手く貼り付けずにオブジェクトの後ろで右往左往、といった点をまとめると、非常にフラストレーションが溜まるゲームという印象


 ゲーム内でのちぐはぐな要素としては物理エンジンも挙げられる。「ゲーム内での物理エンジンによるオブジェクトの動きのリアルさは、その世界にリアリティを感じさせる上で非常に重要な要素である」としており、Havokを使用してその計算には力が入れられている。ところがその演算がグレネードの投擲において逆効果に働いている。通常のグレネードはともかくとして、その他の筒状のグレネードは物理エンジンの適用により大きく跳ねるし転がりもするので、狙った地点に的確に落とすのが難しい。弱く近くに転がして投げる時はまだ良いとして、パワーを溜めて投げるとまともにコントロールが出来ないレベルである。
 マニュアルには「敵の攻撃が激しい地点を突破するにはスモークグレネードが有効である」と書いてあり、確かにスモークの中に入ると敵から見えなくなるので、倒れている味方の近くに転がしてからアドレナリン注射に行くといった使い方は有効である。しかし実際にはスモークの範囲が狭い上に、落としたい場所に的確に放るのが非常に難しいので、実質自分の近くに転がす以外には使えないという状況でしかない。ついでに言えば、催涙や火炎のグレネードは効果範囲も威力自体も低く、敵の近くに投げるのも難しいから特に使おうという気にならない。普通のグレネードが結構手に入るので、それしか使わないで済むという印象である。


 敵のAIは移動しながらカバーを使ってきたりと普通のレベルだが、周囲で戦闘が起きているのに棒立ちだったり、一人だけ別の方向を向いていたりとおかしな点も結構目立つ。また場合によってはこちらと向き合っているのにリアクションが遅いという事もある。種類についてはあまり多くなく、同じロケーションでは似たような敵が繰り返し出て来るのみ。モデル別のAIの違いも特には無い模様。大量に出て来られると脅威にもなるが、単体では手応えが無く頭が良いという印象はない。

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