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シ ス テ ム

キャンペーン
 難易度はAspirin/ Codeine / Morphineの三種類(順にEasy,Normal, Hard)。敵の出現数や敵からの攻撃の命中率、倒れるまでに耐えられるダメージ量等が変化する。チャプター途中での難易度変更は不可能だが、アンロックされたチャプターは難易度を変えてのリプレイが可能。


セーブ&ロード
 チェックポイントセーブ方式で、任意の場所でのセーブは出来ない。進行のシステムは極めて原始的であり、通常の“Continue”に当たる機能を持っていない。キャンペーンを選択すると常に最初のチャプターが表示され、毎回そこからカーソルキーで目的のチャプターまで辿ってスタートさせないとならない。(最後にプレイしたチャプターを記憶する機能が無い)。

 チェックポイントはメモリーセーブ方式であり、チャプター内部のチェックポイントは物理的には記憶されないので注意。ゲームをチャプターの途中で終了したり、途中でエラーで落ちたら最初からやり直しになる。


OBJECTIVES
 目標の達成状況はテキストにて参照可能。方向はミニマップで確認する方式。

EXTRAS
 PC版も実績に対応。ただ実績の説明は曖昧で分かり難い物が多い。アイテム回収の要素は無い。

英語
 字幕機能在り。会話量は想像していたよりも少なかったが、ストーリーを追うにはある程度分かった方が良いのは言うまでもない。それとクリアの為のヒントやガイドが仲間から発言されるケースもある。

部 隊 操 作
 部隊操作をメインにしていたFreedom Fightersの特徴を継承しており、その独特な操作方法は似通った物になっている。なお当初はケインとリンチを含めた他の仲間との間には信頼度のパラメータが存在しており、それが高くないと指示に従ってくれないし、また臨時でメンバーを雇うのにもその信頼度が高い程多くの人数を連れて行けるという話だったのだが、そういった要素は結局カットされている。今回は仲間の数は常に固定で、スカウトして増やしたりという要素は持っていない。(特定の箇所では臨時で味方が増える事はある)。


 仲間への指示はまずTABキーでメンバーを指定。その後1〜3キーにてFollow, Attack, Moveの三種類の指令を出す事が可能。この時に数字キーを押し続ける事で全員への共通指示が行える。各人の状況は画面右上にアイコンとして表示される。Attackとは指し示した敵を狙わせる指令で、Moveは指した地点に移動して周辺をカバーしろの意味。

 次に仲間とは武器の交換機能を持っている。味方に近寄ってインベントリーキーを押すと二重円が表示され、内側の自分の所持アイテムと、外側の仲間のアイテムが交換可能になる。選択は前後左右の移動キーで行う。これには仲間の武器をその場に適した物に換えてやるという意味と、自分の武器を仲間が持っている物に換えたい時の利用の他に、自分の武器を一時預けて保持したい時にも使える。例えばスナイパーライフルを持っている状態にて、ここから先は他の武器を使いたいのだが、先行きまたスナイパーライフルが必要になるかも知れないので捨てたくないという際に、仲間にスナイパーライフルを持たせておいて運ばせるという風に出来る。

 弾薬の補充も足りなくなると自動的に「弾をくれ」とケインが叫ぶので、その後味方に近寄れば一定数を受け取れる。弾薬マークが出るが、別に出ていないメンバーでも補給は可能なようだ。


 ダメージからの回復システムも部隊行動と関連しているのでここで説明する。ケインはダメージが一定量を超えてもすぐには死なず、その場に倒れて動けない状態となる。ここで仲間が一定時間内に助けに来てアドレナリンを打ってくれれば復活する事が出来る。仲間の助けは自動的に行われ、基本的にケインの救出を優先して実行してくれる。起き上がるまでの時間に当たり判定はないが、起き上がってから数秒間は動きが鈍くなるというペナルティはあり。

 ただし復活には制限が設けられており、短時間に繰り返してアドレナリンを注射されるとOverdoseによって死んでしまう。この適用間隔は難易度が高くなる程厳しくなる。今が危ない状態なのかといったガイド(メーター)が画面上に一切出ないので良く分からないのだが、難易度Normalでも間隔が短時間だと2回目で死んでしまう事はある。一方で時間を置くなら4回程度倒れても大丈夫な時もあったが、限界回数があるのかは不明。


 仲間についても同じ扱いで、ダメージが基準を超えると倒れてしまい、それをプレイヤーが近寄ってアドレナリンを打つ事で復活させられる。アドレナリンの数に制限があるのかはこちらも不明。倒れると右上のステータスに赤いマークが付いて、画面上にもアイコンが出るし、ミニマップがカメラに切り替わって倒れた仲間を映し出す様になっている。もし救出が間に合わなかった場合、つまり仲間が誰か一人でも死ねばゲームオーバーとなる

 仲間をダウン状態から助けられるのはケインだけであり、自分自身が治療をしてもらうのにも仲間が近くにいないとならない。よってこのゲームでは、プレイヤーだけが離れて単独行動を行うのはゲームオーバーの危険性を高めるという事になっている。(注:一度だけ難易度Easyでのテスト中に仲間同士でアドレナリンを打つシーンが有ったが、それが難易度による変化なのかは未検証。少なくともNormalでのプレイでは、倒れた仲間の近くに移動命令を出しても注射はしてくれないので、原則としてプレイヤーが助けるしかないと考えておいた方が良い)。

GAMEPLAY
 全16チャプターから構成されているが、CH15での選択によってストーリーが分岐するようになっており、CH16に進むのかどうかはその選択によって決まる。短いチャプターも結構在るので実際の分量という観点からすると短めという印象で、仮にEasyならば6-7時間程度だと思われる。ただNormal以上だと幾つかの難所が繰り返しになる可能性が高く、その分を含めるとクリアまでは8-10時間程度のゲームと言えるだろう。


 発売前から「映画的な演出。ゲームっぽくない印象を与える作品としてデザインしている」という点が強調されており、ストーリー進行を最重要視したゲームとなっている。その肝心のストーリーでは、ケインとリンチが約束のブリーフケースを手に入れるという初期設定は1/3程度の段階で早々に済んでしまい、ネタバレの為に秘すがそこから先はかなり異なった展開になるという構成である。意外性という程ではないが予想していたのとは違っていたので、ストーリー展開で惹きつけるという面では水準レベルを保っているという評価となる。
 映画化を念頭に置いていただけあってケインとリンチの二人のキャラクタの造形は良く出来ており、声優のイメージも合っていて質が高い。またテーマである残虐なクライムストーリーという雰囲気面でも良い出来である。ちなみにコンソールでの日本語版も動画で見てみたが、リンチの声優のイメージがちょっとオリジナルとは異なるものの、これはこれで良いと思えるようなレベルだったので、日本語吹き替えのレベルを心配される方でも問題無いと思う。

 しかし映画的演出を重視する割にはカットシーンが少ない。別に多い方が良いという訳ではないが、各チャプターの最初の展開説明は黒画面に単なる会話のみで進行するというのはどうだろうという気はした。それと続編を想定しているからなのだろうが、幾つかのストーリー上で重要な点が説明されず終いである。エンディングについてはある意味どちらもかなりのバッドエンドであり、賛否両論の様だが作品のテーマとしてはこういう終わり方も合っていると感じられた。


 同じくゲーム的な印象を与えないようにするという狙いから、画面上のHUD表示は出来る限りカットするという姿勢を打ち出している。ゲームの中にプレイヤーが没入するには、ゲーム的なHUDの表示は邪魔になるからという意味合いである。そして宣言していた通りに一時的に表示された後は消えてしまうHUD要素が多い。しかしこれが上手く行っているとは思えず、個人的には没入感を高めるのにHUDレスにする事はそこまで重要ではないという意見なので、プレイヤーにHUDの表示をどうするかを設定可能にして欲しかったと感じる。(或いは難易度により異なる方式)。
 例えば進む方向を知りたいのにミニマップがすぐ消えてしまうので、結局は繰り返しマップキーを押さないとならない。銃の残弾数を確認するにも切り替えキーを押したりしないと不可。味方が死んだらゲームオーバーなのに、それまでの制限時間が表示されない等、むしろHUDが出ない事に不便さを感じるシーンの方が多かった。ハッキリ言ってプレイヤーをゲームに没入させたいのならば、肝心のゲーム内容を面白くする方にもっと注力すべきだろう。


 マップのデザインについてはいろいろと問題も感じられた。まずやるべき事が分かり難い箇所が幾つか出て来る。答えを知ってしまえば簡単なのだが、制作側が意図した方法でないとクリアが許されておらず、その方法が詳細には指示されないので気が付かないとハマるという状況に陥る。次にロープを使っての壁面降下シーンが随所に出て来るが、実際には指示(流れ)に従ってそこで降りてしまうと不利となるケースの方が多い。進行上必須のシーンを除けば上に留まっていた方が有利の意味で、この辺はプレイヤー側で選択が可能という点をより具体的に知らせるデザインにした方が良かった。

 そして設定が歪というのか、質の悪いスクリプトが設けられている箇所もある。実例の一つとして気が付いた敵が信号弾を上げないようにステルスが要求されるというシーンが在るのだが、実際には信号弾を上げられるAIは十数人の内の一人だけが固定であり、そのAIを最初に倒せば後はドンパチに持ち込んで問題無いという設定でしかない。その他では特に面白くもない、スクリプトで登場する敵の位置を記憶していないと厳しいという憶えゲーのマップも出て来る。
 またナイトクラブのチャプターのように、異常にNPCが多くてプレイし難いというのも問題。テクノロジー的に大量のNPCを表示可能という点のアピールは良いとして、あまりにも人が多すぎて前に進む事すら困難となり見た目に滑稽でさえある。それとこのナイトクラブのように意図的に暗くしてあるのなら良いのだが、必要性が感じられないのに暗いと感じる箇所が結構出て来る。敵のAIは影響されずに攻撃してくるのでフラストレーションが溜まるだけで、暗くする事に意味があったのか疑問を感じさせられる。(制作側の意図した明るさにする調整機能は持っていないが、メニューに戻った時に明る過ぎるのは変という観点で調整した明るさにおいての話)。

 進行は基本的に一本道で、これは映画的なゲームというデザインからも予想出来た。部隊制なのでエリア単位ではどうやって敵を攻めるかという自由度は残っているが、別のルートを進んだりといった事はほぼ出来ない。それ自体はデザインの一つなので良いとしても、特に面白いチャプターとか目立つパートが無いというのは痛い点。やはり山場が幾つか必要だと思うのだがそれに当たるチャプターが存在せず、敵と銃撃戦を繰り返しているだけという印象が強くてやや単調な感は否めない


 他に気になった点としては、ゲームは部隊操作をメインに据えているのに、それに関するガイドが徹底していないというのもあった。簡単なチュートリアルは用意されているし、マニュアルでは数ページに渡ってゲームの狙いを解説しているが、もっとヒントとしてプレイ中にガイドを示さないとプレイヤーが機能に気が付かない可能性があるし、マニュアルはちゃんと読んで貰えるとは限らない。リンチはショットガンでスタートするので、それをアサルトライフル等に換えてやる程度は誰でも気が付くと思うが、それ以上の部隊操作は戦闘に大きく影響もするので、知っているのと知らないのとでは差が出てしまう。

 実例として掲示板にて「その武器は何所で手に入るのか?」という疑問が見られたが、実は味方AIしか持っていないか、そのマップ内には置かれていないがAIと交換すれば入手可能であるという物が含まれており、それに気が付かなければ手に入らなくなっている。スナイパーライフル, グレネードランチャー, マグナム, Incendiary(燃焼) grenade等。無くなった各種グレネードを補給するのも、味方から行える点を気が付かないのも同様。
 よってミッション開始時に味方の装備チェックを行わないといろいろな点で不味い事になる。例えば某チャプターでは味方がスナイパーライフルを持っており、最初にそれに気が付いて持ち替えるのと気が付かないのでは、難易度に大きな差が出てしまう。更に特殊武器を持ったままの味方AIはそれを使いこなせないので、代わりにずっとハンドガン使用となり戦闘力が落ちる。それとそもそも多彩な武器を使えるのがシューティング系ゲームの面白さなのに、それを限定された状態でしか使わずにクリアしたのでは面白さが下がるという根本的なマイナスも生じてしまう。


 トラブルのページでも書いたように進行が不可能になるのを含めてバグが多い。オブジェクトにスタックして動けなくなるというのもその一つで、私も実際に遭遇した。これらのバグは一度ゲームを終わらせるしかないケースが多く、セーブされないのでまたそのチャプターの最初からやり直しというのが問題を悪化させている。他には壁の向こう側に敵が居る場合、壁を透過して敵の銃がこちら側に出てしまい、それが当たってしまうというバグも体験した。パッチすら出ていない点を含めて減点要素と言わざるを得ない。

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