GAMEPLAY |
次々に指示されるObjecitiveをクリアしながら進んで行く形式となり、一部パスしてしまったり指令とは別のやり方で進めてしまえるケースも有るが、基本的に行動は一本道となっている。全13ミッションでプレイは10時間前後と思われそれ程ボリュームは無い。しかしマップのバリエーションは多彩で変化に富んでいる点は評価出来る。難易度的にはSaveは出来ないがCheckpointはそこそこ有るし、Normalにおいてはそれ程難しくは無く、繰り返し同じ箇所をプレイしないとならないというケースは少ないだろう。 移動速度が遅いのと敵の攻撃が基本的に銃器なので弾を見て避けるという要素は薄く、またダメージの回復の為には一時隠れて待たないとならないので、常に動きを止めないで動き回るという程のスピード感の有るゲームでは無いが、危なくなったら咄嗟にローリングで障害物の陰へと飛び込んだり、Grenadeが投げ込まれたら素早く逃げないとならないと反射神経も要求される。 一部にAuto targetingを採用してはいるが実際には敵になるべく照準を近付けないと命中率が悪くなるし、ヘッドショットやタンクショット(通常の人間は全てエアタンクを使って呼吸をしているので、そのチューブを破壊してしまえば殺す事が出来る)も狙えないので、決して敵に照準を合わせる面白さがカットされているゲームではない。敵への弾の命中も血が描画されるようになっているのと、ロックされた四方の枠も赤く光るので分かり易い仕様。武器の種類は少ないが派手な物が多く、ラグドール効果で敵も吹き飛ぶので爽快感はちゃんと持ち合わせている。 ステルスの要素も持っており、敵の背後からこっそりと近付いてアイコンが出たらStealth Killが実行される(ムービー視点となる)。このメリットとしては周囲の敵に気が付かれないのは勿論、死体から奪えるSalvageの量が増えるという特典もある。他にはサイレンサーを装着しての攻撃というのもあり。ただしステルスのシステムはゲーム的であって、敵は基本的にしゃがんでしまえば気が付かない等凝った作りにはなっていない。 一番の面白い要素は多彩なアプローチが可能で自由度が高いという点になる。全てでは無いが特にアウトドアに於いてはマップが広くなっており、幾つかのルートが用意されている事が多いので、それを利用しての幅広い作戦を考案する事が出来る。 *素直に正面から攻撃を仕掛ける *別ルートを使って裏や上方に回りこみ奇襲する *Sniper Modeにサイレンサーを組み合わせて先に敵を出来るだけ排除 *ステルスで出来るだけ先に敵を倒しておく *ステルスで移動して設置型マシンガンの場所を奪い取ってから一気に攻撃 *出来るだけ敵を相手にせずに迂回してしまう *Micro Minesをばら撒いておいてから姿を見せ、その地点に敵を誘き寄せて吹き飛ばす 上記の様な基本的な戦法の他に、Biochipsの能力を組み合わせてよりバリエーションを付けた戦い方が可能となる。 *Sentry Gunを設置して多くの敵相手に2人で対抗する *Sentry Gunを設置後に側面や背面に回り込んでから攻撃を開始させ、別方向からの攻撃で敵の隠れられる場所を無くしてしまう *ハッキング等のイベント後に敵が登場すると思われる方向に向けて先に置いておく *Micro Minesを仕掛けた後にHoloDecoyで敵を攻撃してやり誘き寄せて爆破 *HoloDecoyで自分とは反対方向に敵の注意を引き付けてやり、背後から敵を攻撃する形に持って行く *HoloDecoyで自分の行きたい方向とは逆に相手の目を向けさせて、その間にステルスで目的地点へと移動し易くする この様な自由度があるので自分の好みに合った形でプレイが可能である。そういった意味ではどうやって攻めるかというタクティカルな側面を強く持っているゲームであり、特に敵を欺くトラップタイプの攻撃に面白さを感じる。中でもMicro Minesは数が無制限なので気軽に使えて、数多くの敵を誘い出して一気に吹き飛ばすのは爽快感が高い。 敵の動きはゲーム性を考慮しての事だと思われるが、障害物を使って隠れるというパターンが多く、あまりこちらに積極的に突っ込んでは来ない。カバーから時々顔を出しながら攻撃したり、Grenadeを投げ込んで来るのを多用してくる傾向にある。一気に突っ込んで来るのはスクリプトと思われる箇所が大半。動き回れる範囲は結構広いが考えて移動しているというようには見えず、特別頭が良いというAIでは無い。しかし空いているマシンガンに走って行って使ったり、高いダメージを受けると逃げて行くといった行動は可能であり問題を感じるほどのレベルでも無い。 問題点としてはGrenadeを投げるのに失敗して自爆、移動の際に妙に遠回りのルートを取る事がある、音には鈍感、カバーに入るのだが向いている方向が変になる事がある、障害物を透過して壁が有るのに撃って来る等。他にはシステム的に仕方の無い点とは思うが、Mineには無警戒であり、死体には気が付かないようになっている。 敵の種類はあまり多くなく、人間型の敵は耐久力に差が有る程度で行動パターンに変化は感じられない。バズーカ砲を持っている兵士やSniperはその場を動かないので、場所さえ分かればそれ程怖くは無い存在である。ユニークなのはEMP Soldierで、この兵士は広範囲に渡って妨害電波を発し、その間Biochipsが機能を停止してしまう。そうなるとBiochips関連の能力(回復や弾の製造も含めて)は全て使えなくなるしHUDすら消えてしまうので、いち早く居場所を見付けて排除しないとならない(Biochips達もRogueに向って、まずあいつを何とかしろと文句をがなり立てる)。 ロボット系は数が少ないが非常にタフであり、Scramble Grenadeで動きを止めるといった戦い方をしないと対抗するのは難しい。MortarやSammy Lunacherが手に入ればこれを使うという手も有る。他には範囲内に近付くと寄って来て爆発する浮遊地雷は非常に高いダメージを持っており脅威となる。 歩兵戦以外では敵のヘリや戦車といった兵器と戦うというシーンは結構出て来るが、その都度対空砲やバズーカが用意されておりイベント的な意味合いが強く感じられて面白味には欠ける。また難しくも無いので緊張感が感じられない。 自分で乗り物を操作するという箇所は無いが、乗った状態で敵と戦うというミッションが2つ用意されている。中では列車に乗って戦う方は動き回って操作する武器を変えるので、相当に忙しくてなかなか面白い出来。 物理エンジンとしてはラグドールのみが使用されているようでオブジェクト系は動かない。あまり精度は高くなく重なりが結構見られるし、変な格好になってしまう死体もよく発生する。ただ加わっている事で戦闘時の爽快感の増加には寄与している。 |
問 題 点 |
別に自由度が高いゲームは優れているという訳ではなく、ほとんど無いゲームにも面白い物は沢山存在している。また自由度を売りにしたゲームにおいても、それが高いほど比例して面白くなるというものでも無い。逆に自由度の存在がマイナスに働くというケースもあり、それがこのゲームにも適用される。 メジャーなゲームで言うならHitmanシリーズ(特に三作目以降)と同じ類の問題を感じさせる。Hitmanはステルスをベースにして多彩な殺害方法を選択出来るという高い自由度を持つが、それに加えてステルスを使わずに戦闘してクリアという方法を選ぶ事も出来るという更に自由度を高める方向に向っており、実際にNormalであれば戦闘による突破も可能というバランスである。これは開発側にとっては「ステルスに興味が有る層以外にも売れるようにする」という観点からは意味の有るデザインだが、純粋にゲームとしてみた場合にそれは”必要とされる自由度”なのかには疑問が感じられる。むしろステルスで行くしか無いというゲームにした方が良いという声の方がシリーズのファンからは多いだろう。また純粋に戦闘してクリアするスタイルのアクションゲームとして見た際に、その観点から見ても出来が良いのかと言うとそうでもないとなっている。 RTの持つ問題もこれと同様である。つまり非常に多彩なオプションが用意されているタクティカルなゲームなのだが、実際にはその様な作戦を取らないでもクリアが可能というゲームバランスになってしまっているのだ。具体的に言うとNormalの難易度なら、特に策を考えずに大半の箇所はストレートに戦ってクリアが可能であり、Biochipsの持つSentry GunやHoloDecoyの能力は最後まで一度も使わずに進める事も出来るだろう。確かにダメージを受けると隠れて回復を待たないとならないので、敵の居る場所へひたすら突進して行ってという方法には無理が有るが、それでも隠れて回復させながらというシンプルな方法で進めて行けるようになっている。 原因としてはまず製造コストに比較してSalvageの量が多く、敵の死体からの回収を怠らなければそれ程苦労するバランスではない(Extrasを全てアンロックするにはくまなくスクラップを探し回らないとならないが)。Upgradeでどれを選ぶかに頭を悩ます必要もなく、全てそのまま選んでしまえる程度にポイントは集まってしまう。次に何故かMedipakの製造コストが非常に安くなっており、同時所持量は3個と少ないが作るのには苦労しない為に、頻繁に回復しながら戦うという正面突破がやり易くなっている。 どういう狙いでこういうバランスにしたのかは分からないが、上記のHitman同様にストレートなアクションとしても楽しんでもらえるようにしたいという思いが有ったのかも知れない。しかしそれによって折角用意した多彩な機能を使う必要が無いという事にもなっており、自由度を高めた事が或る意味ではマイナスに働いてしまっている。Medipakのコストをもっと高価にして、正面切っての戦闘は避けてダメージを減らすような作戦を考えざるを得ないという自由度を制限するゲームバランスにした方が、ゲームとしての完成度は上がったはずである(売れるかどうかはともかく)。 もしもシンプルなアクション・ゲームとしても良く出来ているのならば問題は無い。しかし別に詰まらないという事では無いのだが、特別に面白いかというとそこまでは行っていない。またストレートに進めるとゲームのクリア時間がより短くなってしまい、6,7時間程度でクリアという人も少なくないようだ。そういったプレイヤーから「短過ぎるのが欠点」という批判を受けて点数を下げているケースが多いというのは事実である。 敵が戦闘において無闇に突っ込んで来ないでカバーを多用するのは良いのだが、ちょっと引き過ぎの感があって、こっちに突っ込んでは来ないという安心感が出てしまうケースが多い。なので隠れた状態でGrenadeにだけ警戒してじっくりと対策を練れるという事になり緊張感が薄れる傾向にある。それと併せてSniper Rifleが非常に強力となっており、隠れている敵も頭は出して来るのでそこを狙って次々と倒す事が可能。遠くから敵をまず排除してしまうのにも使えるし、安定装置を作動させれば揺れが無くなり、サイレンサーをつければ警戒もされないとバランスとして強過ぎる感がある。弾薬は高いがSalvageが多いので気にするほどでも無くなっている。 移動スタイルも高速で走ったりローリングしたりはして来ないとアクション性が高い訳ではなく、じっくりとこちらの動きを見ながら動いて来るというケースが多い。それ故にあまり基本動作にスピード感が無いので、こちら側が突っ込んで行って攻撃する際にも狙いが付け易いとなってしまい、それが戦闘を簡単な方向に向けてしまっている感はある。 Grenadeは専用モードに入れば正確に投げられるのは良いのだが、数秒押してモードに入りその後狙いを動かしてから投げるというように時間が掛かるので、戦闘の真っ最中には使い難い(通常の投げ方ではほとんど飛ばない)。壁に背中から張り付いていても同様に投げられない。更に障害物の前では角度的に専用モードでは投げられないし、少し離れて軌跡が表示されるようになっても近くだと狙い通りに飛ばずに目の前の壁に当たったりが発生する事もある。それと壁へのHugは結構多くの場所で可能にはなっているが、左右に移動中に外れて出てしまったりもしてしまう。 ゲームのプレイ前にコンソールでのレビューを見ていて気になっていたのが、操作性が複雑でやりにくいという意見が相当多かった点になる。PCではホイール及び武器チェンジを1−0のキーで直接行えるので問題は軽減されてはいるが、それでもちょっと面倒な点は残っている。武器の切り替えは武器チェンジキーを押して該当の物を選択し、その後Useキーで確定という手順を踏まないとならない。PCではホイールか該当キーで指定は可能だが、Useキーで確定しないとならないという点は変わりない。Grenadeの選択にもUseキーでの確定が必要である。 弾薬等の生成にも一々Digipadメニューを呼び出さないとならないし(ショートカットキーが無い)、GrenadeやMicro Minesの投げ方も含めて操作性はもっと洗練された物に出来たはずである。 I/F系の問題として、Checkpoint表示が普通のメッセージと同じで明確ではなく、何時セーブされたのかが分からない事も多い。画面中央に明確に表示するとかが理想。Biochipsの台詞の色が紫となっており、背景と重なって見え難い箇所が多い。周囲のオブジェクトに対して行動の選択肢の出る場所があるが(よじ登るとか)、その位置が結構シビアで微妙に調整してやらないと合わなかったりする。 |