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COMBAT
 三人称視点での操作となるが、動きに応じてのカメラの移動や、壁を背にした際の表示方法等についてはよく考えられており、ストレスもほとんどなく操作し易いゲームである。打撃系のゲームなので三人称を選択したという事だが、上手くそれを実現していると言えよう。

 武器を振り回す軌道はその武器によって決まり、照準を向けている位置は関係が無い。ただし斬り付けるやり方は前後左右に動きながら攻撃した際には変化する物もあるし、前に走りながらの攻撃でもまた変わってくる。更にジャンプしながらだと回転しながらのパワーアタックを繰り出せて、これは隙が多くなるが大きなダメージを与えられる。

 コンボ攻撃は攻撃モーション中に更に攻撃ボタンを連打する事で繰り出せて、これもまた武器を振る軌道が変わったりする。振る軌道が重要なのは、敵によって背が高かったり低かったりで効果的な攻撃方法が異なる為で、例えば背の低い敵に対しては振り下ろす攻撃を出せる武器を使わないと効果が低い。他にはゾンビ兵士だと首を刎ねない限りは死なず、その首の位置を通る軌道の武器や攻撃方法を使わないと倒せないといった条件も生じたりする(或いは高低差を利用して上手く当てるかになる)。

 武器自体も後半出てくる物ほど有効とは限らず、ダメージが大きい物は攻撃モーションが遅いとか連打出来ないといった欠点を持つので、敵のタイプや自分の残りヘルス値に応じた武器選択をしないとならない。また剣は一番使い易いタイプの武器だが、一方で打撃系のハンマーやクラブは敵を引っ繰り返したりが出来たりと異なる利点を持ち、この辺の武器の使い分けに頭を使わないとならないのはこのゲームの面白い点の一つである


 戦闘方法に関してはシングルプレイとマルチプレイを分けて考える必要がある。対人戦のマルチプレイにおいては、方向キー及びジャンプとの組み合わせによる各種攻撃方法や、攻撃ボタンの連打によるコンボ動作。更にはお互いの間合いの取り方やシールドの利用、手の内の読み合い等の戦術的要素を含み、そういった点が長きに渡って人気を得ている理由になる。

 しかしシングルプレイではモンスター系の敵も多く、人間タイプの剣士にしても高度なAIを持っている訳では無い。また戦闘自体が一対多のケースが多いので、マルチプレイでの1on1とは根本的に話が変わってくる。私は難易度Mediumでプレイしたが、高速アクション&ボタン連打系のゲームという印象であり、相手の動きを見てその隙を突いたり、間合いを上手く使って戦うといった剣術的な要素は薄い。コンボ動作についても複雑で高度な修練は要求されないゲームである。

 ボス系の敵はともかくとして、通常の戦闘においては敵に先に攻撃させてやりそれで出来た隙を見て攻撃を仕掛けるのではなく、自分から敵に向かって行って攻撃を行うというのが基本。左右に素早くステップして斬り付けたり、リーチの長い武器で下がりながら攻撃をしたりと自分側主導での戦闘が多くなる。敵によって武器を振る方向のパターンやリーチは段々と分かってくるので、そのモーションに入った瞬間に反射的にそれを避けられる方向に動いて攻撃といった手段を多用する事になる。デフォルトではオフだが、ドッジでの飛び退き回避も良く使う動きとなる。敵の攻撃速度自体は速いので瞬間的なリアクションが要求される為に最初の内は難しいが、慣れてくると高速反射型アクションゲームという風になって来て、Serious SamとかああいったタイプのゲームのTPS版といった感じである。


 回復アイテムも少なくはないのであまり被ダメージに神経質になる必要は無く、棒立ちは危険だとしてもある程度のダメージは気にしなくても良いバランスである。シールドもシングルプレイでは大して意味が無く、ヘルスが少なくて危険な時に使う程度で、それ以外はダメージ覚悟の斬り合いに持ち込んでも通用するケースが多い。

 ゲームのシステム的にも強引な連打攻撃を推奨しており、敵が多い場合には慎重に戦うよりもBerserk modeを狙っていった方が有効である。Bloodlustのゲージは時間と共に減ってしまうので、ダメージを受けてでも積極的に斬り付けて上昇させ、ヘルスが0になる前に発動させられればそれでOKとなる。敵の出方を見たりシールドで守ったりして時間を掛けていてはゲージが貯まらない。それにパワーアップアイテムのルーンパワーも中には強力な物が含まれているので、マップ探索を重視してストーンを確実に集め、ボス系や数多くの敵相手にはそれを使って強引に行った方が遥かに効果的であるという設定が成されている。


 よって剣や斧等の打撃武器ならではの戦闘の面白さや、高度なAIとの駆け引きを期待されている人には、(シングルプレイは)楽しめないゲームになるかも知れない。私自身は高速なアクションゲームとして面白いと感じたが、剣術よりもむしろ反射神経型のゲームと呼ぶ方が合っているように思えるし、ある意味大雑把な高速ボタン連打でも勝てるゲーム性でもある。また剣の腕よりもブラッドラストやルーンパワーの方がより強力なのでそれに頼りがちという設定でもあり、その意味でも「剣の腕を磨いて勝つ」という感はあまり受け無かった。逆に見れば近接打撃戦が好みではないという人でも、高速なアクションを要求されるゲームが好きならば楽しめるだろう。


 続いては問題点の方について。個人的にはシンプルなアクション物として面白いと感じたのは確かだが、やはりシンプルさから生じる単調さは否めない。前後左右へと頻繁に動きながら攻撃を仕掛けるというパターンを確立してしまうと、後はほぼそれ一辺倒になるので後半になるに連れて繰り返しの連続になってくる。後半になるほど敵が強くなって難易度が上がるのは確かだが、戦闘の感覚自体に大きな変化は無い。FPSではロケーションやシチュエーションを変えたりが可能だが、このゲームの様に近接戦のみだと結局場所が何所であろうが密接して戦う分には関係が薄くなるという話になってしまう。

 更なる原因は敵のAIで、単にこちらに向かって走ってきて攻撃を仕掛けてくるだけで攻撃パターンも単調。障害物に引っ掛かってしまったりとルート判断にも問題がある。少なくともこちらの動きに応じて反応を変えたりという面は見られないので、これも単調さを増加させる要因になっている。それを補う為に重要となるのは敵の種類の多さなのだが、こちらもゲームの長さの割にはバラエティに富んでいるとは言い難い。エピソードによって敵の種類が分けられている傾向にあるので、余計に同じタイプの敵との戦闘が繰り返される感を強く受けてしまう。

 他にはダメージ表示が無いので、どの武器のどの攻撃がどれだけのダメージを与えているのかが判り辛い。敵にHP表示のバーを出すのがマイナスになるゲーム性とは思えないし、打撃攻撃を主体としたこの様なゲームでは、銃で撃つ物とは違って与えたダメージが分かる方が面白くなったのではないかと思える。 


GRAPHICS
 Unreal Tournamentのエンジンを改造して使用している。UTはマルチプレイ用なので軽さを重視した設計となっており、あまり凝ったエフェクトを搭載していないのでその辺りを改善。影描画は単なるブロッブでは無くちゃんとその形状を計算するタイプにし、パーティクル・エフェクトも新たに搭載している。ライティングも綺麗な部類で、ロケーションによって様々なカラーの光が投射されているのが見られる。テクスチャもこの時代の物としては精度が高い部類。

 アニメーションは近接戦主体で特に重要となるので、スケルタルアニメーションへと全面的に変更。関節ベースで動かす方式で軽さと滑らかさを実現している。刀による切断の描写も採り入れており、首や四肢が飛ぶようになっている(設定でOFFにも出来る)。流血表現もあまり派手ではないが在り。その為に敵を斬っているという感覚は良く出ている。

 総合的にグラフィックスは同時代のゲームとしては上位に位置するクオリティを持っている。UTよりも重く当時としては最高設定で動かすにはそれなりの性能が必要だったが、既にその重さについては問題にならない位の時間が経過しているので問題はない。

 ワイドスクリーンには未対応。

SOUND
 サラウンドやEAX等の3Dサウンドに対応。しかしあまり明確に音の定位が感じ取れるゲームでは無い。

 BGMは少な目で荘厳な雰囲気の物が多い。だが特に印象に残る様な物は無かった。

 武器のエフェクト音等は悪くはないが地味で、もっと派手な感じにしても良かったのではないかという気がする。

MULTIPLAYER
 製品版のモードはDMとTDMのみ。マルチプレイを楽しむのならば拡張パックは必須の様だ。冒頭で書いたように10年経過した今でもまだプレイヤーは存在しているが、個人的には数回試した程度なので感想は保留。


 なお有志によるCo-op用のModが存在している。制作チームのサイトは閉鎖されてしまったようだが、プログラムの方はまだ各種大手ダウンロードサイトから落とせる。例えばFilePlanet。ただこの最終版へのパッチとなる1.21は見当たらなかった。それと現在では知り合い同士で集まらないとプレイは難しそうである。

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