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GAMEPLAY
 全11ミッションから構成されており、難易度Mediumにて8時間程度のボリューム。アイテム収集作業に力を入れればもっと長くなるし、直線的に進めるのならばもっと短くもなると、プレイスタイルによってその時間幅は大きい方のゲームだと思う。時間的には短い部類のゲームだが、その分メダル獲得を目指したりとリプレイ要素には力を入れている。だがリプレイしたくなるかどうかには疑問符も付く内容で、個人的にはリプレイ性は別に良いので、もっと多数のミッションを入れてあと数時間程度は長くするべきだったと感じる。この短さは欠点に入るだろう。

 プレイヤーのスキンはゲーム前に三種類から選択し、それによって通常時と特殊部隊昇格後の見た目が変化するようになっている。どれを選択しても能力面での変化は無い。主人公には名前が無いという匿名設定なので、ストーリーに引き込まれるかどうかという面では弱い。ストーリー自体も仲間が次々と死んでいくという構成で盛り上げを図っているのだが、それ以前に仲間に感情移入出来るだけのカットシーンによるイベントが無いし、各人の外見による個性化も大雑把なので成功していない。


 ミッションによってロケーション及び時間帯や天候状況は変わるが、1967年当時のベトナム戦争の範囲内という事であまり大きな変化は無いし、他の同タイプのゲームと比較してもやや変化に乏しいという感あり。ベトナム物と言えば背の高い茂った草による視界の妨げが付き物だが、その様な草木が多い箇所はあまりなくて、更に草木で敵の居場所が見えないという様な戦闘は数少ない。同様に敵が見えない位な夜間のミッションも一部だけであり、ライトで照らして進むタイプは用意されていない。また狭いトンネル内の探索ミッションも存在せず、在ってもトンネル内は比較的広くて明るく、またそれは短い区間続くだけである。その意味でベトナム戦争らしさが薄いという印象であり、好意的に見れば他とは異なるユニークなタイプとも取れるが、やはり失望感の方が大きい。
 インタビューではリサーチにより当時のベトナムのリアルなロケーションを表現すると話していたが、仮にこれが徹底して当時をリアルに再現した物であっても、加工されたり架空だがプレイしていて面白いマップの方がゲームとしては上である。実際にはそれ程当時の戦闘がジャングルばかりではなかったとしても、やはりジャングル戦がベトナム戦争物の大きな特徴であるのは確かなので、そういった路線への妥協も必要ではなかったかと考える。


 マップはアウトドア主体であり、8:2位でインドア戦は少ない。三人称視点の為に狭い通路等に入るとズームされて周囲が見辛くなったりもするので、これは賢明な判断だったと思われる。マップ内の進行ルートには右回りで行くか左から行くかとか、複数存在する目標をどういう順番でクリアするかといったある程度の自由度が設けられているが、逆に“AWOL”(無届け外出)の警告が出て進めないという制限もあり。ほとんどのマップは大して広くはないので、それ程自由度が高いという感じはしない。

 マップ内の移動には少々問題もあって、プレイヤーはジャンプする事が出来ないのだが、どの程度の傾斜ならば登れるのかが判断出来ない。登れるのかどうかは傾斜角度で決められているのではなく、そこを上れるように設定してあるのかで決まるので、見た目での判断は不可能で実際にトライしてみるしかない。よって登れると見て行ってみたら登れずに無駄足というケースがよく生じる。また明らかに登れそうな緩い斜面すら登れない事もあるので、目的の場所に戻るまでに大きく回り道を余儀なくされたりと不自然さも感じさせる。
 それと前進速度が制限されているのはともかくとして、横移動の方が早いというのは明らかに変である。斜め入力でも同様に速くなるので、正面を向かずにジグザグ移動する事で普通よりも速く移動可能になってしまう。何も無いエリアを速く移動出来るのは便利だが、それならば基本速度をもっと速くするべきだろう。


 ミッションの目標は対空砲を破壊, エリアを制圧, 一定時間敵の攻撃を耐えるといった一般的なタイプが多く、一部に時間制限の脱出シーンや人質を殺されない様にエスコートするという変化形が用意されている。ステルス系のミッションもあるのだが、それが必須とされる箇所は存在せず、普通の戦闘に持ち込んでも問題は無い。

 リアリティにこだわるという姿勢からだと想像するが、プレイヤーが単独で行動するという箇所は少なく、ほとんどのケースでは数人の味方が一緒に付いてくるという設定である。ただし指揮官が進む後を付いて行くというシーンは少なく、指揮官は“Follow me”とか叫んでいるが、実際にはプレイヤー自身が進む道を探さないとならない事が多い。
 問題としては味方はスクリプトによる死亡シーン以外は無敵の設定で、ダメージが溜まると倒れるがすぐに起き上がって戦闘を再開するので、見た目としても雰囲気としてもリアルでは無い。誘導して敵と戦わせて負担を減らせるので役には立つが、無敵にするにしろもう少し回復時間を遅くしたりした方が良かった。後は数回だが付いて来ないで止まってしまうケースに遭遇した。この場合には味方を撃って一度ダウンさせてみたり、それでも駄目なら一人で進めて次のポイントまで行くと元に戻ったりした。


 一部ではあるが、敵の仕掛けたブービートラップが用意されている。地面の紐に引っ掛かるとグレネードが爆発するという仕掛けで、その他の落とし穴やバネ仕掛けの竹細工は引っ掛かれば即死扱い。仕掛けにゆっくりと近付くとペンチのアイコンが出るので、ここでそれを解除するミニゲームを行える。タイマー制で時間切れになると爆発してダメージを受けてしまう設定。しかしやり方自体が分かり難いのが一つの問題点で、「スタートからゴールまで矢印を辿れ」という指示なのだが最初は意味が解らず、チェックポイントの直後に在る物で何回も繰り返してようやく理解出来た。表示される図の描き方が悪いのが原因で、私と同じ様に理解出来ない方は、「スタートの×印からゴールのチェックマークまでを一筆書きで全ての矢印を塗りつぶすゲーム」と考えると理解し易いだろう。
 そして難易度により制限時間が変わるのだが、Mediumでは短くて厳しいという設定が第二の難点となる。失敗すると最初からなので、序盤ならばともかく中盤を過ぎてから間違えるともう間に合わないというレベル。この問題の根本はキー入力の受付が繊細過ぎるという所で、連続して同じキーを押す箇所等では回数が多くカウントされて間違えに判定されてしまったりする。よって慎重にカーソルキーを押していかないとならず、スピードが上がらないので厳しいという結果になっている。


 独特な要素として導入したベースキャンプだが、これは上手く行っているとは言い難い。売り物で高価なのはポストカードと現地女性を買う際の代金になるが、ヌード写真は別に際どいとかそういう物では無いし、女性との行為についても同じ事でゲーム上の意味も持っていない。よってこれを無視してしまうと金を貯める意味が薄れるので、必死になってアイテム回収をしたりする必要性も無くなってくる。
 アイテム類ではRocket Pistolは強力で役には立つが、無ければないでも問題はないという程度。そしてこの銃は40Chitsで一度だけ買えば良く、弾薬は10と安価。スコープの揺れを止めるTamazepamはそれを使うミッションでは役に立つが、スタミナ回復のDexedrineは数も少ないしあまり有用ではない。またこの2種の薬は効果発動中の表示が出ないという不親切な仕様である。売買の要素をもっと拡大して、武器へのアタッチメントが増やせる等にしてやれば面白くなったと思うのだが、あまりにも単純過ぎるという感想である。

 関連してトロフィーの回収にも問題あり。バッジ, 本, 旗等の様々なタイプが用意されているが、割合として死体が落とす物が半分以上を占めている。しかし死体が死体同士や他のオブジェクトと重なってしまい、更には流血するので小さなアイテムだと落ちているのが見えない事が多い。よって死体には逐一近くまで行って動き回り、アイテムが拾える手のアイコンが出ないかを確認しないとならず面倒。


COMBAT

*三人称視点固定
*メイン武器一つ、ハンドガン一つを携帯可能
*ズームは肩越しの視点となる
*照準は走ると広がり、しゃがむと小さくなる
*連射によるリコイルは武器自体が動くのではなく、照準が広がって散らばり度合いを示す方式
*左右へのリーン動作と伏せが可能。どちらもそのままの状態から撃てる。
*スプリントがスタミナの分可能だが、止まっていないとメーターは回復しない


 回復方式は一言で言えばHaloと同じで、シールドの自動リチャージ+ヘルスはメディキットという組み合わせ。しかしシールドのリチャージの概念は現実世界の設定には持ち込めないので、表現方法が変えられている。画面左上にShock Defense Meterという物が表示されており、この三段階のゲージが攻撃によるショック(ダメージ)を受けると赤で徐々に埋まって行く。このメーターは一定時間経過すれば減少する。もしこのメーターがフルの状態で更にダメージを受けるとヘルスに対してダメージが入るようになり、その下のアイコンの緑色が薄くなって行き、更には黄色→オレンジ→赤という様に変化して行く。このヘルスへのダメージを回復するには、マップ内のメディキットを適用するしかない。

 ズームしても照準の大きさに変化は無く、敵を見易くはなるが命中精度は変化しないようである(スコープでは不明)。つまり座っていれば通常視点でも命中精度はズーム時と同じ。伏せれば更に精度が上がるという設定でも無いようだ。


 武器の種類は20種類以上で、それぞれに特性が異なっている。トレンドとしてはメイン武器を2個選択して携帯出来るゲームが多いが、2個持たせるとお互いの弱点をカバーする様な選択が可能になりプレイヤー側に隙が無くなってしまうので、どれを持っても弱点が生じる様に1個だけという仕様にしたそうだ。後は当然リアルさを考えると1つだけという観点から。この設定については確かに上手く働いていると感じられた。

 最も命中精度が高いのはM14やKar98のライフル系で、遠くの敵に対しても正確だし威力も高い。しかし一発撃つ毎に広がった照準が点に収縮するまで数秒間待たないとならないので連射が出来ない。スコープ付きだとこの待ち時間は無くなるが、スコープはやや揺れるという欠点を持つ。最強はスコープに揺れを止める錠剤の組み合わせ。アサルトライフルは連射性が高くなるが、ある程度以上離れるとなかなか当たらなくなるという欠点を持つ。またこのゲームでは数発でも連射するとすぐに照準が大きく広がってしまうので、連射性の高さはあまり有利とは言えない。特攻してくる数多くの敵を迎え撃つような近距離戦もあまり無いので、個人的にはアサルトライフルはそれ程使わなかった。サブマシンガンは連射能力は更に上がるがより近距離用になるので、もっと使えないという印象。むしろM60やRPKの様なマシンガンの方が、照準の広がりが大きいので数発ずつしか撃てないという制限下では、遠くまで届くしパンチ力もあるので有用に思えた。弾薬も豊富であるし、重さによる移動制限も受けない。

 その他ではサイレンサー付きもあるスウェデッシュKや、ナイトスコープ付きで倍率可変のライフル、グレネードランチャーやロケットランチャーも登場する。しかし後者2つは使用場所は限定的。火炎放射器やショットガンの様な近距離戦用武器も在るが、近距離戦があまりないゲームで一つしか持てないとなると、多くの場所では利口な選択肢ではなくなる。よって一部で拾って使用する程度。他にはSystem23(通称Death Machine)と呼ばれる、航空機用の弾薬ボックスを背中に背負ってM60に接続した兵器(実際に存在した武器)も終盤では登場するのだが、これはちょっとオーバーパワー気味で強過ぎる。強過ぎると言えばRocket Pistolもそうで、スプラッシュダメージは小さいのだが早く倒したい相手には極めて有効。これを使うとボスも数秒で倒せてしまう位に破壊力が高いので、リアリティ重視の方は購入しない方が良いかもしれない。総合的にはミッション前の武器選択が自由でその数も多いというのはプラスに働いていると思える。

 グレネードはオブジェクトを破壊するのにも使えたりと効果的だが、投げる際に表示される軌道は単なる目安であり正確ではないので、思った場所に投げ込むには練習が必要。敵から拾えるので数は結構豊富である。フラッシュバンやスモークも登場するが、特に必要とされる様なシーンは見当たらなかった。


 肝心の戦闘だが、ここに最大とも言えるゲームの問題点が存在している。それはプレイヤーのダメージへの耐性が強い点。言い換えるとダメージが低いのでなかなか死なないバランスである。より正確には敵の攻撃の命中精度が低いというのも関係している。中〜遠距離戦が主体のゲームであるが、その位の距離からだと敵の攻撃はさほど当たらないし、被弾した際のダメージも低い。よってShock Defense Meterがフルになる事があまり無く、なっても隠れればすぐに回復するので、それ以上のヘルス値に対してはダメージが入り難い設定にされている(少なくともMediumでは)。その為に左右へのリーンや伏せが用意されているのに、それを使う機会はあまり出て来ない。そこまでしなくても普通に撃ち合って十分に耐えられる程度のダメージしか受けないからである。近付くほど敵の命中率は高くなるので、接近戦に持ち込むのならばリーンは使ったりもする程度。だが敵からの攻撃がそれ程当たらないような距離から攻撃可能なケースが多いので、敵が沢山出ても順番にゆっくりと倒すという姿勢でクリアが出来てしまう。

 グレネードやトラップのダメージも変で、トラップの場合には爆発してもメーターが振り切る+少ダメージ程度しか加わらない為に、ヘルスが赤で危険な状態でも無い限りは死なない。先にトラップの解除が難しいと書いたが、実際のプレイでは完全無視でトラップを爆発させながら進んでしまえるというおかしな話になっている。グレネードもよっぽど近くでない限りメーターが振り切る程度のダメージ止まりでヘルスにはダメージが入らないので、これもまた脅威が低い攻撃にしかなっていない。

 その代償という事なのだろうが、メーターが振り切って実際にヘルスにダメージが加わる際には、ヘルスの耐久力は低くてあまり耐えられないという設定である。回復させるメディキットは少ししか落ちておらず、またハシゴを登った場所や枝道ルートに隠されている事が結構多くて、ミッションによっては一つも見付からないという物まで在った。けれどもメーターが振り切ってヘルスにダメージが入る事自体が少ないので、メディキットの少なさはそれ程問題ではないし、ヘルスが危ないとなったら慎重に進めれば何とかなるという程度の難易度でもある。

 全く死なないという訳では無く、近距離攻撃では敵の正確性が高いので、インドアの様な視界が悪い場所で背後から奇襲されたりすると相手が一人でも一気に殺されてしまうケースもある。またショットガンや火炎放射器を持っている敵は怖い存在となる。アウトドアでのシチュエーションとしては、固定銃座からの攻撃を受けているシーンが一番の危険と言えるだろう。

 しかし全体では死ぬ回数が少ないゲームであり、また中〜遠距離戦では敵の攻撃に対する恐怖感が低い事から緊張感が生まれて来ない。個人的には雰囲気を重視してあまり試さなかったが、危険度が上がる近距離戦にしても相当強引に敵の中に突っ込んでの撃ち合いでクリア出来てしまうケースもあるし、メダル獲得の条件であるクリア時間は相当短いので、そういう風に突っ込む攻撃も想定しているのだと思われる。結果的にはベトナム戦争の厳しさを体感させるという観点からも大きなマイナスとなっており、難易度調整に失敗しているのは間違いない。


 上記の様に難易度があまり高くないので、ゲームの盛り上げとしても今一つ。ボスを追い詰める為のミッションが段階的に進んで行く構成なのだが、そのボス戦に至るまでに山場が無い。一定の間隔を置いて難易度が高い壮絶な戦いや、困難なステルス系のミッションを挟んだりが起きないので、淡々と進められて終わってしまうという感が強い。ボス戦のミッションも「とにかく敵を大量に出しました」という構成で、シンプルなマップを直線的に進めて行くだけで工夫がないし、メディキットが多目なので難易度的にも特には高くなっていない。難易度が高いのは最後のミッション位か。


 敵の兵士に女性が多いのは特徴的だが、全体としては兵士のパターン数は少ない。微妙にパーツを変えたりはしているが、基本的な体型に変化が無いのでほぼ同じ様に見えてしまう。ボイスはちゃんと現地語だが、何か情けないような叫び声に聞こえたりとあまり緊迫感が無い。AIは時にはカバーからカバーへと走るのが見られるが、大半は最初のカバーから動かなかったり棒立ちで撃ってきたりと基本的な動きしかしてこないし、大量に沸いて出てこちらに皆でゾロゾロと歩いて迫って来るという事も多い。走って距離を詰めてこちらにプレッシャーを掛けられるレベルならば難易度の低さを多少は解消出来たと思われるが、そこまでのレベルには達していない。

 攻撃が敵に当たっているのは血飛沫や体の部位が取れる事で良く分かるのだが、グラフィックスのクオリティが低いのであまり爽快感は高くない。敵のモデリングが簡素なので人間を倒しているという感が薄くなっている。


 デモが存在しないので冒頭のミッションの実際のプレイ動画を探したのだがYouTube等にも適当な物が無くて、更に探すとXbox版の動画がニコニコ動画に存在していた。アカウントを持っているなら直接見た方が早いのだが、持っていない方はここでは動画の埋め込みが出来ないので視聴する場合はリダイレクトしてくれるこちらから。ただし画質はあまり良くない。

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