GAMEPLAY |
全部で10チャプター。それぞれの長さには相当差があり、短い物ならば30分程度。おそらく一番長いCH4は3時間位掛かったと思う。ゲーム全体ではクリアまでに13時間程度だった。これは探索による各種アイテム発見に重きを置いて、行ける所には行ってみるという姿勢での物であり、メインルートを進むのならば10時間前後でクリア可能だろう。 制作に当たって最も影響を受けた作品として、一つはResident Evil 4をカメラワークや戦闘システム及び武器購買の面で、そしてもう一つにはパズルとアクションの融合によるペース配分の面でゼルダシリーズを挙げている。そしてその通りに比較的パズル色の強いゲームであり、謎解きをしないと進めないという場所が結構用意されている。ヒントが出たりもするので難解というレベルでは無いのだが、現在の目標は具体的に示されないし、方向指示機能も持たないので、そもそもどの部分がパズルになっているのかが判らないので進めなくなるというケースもあったりする。よってコンソール版の発売当時は、攻略&ヒント系の掲示板が質問でかなり賑わっていた様だ。 その中で問題となるのがボス戦で、私も他の場所は自力で解いたが、このボス戦に関しては数回攻略サイトのお世話になった。もし自力で頑張っていたらもっとクリアに時間が掛かっていたと思う。幾つか用意されているボス戦は攻略方法が相当解り難いという印象で、もう少しプレイヤー側にヒントを示してくれても良いのではないかと思えた。 ストーリーには大きな意外性は無いが、特にダメという物でも無い。しかし欠点として背景設定が漠然としているので、今一つ話に入って行けないという感を受けた。例えば3人のメインキャラクタであるヘイデン, メズナー, ナディアには過去にある因縁があったとされており、それが現在の関係に大きな影響を及ぼしているそうなのだが、結局それが何なのかは最後まで明らかにされず終い。全体的に伏線が回収されないのでクリアしてもスッキリしないストーリーであり、これはゲームの弱い点の一つである。 ロケーションは転々としていくスタイルで、アウトドアの雰囲気は優れているゲームである。しかしその変化で飽きさせないとは言えるが、チャプターによって印象が全然違うというまでには至っていない。これにはインドアのシーンが結構多いので、そこでは見た目の変化が薄くなってしまうというのもあると思われる。 全体的に暗いトーンの場所が多く、暗過ぎるという批判もそこそこ見受けられた。ライティングの処理方法も関係すると思うのだが、周囲に比較して影となるエリアはかなり暗くなるという設定であり、ライトを使わないと良く見えないという箇所も多い。戦闘面においては敵が見えない様な暗い場所はほとんど使われないのだが、アイテム探しをしたりするには暗がりに近寄らないと隅々まで見通せないので問題となるレベルとは言えそうだ。暗いと感じるなら、オプションに適切な明るさに設定する画面は在るがそれよりも上げるか、部屋を暗くして見易くするといった対策を行う事になる。 QTEを含んでおり、基本的に敵に掴まれた際に発動するという設定で、WSADの中の一つを連打するという物。どれ位掴まれるのかにもよるが、失敗はまず無いという程度に判定は寛容だし、大きな問題は感じられなかった。 強制ではないが2箇所ほどJackalと呼ばれる移動兵器に搭乗しての戦闘が可能である。弾数無限のマシンガンとロケットを併用可能で攻撃力が高いが、動きが遅いので敵の攻撃には気をつけないとならない(HPは自動回復せず、壊れるとヘイデンも死亡する)。敵のRPG攻撃に対してはフレアで軌道を曲げて応戦するようになっている。 大きな問題を感じさせるのがブラックマーケットによる武器の購買関連である。先にゲームの基本的なデザインについて書いておくと、最大の特徴はグレイヴでの戦闘なのは間違いないのだが、それ一辺倒にするのは単調にもなるので避けたいという考えがあり、グレイヴと武器攻撃との二本立てにするという狙いで作られている。だがグレイヴの方をあまり弱くするのは好ましくないので、武器側を強化しようという姿勢でバランスの調整に取り組んだそうだ。その結果としてBMにて強力な武器を購入したりアップグレード可能という仕組みと、グレイヴ使用時でも同時にハンドガンを使用可能にして、更にその片手持ち武器にサブマシンガンとショットガンも用意するという修正が加えられたとコメントしている。 このグレイヴと武器攻撃の二本立てというシステムは確かに面白いのだが、問題はそれには探索が必要で、誰でも楽しめる訳ではないという設定にしてしまった点にある。こういうのに正式な名称は無いと思うが、言ってみれば“自爆システム”とでも呼べば良いのか、「折角ゲームを面白くするような要素を持ちながら、それをわざわざ自から詰まらなくする様な仕様にしてしまう」行為を指す。具体的には以下の様になる。 1.強力な武器を購入したり、アップグレード可能な要素を盛り込む 2.その為には金やアップグレード用のキットを探索して集める必要があるという設定を導入する 3.しかし制作側の想定を大きく下回る数のプレイヤーしかその探索を行なってくれない 4.当然資金不足で強い武器は買えなくなり、アップグレードも十分に出来なくなる 5.「金が無さ過ぎでBMの意味が無い」,「 武器が弱いのでグレイヴ頼りなって戦闘が単調」といった批判を浴びる 6.その批判がレビューやユーザーコメントで広がってゲームの評価を落とす 何故「グレイヴの強力さに釣り合うだけの武器を持たせないと、グレイヴばかりを使うようになるので単調になる」という分析まで行っておきながら、武器を買う為の金やアップグレードを入手するにはマップ内を探索しないとならないという自爆仕様にしたのか理解不能だが、とにかくこれが大きな失敗に繋がったのは間違いない。結局は「予想以上にプレイヤーは探索などしなかった」という失敗なのだろうが、それは数多くのテスターを使っての分析が十分ではなかったか、或いはテスターの選択に問題があったのかだろう。 金とアップグレードの配置のバランスを、探索しなくても手に入る率が5割前後辺りにしておけば、多くのプレイヤーが上級武器の購入と数多くのアップグレードを体験出来るので、もっと良い評価を得られたと思うのだがそうなっていない。おそらくゲーム内の全ての金とアップグレードを回収しても、全部で10種類の武器をロッカーに揃える事は出来ない設定である。使わないアップグレードを売りさばき、同ジャンルの武器は複数をロッカーに保存せずに売って新しい物のを買うという姿勢で、ようやくその内の多くをゲーム内で使えるという位のシビアなバランスにされている。しかも出来るだけ早く高価な武器を買わないと、終盤で入手しても大して活かせる場所が無くなってしまうという問題もあり。 探索自体については、シークレットの様に非常に難解という物は滅多になくて、基本的にはマップ内を隅々までチェックするという姿勢ならば大半は見付けられるはずである。しかし逆にメインルート上に在るのでまず見落とす事はないという物も少ないので、ひたすら先へと向かうプレイヤーに対しては入手可能な金とアップグレードが相当少なくなるというのも確か。更に酷い仕様として、リプレイ時に初回クリア時の設定を持ち越すという選択が不可にされており、また一から全て集め直しとなるので、探索嫌いなプレイヤーはリプレイしても同じ羽目になる。 またアイテム探しを難しくする要素が幾つか存在している。まず先に書いたように暗い場所が多く、また隅の方とかオブジェクトの裏側によくアイテムが置かれているので、それなりに近寄って隅までちゃんと巡廻しないとアイテムが発見し辛い。ライトを付けるにしても、これはグレイヴを装備している時のみという制限あり。次に暗さへの対処としてアイテム類は光るのだが、ハイライトではなく数秒に一回光るという仕様なので、自分がそこを見渡している時に光らないと気が付かないという恐れがある。それとマップ内をスプリントで移動する場合、その視点は斜め後方から見上げる形で動かせなくなるので、スプリントを多用して先を急ぐ人には周囲が見え難くなってしまう。 最後に補足として金をなるべく集めたいという場合のヒント。第一には当然隅々まで探索しての観察が大事となるが、アイテムの光る時間を見逃さない為にあまり早く視点を動かさない方が良い。次にグレネードは4個まで持てて結構高く売れる上にゲーム上特に有用ではないので、一切使わずにBMに入ったら全て売ってしまい再度集めるという風にしておく。アップグレードもスロット数は少ないので要らない物は積極的に売るべし。そして金は後半から比較的出なくなるので、前半の内に十分な探索を行っておいた方が良いだろう。 基本的な面でいろいろと粗が見られるゲームで、例えばマニュアルには本当に基本的な事しか書かれておらずに不親切(海外のコンソール版でも同じらしい)。かといってチュートリアルが充実しているのかというとそうでもなくて、代表的な説明がHELPから見られる程度。アップグレードの解説も、取った時に出る物を読んでおかないと後で参照は出来ない。このアップグレードは適用すると外せなくなると観点からも、BMの画面でより詳しい解説にアクセス出来ると良かった。他には弾薬の入っている箱を壊すのに蹴ったりすると脚に張り付いてしまったり、場所によってはヘイデンがハマって動けなくなるというバグも存在している。 弾薬を手に入れるのに一々入っている箱を壊さないとならないというのも面倒だし、また出て来た弾薬はPickupキーを押したままにしないと拾えない。更にその弾薬を拾う際の立ち位置がシビアで、微調整してやらないとならないという問題も持っている。 |
COMBAT |
*武器はハンドガンと両手持ち武器を一つずつ携帯可能 *特殊武器のガトリングガンやロケットランチャーは移動速度に制限が加わる *照準は移動や連射で広がる *しゃがみやジャンプの動作は出来ない(特定の場所では出来る) *スプリントはスタミナが持続する限り出来るがメーターは無い *HUDレス方式を採用しており、残り弾数等は一時的にしか表示されない。残り弾数等を見るにはインベントリーキーを押す。 *体力は自動回復方式 戦闘の基本としてカバーアクションを採用しており、カバーキーを押すとオブジェクトや壁に貼り付ける。もしカバーの高さが低ければ姿勢は自動的にしゃがみを選択する。狭い間ならばスワットターンで隣のカバーへと素早く移動も可能。構えキーを押すと身を乗り出して攻撃し、離すとカバーに戻って隠れるので、ダメージの度合いを見ながらカバーを上手く使うのが重要となる。 銃の照準は円形で、武器によってそのサイズは異なる。銃身自体が跳ね上がるリコイルの描写はなく、連射すると照準が広がり、それが小さく戻るまでに時間が掛かるという方式でリコイルを表現している。広がりの度合いと戻るまでの時間はアップグレードで改善が可能だが、デフォルトの照準のサイズには変化は無い。 弾薬は多目で腐るほど在るというレベル。当然探索した方が多く手に入るが、弾薬箱についてはメインルートに置いてある割合が高いし、最大携帯弾数も非常に多いので弾切れで困るという事はライフル弾以外はまず無いだろう。弾薬ケースはほぼ共通で、現在所持している武器のタイプが主に出て来るというシステム。 ゲームのメイン要素であるグレイヴについては、率直に言って非常に良く出来ていると感じた。素の状態ではそうでもないのだが、次々と加わる付加能力を使えるようになると面白くなる。パワースローとアフタータッチは成功すると爽快感が高いし、エナジートラップで属性を付けて敵を凍らせたり焼いたりするのも楽しい。グレイヴとハンドガンを同時使用可能にしたのも良い点で、投げたグレイヴが帰って来る間に銃で攻撃したりという風にコンビネーションも使えるし、片手持ちのサブマシンガンとの組み合わせが出来る様になればより強力にもなる。 グレイヴと武器攻撃の二本立てのシステムにしたのも成功している。金を集めないとならないというハードルは在るが、強力な両手持ち武器を使える様になればシチュエーションに応じてグレイヴと武器を自由に切り替えて戦えるので、戦い方の幅が広がるし単調さも避けられる。またアップグレードを使用して武器を強化して行けるのも変化が感じられて良い点である。 特殊能力ではシールドや透明化等相当強い物が揃っているが、使用可能時間やエネルギー消費により連発は出来ないようになっているので、過度にバランスは崩していない。 Melee攻撃は相対的に弱く、特に意義を見い出せない。それと関連してフィニッシング・ムーブという動作があり、これは敵がダメージで赤くなって隙が出来た際に近付いて、表示が出たらアクションキーを押すと出せるトドメの技で、その際には敵の種類や武器に応じて外部カメラ視点からアニメーションが見られる。だが敵に近付いて攻撃しても赤くなる事が割と少なく、撃ってしまうと赤にならずにすぐ死んでしまったりと赤状態にするのがそれほど容易ではない。グレイヴを当てるのが一番赤にし易いのだが、離れた場所に居る敵では回復する前に接近出来ないので意味が無い。また集団の中で赤になった敵に突っ込むと、他の敵に掴まれてしまってQTEが発動したりとこれもやり難い。そもそも離れた場所に居る間に撃って倒した方が簡単で確実であり、実績狙いでもない限りは通常戦闘時のフィニッシング・ムーブは特に意味が無い行為となっている。 意味を持つのはボス戦にてこれを使わないと倒せないというケースが一つ。後は敵の背後を取ると即時発動可能なので、タフだが動きは遅い敵に対して回り込んで使用したり、透明化と組み合わせて背後を取って次々に倒すという形での使用になる。 近接戦において逃げる選択肢は二つ。スプリントかドッジ(回転横飛び)である。ダメージから立て直すのに遠くに逃げるにはスプリントの方が有利だが、このゲームではスプリント中の視点が斜め後方から見上げる位置から動かせず、また左右へのカーブも緩い角度でしか行えないという難点を持つ。よって近距離戦で突っ込んでくるタイプの敵を避けるには、通常4方向へのドッジの方が向いている。 難易度を選択する事は出来ない仕様だが、チェックポイントの間隔を含めてバランスとしては適当に調整されていると思う。多少は死ぬがストレスを感じるレベルでは無いという印象。しかしボス戦のみは難易度が高くて問題あり。先に書いたように倒し方自体が解り難く、更にそれが解ってもかなりの長期戦になったり一撃死があったりと気を抜けない。オートセーブが段階的に行われればまだ良かったのだが、他のパートに比較して難易度が高過ぎると感じられた。なおこれは金とアップグレードを探索してなるべく見付けるというスタイルでのプレイにおける感想であり、直線的に進む人はグレイヴに頼る事になるので、パワースローやアフタータッチが上手く使いこなせないと難易度は上がる筈である。 強力な武器を使えたりアップグレードが可能な点は面白い要素だと思うのだが、それ等をどれだけ手に入れるかに因ってプレイヤー側の強さに差が付き過ぎるという点は気になった。ショットガンとアサルトライフルの強化版であるPtrotectaとKorbov TK6は非常に強く、これを持っているかどうかで戦闘力は大きく変わる。しかし両方高価なので、どのチャプターで手に入れられるかによって大きな差が付くようになっている。またアップグレードの中に“エンフェロン”という物が有り、これは弾と共にエンフェロンガスを撒き散らせる様になる機能で、ウイルス感染系の敵に対して継続的にダメージを与えられる(対人間には無意味)。これが本当に強力で、ゲーム内に全部で3個存在するこのアップグレードを見付けられるかどうかで大きく難易度が変化すると言っても過言ではない。感染者系のボス敵にも有効なので、これを使って戦えば大幅に難易度の軽減も可能である。 操作性には一部問題あり。カバーとドッジとスプリントが同じキーに設定されており、その為に誤動作が度々発生する。ドッジで飛んで逃げようとしたら近くのオブジェクトにカバーで張り付いてしまったりとか、スプリントしたいのにドッジしてしまったり等。危険なシーンでは致命的になる可能性もあり、欠点の一つとなっている。これはコンソール版でも同じで、他の操作に使うボタンが多いのでこういうデザインになったと思われるが、PCへの移植の際にはもっと自由に選択可能にしてもらいたかった。 敵は人間タイプと感染者に分けられ、感染者は人間的な姿の者から完全なモンスター型まで様々。エネルギー弾を放ってきたり、透明化して姿を消したりを行って来る。戦闘は倒しても次々に敵がやって来るというパターンが多く、特に感染者の出現パートではラッシュにより無限沸きかと思えるほどの連続攻撃が続くケースもあり。それ自体はまあ良いのだが、ゲーム全体としてこのラッシュ攻撃が何度も繰り返されるのはやや単調な感も受けた。 AIは人間タイプの敵を中心にカバーからカバーへと良く動いてはくるが、こちらのカバーまでプレッシャーを掛けて来ないのは物足りない。GoWでは敵はカバーを使って接近しながら最終的にはこちらの居場所まで来て直接攻撃を仕掛けてくるのでプレッシャーが掛かるが、このゲームでは近くのカバーからまたバックして戻ったりと滅多に一線を越えてこない。この為カバーの背後に隠れた場合には無理して攻撃をしない限り、注意するのはグレネードによる攻撃か(特にガスグレネードは危険)、盾を持っている兵士等のこちらに直進して来るタイプの敵のみとなり(これも慣れると怖くなくなるが)、緊張感が今一つ高まらないという印象である。 |