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PC版への移植
 PC版への移植において、いろいろと問題が発生している。一番の問題はトラブルの項で書いたようにワイドスクリーンにちゃんと対応していないという点だが、その他にもボリュームの設定が起動の度にリセットされてしまうとか、メインメニューでのマウスカーソルの動きがおかしいという面も。特にBMの画面に入った際には、マウスだけでの操作は不可能となっており、カーソルキーを併用しないとちゃんと選択が出来ない項目が在る。更にスクロールバーのドラッグ位置が画面表示と合わず、これもまたカーソルキーで操作しないとならなかった。


 戦闘面での欠点としては、PCのマウス+キーボードに合わせて調整が行われていないという点が挙げられる。例えばGears of Warでは移植に際してその点の調整が行われてはいたが、結局はゲームパッドの特性に合わせて制作されたゲームなので、完全には合わせられずにXbox 360版に対して評価は低い物になっていた。このゲームでも移植に当たりそういった調整が行われたのかは不明だが、問題点が在るのは確かである。

 まずマウスで狙う関係上、銃での攻撃において照準が正確に動かせるのでヘッドショットが狙い易い。Youtube等にXbox 360でのゲームパッドによるプレイ動画が結構在るので観察してみたが、基本的にはハンドガンでの攻撃は照準を精密に合わせるのが難しいので体全体を的にして4~5発程度当てて倒し、反対に命中判定が大きいグレイヴでの攻撃は有利になるというバランスに見える。しかしマウスだと精密に動かせるので、初期状態の(連射力は低いが照準は小さい)ハンドガンでも次々に頭を狙って1~2発で倒すのが可能になっている。その為に序盤ではグレイヴの力が相対的に低くてあまり役に立たないという印象。これはGoWと同じ結果であり、その後のアサルトライフル系を含めて命中率は照準を広げたりしてもっと低く抑えた方がオリジナルのバランスに近付いたように思える。

 反対にPC版にて不利となっているのがアフタータッチである。これは投げた後にリモートコントロールでグレイヴの軌道を操作する能力だが、PCではこれはマウスで操作するという点に問題がある。レースゲームをプレイした事がある人なら、ハンドル操作に対応するのはアナログ入力が可能なデバイスが一番良く、キーボードの様なデジタル入力は次点というのは理解してくれると思う。そしてマウスをハンドル操作に使う事はまず無い。その理由はアナログスティックやキーは傾けたり押したままにする事で連続して同じ入力値を与える事が出来るのに対し、マウスは瞬間的にしか特定の入力値を与えられないからである。

 しかしこのゲームではそのハンドル操作と同じ原理で曲げるグレイヴの操作がマウス以外では行えない(第二操作としてKBに割り付けられない)。よってゲーム中には障害物を避けてグレイヴをアフタータッチでカーブさせて目標物に命中させる必要があるシーンが幾つも出て来るのだが、その際に曲げる操作がやり難くなっている。アナログスティックならば倒しっ放しで大きくカーブさせられるが、マウスだと動かした瞬間にその値が一回入るだけで、大きく曲げるには端まで動かしたマウスを素早く元に戻して再度端まで動かすという動作を繰り返さないとならない。その為に大きなカーブが必要な場所では、そこだけマウス感度を最大に上げて挑まないとならなかったりもした。実際にXbox 360のプレイ動画を見るとマウス操作では有り得ないような角度でグレイヴが曲げられており、敵をアフタータッチで倒す際においてもPC版は不利になっている。
 取りあえず最初の投げた軌道で目標から外れるとアナログスティックとは違って修正可能幅が少ないので、投げる時点からより的確なルートを狙って投げる必要がある。一応クリアには問題がないレベルではあるが、時間制限の中でカーブ投げを成功させないとならなかったりもするので、コンソール版よりも難易度が上がっているのは間違いない。

 その他には一瞬のタイミングに合わせないと投げられないパワースローを出すコツとして、コントローラーでは振動を頼りにすれば投げ易いという情報が見受けられたのだが、マウスではそれは出来ないので視覚に頼るしかない。(この点は実際に比べた訳ではないので何とも言えないが)。


GRAPHICS
 Evolution Engineを使用。元々Unrealシリーズの制作に関わっていた会社でもあり、Pariahの制作においてもUE2.5を改造して使っていたので、当初はそれを更に改造した物を使っていると考えられていたのだが、実際には完全に自社制作の新しいエンジンである。UE3はPS3への対応度に問題があるという件が、自分達でマルチプラットフォーム用のエンジンを制作しようと考えた大きな理由だったそうだ。これは現在ではPCにも対応しているので、ND Gamesの方も移植に大きな負荷は掛からなかったと想像される。

 グラフィックスのクオリティは高く、特にアウトドアでの雰囲気が良い感じを出している。コンソールからのベタ移植と思われるのでテクスチャ系はそれ程精度が高くないが、その分ロードは高速だし動作も軽い。エフェクト系もグレイヴによる派手な爆破エフェクトから水面, 炎, 電撃, 氷結等、質は全体として良好。

 問題点としては人物の顔の造形が独特で、個人的には妙に顔が変形している様な印象を受けた。リップシンクも全然合っていない。

 規制の対象となったゴア表現は直接的な面からするとそれ程グロさは無いのだが、四肢を切断された敵がのたうち回って悲鳴を上げたりといった描写の方が引っ掛かったと思われる。(サンプル画像)。


 PC版ではポストプロセッシングやFog等の少数の項目がON/OFF出来るだけで詳細な変更は行えない。アンチエイリアスの項目も無し。ワイドスクリーンは選択可能だが、問題が発生するのは他の項での指摘の通り。

SOUND
 設定はないが3Dサウンドに対応しており、周囲を飛ぶグレイヴの移動感等も良好。定位感は良い部類に入る。

 銃のサウンドはこもった感じの物が多いが水準レベル。BGMは戦闘時に流れる派手な物の他はノイズの様な単調で不気味な音が流されており、ゲームの雰囲気にマッチしていて効果を挙げている。

MULTIPLAYER
 根本的な問題として、PC版のマルチプレイはLANにしか対応していない。公式掲示板を見るとhamachi(疑似LAN用のユーティリティー)を使用していたりもするようだが、基本的にはコンソール版とは異なりインターネット上でのプレイは不可となっている。


 モードはInfectionとEpidemicの2つのみ。前者はDMの変形版で、ランダムに一人がヘイデンに選ばれて、他のプレイヤーは普通の兵士となる。ヘイデンは全ての能力を使えるという設定になり、それを他のプレイヤーが協力して倒すという設定。倒せばそのプレイヤーが今度はヘイデン役に入れ替わる。後者はチーム戦で、双方に一人ずつヘイデン役が存在しておりそれを倒し合う。

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