シ ス テ ム |
キャンペーン 難易度設定は無し。マップ単位でのリプレイ機能も無い。 セーブ&ロード プロファイルを作成する必要があり、セーブや設定はその単位で管理される。 基本的にはオートセーブのみで履歴を20個保持する。このオートセーブは主に扉等のロード地点で行われるので、同一エリア内を行ったり来たりしていると過去のセーブが失われる事になる。その結果として所持アイテムの状態がおかしくなるといったバグで進めなくなった際に、それが発生していないセーブ地点がもう存在しないという問題が発生していた。現在はパッチでバグの多くは修正されているようだが、念の為にセーブフォルダの中身のバックアップを定期的に採取しておいた方が良いかもしれない。 任意地点でのセーブは一応可能で、ESCでメニューを出して「Save and Exit」で一度メインメニューに抜ければその地点がセーブされる。おそらくこれはクイックセーブはさせたくないが、長い時間セーブが行われていない状態で終わってしまうと不味いという観点からの方式だと想われる。 その他ではPenumbraと同様にアーティファクトに触れるとセーブが行われるが、これは滅多に出て来なくなっている。 OBJECTIVES 前作と同じ方式で、現時点でやるべき事項はMementosとして文章で記載されていく。方向指示やマップ機能は持っていないが(稀にマップが掲示してあるエリアも在る)、大抵のエリアは迷うほど複雑では無い。しかし意図的な暗いエリアでは位置が掴み難いという風にはされている。 ヒント機能を持ちオンオフが可能。“Death hints”はイベントで死んだ際のヒント表示。 EXTRAS ランチャーから起動出来る「Justine」と呼ばれるサイドストーリーが加わっている。これは本編とは特に関連は無く、別の名も無き女性主人公を操作するゲームで、設定等にValveのPortalの影響を受けている。牢獄にて記憶喪失状態で目を覚ました女性が、蓄音機に吹き込まれたJustineなる女性からのメッセージにより、3つの連続した心理テストを受けさせられるという設定。 本編とは異なる敵の攻撃から逃げながら、パズルを解いて他の捕らえられている人間を助けるか、それとも見捨てるかという選択を迫られる事になる。マルチエンディング構成。なおこのミニゲームは途中セーブ機能を持たない。 *同じくランチャーから「Remenber」というショートストーリー集を読む事が出来る。これは本編の背景設定を埋める内容を含んでいる。 *エディターを使ってユーザーが自分でマップやキャンペーンを創作出来るようになっている。 *予約本数達成のボーナスとして、コメンタリー機能をオンにする事が出来る。マップ内のアイコンに触れるとゲームデザインについて 制作者自身が語るというシステム。 英語 字幕機能あり。手に入れた文章はノートと日記に記載され、後に何時でも参照する事が出来る。Penumbraと同じく謎解きの為に文章を理解する必要があるケースが出て来るが、比較的今回の方が英語の内容を理解し易い。オブジェクトに干渉した際に出るメッセージがヒントだったりもするので、英語をちゃんと読む事が重要な点に変わりは無い。英語が苦手な方は日本語化しておいた方が良いだろう。 |
暗 闇 |
前作のPenumbraシリーズでは、ホラーゲームに付きものの“暗闇”という要素は特に重要視されていなかった。無限に使えるライトソースが有る,
屈めば暗闇でも視界が効く様になる, 前が見えない暗い状態にて敵が襲い掛かってくるというケースはまずない等がその理由。それに対して今回は暗闇という要素に力を入れている。 明るさの管理方法は大きく分けて三種類。一つ目は普通の(現実に近い)見え方のエリアで、プレイヤーが自分の持つライトソースを利用しなくても良い通路や部屋となり、割合としてはこれが一番多い。暗いかどうかは場所によるが、いずれにしろ遠くの方まで問題無く見渡せる場所である。二番目は前作までには無かった方式で、プレイヤーから一定距離以上離れた場所は暗くて見えなくなるというやり方。このゲームでは暗いと設定された場所は非常に見え難いというレベルにまで暗くするというデザインを採用しており、灯りが無いと近距離でもほとんど何も見えないというエリアが多数用意されている。このタイプの場所では実際に灯りを点けて明るくするか、少し待っていると目が暗闇に慣れて若干見える様になるのでそれを利用するという形になる。だが後者のやり方ではその効果範囲はかなり狭い。 ![]() (左図)は明るさを白飛びするレベルにまで上げてみた物だが、そうやっても黒い霧エフェクトで見通す事が出来ないエリアが有るのが分かる。 暗闇に対してダニエルに用意されているアイテムは2つ。火口箱は蝋燭や松明等の設置されている光源に火を灯せるアイテムで、一個につき一つの物を点灯可能。一度点ければ後にロードしてそのエリアに戻って来ても点いたままである。しかしほぼ全ての点火可能なオブジェクトはその照射範囲が不自然というレベルで狭く、意図的に明るいエリアを簡単に確保出来ない様にされている。火を点けられるオブジェクト自体は沢山有るエリアは確かに多いのだが、それ全てに火を点けられる程には火口箱の数が用意されていない。 もう一つのランタンはオイルを使って灯りを点すアイテムで、こちらは持って歩けるので任意の場所を照らす事が出来て便利。また照射範囲も前者よりは広いので使い勝手も良い。インベントリー画面にはランタン内のオイル量を示すゲージが有り、入手したアイテムのオイル瓶を使用すると1個につき25%分を補充出来る。またマップ内にオイルドラムがたまに置いてあって、これをUseすると最大でオイル瓶4個分(ランタン満杯)のオイル補充が可能。しかし点灯時のオイル消費スピードが結構早くて、点けっぱなしで探索出来る位のオイル瓶は用意されていない。 結果的にダニエルは火口箱とオイルの残量を見ながら、最も灯りとして有効なランタンの使用箇所を限定し、その代わりに火口箱でオブジェクトに火を点す補助的な灯りになるべく頼って行動しないとならない。もし火口箱すら少なくなってきたら、前すら見えないエリアでのみそれを使うようにして、後は見辛かろうが灯り無しで進めざるを得ないハメに陥る。つまりプレイヤー側が明るくて安心出来る広いエリアを決して作れない状況にしたり、長時間ランタンを点けた状態で探索を続けるのは無理というデザインにして、よく周囲が見渡せない暗闇の恐怖を生み出している。 ただしこのシステムには難点もあり、後先考えずに両者を消費してしまうタイプのプレイヤーが途中で詰んでしまっては困るという事情がある。(付け加えるとセーブを20個しか保持しないので、沢山持っていた時期へと戻る事が不可能というケースも出て来る)。対策として取る事が出来る重要なアイテム類や干渉可能なオブジェクトはボンヤリと光るというシステムになっているので、暗闇で目が慣れるという設定を利用すれば灯りが無い暗闇でも何とか探索を行う事は可能(どうにもならなければ輝度を極端に上げるという反則技もある)。 それと数は少ないがオイルドラムの中の残量は、現在の所持量(ランタンの中の残量+オイル瓶の数)によって自動調整される仕組みになっている。もし完全に空の状態でアクセスすればランタンをフルにする量(瓶4個分)が入っていたという形で処理されるし、瓶4個分以上持っている時にアクセスするとほとんど残っていなかったとされるといった具合。だから見付けたらすぐにアクセスせずに周囲をランタンを点けて探索し、全部無くなってから戻って来てアクセスして最大量を受け取るやり方がお得である。ただしオイルドラムの数はあまり無いし、長時間経過後に繰り返しアクセスする事は出来ないようだ。火口箱やオイル瓶に同様の補充システムが存在するのかは不明(アイテム箱を開けた時により多く出て来る等の調整)。 実際の感想としては極端な節約をする必要は無く、火口箱は結構有るので残り10個位までは使っても大丈夫という程度。ランタンの方が管理としては難しく、頻繁にオンオフして節約しないとすぐに無くなるというレベル。少なくとも明るめの場所では確実に消しておくべきである。ただ完全に無くなってもドラムで満杯まで回復出来るので、予備オイル瓶を大量に貯め込む必要は無い。次のドラムの置き場所は予測出来ないが、暗いエリアには置いてあるという風に配慮されているので、特別に暗いエリアでは積極的に使っても良いだろう。 |
正 気 度 |
開発者がラヴクラフトの大ファンという事もあり、今回はクトゥルーRPGで有名なSanity(正気度)システムを導入している。インベントリー画面に脳の表示が設けられており、全四段階の現在の状態が色及びテキストにて示される。詳しい計算システムは不明だが、キッチリと4つの段階に分かれているのでは無く、正気度が75以下になると第二段階,
50以下になると第三段階, 25以下になると最終段階の表示、といった方式になっている模様。 主人公のダニエルが暗闇恐怖症という設定から、基本的には灯りの無い場所に長時間居ると正気度が下がっていく。その他ではモンスターを見たりした場合や、何等かの恐怖イベントに遭遇した際にも下がる。正気度が下がった場合には様々な影響が現れ、視覚的には画面の揺れ, パースの歪み, 曇り(ボヤケ), 斜行, ブラー(残像), 脈動の様な収縮&拡大等のエフェクト。聴覚的には歯軋り, 幻聴, 心音等が発生する。その他では正気度によって見え方が変わるオブジェクトという演出も在る。なおこのエフェクトは現在の正気度に依存するのでは無く、正気度が大きく下がった際に発動するシステムの様に感じられた。四段階中一番良好な段階でも発生する反面、三段階目まで低下しているのに目立ったエフェクトは発現していないといった事があるので。 明確に発生が確認出来るのは最終段階で、この段階になってしまうと様々なエフェクトが発現したままになる。そしてこの状態から回復出来ないとやがては正気度がゼロになり、ダニエルはその場に倒れてしまう(画面が赤くなり非常に見辛いエフェクトが掛かる時もある)。しばらく待てば再び起き上がって動ける様になるが、視点が勝手に回転する, 動きがスローモーションになる, 照準が揺れるのでオブジェクトを上手く掴めない、といった問題が発生するようになっている。それと正気度がゼロになるとヘルスの方も下がるという副作用もある。 下がった正気度を回復させる方法だが、まずは明るい場所に出る事、もしくはランタンを点けて明るさを確保する行為が有効である。だが明るい場所が近くに在るとは限らないし、ランタンのオイルは希少なので贅沢には使えないという問題あり。屈んだ状態で灯りの傍に行きじっとしているというのがコスト的には無難だが、回復速度は遅いし時間も掛かるという仕様。またこの灯りを使う方法では回復段階が限られる設定になっている(一段階以上回復しない, 第一段階までは回復しない等)。大きく回復させる方法は謎解きを達成してゲームを進める事で、解決した際に青い光のエフェクトが発生するがこれで正気度が上がる。新エリアに到達したりも同様の効果がある。 この正気度システムについての感想だが、一人称視点というのもあって「自分自身(ダニエル)が強い恐怖を感じている」というのを体感させるという意味では大変効果的である。単にイベントを発生させて怖がるかどうかはプレイヤー任せにするよりも、視覚&聴覚的に「今自分が怖がっている」という演出を加える事で、ダニエルの立場になってプレイしている人に恐怖を感じさせる確率を高められる。 その一方で正気度低下エフェクトの発生回数がかなり多く、あまりにも画面表示が変になる事があり過ぎるという感も受けた。発生させ過ぎで慣れてくると恐怖感としての演出効果も薄れてくるし、回復まで待っている時間も面倒だという風にも思えてきてしまう。後は人によっては画面が揺れたり歪んだりする時間が長いので3D酔いの原因になるかも知れない(エフェクトは個別に切れる)。 後はちょっと余談めいたものを。この正気度システムは何回かシステム変更が行われたそうで、例えば正気度の回復ポーションというアイテムが在ったのだが、各種ゲームサイトにおけるプレビュー版の評価にて、このポーションの設定が不評だった為に発売直前で削られている。 初めの段階では正気度を完全に失うとゲームオーバーというシビアな設定だったのだが、灯りとなるアイテムをどれだけプレイヤーが保持しているかが不確定な為にバランス調整が難航。もし使い切っている状況で暗いエリアを探索せざるを得ない状況だと詰んでしまう恐れもある。そこでゼロになって倒れても待っていればその場で再び起き上がれるというシステムへと改変。そしてそれでも灯りとなるアイテムを持っていないケースでは辛いので、厳密な判定システムその物を止めてしまっている。つまり種明かしをしてしまうと、内部的に正気度の値によって厳格にエフェクトや効果を発生させているのでは無く、実は一種のムードシステムとして働いているに過ぎないそうだ。その詳細は明かされていないが、おそらく灯りとなるアイテムが少ない場合には、プレイのし辛さから過度なストレスにならない様に、暗い場所に長時間居ても正気度を低下させないで済ませるという調整が行われているのだと想われる。 |