AMNESIA: THE DARK DESCENT

                                  12/08/09




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製作・販売: Frictional Games / THQ
発売: 2010/09
日本代理店: 無し


概  要  3DホラーアドベンチャーPenumbraシリーズで知られる、スウェーデンのインディーズ会社Frictional Gamesの作品。ストーリー面では前作との関連性は無く、また今回はこれ一作で完結している。Penumbraに比べれば増えたとは言え、フルタイムの開発メンバーはたったの6人という今回も小規模環境での製作となっている。プラットフォームはPCの他にLinux, Macでのリリース。

 タイトルは最初『Lux Tenebras』(light and shadow)だったが、その後しばらくして『Unknown』へと変更された。しかしこのタイトルではあまり良くないとして何回も議論が行われ、最終的には投票でAmnesiaに決定している。ただしメンバーはこのネーミングに満足はしておらず、もっと良い物があったのではないかと考えているそうだ。


 開発は予算面で苦労の連続だったと明かされている。最初にNordic Game Program(政府のゲーム開発援助プログラム)に申し込んで4万ユーロを確保。しかしこれだけでは予算の1/4程度にしかならず、銀行からの借り入れを考えたがゲーム開発に理解を示してくれる所が無くて難航。そこで前作の代理店であったParadoxと交渉を続けたのだが、一度は契約したにもかかわらずすぐにそれは決裂してしまう。その結果として2009年5月頃には資金面で行き詰まり、正社員の給料を削って開発を続けるしかないという事態へと追い込まれた。

 2009年6月にSteamにてPenumbra Collectionを75%オフセールで売り出す。ほとんど売り上げには期待していなかったのだが、予想に反してそれまでの全売り上げを遥かに上回る本数を達成し、それによって一時的に資金面の問題が解消された。しかしそれは一時凌ぎでしかなく、2010年2月に再び資金難で活動が困難になってしまう。

 そこで生き延びる為のアイディアとして、ゲームを予約販売して資金確保をしようと考え、2,000本以上の予約を達成したら追加コンテンツを制作するという特典を付けて実施。しかしそれほど予約本数は集まらず。だが翌3月にようやくロシア&東欧でのリテール版販売代理店として1Cとの契約に成功し、概ね開発資金の目標を達成する事が出来た。

 またHumble Indie Bundle(購入者が自分で値段を付ける体裁の販売形態)にも参加。これもその売り上げには懐疑的だったのだが、試しに出してみたOvertureが予想外の大成功。そこで購入者にはBlack PlagueとRequiemの割引販売と、Amnesisaの予約割引販売を実施。これで目標の予約本数も突破し、開発資金には完全に目処が付く事になった。


 当初の売り上げ目標では発売後2ヶ月で24,000本と設定し、これを達成出来なければ会社を解散する事を決めていた。実際の売り上げは初月34,000本で、2ヶ月では5万本を突破。ほとんどプロモーションを行っていないインディーズのゲームとしては優秀な方だが、各ゲームサイトでのレビューの高評価から期待していた程では無かったそうだ。ところがその後のホリデーシーズンでの値引きセールにて驚異的に売り上げを伸ばし、以後もセールを中心に順調に売れていて、2012/03現在60万本超えという製作チーム自身も信じられないと語るレベルの売り上げを達成している。



 基本的にはダウンロード販売がメインで、Steam等の大抵のダウンロード販売サイトで購入出来る。注意点としてLinux版はSteam版には付いて来ないし、他のサイトでもどうなのかは不明なので、Linux版が欲しいなら会社直売での購入が一番確実である。リテール版は英語圏ではTHQが代理店についている。価格はまだ$19.99のままだが、過去のセール時には75%オフにまで下がっている。


 有志による日本語化ファイルが配布されている。


STORY  舞台は1839年のプロイセン王国。主人公の若き英国人ダニエルはブレネンバーグ城で目を覚ますが、記憶が失われており何の為に自分がここに居るのかも解らない状態にあった。手掛かりは自分自身が書いたと思われる“記憶喪失の自分”宛の手紙の内容のみで、そこには自らの意志で記憶を失う薬を飲む事と、この城に棲むアレキサンダーという男を殺せと記されていた。

 彼は記憶を取り戻す為に城の中を探索する事になるが、その過程で過去の記憶が蘇ってくるというストーリー。設定としてはラヴクラフトのクトゥルー神話の影響を強く受けている。


PATCH

DEMO
 V1.2が最新。ダウンロード版は自動的に適用されているはず。ランチャーの右端に「Justine」のボタンが有るならV1.2以上である。


 デモがリリースされている(これは製品版のマップを異なった形で接続した物で進行が異なる)。Steamからダウンロード可能だが、単体版としても入手出来る。公式サイトの提供バージョンは1.0.1となっており、一番最初にリリースされたデモは古いかも知れないので注意。

動作環境

トラブル
  必要環境 推奨環境
CPU 2.0Ghz
Celeron or Duron はより高速な物が必要
-
MEMORY 2GB -
VIDEO Radeon X1000/GF 6シリーズ -
SOUND - -
対応OS XP / Vista / Windows 7
DirectX 9.0c以上要


 小さな会社で互換性テストが十分に行えないというのもあって、とにかく購入前にデモをプレイして正常に動作するかを確認して欲しいとしている。このゲームのグラフィックエンジンはOpenGLを使用しており、これは主流のDirect3Dに比べて少数派となっている為に、特にノートPCに搭載されているオンボードの古いビデオチップで問題が生じる可能性がある(OpenGLに対応するドライバが古いor低性能だから)。


 その確認方法だが、まずはデモを落としてインストールし、その後一度起動させる。するとマイドキュメントの中の\Amnesia\Mainフォルダ内にhpl.logが作成される。これをメモ帳等で開くと頭の方に Initializing Graphics Module セクションがあるのでそこを見る。

Setting up OpenGL
Vendor: (メーカー名)
Renderer: (ビデオカード名)
Version: 3.3.0

 この様に書かれているVersionの行が対応しているOpenGLのバージョンとなり 2.1.0 以上が必要となる(この例では3.3.0とそれ以上なのでOK)。ここで2.1.0よりも低い数値が表示される場合、そのPCではこのゲームを動かす事は出来ない。ただしビデオ機能のドライバが古い場合には、最新版を入れると解決する可能性は残っている。


 具体的にはIntelのオンボードビデオではMedia Accelerator HD世代以上が必要。HD 2000/3000(第2世代)やHD 2500/4000(第3世代)などはOKである。反対にG41, G43, G45等のチップセットではドライバが要求されるOpenGLの機能に対応していないので動作しない。

 RadeonではR500 世代(X1950以下)などの古いカードの場合、AMD Legacy Catalyst Display Driver v10.2を使用する必要がある。

 ノートPCにおけるドライバのインストール方法に付いてはメーカー別に解説した[AMD+Intel HD] Laptop OpenGL Troubleshooting Guideが設けられている(英語)。


 起動前にランチャーが立ち上がってそこでビデオやサウンドの基本的な設定を行える仕様。起動しないのならばここの設定を下げたりして試せる。


*"Renderer #0 could not be initialized"
 1024x768のフルスクリーンにして起動。もしこれで動作するなら、ビデオメモリ(VRAM)が設定している解像度では足りないという意味になる。つまりエラーが出ない範囲で解像度を選択する必要がある。


*V-syncを有効にすると起動しない
 モニターと解像度の組み合わせによってはこのエラーが起きる。


*ビデオ設定を変えたら起動しなくなってしまった
 マイドキュメント内の\Amnesia\Mainフォルダを開いて main_settings.cfg を削除し全てを初期値に戻す。


*非常に重い
 ランチャーのGeneralタブに「Detect」ボタンが有るので、これで自動検出された設定を使用するのが無難。「SSAO Quality」をHighにすると4倍の負荷が掛かるので、重い場合にはまずこれをチェック。「SSAO Samples」も16を越えると負荷が著しく増加する。その他では「Edge smoothing」と「World reflection」が大きな影響を持つ。


*3Dサウンドにならない
 今回は新OS(Vista/7)でのサウンド機能の扱いの変化や、多彩なサウンドカード(チップ)におけるバグ等の問題が解決出来ないという理由から、ハードウェアアクセラレーションでの3Dサウンドは選択肢からカットされている。よってPCによっては単なる2Dサウンドになってしまう可能性もある。


 [解決方法1] ハードウェアアクセラレーションを強制的に有効にするやり方で、効果は最も高いが不安定さも増す。実際にこれを使うと頻繁に落ちる様になったという人も結構いるようだ。

 上で書いたhpl.logの中に Initializing Sound Module セクションがあり、その下に検出したサウンドデバイスの一覧が記載される。
Generic Software on...というのがデフォルトで使用されるソフトウェアレベルでのサウンド機能となり、ここに Generic Hardware on...というデバイスが在るならそれがハードウエアアクセラレーションである。次に同じフォルダ内の main_settings.cfg を開いて、そのデバイスの冒頭の番号を Sound Device=" " の中に書き込んでやれば良い。これでランチャー上のサウンドタブにそのデバイスが現れ使用出来るようになる。


 [解決方法2] ソフトウェアOpenALを使う。性能的には純粋なハードウェアアクセラレーションに劣るが安定性は高い。

 http://kcat.strangesoft.net/openal.html#downloadにアクセスして、ダウンロードから最新版を入手(これを書いている時点ではopenal-soft-1.14-bin.zip)。これを解凍するとWin32フォルダ(64ビット専用版は現在無い)に soft_oal.dll が作成されるので、このDLLをゲームの実行ファイルが存在する場所へと入れる。Steamならば \Steam\steamapps\common\amnesia the dark descent の中。そうするとhpl.logにて検出されるサウンドデバイスの中に (OpenAL default) と付く物が出てくるので、この番号を同じ様に main_settings.cfg に書き込む。これでランチャーのサウンドタブにそのデバイスが出て来る。


*進行に関わるバグらしく進める事が出来なくなった
 攻略サイトや動画で確認した所、どうやらインベントリーのアイテム類の状態が変になっているとかで進められないというケース。例えば他の物を入れる容器が有るのだが、これは一度使用して空になった後に、また別の物を入れて使う場面が出て来る。しかし一回目の使用で空にならないバグの為、二回目の使用時に他の物が入れられないという問題が発生している。この辺のバグはパッチで修正もされている模様だが、どうしても駄目そうだとなった際には公式掲示板にセーブデータ一覧が用意されているのでこれで代用する(7z形式なのでこれを解凍するツールは必要)。

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