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シ ス テ ム |
キャンペーン 難易度設定は無し。アイテム持ち越しの二周目やクリア後の別モードは持っていない。 セーブ&ロード チェックポイントセーブで保存は一箇所のみ。進行に連れてアンロックされたチャプターの選択は可能。 OBJECTIVES 現在の目標の参照機能や矢印による方向ガイド機能は無し。ミニマップを含めてのマップ表示機能なども持っていない。 英語 日本語対応ありだがインターフェースのみ。ゲーム内ではボイスは発声されるが人工の言語が使われており、英語も含めて字幕機能自体が無い。つまり何語を話すプレイヤーでもキャラクター達の話している言語が理解出来ないという条件は一緒になっている。 その他 *マウス操作には非対応 *キーアサイン可○, 明るさ調整可○ *見下ろし視点固定, FOV調整機能無し *スプリント×, 屈み×, ジャンプ× (全て自動で意図的に行う方法は無い) *照準(カーソル)無し *Steam実績対応 |
BASICS |
兄と弟の二人のキャラクターを一台のコントローラーにて操作しながら進められるアクションアドベンチャー。左スティックで兄、右スティックで弟を別々に操作するという独特な操作方法が一番の特徴と言える。キャラクターの操作はスティックによる移動とトリガーによるアクションだけなので、両者を操ると言っても複雑な操作が要求される訳では無い。 ゲームのデザイナーであるJosef Faresは自らをゲームの大ファンだと語っているが、彼のゲームに対する考え方がこのBrothersの内容にも強く影響しているので先にそれを記しておこう。まず彼が最も影響を受けた好きなジャンルはトップダウン視点のRPGで、特にスーパーファミコン世代の作品である『聖剣伝説2』, 『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』, 『クロノ・トリガー』がお気に入り。 Brothersが主に引きの見下ろし視点を採用しているのはそれ等のカメラ位置からの影響だそうだ。 自身が映画監督であることから映画的とされる作品にはやはり興味があっていろいろとやっているが、例えばHeavy Rainは特殊コントローラーでの操作が難しいのでEasyでプレイする事になったし、The Walking DeadでもQTEの連続に苦労させられた。自分としてはゲームは楽しむ物であって、チャレンジ要素が高い方が面白いという見方には反対であるとしている。実際にこのゲームも難易度設定は無く、その単一難易度でのプレイは適度なチャレンジがあるのみで大半のプレイヤーにとっては平易なレベルとなっている。 映画的なゲーム全般において、どのゲームも映画に近過ぎるというのがむしろ問題という不満を抱いており、上記の2作品もコントローラーを操作せずに観るだけの時間が長いと漏らしている。あるいは小島秀夫監督のファンなので全部やっているが、これもまた映像シーンが長過ぎるという感想。ゲームはインタラクティビティという映画には無い武器を持っているのだから、それを有効活用して映画とは異なるアプローチを採るべきだという持論。この作品も最大限にインタラクティブな物となる様に心掛けてデザインしたと話している。 最後に最近の多くのゲームは無駄に長くて、しかも延々と同じ感覚での繰り返しプレイが多い。常にフレッシュな感覚でゲームが進められるべきで、その為にコンテンツが少なくなってプレイ時間が短くなってもその方がずっと良いとしており、実際にこのゲームも長くは無いがチャプター毎に雰囲気が大きく変化したりするし、同じ様なアクションが延々と繰り返される様にもなっていない。この辺は現時点での最新作であるA Way Outでも同じである。 二人のキャラクターを同時に操作するなら、それを二人で別々に受け持ってCo-opをしても面白いのでは?となるのは当然の発想だが、Josef Faresによれば「一人で二人の兄弟を操作しながら進めるという所に意味があるのであって、二人でそれを分担してやっては根本が崩れてしまう」として非対応になっている。Starbreezeやパブリッシャーからは何の強制も受けなかったので問題は無かったのだが、マイクロソフトからは契約時に「Co-opを求めるプレイヤーは多い」, 「Co-op対応の方が売れる」といった感じで熱心に対応を勧められたそうだ。その推奨に反対する説得の結果として全員が納得してくれるとまでは行かなかったが、とにかくCo-opには絶対に非対応という主張で押し切っている。Co-op向きに見えるのに何故ダメなのか、その意味はゲームを(コントローラーにて)クリアすれば解るだろうとだけ書いておく。 |
GAMEPLAY |
4〜5時間程度のボリューム。リプレイ性があるという感じのゲームでは無いし、エンディングは一つだけでマルチエンディングでもない。しかしこのゲームは脇道が多く設けられており、初回プレイで見逃している物を探して楽しむという面は残されている。Josef
Faresは実績(トロフィー)が好きでは無いが設けないとならないルールなので、ゲーム本編には関連させずに脇道に全てを配置するというデザインにしたそうだ。同時にアイテムを収集したりするのは詰まらないので、各所に本編クリアには関係のないちょっとした作業が用意されており、これを達成する事で実績が解除されるという風にされている。 舞台となるのは空想のファンタジー世界であり、トロールや巨人族といった存在が普通に出て来る。この辺りのイメージは地元スウェーデンの民間伝承や神話に影響を受けて作られている。独特の要素も多く含まれるがその世界観についてはゲーム中に解説されず、どんな世界なのかは幾つもの謎が残されたままに終わる。特に深い設定も無く作られているのではなくてちゃんと世界観の背景設定は存在するが、この世界の背景がどんな風なのかは各ユーザーのイマジネーションに任せたいという理由から明かされていない。なお一見すると子供向けのほのぼのとしたファンタジー世界に見えるかもしれないが、CEROのレーティングでは17歳以上推奨のDとなっており、ホラーもしくはグロテスクな印象を受ける可能性があるシーンも含まれているので注意。 キャラクター達が喋るセリフは人工の言語となり、実質ゲーム内での全ての内容説明は言葉のトーン, ジェスチャー, 表情等にて表現される。ちなみにこの人工言語はJosef Faresの出身地であるレバノンで使われているアラビア語をベースにして作成されている。 ストーリーの内容はネタバレになるので書けないが、感動的で壮大な話とかではないし、大冒険のエンターテイメントといったタイプの話でも無い。ストーリー自体の出来は良いと思うのだが、どういう意味で良いのかはネタバレに繋がってしまう恐れがあるので省略。書き添えておくとゲーム内に配置されている様々なオブジェクト類に干渉する事が可能なのだが、その反応やリアクションは兄弟で異なるのでいろいろと試してみると面白いだろう。 ゲームの基本的な内容としては二人の兄弟を操作し、その身体能力や道具を使って様々なアクションを行い物理的な障害を乗り越えて行く。時にはどういう風に障害を突破するかというパズル要素も含まれるといった感じのアクションアドベンチャー。イメージとしては有名な作品では(初期の)Tomb Raiderみたいなゲームというのが一番解り易いか。ただしアクロバットアクションシーンでの難易度が高いという印象が強いこのシリーズとは実際の中身は大分異なっている。武器を使っての戦闘要素も無し。 まず操作はかなり簡略化されており、通常移動中にはスティックを倒しているだけで自動的にジャンプしてギャップを飛び越える, 丸太渡りなどではバランス操作は必要ない, アクションボタン押下で近くのポジションに自動的に付いてくれる, 通常移動中には縁部分で自動的に止まり落下死無し。なおこの手のゲームでは普通だが兄弟の身体能力は非常に高く、掴まっている状態から腕だけの力で身長の何倍もの高さをジャンプも出来たりする。 アクションを達成する為の難易度の方も特に高くは無く、両手で兄弟を操作すると聞くと相当ややこしそうな感じもするが実際にはそうではない。タイミング要のジャンプ等の精密なアクションが要求されるシーンにて両方の兄弟を同時に操作する必要があるケースは滅多になく、大抵は順に片方ずつを操作して進めていく事が出来る。(同一画面内に居ないとならない移動制限があるので片方を完了させてからもう片方とは行かないシーンもあるが少数)。アクションボタンは一つだけなのでその意味でも難易度は低い。そして兄弟を連動させて動かすシーンはスティックの向きにだけ注意すれば良いというパターンがほとんどなので、こちらもまた特に難しくは無い。 ジャンプするシーンでは下に地面があるなら高所から落下してもダメージ無しで、下に足場が無いときのみ死亡扱いとなる。ジャンプした際に物を掴んだりするアクションにトリガーボタンを押下する必要はあるが、そのタイミングがシビアといった事も無し。失敗したとしてもチェックポイントの間隔は短いという親切設計でもある(カットシーンから再開されるシーンではそれを飛ばせない仕様なのは面倒だが)。そんな中で難しいタイプとすれば達成に時間制限が設けられているシーンになるが、こういった箇所は少ない。 ただし何の苦労もなく進められるといった設定では無く、適度に失敗は発生する程度の難易度に設定されている。難易度設定は単一だが、この辺の難易度設定のバランスは上手く調整されているなという感想。もしかしたら連続で失敗すると自動的に難易度が調整される機能が存在しているのかもしれない。 パズル要素も含まれているが、こちらも長時間頭を悩ませる様な難解な物は出て来ない。兄弟の特定の片方しか出来ないという作業はあるのだが、これはすぐに理解出来るので問題無し。画面内のキャラクターが方向を指し示してヒントをくれたりする機能も備えており、ちょっと考えれば解法が理解出来る物が大半である。逆に言えばパズル要素に期待される方には物足りないかもしれない。アクションとパズルの両者のバランスにおいては、アクションの方に比重が掛かっているデザインと言える。 いずれにせよストーリー展開やゲーム進行のペース重視というゲームであり、パズルや各種アクションのチャレンジ度合いを高めてその克服を楽しませるという設定では無い。よってパズルとアクションのどちらにでも高い難易度を求める方には物足りないであろう。 特筆すべき点としてはカメラアングルが挙げられる。キャラクターの移動はカメラ基準となりキャラクター基準(ラジコン操作)ではない。キャラクターが障害物の陰に隠れてしまう箇所では透過された外形が表示される仕様。厄介なのは操作するキャラクターが二人居ることで、お互いが離れてしまった際にどこにカメラ位置を持って行くのかは難しい問題となる。カメラは左右バンパーで回転させる仕様だが、やはりあっちに回したりこっちに回したりがしょっちゅう必要となっては面倒。その点このゲームでは自動的に移動するカメラ位置の調整が良く出来ており、ゲーム中に見辛いからという理由でカメラ操作を余儀なくされるケースが少な目に抑えられている。このカメラ位置の自動調整はゲームの製作において最も苦労した点だと語っており、専任の担当者を設けて開発期間中ずっと調整していたそうだがその成果が出ていると言えよう。 |