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シ ス テ ム |
キャンペーン 難易度設定は無し。アイテム持ち越しの二周目やクリア後の別モードは備えていない。 セーブ&ロード オートとマニュアル兼用。セーブ可能な場所がマップ内に有ってそこで無制限に行える。セーブ保存は1箇所だけだが、チャプター選択によるやり直しは可能。 セーブの仕様はその時点でのステータスを正確に保持するのでは無く、実質「そのセーブ地点からの移動のやり直し」という場所のみを保存する方式。前回のセーブ後に達成した行為や入手していたアイテムはそのままの状態でセーブ地点からのやり直しという親切設計(全てでそうなのかまでは未検証)。 OBJECTIVES 現在の目標の参照機能や矢印による方向ガイド機能は無し。ミニマップを含めてのマップ表示機能なども持っていない。 英語(日本語訳) 現在は日本語に対応している。日本語化の品質は高く、画面表示が縦書きに変更されていたりと細かい。変な訳も見当たらず自然である。日本側も協力して時間を掛けたそうでその成果が出ていると言えよう。 なおキャラクターのボイスは元から中国語版でも無いので日本語での音声も無し。 その他 *キーアサイン不可×, マウス感度設定不可×, マウス反転不可×, 明るさ調整可○ *Steam実績対応 |
BASICS |
トップ頁で大ヒットして売り上げも好調と書いたが、開発チームがそれで万々歳!という心境なのかというとそうでは無く、ガッカリさせられている部分もあるとコメントしている。その点を含めてまずはこのゲームの基本コンセプトを説明しておこう。 全ての根本は「地元台湾を舞台にしたり、その文化を扱っている(メジャーな)ゲームが存在しない。では自らそういうゲームを作ってしまおう。」という発想に始まっている。次にストーリー面を極めて重視。ナラティブなゲームとして、ゲームプレイだけでストーリー性は無いに等しいといった感じのゲームにはしない。そしてゲームのジャンルとしてはホラーとなり、タイプとしてはジャンプスケアに頼らないサイコロジカルホラー系。最も影響を受けた作品はサイレントヒルシリーズとしており、他には同じ横スクロール物の名作としてLone Survivorなどを挙げている。 以上を踏まえてゲームのプロデューサーであるYao Shun-Tingは当初「ではどういったゲームにするのか?」というアイディアを自分一人で考えていたが、彼はジョージオーウェルの『1984』に多大な影響を受けており、それを基にして彼が高校生だった1990年代の台湾を舞台にしたディストピア世界というSFホラー設定が最初のデザインであった。その後プロジェクトが具体化するに当たって舞台設定についても話し合いが行われ、そこで初めて1960年代の台湾という設定に落ち着いたという経緯になる。当時の政府による監視社会と皆が疑心暗鬼で疑い合っているという状態が、一種の閉塞的なホラー環境を生んでおり舞台に相応しいという意味で採用されたそうだ。 つまり優先順位としては「台湾文化がテーマ」, 「ストーリー」, 「ホラー」の方が上で、その後に「1960年代の台湾における白色テロ」が来るというだけに過ぎなかった。実際に彼等はこのゲームはコアなゲーマーにしか売れないだろうと考えていたそうだ。ところが白色テロの時代を扱っているという事から台湾のマスコミに大々的に採り上げられる様になり、普段はゲームに関心が無い人達までが話題にするという社会現象にまで至る。その結果まるで白色テロによる政府の圧政を現代に告発する事が目的で作られたゲームであるかの様に受け取られてしまうケースが増えてしまい、本来アピールしたかった台湾文化の背景やストーリーの内容がオマケの様な扱いを受けてしまったりしており、売れはしたがその点が残念だと述べている。 つまり当時の政府による圧政を今でも許してはならないといったメッセージ性は一切含まれておらず、それが善or悪だったという主張も行っていない。あくまでもそういう時代があったという内容を扱っているだけであり、判断は各個人にお任せするという立場である。単に背景設定として当時が選ばれただけで、他に理想的だと考える物があったら別の時代設定になっていた可能性もあるとしている。 メインとしている台湾文化の採り入れに関しては難しい部分もあったそうで、ユニークな設定にしたいとは考えたがあまりにもユニークな要素を入れ過ぎてもマイナス面が生じるとして調整されている。これは外国のプレイヤーに説明を要するような要素やアイテムを大量に持ち込んでしまうと、ストーリーの方に集中出来なくなるとか一々説明を読ませる必要が出て来てテンポが悪くなるといった件を指す。そこで台湾独自では無く、より知られているであろう中国本土の方の素材なども持ち込まれている。 インターフェース関連。横スクロールによる移動方式。操作方法はマウスのみでキーボード操作やコントローラーには対応しておらず、キー入力やスティック操作でキャラクターを動かす事は出来ない(エミュレーターでも使わない限りは)。マウスで画面をクリックしてそこへ移動させるという方式である。なお移動速度は一定で、ダブルクリックで走るといったシステムは導入されていない。ポイントアンドクリック方式が理想という事で他の操作方法への対応は考えていないとしているが、その後PS4への移植が実行されてそちらはコントローラーでの操作になるので、将来的にはPC版でも対応されるかもしれない。 観察したり操作出来るオブジェクト類にはそれに応じて目や手のアイコンが表示される。インベントリー画面は下部に表示と一般的なポイントアンドクリックのアドベンチャーゲームをプレイしたことがあるなら特に違和感なくプレイ出来るはず。ラジオのダイヤルの様な回転操作を行う物ではマウスの平行移動で代用出来たりと考えられている。 |
GAMEPLAY |
キャンペーンのボリュームは4〜5時間程度。謎解きは多いのでどれだけ詰まるかによって変化はする。リプレイ性は薄いがエンディングは二つ用意されているので、最後のチャプターのみリプレイ性があると言える(最後のチャプターでのプレイで分岐する)。 最初のプロローグでは男子生徒のWei Chung Ting(ウェイ)を操作するが、実際の主人公はFang Ray Shin(レイ)の方で本編に入ってからは彼女への操作に切り替わる。 タイプとしてはホラーをテーマにした静的なアドベンチャーゲームの色が強く、スキルを要求されるアクションが必要なシーンはほとんど無いし、その数少ないシーンにおいても難易度としては高くない。こういう横スクロール物を見ると、追って来る敵から必死に逃げるというスタイルを連想される方も多いと思うのだがそういったゲーム性では無い。ゲームの大半は謎解きを達成する事で進行していく。 ストーリーは良く出来ており、力を入れているだけあって高い評価を与えられる。ホラー物と言うと怖がらせる事を優先してストーリーはおざなりという物も少なくないが(別にそれでも良いのだが)、この返校ではホラー物としては稀にみるというレベルで秀逸に仕上がっていると思う。台湾文化の導入も新鮮でユニークな印象を与えるという効果を挙げており、あまりに珍しい風景や物ばかりでそちらに気が行ってしまうという事も無くバランスも良好。背景世界はリアル設定ではなく異世界や精神世界系となっており、その観点からもユニークなロケーションや設定が多数出て来て楽しめる。 移動や探索全般。クリックによる移動は特にストレスは無いし、キー入力だとずっと押していないとならない所を省略出来るのは利点。ただしクリック位置が表示等のポイント箇所でかぶってしまい、移動操作では無くそこの説明文が出てしまうというミスが時々発生してしまうという問題はあり。横スクロール表示形式にも特にやり難さは無いが、画面が切れた先が見えないので敵の位置が掴み辛いというケースは発生してしまう。後は横スクロールなので探索時に奥行き方向をクリックしてそのエリアに移動するという事が良くあるのだが、この行かれる場所が判り難い地点もあった(背景がドアならばクリック出来るとすぐに判るのだが、そうでは無いがクリックして移動出来る場所もある)。 パズル関連。パズルは非ロジック系が多いが特に難しくは無いという感想。頭を悩ませる手応えのある物を求める方には物足りないであろう。インベントリーに大量にアイテムが溜まるとか、ずっと先で使われる物が在るとかは無しで、大体近場で使われる形にされており悩む必要性が少ない。それとヒントが用意されているケースも多い。インタラクト可能なオブジェクトも解り易く、「これは取る事が出来たのか」とか「ここは操作可能だったのか」といった箇所は一つも無かったと記憶している。この辺はストーリー重視という話なので、あまりにパズルで悩ませてそちらに注意が向いてしまったり、一つの場所で長時間詰まらせてストーリー展開のテンポを悪くするという状態を嫌っての難易度設定では無いかと推測している。 ホラー要素については二つに分けて考えたい。先に襲って来る敵の方だが、こちらはほとんど怖くないという印象。まず戦闘要素は無しで敵は避けるしかないというデザイン。徘徊していて主人公が回避しないとならないタイプは2種類のみだが、どちらも回避する方法が説明されるし、それを実行するのが難しいという設定でも無い。また失敗したとしてもやり直しのペナルティが少ない為にプレッシャーも掛からないという感じになるので怖さは軽減されている。敵の外観その物にもデザイン的なユニークさはあっても怖さはほぼ無し。そして後半になるともう出なくなってしまうのもあって、そもそも敵の出現で怖がらせるという意図自体を大して持っていないようにも感じられる。この敵についてはもっと怖い方がより楽しめたという点でマイナス評価にさせてもらう。 次にホラー演出の方だが、ジャンプスケア系は少なく雰囲気的な怖さを重視しておりこちらは出来が良い。第一に演出の手法にユニークな物が多くて新鮮である。ホラー物では怖がらせ方が定番化してしまうきらいがあるが(突然襲って来て大音響というジャンプスケアがその最たる物)、このゲームでは独自の手法で怖がらせるケースが多くてホラー物をやり慣れていたとしても楽しめる出来映え。第二に発生のタイミングが上手い。あまりにもホラー演出を連発するとプレイヤーが「ここでまた来るんじゃないか?」と身構えてしまって怖さが薄れるという状況は良くあるが、返校ではホラー演出の発生回数自体が少な目になっており、その分だけプレイヤーが油断しているタイミングで突然驚かされるというケースが増えており効果的である。 最後に残忍さやグロテスクな表現等が気になる方も居ると思うのだが、不気味なシーンは結構出て来るが特に直接的でドギツい表現(グロい死体等)などは無し。ただし一箇所だけこういうのは苦手な方も居るのではないかと思える箇所はあった。具体的には(軽いネタバレにもなるので以下反転) 身体を切り刻むようなシーンがある。 |