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シ ス テ ム

キャンペーン
 難易度は無し。一度クリア後に開発者コメンタリーモードと自由探索モードがアンロックされる。

セーブ&ロード
 オートセーブだがクイックセーブにも対応している。ただしスロットは共有で一つしかない。ゲーム全体では4個のセーブスロットが用意されており、スロット間でのコピーを行う事が出来るという仕様。例えば途中で後の分岐用に途中経過を保存しておきたいという場合、別スロットにコピー後に進めたりする事が出来る。

OBJECTIVES
 マップを携帯しており取り出して現在位置を参照可能。コンパスも持っており、コンパスだけを表示させる事も出来る。各地に点在する保管箱を開けるとマップの内容が更新されるという仕組みも有り。ミニマップ機能は無し。現在の目標はその地図を取り出せば表示される。これらの機能はリアリティを求める方には好みでON/OFFも可能にされている。

言語
 日本語I/Fに対応している。音声は英語のみだが会話字幕有り。ゲーム内の書類関連も日本語化されている。日本語翻訳の質も良好。だが現時点ではコメンタリーモードにおいては字幕表示に非対応である。


その他

*キーアサイン可○, マウス感度設定可○, マウス反転可○, 明るさ調整可○
*一人称視点固定, FOV調整機能無し(変更手段は一応用意されている → トラブルの項を参照)
*スプリント○, 屈み×, ジャンプ×(乗り越えや飛び降りが可能な箇所では表示が出て、アクションキーで自動実行される)
*照準(カーソル)有り
*Steam実績対応

・インベントリーの機能は無し。取得した物は(最低限)日にち切り替えまでは所持した状態になっているが一覧を見たりは出来ない。
・手に取ったアイテムを正確に元の場所に戻すには、元有った場所を指し示した状態で捨てる

BASICS
 どんなゲームなのかを説明するのにウォーキングシミュレーターというジャンル名が使われている。しかしこのWSという言葉にどんなニュアンスを感じるのかによると思うが、個人的にはちょっと違うなという感想を持った。私のイメージではWSとは“自由な探索(ルート選択)”, “マイペースで進められる”というゲーム性だが、このFWでは大半のパートにおいて「やるべき目標」が与えられており、それに従って移動するのでストーリーを進める為のスクリプトに沿って進行しているという感が強い。よってWSをプレイしているという感覚は薄い。なお時間制限などは無いので緊急に思える様なシーンであっても自由に探索(寄り道)は可能にされている。

 進行は日にちで状況が切り替わって行くシステム(1日ずつ順に進んで行く訳では無い)。ある日の目的が終了するとゲーム側のタイミングで別の日に切り替えられ、その次に何日後から始まるのかや、各日のスタート地点&時間帯は常時変化する。毎日の終了時には監視塔までちゃんと移動して戻らないとならないとか、毎日必ず監視塔から目的地点まで移動しないとならないといった仕様では無いので移動距離は長大では無い。それと自由に探索は出来ると書いたが、アイテムやイベントによっては特定の日にちでなければ存在しない, イベントが発生しないという風に設定されている為に、常時自由探索を行えるというデザインにはなっていない。自由探索はクリア後の探索モードでという方向性である。


 ゲームのメインとなっているのはヘンリーとデリラとの間での無線機による通信であり、これはどういうシステムになっているのかを先に説明しておく。デリラから通信が入った際には画面向かって左側に通信アイコンが表示されてそれを知らせる。逆にイベント等でヘンリー側から連絡をするべき状況においては右側に連絡可能のアイコンが出る。通信キーを押下すると無線機を取り出して応答するが、その際に最大で4個までの選択肢が表示されるケースも有って何と応答するのかを自分で選べる。ただし返答には時間制限が設けられており、バーが尽きる前に答えを選択しなかった場合には「返答をしなかった」ものとして扱われる。選択可能時間は別に短くは無い(特に日本語化されている現在では選択肢を理解するのが間に合わないという事は起きないはず)。別の言い方をすれば、答えたくないなら「返答しないという選択肢」も可能という事になっている。

 それ等とは別に様々なオブジェクトの中には通信アイコンが表示される物が多数存在しており、そういった物についてはデリラに報告する事も出来る(それが会話に繋がったりもする)。一方でそういったオブジェクトを彼女に連絡するかどうかは自由であり、見付けたら片っ端から報告を行わないとならない訳では無い。またこの連絡の自由は通信全般に及んでおり、それをやらないとゲームが進行しないという通信以外をどうするのかは全てプレイヤー側に委ねられている。会話の最中に返答をせずに勝手に打ち切ってしまう事も出来るし、何なら必要な事項以外は全てだんまりを決め込んでデリラとの会話を出来るだけ避けたいならそうしても良い。


 特筆すべきは会話選択肢による受け答えの複雑さと変化で、これがメインの要素だけあって作り込みが凄い。上記の様にヘンリーがデリラに対してどんな風に答えるのかは選択が可能な件が多いし、また答えないという選択肢の自由度も含まれている。それ等の影響がちゃんとその後に反映される様に会話システムが構築されており、それまでの受け答えに応じて出現する選択肢が変わる事もあれば、同じ選択肢を選んでもデリラの発言が変化するという風にもなっている。例えばヘンリーがこの隔絶された監視塔の仕事に募集して来たのには理由があるが、その理由をどこかのタイミングでデリラに話すのかどうかは自由である。そして話さなかった場合には当然ゲームが終わるまでデリラはその事を知らないままになるから、その辺りに関連した会話での発言は変化する様になっている。よってその会話の分岐や変化を楽しむのが好きという人にはリプレイ時の楽しみが大きいゲームとも言える。


 基本的な背景設定における違和感(欠点)としては双眼鏡を持っていない点が挙げられる。主な仕事は火災の監視だし、これだけ広大なエリアを観察するのだから持っていないのは変だと思うのだが存在していない(臨時雇いのヘンリーが持って来なかったのはともかくとしても、備品として高性能の物が用意されているのが当然ではないか)。実際のところは「ヘンリーが双眼鏡を持っているとゲームの設定上都合が悪い点が出て来るから」という理由なのだろうが、非常に奇妙に感じられる一件ではある。

 状況としてはヘンリーは双眼鏡を持っていないので、デリラの監視塔を目視する事は出来るが詳細を確認する事は出来ない。一方でデリラはそこそこの性能の物を所持しており、ヘンリーの監視塔を見て外周部に立っている彼の外形を確認する程度の事は出来る様になっている。付け加えておくと両者の監視塔は崖により物理的に隔絶しており、ヘンリーが徒歩でデリラの監視塔を訪問するという行為は不可能にされている(移動手段は有るのだがヘンリー側からは自由に使えない)。

GAMEPLAY
 探索や寄り道などをしながらで5時間程度。今何をすれば良いのかという指示は常時出ている為に、ひたすらそれに従って進めれば3時間程度でクリアも可能。この点が発売当時、20ドルという定価に比して短いと結構批判を受けて評価を下げている。短くなる理由としてはその他に、オープンワールドでは無いので広大なエリアを探索したりする事を楽しめる様なコンテンツはほぼ用意されていないというのも有り(故に寄り道をしないプレイヤーが多い)。一直線に進めていると通らない場所にある種のオブジェクトが存在していたりはするが(実績繋がり等)、非常に重要な内容ではないので無視してもクリアに向けては大して問題にはならない。

 マップサイズとしては森林公園という設定から事前に想像していたほどは広くない。広大な森林公園の雰囲気を高めるには縦横2倍でこれの4倍程度の面積は有っても良かったかなと思うが、何も起きずにただ移動する距離が長くなるという問題も発生してしまうし、それで数時間ボリュームが増えても意味がない。プレイヤーに常に指示を与えてスクリプトで展開させるゲーム性なので、それを考えるとこの広さはバランス的には丁度良いとも言える。全体マップが比較的解り易く、目印や重要地点も表示されるので親切である。ただし見た目に判り易い道が常に存在しているとは限らないし、段差を乗り越えたり飛び降りられるのかは“可能”と設定されているかによって決まるので、見た目でそこを通れるのかは判断し難いケースもあって、ある程度はルート探しに迷う事も発生すると考えておいた方が良いだろう。移動に関連してはマップを出すと走れないというデメリットがあり、マップで位置を確認したら仕舞って再度スプリントに切り替えという操作を繰り返し行ったりするシーンはよく出て来る。コンパスだけを表示させる分には走れるので、ルートを記憶してなるべくマップは出さない様にした方が楽。

 広大な自然公園内はリアルなグラフィックスではないが独特なアートによって仕上げられており雰囲気は良い。日によって時間帯が変わるがそれに応じての景観の変化も綺麗である。徹底してリアル路線の美麗なグラフィックスで描かれた森林公園内を探索するのも面白いのだろうが、FWの良さは一種のアートとして描かれている森林公園内がそれはそれで独自の美しさを持っているという所にある。ただし中身についてはリアリティに欠ける面もあって、例えば野生動物の姿を見掛ける事はほとんど無いという点には違和感あり。


 アクションゲームとしてのスキルを要求されるシーンは無し。目的の実行における時間制限も無い。謎解き, アイテム探し, ルート探しといったパズル要素は少し含まれてはいるが難解では無い。必然的に移動の時間が長くなるが、その間においても会話が発生するゲームなので移動中はひたすら退屈という事にはなっていない。


 オープニングの演出は上手い。予算の無いインディーズゲームでは別撮りのCGムービーを制作したりは困難で、ゲーム内エンジンでの演出以外に別に作るなら一枚絵の紙芝居方式とかになりがち。それと初期設定をちゃんと解説しておきたいと考えてオープニングを長くするとスキップされてしまったり、飛ばせないなら今度はその点で不満を買うという風にもなってしまう。このゲームも低予算なのは例に漏れず、オープニングは全てテキスト表示のみでの構成になっている。そしてその説明文はとても簡素。だがユニークなのはオープニングが全編に渡って選択肢による進行とされている所で、プレイヤーは連続して2択のどちらかを選んで進めて行く。その様にオープニングからプレイヤーをゲームに参加させる事で、一方的に説明されて飽きてくるという事態を回避している。また選択によって「ヘンリーがこの仕事に募集してきた理由」などの背景設定の大筋が変わる訳では無いのだが、選択した内容の一部はゲーム中の会話や選択肢にちゃんと反映される様にもなっており、プレイヤーの行った選択が意味のある物だったと感じさせるのも良い点である。

 もう一つゲーム終了後のクレジットロールの演出も良い。これはネタバレにもなるので解説はカットさせてもらうが、大して時間は掛からないので最後まで見るべきだろう。

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