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シ ス テ ム |
キャンペーン 難易度は無し。アイテム持ち越しの二周目やクリア後の別モードは持っていない。 セーブ&ロード セーブはオートセーブ(1箇所のみを上書き)と任意セーブ用のスロットが30個。ロードは一度終了させてメインメニューに戻ってからでないと出来ない。またセーブ画面に入るにはキャラクターに操作が移った状態でないとならず、例えばマップ切り替え後に自動の会話シーン等が続くケースではそのシーンが終了するまで長時間セーブが出来ないという事もあり。 クリアしたチャプターのアンロック機能は無し。 OBJECTIVES 現在の目標の参照機能, アイコン表示や矢印による方向ガイド機能は無し。ミニマップを含めてのマップ表示機能なども持っていない。 言語 ボイスは無しで全て字幕表示。英語には対応している(日本語には非対応)。 その他 *キーアサイン不可×, 明るさ調整不可× *スプリント×, 屈み×, ジャンプ× *照準(カーソル)無し *コントローラー対応○ *Steam実績対応 操作はキーボード&コントローラーのみでマウス操作には対応していない。カーソルキーで移動, ZかSpaceでOK, XやESCで“No”や“戻る”などRPG Makerのデフォルト設定から操作の変更も出来ない。 |
BASICS |
2Dでの移動で探索しながらパズルなどを解いていく形式。ストーリーに重点が置かれておりそこそこ文章量は有り(大量では無い)。 中国人の作で同じく中国が舞台という事で当然気になるのは現地の知識関連。まず2004年頃の中国人には懐かしい要素が多数ゲーム内に鏤められているそうなのだが、やはりその辺はどれがそうなのか理解出来ず。他にその用語自体の意味は解るのだが、中国社会においてはどの様な意味合いを持っているのかがハッキリとは判断出来ないといった件も幾つかあり。中でも話を理解する上では重要と思われるある事項については「中国における○○」という形で検索して調べたりもしたが、現地の人達と同様にその件への感情を掴めているのかは解らない。結果的にどれだけ現地の中国人と同レベルで内容が理解出来ているのかにおいては疑問符も付くのだが、「異文化過ぎて話が理解不能」とかでは決して無く大凡は解るはずなのでひどく気にしなくても大丈夫であろう。 問題に感じられたのは登場人物の名前。英語圏ユーザー向けに英語翻訳したのだから当たり前なのだが、中国人の名称が読みで英語化されているという設定。しかしこれが(おそらく)日本人からすると解り難い。どれが誰の名前なのか序盤は混乱する羽目に(常にフルネーム表記では無いのも解り辛さに拍車を掛けている)。制作者側に非は無いが、日本人向けには中国語での名前の漢字表記はそのままにして読み仮名で英語表記を並列するという方式の方が有り難かった。あるいはインベントリー画面を利用して登場人物の立ち絵とセットで人物情報に参照出来るとかでも良い。この件についてはヒントの項に登場人物の紹介を記載しておくので混乱した方は参照して欲しい。 プレイ前の想像と違っていたのは主人公の設定。この手の作品では多くの場合、主人公が持っている特殊能力を駆使して謎解きや解決に挑むというスタイルになっているものだが、主人公の警官Lin Lixunは小さい頃にシャーマンから特殊な能力を持っていると指摘されており自覚もあったものの、これまでにその能力を使った事が無い。と言うか自分の意志で自由に能力を使う事は出来ないという設定で、今回初めてそれが自動的に発動して最初は自分でも何が起きているのか解らずに混乱している。 その能力は明確に「○○出来る能力」とは決め難く、広義の意味では「死者の世界と交流出来る」という能力なのだろうが発生する出来事はかなりバラエティに富んでいる。死後の世界へと行く, その場所の過去の時間軸へと訪問, 過去の出来事を再生して観られる等。そして本人が知らない内に能力が発動して奇妙な世界へと訪れた状態になっているという巻き込まれ型である。その中を探索している内にいろいろな事が解ってくるという風にしてストーリーは進められる。 ホラーと銘打たれているがその要素は薄め。ストアの説明文にも「ジャンプスケアは無し, 敵に追い掛けられて隠れたり逃げ回ったりもしない, 幽霊などを見掛けるケースは稀」と記載されている。気味の悪さという面は感じられるがそれ程ドギツいものとはなっていない。ホラーに寄せた作品では無いというのはプレイ前から知っていたが、想像していたよりも更にホラー要素は弱めという感想。 |
GAMEPLAY |
ボリュームは5時間半程度。マルチエンディングでは無いしストーリー分岐も無いのでリプレイ性は低い。実はプレイ前にはあまりボリュームはない(3〜3.5時間程度でクリア出来てしまう)と聞いていたのだがもっと長く掛かっている。まず中国ネイティブに比較すると文章理解に1時間程度は長く掛かるというのはあると思うのだが、他にもっと大きな理由が存在する。 移動中にUseの対象物にはアイコンが表示される仕様で、また移動が2Dのみなので見落としが発生する可能性は無く、とにかくアイコンが出るまで移動を続けて出たらUseしていれば良いという親切設計(一部イベントが発生するまでは通っても反応しない, Use出来ないというケースはある)。よってゲームをスムースに進める事が出来る。しかし実はアイコンが出ない場所でもインタラクト出来る箇所が結構用意されており、ゲームをクリアするのに必須の箇所はアイコンが出るが、それ以外のストーリー補完をする情報等にはアイコンが出ないという設定。その為にゴールを一直線に目指すプレイヤー or アイコンが出ない場所でもインタラクトは出来るという点に気付かないプレイヤーだとクリアまでは早く、一方でインタラクトが出来る場所を全部探そうとするプレイスタイルだと数時間加算されるという風になっている。 パズルは随所に出て来るが総じて簡単な部類。純粋なパズル(スライドパズル, パイプ連結等)、暗証番号探し、周囲の情報から正解を見付けるパズルなど。他に何でそうなるのかといった理屈の通らない異世界系のパズルなども含まれるが難しくは無い。なおインベントリーを表示させる事は出来るが、必要なアイテムを持っていれば自動的に使用される形式なので開く事は滅多に無い。時折出て来るミニゲームも同様で詰まったりする可能性は低い。 選択肢が出る箇所も有るが、不正解だったら選び直しになるだけで失敗はなし。クリアするのにアクションゲーム的なスキルは必要が無いし、ゲームオーバーも存在しない。ただし1箇所だけ制限時間が表示されるシーンが在るのだが、その時間制限に意味があるのか未検証である(○○を達成しろとなるが、それをやらなくても自動的に達成した事になって話が進んでしまう。失敗する可能性があるのかが不明)。 ゲームの核だとするストーリーについてだがまずは概略から。ある夫婦が一人息子とその嫁、そしてその小さな娘と一家5人で暮らしていた。しかし2年前に息子が病気によって急死。以降は一家からは明るさも消えて暗い空気が漂っていた。そんな中である日この夫婦と孫の3人が毒殺され、嫁は首を吊って自殺するという凄惨な事件が発生。女性は夫の死亡以来精神的に不安定な状態とされており、それが原因となっての犯行後に自身も自殺したと見られていた。更にこの事件に関連してオカルト的な出来事も報告されているという状況でもあった。 主人公は当初の葬儀場での放火事件の調査から、意図した訳ではないのにその能力の影響によってこの事件に巻き込まれてしまう(放火事件はメインの事件と関係があって後にそれは明らかになってくる)。その際に亡くなった子供のクラスに臨時で赴任していた女性教師と遭遇。彼女は殺人犯とされている母親の事も知っており、彼女の犯行とはどうしても思えないとして独自で調査を行っていた。主人公はこの女性と協力体制を敷いて事件の謎に迫っていくという物。 ストーリーの魅力の一つ目は意外性。事件の真相は相当に意外である。特に事件の発生する原因となったある種の“動機”に関しては「そんな動機は想像が付かない」と驚くほどの内容になっている。確かにその動機に関連する情報は何回もプレイヤーの前に提示されてはいるのだが、そこからその動機に思い当たるというのは飛躍的な発想が必要と言えよう。それと併せて書いておくと、これは一種の推理物ではあるが「本格推理物」では無い。主人公は発見した情報などから推理を進めるが何しろ死後の世界からの情報集めだったりする為に、何が起きたのかを実際に目撃して知るというパターンが多く、情報のみから推理を組み立てるというケースはあまり出て来ない。故にプレイヤー側でも自分で推理を行って真相に辿り着ける可能性がある様なフェアな推理物とは言えないが、意外性こそが重要であるという観点からすればそこは別に問題では無い。 2番目はストーリー展開。ストアページにも「あなたは真相を知ったと思うかも知れないが、それはすぐに再び曖昧な物となってしまう」と記載されている通り、事件の推理は二転三転する展開に。「なるほど、そういう事だったのか」といったんはプレイヤーに思わせておいて、更に話が進むと「実はそうではなかった」と逆転する事態が何回か繰り返される。これもまた意外性という意味での面白さとなっているし、その展開に惹き込まれてしまう。 3つ目はオカルト要素との分離。死後の世界や死者とのコンタクトなどの超自然的オカルト要素を導入している時点でストーリー内容的には何でも有りという状況であり、例えば悪霊が取り憑いて殺人を行った等の呪いを原因として持ち込んでも別にOKなのだが、その手は使っていない。オカルト要素と事件は別物とされており、事件に関わる一連の出来事には呪いや超能力といった物は関わっていない。あくまでもこの現実世界で人間が何かを考えたり行ったりした結果起きた事態として扱われておりそこに価値がある。つまり意外性という件において何でも有りならプレイヤーが思い付かない様な真相を考え出すのはずっと楽な作業になる。しかしそこを逃げに入らずに人間世界での思惑や事象のみに範囲を留めており、それにも関わらず大きな意外性を生み出しているという点で高く評価出来る。 なおタイトルの『Firework』に関しては、実はゲーム中ずっと「なんでタイトルがFireworkなのだろうか?」と疑問に感じていた。最後までプレイすればその意味合いは一応理解出来るのだが、それでも率直にはタイトルとして適切なのだろうか?という感は残った(中国人にとってはしっくりくるのだろうか)。 |