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シ ス テ ム

キャンペーン
 難易度は無し。プロファイルを複数作成して平行プレイする事も可能。クリア後の二周目モードとして高度ニューロマッピングを持つ


セーブ&ロード
 オートセーブ。メニューから自由にセーブする事も可能だが、どの程度の精度でセーブが可能なのかは未検証(単に最も近いセーブ可能な箇所にてセーブされるだけで、正確に現在のステータスをセーブしてくれるのではない可能性あり)。

 再開の方法はちょっと変わっており、常にハブとなる各患者のスタート地点に戻される(ゲーム自体を再開した際には自室からとなる)。そこから前に終わった地点方向へと移動すると、ドア等の区切り場所にて途中を飛ばしてセーブ地点へと戻されるという方式。


OBJECTIVES
 現在の目標の参照機能や矢印による方向ガイド機能は無し。ミニマップを含めてのマップ表示機能なども持っていない。


英語
 インターフェースや字幕は日本語対応。メニューから閲覧出来るゲーム内容解説のハンドブックも日本語化されている。日本語自体も自然で出来は良い。


その他

*キーアサイン不可×, マウス感度設定可○, マウス反転可○, 明るさ調整可○
*一人称視点固定, FOV調整機能無し
*スプリント×, 屈み×, ジャンプ×
*照準(カーソル)有り
*Steam実績対応

BASICS

 肝となるバイオフィードバック機能だが、これはプレイヤーの心理的な動揺や恐怖感を読み取り、それに応じて画面が変化するというシステムになる。具体的にはマップ内状況が変化する, 暗くなる, ノイズが発生して乱れる等で、よりプレイがし辛くなるというペナルティが科せられる。よってプレイヤーはゲーム内での出来事に動揺せずに、出来るだけ平静を保ってプレイし続けないとならない。それによりトラウマ的恐怖に対する耐性を身に付ける事にも役立つという狙いである。なおIntel RealSense テクノロジーとTobii EyeX アイトラッキング・コントローラーに関しては、使用しているとその時だけ発生する専用イベントも用意されているそうだ。

 ただし私のこのレビューはこういったデバイスを使わない状態での物となる。公式にもデバイス未使用でもコア部分はそのまま楽しめるとされているが、やはりデバイス使用限定では売り上げへの影響が大き過ぎるという話なのだろう。


 そこで当然の疑問だが、何等かの形でデバイス未使用ユーザーでもこういったエフェクト類を体験出来るようにした方が良いのではないか?という発想が湧く。(過去にプレイした別のゲームで、感情の変化をキー入力でエミュレート出来るという物もあったので)。掲示板でもやはりその関連のやり取りはあって、開発側の回答としては「"non-sensor biofeedback emulation mode"の導入は確かに案としては存在しており、マウスの移動やキー入力のパターン変化を参考にして恐怖感を捉えるという試みをやってみたのだが上手く行かなかった。しかし導入を諦めた訳では無く、現在でも導入出来ないかを検討中である。」としている。


 ゲームの基本はトラウマを抱えている患者、ただし本人にはそのトラウマが何であるかという自覚は無い、の脳内を独特な世界として再現したモデルの中に入り込んで、そのトラウマの原因を探るという物になる。他人の脳内, トラウマ, 奇妙な精神世界となるとPsychonautsが有名だが、それとは大きく異なったゲームである。

 具体的な目標としては患者の精神世界の中で「記憶の写真」と呼ばれる物を収集する。これは心象風景と言うのか、文字入りの記憶の断片とでも言うのか、ある種のシーンを捉えた画像である。全部で10枚有るのだが、その内半分は患者の記憶が心理的防御等の作用により生み出した偽の写真となる。最終的にこの10枚の中から正解を5枚見付け出し、それを正確な順番に並べ替えて正解すればクリアとなる(クリア後は患者の語りが聞ける)。

 コンテンツは模擬テストとして制作されたチュートリアル的な患者の他に、プレイヤーが正式に担当する患者が4名。それぞれに繋がりは無く独立しており、全体を通してのストーリーなどは持っていない。


 各患者のマップはスタート地点がハブとなっており、ここに集めた写真が貼り付けられるボードが用意されている。幾つか行かれるルート(扉等)が存在したり、イベントが発生すると同じ場所だが様相が変わったりするという設定。ただし進行は自由では無く固定で、ルートが複数存在していても実際に通れる場所はその都度一つだけである。各ルートに有る写真を回収するとハブに戻って来て別ルート(シーン)に切り替わるという方式であり、クリア済みのルートを後戻りなどは通常出来ない(進行状況をリセットすることは可能)。目標を全部達成しないとクリア出来ないので、一周目に関してはクリア率は常に100%となる。成績計算や回収アイテムなども一周目は無し。

GAMEPLAY
 現在の患者が追加されて計4人(+チュートリアル)の状態ならば7〜8時間程度のボリュームと想定される。二周目モードは高難易度なのでやり込むとなると同程度は掛かるのではないか。

 このコンテンツの少なさは明らかな欠点と言える。プレイ時間の問題というよりも、純粋に患者数が計4名では少なくて物足りない。元々Kickstarterを開始した時点で患者数は4名の予定で(ストレッチゴールの達成で増やすとしていた)、その時の25万ドル目標が未達に終わっているので予算的な問題なのだろうが、まだ開発が完全に終了した訳では無いようだし有料DLCとしてでももっと増やすべきだろう。本体は既に75%オフとかバンドルに組み込まれたりもしているので、それとセットで合計20ドル程度であっても患者8〜10人といった内容の方が良いと思える。


 全般的な印象としては、ユニークではあるのだが捉えどころのないゲームといった感じ。目に付く特徴である2つのテーマのうちホラーの方から見ていくと、プレイ前の想像として「一般的にはホラーゲームとして知られている, 各患者のトラウマ治療をテーマにしているがトラウマ=恐怖である, センサーによってプレイヤーの心拍数や表情変化による恐怖感を捉えるシステムを使用」、といった点からかなりホラー要素に重きを置いていると考えていたのだがそうでも無かった。怖いシーンは確かに在るがそれほどホラー推しというデザインでも無く、全体に占めるホラー系シーンの割合は予想よりもずっと少ない

 過去に暴力を奮われたとか、精神的に酷く責められたとかの一般的な恐怖感をトラウマとして表現するならそれはホラーシーンに変換し易いのだが、トラウマというのは人によって異なるから必ずしもそれが万人向けに理解出来る内容とは限らない。例えば「引きこもり」の件で周囲からそれを責められたりしたのがトラウマだったとして、そういった患者の身になってそれに応じたトラウマ的シーンをゲームで体験しても、引きこもりの心理が解らないプレイヤーにはそれがまるで怖さを感じない物だったりする可能性があるという意味。実際にこのゲームにおいては最初の模擬テスト患者と一人目(#251)は割と解り易いトラウマで恐怖シーンも理解出来る(怖さが感じられる)のだが、後に追加された二人などはそれがトラウマなのは理解出来るが、少なくとも私にはその心理は実感出来るという種類の物ではないという事から、ホラーという感覚はほぼ受けない状態でのプレイとなってしまっていた。

 人により各患者のトラウマへの感じ方(実感の程度)は異なってくるが、とにかく装着したセンサーを反応させようと次々とホラーイベントを仕掛けて来るといったゲームでは無いのは確か。この辺りがゲームの微妙な評価に繋がっているのかなという気がする。(ホラーゲームとして認識されているが、物凄く怖さを追求している訳ではないからそんなに怖くは無い → 凄く怖いという評判にならない)。ただしホラーの割合が少ないとは言え、ユニークで印象に残る効果的な怖いシーンも幾つか含まれているという所は高く評価出来る


 もう一つの特徴である患者の精神世界という奇抜なデザインのマップ探索という点だが、これも期待していた程には奇抜なデザインを多用していない。風景としては普通のマップでやる事やイベントの方だけ非日常的(超常的)というシーンは結構出て来るし、やるべき事の方も日常的で奇抜さは持っていないというシーンもあるといった感じで、奇妙な世界が連続して出て来るという構成にはなっていない。こちらもまた「精神が落ち着かないような世界にプレイヤーを置いて頻繁にセンサーを反応させよう」という試みなのかなと考えていたのだがそうではなかった。よって凄く変わったシーンを数多く探索出来るというのを期待していると肩透かしに終わる可能性がある。

 プレイ感覚自体はユニークなのだが、以上の様に販売ページの宣伝文句から受け取れる二大要素である「ホラーと奇抜な精神世界」という点を強く推しているデザインでは無いという不思議な印象のゲームである。医療用のツールとしての発展も考えているというデザインなので、ゲームとしての面白さを全面的に追求している訳ではないというのが影響しているのかなとも考えている。


 謎解き(パズル)による進行が主だが、単なるアイテム回収で済むシーンもある。そのパズルは精神世界だけあって非論理系が多い。一体何をしたら良いのか判らないケースはもちろんだが、やる事は解るのだが一体これは何をしているのかが不明なケースも多かったりする。だがアクセス出来るアイテムや反応のあるオブジェクトはカーソルが合うとハイライトされる仕様で、場所によっては音も鳴るというガイド付きなのでこのタイプの謎解きは難解では無い。やる事が解らなければ反応が有る場所を探してクリックしていれば大抵は解決してしまう。一方で問題としては、視点移動の上下方向に制限があるので下方のアイテムにカーソルを合わせ辛いケースが発生する(結構多い)のと、持っているアイテムを離すと元の場所に戻ってしまう為にうっかり目的地点で置く場所を外すとまた取りに戻らないとならなくなる点。

 中には純粋なパズルもあり。簡単なところではジグソーパズルの様な目的の図柄を作る物。ボタンを押すと点灯・消灯が切り替わると共に周囲のボタンも影響を受けて変わる中で全てのボタンを点灯するように操作するといった良く有るタイプなど。他には迷路とかも出て来るし、説明を読んでその通りに操作するといったタイプも登場する。


 ちょっと意外だったのはタイミングアクションを要求されるパートが結構ある点。スプリントもジャンプも出来ない為に操作はシンプルな物で、動く障害物に当たらない様にして避けながら進むといった設定がメインとなり難易度は低目だが、効果的かと言われるとそうは思えないしどちらかと言えば要らないという意見。ダメージからは自動回復が基本なので連続してミスらなければ良いのだが、シーンによっては即死もあってそこは面倒に感じられる。大きく前まで戻される事は無いが、繰り返し挑まないとならなくなったら邪魔でしか無いだろう。

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