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シ ス テ ム |
キャンペーン 難易度は無し。エピソードが1〜4まで用意されており、最初の段階では1のみが開放されていて残りは進行に応じてアンロックされていく。ただしメニュー上から全てをアンロックしてしまう事も可能。これはどこからでもプレイ可能にするという意図では無く、発売時に「あるEPをクリアしても次がアンロックされない」という問題が発生し、アップデート等で対策は行ったものの100%完全に解決した訳ではないので、そういった障害が発生した時の非常用の意味合いで導入されている。 セーブ&ロード 各EPにてプレイ途中でのセーブは出来ない。制作側からの情報提供が無いので断言は出来ないが、少なくとも通常の進行シーンではチェックポイントセーブの様な物はされない。(もしかすると場面転換が発生したシーンにて行われているかもしれない可能性は残るが)。よってEPの途中でゲームを終了させるというのは止めるべき。とは言え進行に手間取るとクリアまでに1時間以上にもなったりするので良い仕様とは言えない。あるいはゲームがクラッシュしてしまったりでも困った事になる。よってこの途中でセーブ出来ないという件は明らかに欠点と言える。 OBJECTIVES 具体的な表示機能は無し。ESCで全般的なヒントを表示する機能は持っている。なおこれはEP毎に変わるので注意。 英語 字幕機能あり。ただしやや早目という印象で、矢継ぎ早に喋るシーンでは理解が追い付かない可能性もある。ただし理解出来なくてもゲーム進行に障害を及ぼす様な事は無く、ストーリーや現在の状況を追うのに問題が生じるという方に影響が出るだけとなる。確実にプレイヤーに理解させないとならない内容については、しばらく待てば何回でも繰り返しリピート再生されるので問題は無いはず。 他に音声を聞き取る必要があるパートも出て来る。こちらでは文章では無くスピーカーから流れる数字や単語を聞き取るのだが、ゆっくりと何回も繰り返し再生されるのでこれも大きな障害とはならないであろう。 *Steam実績対応 *キーアサイン不可×, マウス感度設定不可×, マウス反転不可×, 明るさ調整不可× *一人称視点固定, FOV調整機能無し *照準(カーソル)有り |
BASICS |
先に「テキストアドベンチャーゲーム」と「コマンド入力方式」について解説しておく。 <テキストアドベンチャーゲームとは?> その名の通りにテキストのみで表示されるアドベンチャーゲームの事で、現在ではInteractive Fiction (IF)と称される事が多い。コンピューターゲームという物が登場した最初期から存在しており、その理由は推測が付くと思うが当時の速度の遅いコンピューターでも実行可能で、かつグラフィックス機能などを必要とせずに普通のモニター画面上にテキストを表示させるだけで成立可能だったからである。おそらくこのジャンルで最も有名なゲームはZork(三部作)で、制作のInfocomはこのIF作品を多数リリースしていた著名な会社である。残念ながら同社の作品は現在ダウンロード販売されている物が少ないが、このZork関連作はSteam, GOGにて購入が可能である。 IFの厳密な定義は難しいが、基本としてはモニター画面上に表示されるのはテキストのみで画像やサウンドは一切無しという物。しかしInfocom社のゲームでは全編テキストなのを補う意味でパッケージ内に、登場人物のイメージ, 参考資料, マップ画像, オマケグッズ等が付属していたりという仕様だった為に(そのパッケージの中身はファンサイトInfocom Gallery等で見られる)、ゲーム内にてこういった参考用の画像系データにアクセス出来たりするのはIFの範囲内という認識が一般的。だが動画系のデータであるとか静止画系でも量が多かったり、あるいはサウンドエフェクトが追加されていたらもはやIFでは無いという見方もあって判断基準は統一されていない。より広い意味では“text-based game”という呼称が使われる傾向にあり、Steamでも“テキストベース”というタグで検索が可能。いずれにしろ判定機関などは存在しないので、両者を分ける基準は各人によって違うとしか言えない。純粋にテキストオンリーで他には何も無いというIFだと、アマチュアベースでは現在でも制作者とプレイヤーの両方共に一定レベルのファンを維持しているがそのほとんどはフリーゲーム。ある程度以上の規模の会社による有料製品版となると“テキストベース”の範囲ならばそこそこ有るが、純粋にテキストオンリーの作品はもう見掛けないというのが現状である。 なおIFとはあくまでもアドベンチャーゲームなので、プレイヤーが介入出来ずに単にコンピューター上で読む物語(キネティックノベル)や、全編テキストだが表示される選択肢内から選んで進めていくタイプ(Choose Your Own Adventure等)、テキスト中心のビジュアルノベル(完全に同意では無いかもしれないが日本ではサウンドノベル)などはIFとは通常は呼ばない。IFでは「プレイヤーが謎解き等をクリアしないとエンディングに辿り着けない設定」が必要という意味。しかし選択肢のみで進めるタイプでも真エンドとされている物が在って(時には複数個)、それに辿り着くにはどういう風に選択肢を選んでいくのかという一種の謎解きをしなければならないタイプならば、クリアには努力が必要となるからアドベンチャーゲームの範疇ではないかという意見もあってこれもまた曖昧というのが実情である。よって純粋なIFを検索で見付けるのは結構難しかったりする。 <コマンド入力方式とは?> 説明の必要があるかどうか迷ったのだが、これくらいは知っているだろうという考え自体が既に古いという可能性もあるので解説しておく。アドベンチャーゲームを進行させる手法(システム)としては、一人称視点でのポイントアンドクリック, 一覧からのコマンド選択, (画面内での)キャラクター移動方式などが代表的だが、最も早期に使われていた物としてコマンド入力方式というのが在った。これは主に1980年代のテキスト&グラフィックアドベンチャーにて用いられていた方式で、キーボードから直接文字を入力してゲームを進めるというシステムを指す。 基本形としては動詞と名詞(目的語)を組み合わせてやりたい事を表現するという方式であり、例えば「Go North」, 「Open Door」, 「Take Book」, 「Look Picture」, 「Use Key」などという風に、表示されているコマンドラインにキーボードからやりたい行為を直接入力する(日本のゲームであるならカナを使って「ホン トル」, 「ドア アケル」等)。上記のInfocom社の様に普通の文章の様な複雑な構文の入力を理解出来るText Phaser(入力解析プログラム)を備えているゲームも中には在ったが、ほとんどが単純な二つの単語入力以外は理解出来ないという程度に留まっていた。 その入力テキスト解析能力の低さからこの方式には問題も発生していた。第一に入力するのに前置詞は入れるのか, 冠詞はどうするといった文法的な件。日本人の様に非英語圏ユーザーにはむしろ単語二つでの表現方法は解り易いとも言えるが、英語圏ユーザーには感覚的に変なのでそれを入れて普通にしてもちゃんと理解してくれるのかどうかという問題があった。例えば「Look at Picture」と「Look Picture」のどちらもちゃんと理解してくれるのかどうかという問題。 次にやりたい事をどういう風に表現するのかがゲームによって異なるという件が厄介であった。例としてドアを開けて中に入る際に、「Open Door」としてやれば良いのか、「Enter Door」なのか「Go Door」なのか等がマチマチで、全部ちゃんと理解してくれれば良いのだがそういう融通が利く物は少数であり、特定の表現方法以外には「理解出来ません」というメッセージを延々と繰り返すのみ。よって何をしたら良いのかという正解には到達しているのに、それをどうやってコマンドにすれば良いのかが判らないので詰まる(もしくは不正解だと勘違いする)という状況に陥るケースが少なくなかった。故に「これではアドベンチャーゲームではなく単語探しゲームだ」と揶揄されたりもしており、このText Phaserの解釈能力もゲームの評価において重要な位置を占めていたという時代である。 続いてはこのゲーム内におけるテキストアドベンチャーゲームについて。まずは表示されるテキスト量だが、グラフィックスが無い分だけ詳細に周囲の状況等を説明するタイプも在る中で、短い文章による最小限だけの説明に留まっており非常に古い時代の物という風になっている。なので大量のテキストを読まなければならないという心配は不要。使われている単語や表現も平易で難解では無い。 テキストの表示ペースも昔風にゆっくりで、徐々に表示が進んで行くので時には少し待たないとならなくなったりもあり。文章表示進行中にコマンドの先行入力は不可。綴り間違いへの対処無し。履歴を呼び出しての修正入力機能も無しとこれも古臭い。 入力解析Phaserは前置詞や冠詞を省いての入力が基本という仕様。逆に入れてしまうと認識エラーになったりするので注意。ただし一部3単語以上の組み合わせ入力もあり。それと「こういう風に文字を入力するように」と指示されるケースもあるのでそれは良くテキストを読むように。なお上でも説明した様に同じ意味であっても特定の単語でないと受け付けないとか、表現の仕方の違いでダメになったりも発生はしている。この辺りは繰り返し試して他の記述方法でもOKなのかを検証するのは困難なので何とも言えないが、入力解析Phaserの質が悪いという程の印象は受けなかった。 |
GAMEPLAY |
アドベンチャーゲームなので謎解きにどれだけ掛かるにかによって変化はするがボリュームとしては3〜5時間程度。リプレイ性はほぼ無し。ストーリーを再度追って検証するという意義があるくらいか。 ストーリーは4つのエピソードにて繋がっているが、EP3までは何が起こっているのかの説明が無い為、EP4に至るまでは別に理解出来なくても気にしなくて良い。メインの特徴がテキストアドベンチャーゲームである点が強調されているがこれはホラーゲームであり、その辺りのホラー演出などは全EPに渡って良い出来栄えである。しかしこのゲームの最も優れている所はそのストーリー設定やゲームプレイの表現(体験)方法で、自ら実験的と称しているように他のゲームでは体験した事が無い様な手法が幾つも用いられている。正に驚きの連続という感じで、このオリジナリティの高さこそが最も高く評価出来る点というのは間違いない。 トップ頁のストーリー欄に非常に基本的な情報を書いたが、それだけ知った上でプレイを開始しても特に問題はない。ただしこれはレビューなのでより詳しく知りたい方への情報提供も目的としており、そこでそもそもStories Untoldとはどういったゲームなのかという件を追加で説明しておく。ネタバレ関連は避けているが、それだと内容を明かせる事項が少ない為に一部は持って回った言い方にもなるのはご容赦願いたい。 これはストーリーをメインにしたホラーゲームであり、主にコマンド入力方式のテキストアドベンチャーゲームを解いていく事でそのストーリーが進められるという形式になる。そしてここは重要なのだが、コマンド入力方式のテキストアドベンチャーゲームを解く事がメインでは無く、あくまでもストーリー展開を楽しむホラーゲームである。言い換えればテキストアドベンチャーゲームは従、すなわちサブ的な役割を果たしているに過ぎない。 つまり純粋にテキストアドベンチャーゲームを解く面白さを追求しているゲームでは無い。アクションゲームに謎解き(パズル)要素が登場する事は良く在るが、これ等はメイン要素ではないので、そこで長時間プレイヤーを悩ませるとか、たびたび攻略情報を見ないと進めない様な高難易度に設定されるケースはまず無い。対してアドベンチャーゲームは謎解きがメインだから、難解な謎で長時間詰まらせるというのは普通に行われる。このゲーム内でのテキストアドベンチャーゲームは前者の位置付けであり、ストーリー展開を優先しているのでプレイヤーを長時間特定の箇所にて詰まらせる事を意図していない。言うなればアドベンチャーゲームとしては簡単な部類である。 よってアドベンチャーゲームは嫌い, 謎解きが苦手でも特に障害とはならずに楽しめるはず。逆に久し振りにコマンド入力方式アドベンチャーゲームで悩んでみようかという方には手応えの無い物となるだろう。それがダメだというのではなく、そこに重点が置かれている訳では無いという話である。 ゲーム全体でテキストアドベンチャーゲームを解く形式で進められるのは約半分程度で、残りは異なるスタイルのアドベンチャーゲームとして進行するとトップには書いたが、それに関してもう少し詳しく解説する。 ゲーム内世界は2Dの背景画ではなく3Dで作られており、通常は固定されている視点でも少しは上下左右に動したりは可能。右クリックでズームも行える。EP2や3ではTABキーを押す事で二つのモニターや装置間を移動したりするが、この際も瞬時に切り替わるのではなくてちゃんと体を動かして3D世界内を視点が自動的に移動して変わるという風に表現される。 キーボードではなくマウス操作をするシーンではポイント&クリック方式の様になって、画面内を自由にカーソルを動かして操作をするというやり方に変わる。対象を長押ししたりドラッグしたりもあり。ダイヤルを回す時などは上下矢印が表示されて、マウスを上下方向に動かす事で回転操作を行うという風になる(上下に大きく動かすほど高速回転操作)。なお上でテキストアドベンチャーゲームは特に難しくないと書いたが、逆に時間が掛かったり詰まったりするというケースはこちらのそうではないパートの方が多そう。例えばカーソルが対象物に向けられても変化しない仕様なので、どれを操作可能なのかが判り難いという件がある。それとやる事が複雑で面倒なパートが含まれているのも原因。 |