COMBAT |
ハイブリッド型のこのSS2はシューティングゲームとしての色合いも濃く、生き延びるためには結構その辺の能力を必要とされる。具体的には敵はそれ程強くはないのだが、それにも増して自分が弱いので良く死ぬ。その為に特に防御の技術が要求され、敵の攻撃をかわせるだけの反射神経やテクニックが重要であるという話。その点ではシューティングの要素の薄い、言い換えるとキャラクターの成長度合いがシューティングゲームの技量よりもずっと重要、というDeus Exとは大分ゲーム性が異なる。 このゲームでは耐久力はEnduranceの能力で決定されるが、Normalだと初期状態で35、MAXでも60までしか上げられない。つまり序盤は通常のFPSをヒットポイント35の状態でやっている様なものなので、当然の如くよく死ぬ。アーマーは消耗しないし耐久力を上げるアイテムは存在するが、攻撃に対してはかなり撃たれ弱いという状況であるのに変わりない。よってとにかく敵の攻撃をかわせないとどうにもならない。だがこれが難しい。移動速度がAgility(素早さ)の能力で決定されるので、これが低いうちは反射神経があっても満足に避ける事が出来ないのである。かといってこれを上げるのにサイバーモジュールを早めに消費すると、他の能力が上げられない為に別の部分に皺寄せが来てしまうという状況に。 そして素早いキー操作が随時要求される。通常のFPSでは武器の切り変えと移動だけで事足りる訳だが、このゲームではそれに加えて弾薬切り替え(敵により効果がまるで違うのでサイクルキーにより2〜5種の弾を適切に切り替えないとならない), モード切り替え(単発か3連発かやエネルギー量の多少を、現在の弾数や敵の強さに応じて切り替えないとならない)を行う必要がある。モードを切り替えずにそのタイプの敵に対して有効ではない弾薬やモードでの攻撃をするには、弾薬があまりにも足りなさ過ぎるという設定にされている。 更に一切のポーズが掛けられないので(ポーズはゲーム画面を抜けないとならない)、戦闘中の体力回復剤使用時は全てリアルタイムでショートカットキーを押下しないとダメである。しかもこの体力回復が段階式なので(全回復を使用しても実際に全部回復するまでに10秒程度掛かる)、危なくなって使用しても次の一撃で死んだりしてしまう。よって戦闘中でも常に体力状態を横目で見ながら、適切な時期を判断して回復剤を使用する必要がある。 また上でも書いたように移動速度が遅いので、敵の遠距離攻撃には素早い動き出しをしないと避けるのが間に合わないという点がある。これ自体はAgilityが上がってくれば解消されるが、序盤は敵の移動速度が相対的に速いので逃げる事すら出来ないという悲惨な状態が続く事は覚悟しておかないとならない。それと厄介な事に、リアルにバックする時は速度が遅くなるようになっており、敵を見ながら後退して体勢を立て直すという行為が難しい。仮にAgilityが上がってもバックして移動する分には敵より速くは移動出来ないのが普通で、曲がり角から突然敵が現れたりした場合、下がりながら同時に弾薬やモードの切り替えを素早く行って攻撃に移るか、完全に敵に背を見せてまずは逃げるかを選択する事になるだろう。 *あるエリアを一掃しても敵はリスポーンしてくる為に気が抜けない。また敵がイベントにより出現する場面もあるので、周囲の安全を確認するという行為が無駄だったりというケースも。 *通常のFPSのように普通の武器から破壊力のある武器までというランク付けではなく、ハッキリと敵のタイプによって有効な武器(弾薬)というのが決められているので、これを理解して適切に切り替える能力が常に要求されるようになっている。 *序盤は本当に弾薬が少ないためにレンチでの戦いを余儀なくされる。実際にこの武器での戦闘に慣れないとクリアそのものが難しいとも言えるくらいだ。 最後に付け加えておくとEasyで始めればゲーム性がまるで変わるようになる。何故ならばEasyでは初期状態で耐久力が55もあり、MAXでは105まで上げられる。それに合わせて回復剤の効果も上がっているので、そう簡単に死ななくなるからだ。モンスターのリスポーン率も低いし、相当戦闘面に関しては楽になるといっていいだろう。多少攻撃を受けても死なないので、特に辛い序盤が楽に進められるようになる。 詳しくは武器スキルの項で述べるが、武器のバランス設定が非常に変な印象。4つのジャンルに分かれているのだが、大きく有利不利が生じるという感じである。どの武器スキルを伸ばしても有利・不利を合わせるとバランスが採れているのが理想だが、取った武器スキルによってかなりの差が出てしまうという問題がある。 敵は大きく分けると生体系とロボット系がいて、その種類や能力には面白い者も存在している。だが残念ながら敵の造形の方はデザイン的にあまり私の趣味ではない。強さの面では自分の成長と比較して倒すのが難しいという敵はいない(厳密に言うならば敵の体力はそれほど高くないので、攻撃をかわせるならば倒せるという意味)。ただし序盤は弾薬が無駄に使えない為に接近戦を強いられたり、撃って攻撃する場合には一発でも外すのが問題になったりする点で厄介だし、後半は自分が強くなるので倒し易くはなるが、自分も死に易いという点は最後まで付いて回る。 敵の動きには不自然な点は見受けられないし、AIに関しては特別な問題点は無いと言って良いだろう(この時代の物としてはだが)。音さえ立てずに気付かれなければやり過ごすことも可能である。ただし利口過ぎるというか、一度追跡モードに入ると確実にこちらの動きを捉えて追いかけて来るのは厄介である。またこのゲームでは敵の先制攻撃を許さないというのが第一のために、その点では音を立てずに移動する気付きにくい敵は非常に面倒な存在となる。 武器等の詳細はゲームガイドを参照。 |
GRAPHICS |
LGSが制作中だったThiefのDark Engineをベースに使用しており、その一部を改造している。解像度や色数は最大で1024*768*16までと、発売時期を考慮してもかなり控えめな方である。また当時の他のゲームに比較して特別重いという訳ではないが、それほど軽いという風でも無い。ただし当時のOpenGL主体の3DFPSに比べると、要求されるスペックは低くて済みそうな感じである(D3Dのみに対応)。 エフェクト系は悪くは無いものの、近年のゲームを見慣れた目からすると少々寂しいか。爆発の効果や煙系は良いのだが、武器のエフェクトは今一つという感じ。ライティングについても効果が感じられず寂しい。テクスチャは同じ物の使い回しが多いがクオリティ自体は悪くない。 大きな問題点というか個人的にどうも気に入らないのがキャラクターのデザイン。モンスター&ロボット系の敵の大半がどうにも出来が良くない。特にゲームの重要なテーマがホラーであるだけに、その要素を損なうキャラクターデザインには問題を感じる。ここの出来がもう少し良ければゲームの恐怖感アップに重要な役割を果たしたと思えるだけに残念だ。アニメーションも滑らかという感じではない。 更に痛いのが人間のキャラクターモデルが使い回しという点。死体に使われている種類が非常に少なく、ストーリー重視のゲームにおいてこれは寂しいし何より気分が出ない。せめて主要なキャラ位は全員独自のモデルを使って欲しかった所。唯一Diegoだけはオリジナルデザインを使われていたが、やはりその場面は印象的で記憶に残っている。 全体的には合格点と思うが、もっと良く出来たはずという感はある。実際にシステムはそのままにグラフィックスをアップグレードしようというプロジェクトもあるし、是非グラフィックスをリファインして再発して欲しいゲームである。実際にUnrealやHalf-Lifeのエンジンを使用したModとして製作というプロジェクトも過去にはあったのだが、いずれも実現はしていない。 なおグラフィックス関連については後日談として記事を読んだのだが、Dark Engineが大きな問題の一つだったとして挙げられている(念の為書いておくが、このエンジンの使用で受けた恩恵も大きかったとある)。開発資金と製作期限を考えると共同制作しているLGのDark Engineを使うのは当然の選択だったのだが、制作期間前半のかなりの期間エンジン自体が未完成であり制作進行が遅れたというのが一つ。次にEditorのDromedの機能が他のFPSの有名なEditorに比較して劣っており、レベル製作において様々な制限を受ける事になった。更にEditor自体の安定性も悪く、不可思議なエラー等で相当な苦労をさせられたそうである。 またキャラクタのアニメーションにモーションキャプチャを使う予定だったのだが、本来ならば可能なはずのアニメーションの再生がDark Engineでは正常にされない上にバグも有り、おまけにチャプチャーの担当会社が製作中にその部門を閉鎖してしまうという事態になってしまった。結局自分達で研究してやったそうだが、知識が無いので上手くデータを取る事が出来ず、再生は再生で変な風になるといった具合だったらしい。 |
SOUND |
これは実に素晴らしい出来。私も相当いろいろとゲームをやったが歴代ベスト10に入る程の見事さである。 ゲーム中に手に入るe-mailやログは見るだけで無く音声を同時に再生出来るようになっており、これを最大限に活用している。特にログは話手自身が実況録音の形式で吹き込んでいる為にノイズ混じりだったりもするのだが、それを逆に臨場感の表現に利用したりして効果的に使っている。具体的にどんな物があるのかは楽しみを奪うことになるので言えないが、背筋に寒気が走るほど怖い物もあった。文しか読めなければこれほどの効果は無かったはずで、その素晴らしい企画力には感服する。プレイ前にこのゲームは「とにかく怖い」という批評を見ていたのだが、グラフィックスを見る限りそれ程でも無いし.....と思っていたら、本当に怖いのは実はサウンドの方だった。怖いFPSとなると必ず名前が挙がるゲームだが、その一番の要素はこのサウンドが担っていると考えて良いだろう。特にSHODANのボイスは本当に怖い。 3DサウンドではEAXに対応しているのだがこれがまた見事に使われている。通常はサウンドのポジションを明確にする事に使われる訳だが、このゲームではそうではなく包み込むようなエコーの効果を最大限に生かした作りになっている。どこからともなく響いてくる声というのを実に上手く、そして怖く使っている。4SPだと非常に効果的で素晴らしい効果を生み出してくれるので、環境のある人は是非とも有効にしてやってみてほしい。通常の戦闘時に関してもポジショニング効果の効き具合は良好である。もう一つ3Dサウンドの効果の度合いを設定から変更出来るようになっているのだが、これは素直に真中辺りが妥当なようだ。あまり強調すると通常の会話音声が聞き難くなるので。 BGMは未来という設定からテクノ系が多く使われており、これもエキサイティングな感じで非常に良い出来の物が多い。 |