SYSTEM SHOCK 2

                                  13/02/16



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製作・販売: Irrational Games, Looking Glass Studios / Electronic Arts
発売: 1999/08
日本代理店: 無し




※00/10/26 レビュー掲載
※01/02/15 Co-op情報追加
※03/10/10 新しい環境での互換性情報等を更新
※13/02/16 GOGでの発売を機に内容整理


                              

概  要  2013/02/14 GOG.comから再発された。サントラ等のボーナス付きで$9.99。

 再発が強く要望されていたゲームなのだが、権利関係が複雑でなかなか進展しない状況に置かれていた。しかし今回Night Dive Studiosが現在の権利者Meadowbrook Insurance Groupとの交渉により、 ダウンロード販売限定という条件付きで話をまとめている。

 RPSでのインタビューによると、これまでにもWindows 98以降の新しいPC環境における動作をサポートするユーザー制作のModが幾つか出ていたが、その出来がパーフェクトとは言えないので、今回のリリースに当たってはGOGの内部チームによるバグ修正等が行われており、XP, Vista, 7, 8の環境にて問題無く動作するようになっているそうだ。なお内部的に大きな改造を行っている訳では無いので、現行のユーザー制作Mod類との互換性は保たれている。



 1994年リリースのMS-DOSゲーム System Shockの続編。当初のアイディアでは純粋な新作となる予定だったが、System Shockの版権(ORIGIN Systems)を持つEAが代理店に付いてからストーリーが変更されて続編という位置付けになった。プラットフォームはPCのみ。ドリームキャストでの発売はキャンセルされている。

 ゲームの製作はLGS側からIrrational Gamesへと持ち掛けられ、両社の協同で行われている。Irrationalは元々LGSの人間が独立し設立した会社であり、当時LGSにて開発中のThiefで使われているDark Engineを使っている点も同じ。Thief発売後にはLGSからある程度の人間がIrrationalに出向して製作に協力するという形で進められた。その後倒産したLGSもそうだが、Irrationalの方も設立したばかりという事でかなりの資金難の状態で開発が続けられたゲームである。15人のコアメンバーと外部メンバーが10〜15人程度の規模で製作予算は170万ドル。当時の比較としては特に高額な予算では無い(90年代末期のAAAタイトルの制作予算は500万ドル以上と言われていた)。

 SS3は一時噂になったものの結局リリースされていない。その代わりにIrrational Gamesは後にゲームデザインを継承した同系統作品としてBioshockシリーズを制作している。主な共通点はRPG+FPSのハイブリッドである事と、ストーリー説明に残されたオーディオログを使うという所。


 欧米においては傑作として非常に高い評価を得ているゲームで、オールタイムベストのランキングにもよく入っている。しかし海外では売り上げの方は特に良くなく、日本においては代理店が付かずに発売されなかった上に記事になる事もほとんど無いという程度の存在。今ならネットを使ってのプロモーションも盛んだし、良いゲームならば口コミで評判になって知名度が上がっていくというケースもあるが、1999年当時はまだネット上での情報量がずっと少なく、ゲームの情報やレビューを見るのはまだ雑誌メディアが主体という時代。よってユーザーの口コミでの評判というのは遥かに伝わり難いという時代だったのが不運だったと言えよう。

 私自身もこのゲームは一応知ってはいたのだが、当時はUnrealやQuake系の純粋なアクション物ばかりをプレイしていたので特に関心を持っていなかった。それにこの時点ではオリジナルとなる(同様に評価の高い)SS1をプレイした事も無かったので、その意味でも気に掛かるタイトルではなく、またFPSではなくRPG的である, グラフィックスの敵が好みで無かった, 小難しそうなI/Fといった点も手を出すにはマイナス要因だった。しかし2000年にDeus Exという傑作をプレイした後に、それと同系統のゲームで評価も高いという点から、すぐに手に入れて発売から1年遅れてプレイしている。


 製品としては初期の大型パッケージ版、次にEA自身から廉価版として再発。その後やはりEAの何等かのゲームパックに収録されて売られているのだが、全て2003年現在でもう販売されていない。2003年当時はまだ中古やオークションを使えば入手は容易だったが、それから10年経過した現在(2013)では、eBayなどを見ても数がずっと少ないし、パッケージまで揃っている物はかなりの高額で取引されている模様。

 しかし2013年にGOGにてダウンロード販売のみだが再発された事で安価で楽にプレイ可能になったし、またこのバージョンは新しいOSでの動作を安定させる為の改造も行われているので、以前のややこしい改造やユーザー制作の新しいPC環境用のパッチ類を導入せずに済む。よってコレクター以外の人にはこのバージョンをお勧めしたい。


 現在の最大の情報源はThrough The Looking GlassというファンページのForumとなっている。SS2を含めたLGS制作のゲームのファンサイトで、現行マシンでの動作問題や、それに対応する為の改造ファイルの紹介。或いはMod系の紹介などが行われている。その他ではSShock2.comなどがある。

 古いゲームだけにグラフィックスのクオリティはどうしても今から見れば粗さは禁じ得ない。そこでアップグレード用のModが存在しており、中でも有名な物がキャラクターのモデル等を差し替えてしまうSystem Shock: Rebirth。現在では公式サイトが存在しない様だが、他者の手でバージョンアップが行われている。一方でゲーム全般のテクスチャを高解像度に差し替えるShock Texture Upgrade Project (SHTUP)は現在でも活動中。今回再発された事で、Mod類の制作が活発化する事は期待出来そうである。




STORY  時代は前作の42年後となる西暦2072年。地球及びその周辺星系は巨大企業TriOptimumの支配下に置かれていた。人々がそれに対して不満を感じる事は無かったものの、企業内では人体改造に関する研究が密かに行われているという噂も絶えなかった。だがCitadel Stationにおいて従業員の一人Edward Diegoがハッカーの力を借りて高度な人工知能SHODAN(Sentinent Hyper-Optimized Data Access Network)を作り上げた時から全てが変わった。自我を持ち暴走したSHODANは人間に対して氾濫を起こしCitadel宇宙ステーションの住人を殺すばかりか、残りの人間を改造してサイボーグとして配下において乗っ取りを計画。最終的には母なる地球をも支配下に置こうと企んだが、“彼女”の計画は寸前の所でハッカー(プレイヤー)の手により阻止され、地球は壊滅の危機を間一髪の所で逃れたのである(System Shock 1)。

 この事件後大きな変化が二つ社会に起きた。一つは高度に進化したテクノロジーに対する不安感が蔓延し、新たな研究に対する慎重論が強く叫ばれるようになったが為に、科学の進歩が停滞するようになったこと。もう一つは独占企業TriOptimumに対する不安感である。それに応じてそれまで力の弱かった地球政府は管理組織UNN(Unified National Nominate)を設立。新たなる軍隊と秘密警察により、社会や経済は強い規制と管理下に置かれる事となった。しかしこれまで上層階級を中心に社会に大きな影響力を持っていたTriOptimumの力が大きく弱まる事は無く、UNNとの間には権力闘争を初めとして争い事が絶えなかった。


 それから35年後、両者の睨み合いが沈静化しだした頃に再び大きな変化が科学の世界に起きる。TriOptimumの科学者Marie Delacroixの手により宇宙空間をワープ航法するテクノロジーFTL Mechanismが開発されたのである。一度この情報が漏れると社会の期待は高まり、それを押さえる事が出来なくなったUNNはこの技術を応用した宇宙船のプロトタイプの開発を認めざるを得なくなった。考案者Delacroix自身は早急な実用化に対して懐疑的だったものの、このテクノロジーの実用化テストは成功。そして超光速宇宙船Von Braunが建造されることとなったのである。

 ただし宇宙船の実際の航海に関しては数々の障害があった。まず開発者Delacroixからの船体に及ぼす副作用の研究がまだ必要という慎重論。そしてこのテクノロジーにより再びTriOptimumが権力を盛り返すのでは無いかと恐れるUNNからの強い反対である。激しい議論が繰り返されたこの問題は意外な形で決着を見る事となった。突然強硬な反対派のUNNリーダーが謎の死を遂げたのである。その後TriOptimu社内に妻を持つ男、UNNの海軍司令官William Bedford Diegoの調停によりこの問題はある条件付きで決着する。航海そのものは許可するが、それにはUNNの海軍艦Rickenbackerの同行が必要という条件である。言わばVon Braunを監視下に置くというこの条件は受理され、独自に開発された装置により両艦はドッキングして航行する事となった。そして時期早尚というDelacroixの声も押し切られる形で、遂に2114年に両艦は未知なる宇宙へと旅を始めたのである。


 航海を開始して数ヶ月、Delacroixの不安は的中する事となる。Von Braun内部では様々な原因不明の故障が多発。また管理コンピューターXERXESも不安定であり多くのエラーを発する状態だった。その上両艦の乗員同士の間の対立も深刻であり、前途多難を思わせるスタートとなった。しかしながらそれから更に数ヶ月、徐々にわだかまりも解けて親善ムードも高まって来た中、2114/06/10にVon Braunは明らかに知的生命体と思われる者からの通信を惑星Tau Ceti 5から受信する。人類史上初めての知的生命体との遭遇を前に両者の間では話し合いが持たれ、代表者によるチームによって探索が行われる運びとなった。

 そして降り立ったTau Ceti 5にて探索チームは生命体Annelidを発見する事になる。しかし人類史に残るファーストコンタクトは最悪の結果を迎える事態となった。単なる下等な環状生物と思われたAnnelidは高度な知能を持った集合生命体(The Many)であり、人体に寄生してその精神までも乗っ取り艦内を占領し始めたのである。そして瞬く間に艦内は地獄絵図となるハメに....。

 あなたはRickenbackerからVon Braunへと送り込まれた一人の兵士であり、メモリのリストアに失敗してここしばらくの情報を持たない状態で目を覚ます。Annelidに寄生されたHybridや改造されたアンドロイドが占領した艦内を生き延びて、Annelidの目的やその正体を突きとめなければならない。


PATCH

DEMO
 リテール版用のパッチは一種類だけリリースされている。V1.15からV2.3へと上げる物なのだが、ゲーム画面にはバージョンが出ないので分かりにくい。見分けるにはメニューにMULTIPLAYERの項目があればV2.3なのでPatchは必要無い。最初のリリース版以外はパッチ適用済み。

 まだ当時リリースされたデモをダウンロード可能な場所は有るようだが、製品版と同じでXP以降の環境だと起動しない可能性が高い。またこのデモの注意点として、インストール時にCドライブのWindows\Tempフォルダ内に大量のファイルがあると途中で止まってしまう。よってこの現象が出るならば古い物をある程度削除か移動してからリトライする必要がある。
動作環境

トラブル
  必要環境 推奨環境
CPU Pentium 200MHz 300MHz
MEMORY 32MB 64MB
VIDEO VRAM 4MB以上 3dfx Voodoo系カード
SOUND Direct X対応 EAX
対応OS: Win 95/98
Direct X 7.0a以上要


 1999年リリースとあって、今となっては必要環境は大して参考にならない。一応3Dアクセラレーション対応のビデオカードは必須で、ソフトウェアでのレンダリングには対応していない。同じ制作エンジンを使用しているThiefシリーズと同様に2000やXPは未サポートで、それ等以降のOSでは様々な問題が報告されている。

 私がプレイした当時に付いて言えばOSはWin98だったしかなり安定して動くゲームであったが、キャラクター作成のトレーニングセンターにて数回落ちるという現象が起きていたのを記憶している。


*Intel810といったオンボードのチップセットでも動作はするが、Shock.cfgに1行修正を加えないと動作が不安定になるようである(製品添付のReadmme参照)。Intel740はそのままでOK。

*Win2000にてインストールする場合は setup.exe -lgntforce のパラメータを付けてやらないと正常に動かない

*ムービーが再生されない場合は、CDからIv5play.exe を実行してコーデックをインストールする。ただこれはXPだとマシン再起動にてクリアされてしまうという話も。

*XPにてゲーム起動時にスクリーンがBlackoutしてしまう場合。非公式のパッチが出ている。これを使う場合はXPにおけるWin98互換モードは解除する。

*XPではコンパチビリティの設定にて"Disable visual themes"を有効にしておかないと、メニューでポインタの動きがおかしくなる事例あり

*XPのDuel Processor配下では正常動作しない。この場合片方のCPUだけを使うように指定しておく必要がある。

*XPの環境下にて異常にゲーム内のスピードが速くなってしまう場合、V-syncをOnに固定してやりリフレッシュレートを60Hzに設定、更にアンチエイリアス等で負荷を掛けてやって調整してやる。


 <2013/02追記>

 久し振りにコミュニティを見て回ると、OSが変わった事もあってツール系は新しい物が出て来ている。

*非公式の現行OS用の安定動作対策となる改造ファイルとしてはこのV2.4パッチが主流で評判も良いようだ。

*Windows7等のOS用のインストールツールとしてはSS2Toolが出ている。2000以降だとインストールのプログラムが正常動作しないという問題があるのだが、CDの内容をHDにコピーした後にこのツールからそこを指定し、望みの場所へとインストールが可能とある。その他にもゲームの細かいバグ修正も含む。

*最新PC環境でのトラブル対策はこちらのページにまとめられている。

 ダウンロード販売が行われる様になったこれからに関しては、GOGの現行OS対応版の出来に問題が無ければ、こういったツール類は必要無くなっていくだろう。リテール版をXPや昔のPCで動かしたいという人は、TTLGの掲示板を見れば他にもいろいろなツールや手法が紹介されている。



*クイックセーブとロードについて
 GOG版のシステムは未検証だが、リテール版ではこれには注意が必要。このゲームではレベルの切り替え時に勝手にセーブされる上に、そのオートセーブスロットをクイックセーブと共用しているからだ。解消するにはuser.bndファイルを書き換える必要がある。詳しくはReadmeに書いてあるがハッキリ言ってバグみたいなものであり、解説するよりも修正してもらいたい所。

 bind keypad_plus "shk_save_game 14"
 bind keypad_slash "shk_load_game 14"

 以上のようにquicksave&loadとなっている所を書き換えると、通常のセーブスロットに書き込まれるようになるので勝手に上書きされる事はなくなる。この場合は14で一番下のスロットになる。(デフォルトではセーブ用のキーはs+alt)。

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