CHASM: THE RIFT

                                  11/04/30



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製作・販売: Action Forms / MegaMedia Corporation
発売: 1997/10
日本代理店: P&Aシェアウェア


概  要  ウクライナのAction Formsからのデビュー作となるFPS。同社は現時点での最新作としてはCryostasis: Sleep of Reasonで知られる。本元の代理店は欧州のマイナーな所なので、世界的にはWizardWorks Software, GT Interactive Softwareが配給を担当している。

 アナウンス時のタイトルは『CHASM - The Shadow Zone』だったが途中で変更された。ゲームの背景設定やプレイ感, グラフィックス等が当時大人気であったQuakeに良く似ている為に、“Poor-man's Quake”というあだ名で呼ばれる事が多かったらしい(実際に北米では低価格でリリースされている)。


 FPSのファンの間では結構名は知られているゲームだが、ヒット作と言えるレベルでは無かったのは確か。理由はいろいろと挙げられるが、ここではゲーム内容その物以外の点について幾つか言及しておく。まず発売が延び延びになってしまい、3Dアクセラレーションに対応したゲームが増えている時期にまでズレこんでしまった事。ソフトウェアレンダリングにおける高度なグラフィックスを売り物にしているのだが、そのせいでインパクトが大きく薄れてしまった。

 次に発売時点ではマルチプレイに未対応で、やや遅れてパッチで対応する形になってしまった点。ただこれは他のゲームでもあるので致命傷とは言えない(バグやラグで実質プレイ出来ない等を含めて)。問題はTCP/IPに未対応だった事で、こちらへの対応は半年近く遅れてのパッチになっている。1997年はQuakeDiabloという二大タイトルにより、デフォルトでのTCP/IPプロトコル対応と無料のマッチングシステム(Battle.net, QSpy)が重要化した年であり、IPX(LAN)プロトコル変換&マッチングサービスを行う有料のポータルサイトを利用する、このChasmの様なゲームは時代遅れという感じであった。

 最後に発売時点のバージョンではマウスの感度が変化してしまうのでまともに敵を狙えないというバグがあり、既にマウス操作が定着しつつあったFPSゲームにおいてはこれは大きな失態となった。また発売時点での幾つかのレビューでは、この点を指摘されて評価を下げられてしまったのも痛かった。

 なお発売時期については代理店と揉めたそうで、おそらくホリデーシーズンに何としても出したいという代理店側と、もっと完成度を高めてから出したいという開発側という話だったと思われる。しかし仮にバグ修正とTCP/IP対応の状態まで持って行ってから出したとしても、更に遅れて1998年春頃では他のFPSとの比較において注目度的にどうなったか疑問が残る。



 再発版は英国のSold Out Softwareからリリースされている。その後同じ会社から他のゲームとの三本セット『Triple Pack 4が出ており、これが再発版としては最後ではないかと思われる。海外Amazon等でみると新品はレア物として高値。中古はあるが日本に発送してくれる所を見付けないとならない。日本発送可という点ではeBayの方が可能性が高く、実際に今(04/29)見たところ新品を10本ほど売っている出品者がいた。

 ダウンロード販売の方はCryostasis発売後のインタビューにて、版権は今でも自分達が持っているが、GOG等のダウンロード販売で売る予定は無いとコメントしている。

 日本ではP&Aが日本語マニュアル付き英語版をリリース。その後『Gaminator No.2』というデモやアドオンをパックにした製品にフルバージョンが特典として収録されている。



STORY  Time channelsと呼ばれる次元の裂け目(Rift)を使い、過去や未来から地球を侵略にやって来るTime Strikersと呼ばれるエイリアン達を倒す為に、特殊部隊に属する主人公がたった一人で立ち向かうというシナリオ。Quakeと同じで設定にあまり意味は無い。


PATCH

DEMO
 パッチはV1.04まで出ている。その後3つのシングルプレイ用追加マップを含んだTCP/IP対応パッチが出ており、こちらを入れるとV1.10になるがシングルプレイにおける変化の記載は無いので、シングルプレイだけならバグ修正を行った1.04でも変わりは無いと考えられる。ただしV1.10との間でセーブデータに互換性は無い。


 デモは初期の段階から数多くリリースされており、“Chasm: The Shadow Zone”の名称を含めると全部で少なくとも5個は存在する。今から試すとすれば後期の物となり、一つは3つのマップを含んだchasm-swという発売半年前に出たシェアウェア版で、これはマップ数が多いがXPのコマンドプロンプト上では相性が悪いとされている。最後に出たデモは発売後のTCP/IP対応パッチを含んだバージョンで、マップが一つだけだがマルチプレイにも対応しており、こちらはXP上でも動作する。

 現在ではDOSBoxで動かすのでXPとの相性は関係無く、試すのはどちらでも良いだろう。だがダウンロード可能な物はほとんどが前者で、後者のリンク先はこちら位しか見付からなかった。

動作環境

トラブル
  必要環境 推奨環境
CPU 486 DX4-100 Pentium
MEMORY 16M -
VIDEO VGA or SVGA VESA 2.0対応ビデオカード
SOUND Sound Blaster 互換 同左
対応OS MS-DOS 5.0 / Windows 95

 MS-DOSで制作されており、95/98のDOSプロンプト上でも動作するように設計されている。高解像度で動かすならメインメモリは64MB以上あった方が良い(特にDOSプロンプトで動かすなら)。マシン性能が低くパフォーマンスに問題があるなら、純粋なMS-DOS上で動かした方が良い結果が出る可能性は高い。高解像度で動かすならビデオカードはVESA 2.0対応を推奨。1.2ではパフォーマンスに問題あり。高解像度モードではそれなりに重いゲームだが、発売時期が遅れた関係で当時のゲーム用PCならば特に問題は無いレベル。

 以上は当時の話であり、現在ではDOSBoxで動かすだろうからあまり関係は無い。ただし重いゲームではあるので、エミュレーションにて快適に動かすにはCPUは2.0GHz程度はあった方が良いようだ。この辺はデモが在るのでそれでも試せる。


 <動作確認> DOSBox 0.74での数時間のテストにて落ちたりもせず、特に動作は問題無い模様。なお負荷が高いのでEmulation Coreの設定は[dynamic]にしてcyclesも[max]を選択。安定度を考えると[auto]でも良いが、CPU負荷をモニターするとほぼ[max]設定と同じサイクルで動作する事になるようだ。これで動作が不安定になるならcyclesは直接値を設定してみるしかない。


 DOSのゲームだがサウンドのセットアップは用意されておらず、自動的にサウンドカードの設定を検出する様になっている。よって検出に失敗した場合には、内部の設定ファイルかWindows(DOSBox)側の設定を自分で修正しないとならない。

 起動失敗時の対処方法は、最初に"-nosound"パラメーターを付けてテスト。サウンド機能をオフにする物で、サウンドが原因ならばこれで動作はする。このケースではサウンドの設定を変更すれば治るはず。

 それでも駄目なら"-safe"を付けてセーフモードで起動させる。これで起動するならVESA等のビデオドライバ系の問題が考えられる。

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