SHADOW WARRIOR

                                  11/04/13



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製作・販売: 3D Realms / GT Interactive
発売: 1997/05
日本代理店: P&Aシェアウェア


概  要  大ヒット作となったDuke Nukem 3Dの後を受けて、3D Realms社自身が同じBuild Engineによって開発し、翌年に発売されたアクションFPS。主人公や舞台設定は一応日本なのだが、日本人の目からすると明らかに中国という設定。制作側が実際にどの程度日本の事を理解していたのかは不明だが、その曲解具合や主人公の台詞の奇妙さなどから、FPSの知名度が低かったここ日本でも当時からかなり知られていたゲームである。

 PC(MS-DOS)とMacで発売されている。2005年にソースコードが公開されており、JFShadowWarriorProAsm.comにてLinuxやWindowsへのポート(移植)が行われている。


 1997年の目玉として3D Realmsにより大プッシュされていたゲームだが、売り上げは期待されていた程では無かった。当時の人気FPSは拡張パックや続編が作られるのが定番であり、DN3Dも多数の拡張パックが発売されていた訳だが、このSWは結局拡張パックも続編も発売されていない。これだけ知名度が高いゲームで作られていないというのはある意味珍しいとも言え、実際の売り上げ数というよりも、販売期待値の方をかなり下回っていたのかも知れない。

 ゲームの発売後にアナウンスされた3本の拡張パックは全てキャンセルされている。その内『Deadly Kiss』を除く他の2本、 『Twin Dragon』と『Wanton Destruction』は未完成の状態ながらフリーで公開されており、製品版を持っているユーザーならばプレイ可能である。


 リテール版新品の入手は現在では困難で、eBay等にて見付けられるがそれなりに高価である。数年前までは3D Realms社の通販サイトで売っていたが、現在ではダウンロード販売に切り替わっている。これは素のプログラムではなく、DOSBox対応で設定ファイル込みの対応版。

 日本ではP&Aから日本語マニュアル付き英語版がリリースされていた。


 開発は1994年から始まっており、DN3Dと平行して製作されていた。発売一年前の時点でのストーリー設定は実際の製品版とは大きく異なっており、以下の様な物であった。

 主人公は日本の極秘特殊部隊のメンバー。魔法のパワーを使用する特殊な武器の扱いに長
けており、更に忍者のステルススキルを身に着けていた。体はナノテクノロジーによって改造され、パワーやスピードが常人離れしているという究極兵器である。

 その主人公の祖先である魔術師“Kirin”が本土から遠く離れた島で死から復活し、その崇拝者を集めて周辺諸島を制圧。そして魔法の力により人ならざる物をも仲間に加えて、いよいよ日本本土の征服に乗り出そうとしていた。主人公は祖先の暴挙を止める為に、魔法のパワーとナノテクノロジーによる戦闘能力を使ってKirinを倒さないとならない。

 以上の設定の様に武器類の幾つかは魔法のパワーを使用した物となっており、背景設定もずっとシリアスな路線に寄っていたゲームだった。おそらくその急変の理由はDN3Dで、3D Realmsの想像以上の大ヒットとなった為に、この次回作もその路線を踏襲する物へと内容の変更が行われたと思われる。つまりユーモア, 下品, アダルト要素の追加である。


STORY  主人公のLo Wangは20年間もの経歴を持つ忍者で、暗殺者のマスターを意味する“Shadow Warrior”の称号を得ていた。SWは日本の各種トップ企業に雇われており、護衛や暗殺の任務に就いていたが、彼はその中でも最高レベルの存在であった。

 彼の雇い主であるZilla Enterpriseは最大規模の企業であったが、Lo Wangは社の筆頭であるMaster Zillaが悪の魔力を使って日本の支配を計画している事を知り、自分の教義に背くとして退社。しかしZillaはLo Wangの類い希なる能力を危険だとして、隷達を使って暗殺に乗り出す。Lo WangはZillaの野望を止める為に、逆に彼を追って戦いを挑む事となった。


PATCH

DEMO
 パッチ類は公式サイトからダウンロード可能。

 リテール版(Registered Version. 9月発売)にはパッチは無く、最初からV1.2である。シェアウェア版の場合には同じくV1.2に上げる物が存在する。その他ではParental Lock版(Wal-Mart等で販売されたアンカット設定に出来ないバージョン)や、Registered UK版(手裏剣がダーツに置き換えられている)用のV1.2パッチも有り。

 Glide APIに対応した3dfxパッチも出ている。名前がややこしいが、ゲームのV1.2でのみ使用可能な、3dfxパッチのV1.1の意味となる。

 非公式として出されているのがサウンドパッチ。主に“SB Live!”使用時に発生する障害で、特定の場所(Episode 1, Level 1)でのサウンド処理の問題から必ずそこで落ちるという件に対応する物。エコー処理をオフにするパッチなので、発生しないのならば入れるべきではない。それと3dfxパッチとの併用は不可。


 デモとして4つのレベルをプレイ出来るv1.2 Shareware Episodeがダウンロード可能である。ただし現時点でのプレイとなるとDOSBoxが必須と言えるだろう。

動作環境

トラブル
  必要環境 推奨環境
CPU Pentium 66MHz Pentium 100MHz
MEMORY 16 MB 32MB
VIDEO 256色対応 VRAM 1MB以上のSVGAビデオカード 
SOUND Sound Blaster互換 同左
対応OS MS-DOS 6.2以上 / Windows 95

 DN3Dとは異なりWindows 95対応のロゴが記されており、安定動作するようにエンジンを改造したのか、検証テストが十分に行われてOKが出たのかのいずれかだろう。ただしWin95でまともに動作させるにはメインメモリが32MB以上必要で、それ未満ならば純粋なMS-DOSにてプレイした方が良い。SVGAにて更に3Dスプライトを使用するなら64MBクラスが理想。

 486のサポートが打ち切られてDN3Dよりも重くなっているが、MMX Pentium 200MHzにメモリ64MB程度でもストレス無く動作し、ハイエンドレベルを要求するようなゲームでは無い。96年初頭にDN3Dのシェアウェアが登場した頃には重いエンジンだったのだが、その頃からWin95となったOSが一般ユーザーにも普及し始め、それを快適に動かす為の高速CPUと大容量メモリの需要が急増。その量産の結果として高速なCPUや大容量のメモリが安価で手に入るようになり、更にゲーマーの間では3Dアクセラレーションに対応したVRAM容量の多いビデオカードが普及。そのPCの処理速度の大幅な底上げにより、DN3Dから1年半ほど経過してから出たこのゲームは既にFPSの中では重いというクラスでは無くなっていた。


 当時のトラブル対策は既に時代遅れなので割愛。2011年現在XP以降のOSでプレイするのならば、OS自体の持つエミュレーションモード(コマンドプロンプト)を使うのではなく、DOSBoxを使ってプレイするのが一番忠実且つ快適である。

 MS-DOSのゲームに詳しくない方に簡単な注意書きとして、初回プレイ前には必ずSetupを起動して最低でもサウンドカードのセットアップを行い、サウンドテストで音声がちゃんと出るのを確認。逆に起動しない場合には、サウンドカードを無しにしてみるのが一番最初にやるべき切り分けテストである。続いてはビデオモードをSVGAではなくデフォルトにしてみる。

 それと重いと感じる場合には、ビデオよりも先にサウンドの各種設定を下げてみる方が良い。参考までにフレームレートの表示は“Sayキー”(デフォルトではTキー)を押下してコンソールを出し swloc と入力する。

 DN3Dとは異なり最初からマウスのインバート設定を持っているので、細かい設定をいじらなくても普通にオプションから変更が可能。(現在のデフォルト設定がこのエンジンではインバートになっている)。


 [動作確認] DOSBox上にて数時間プレイしてみたが、全画面に激しいエフェクトが掛かる様なシーンにて数回落ちた。その他ではBGMのボリュームが変更出来ないという障害がある。パフォーマンス的には問題無く高速で動作してくれるという印象。


 上記のBGMに関わる問題についてまとめ。この頃のゲームはプログラム自体のサイズがまだそれ程大きくなく、CD-ROMには大きな空きが在ったので、BGMをCDオーディオとして収録するゲームが増えていた。ゲームに簡易な再生用プレイヤーを組み込んでおいて、そこからマップやシーンに応じて指定しておいたトラックを再生させるという方式である。主流だったMIDIに比較すると高音質であり、また録音した楽曲の演奏その物を収録出来るという意味でも、ユーザーの持つ音源によって演奏させるMIDIよりも優れていた。

 このSWもCDオーディオを使用しており、MIDI使用のDN3Dとは異なり設定画面にMusicの設定は存在していない。ただその使用はやや変則的で、収録されている2つのエピソードの内でシェアウェア版のエピソードの方はMIDIを使用(CDで売る形態とダウンロードが併用されていたので)。製品版のエピソードではCDオーディオを使用している。ところがこのCDオーディオという物が、XP(Win2K)以降のOSでのDOSエミュレーションにて問題を引き起こす事になる。


 まずはコマンドプロンプトによるエミュレーション時代(2006年頃まで)。DOSBoxは既に存在していたが、このSWの様な高速のゲームを動かすには重過ぎたので、NTVDMにVDMSoundを組み合わせるという方法が実用的だった。ところがこのNTVDMのエミュレーション能力はかなり低く、MSCDEXがCD-ROMを正常に検知してくれないという問題があり、それ故にCDによるBGMが再生出来ないというトラブルが発生していた。このSWでは製品版のエピソードでのみ鳴らないという事である。よってSAPUCDEXの様な別のMSCDEXエミュレーションプログラムに差し替える必要があった。

 そして当時は想定もしていなかったダウンロード販売時代に来て新たな問題が発生してしまう。ダウンロード販売の場合、CDオーディオのデータをそのままでは扱えないという件である。データをイメージファイル化しても、それをゲーム側で認識出来なければどうしようもない。全てをCDイメージ化して配布し「それを焼いて媒体を製作しそこからプレイしてくれ」では、ダウンロード販売の利便性が損なわれるし一般的ではない。かと言ってBGMをMP3やOGGに変換する場合には、それを再生するプレイヤーを組み込む必要があるのでゲームプログラム側の改変が必要になってしまう。結果的にid softwareの旧作など、BGMは全てカットされた状態で販売されていたりする。

 現在のDOSBoxではデフォルト以外の方法でCD-ROMをマウントする事でCDオーディオはちゃんと再生可能だが、SWではゲーム内のボリューム設定, DOSBox側でのボリューム設定のいずれでも音量の変更は出来なかった。ただしサウンドカードのボリューム設定にてCDのボリュームを変更すれば良いので、特に大きな問題では無い。調べたところ、CD上の楽曲データを別のフォーマットでイメージ化してやり、それをマウントすればOKという話だったがそれはちょっと面倒。

 なお3D Realmsにてダウンロード販売されているSWにはOGG形式でBGMが収録されており、これをDOSBox上でマウントする設定ファイルも一緒に入っているそうなので再生に問題は無い。その他GOG.comにて売っているゲームの中には、同様に変換されたイメージデータを収録していてBGMがちゃんと再生される物が含まれている。

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