OUT OF HELL

                                  13/03/13



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制作: Long Nguyen
発売: 2009/10
日本代理店: 無し


概  要  Out of HellとはUnreal Tournament 2004のシングルプレイ用Mod。このMod自体は無料で配布されているが、プレイするにはUT2004がインストールされている事が必要である(UT2004は有料で販売されている)。Modのファイルは公式サイトのダウンロードリンク等から入手出来る。ファイルサイズは1GB超(+パッチ)とかなり大きめ。

 MoD DBにて2009年の“Best Original Art Direction”を受賞している。全般的に評価は高いのだが、知名度の方は低いと言わざるを得ない。その原因の一つとして開発の遅れというのがあり、発表からリリースまで実に7年もの月日が掛かっている。当初の2005年にはリリースという予定が遅れ、その後一度は2006/06と発表されたもののこれも守れず。2007年には今年の夏にはと宣言するがまた延期。そこから更に2年掛かってようやく完成している。

 私は発表当時Unreal系のコミュニティを良く見ていたし、Modとしても面白そうだったので旧公式サイトの頃は注目もしていたのだが、徐々にこのままお蔵入りするのではないかという雰囲気が漂い始めてからは関心も薄れてしまっていた。その結果リリースされてしばらく経ってから既に完成していたのを知らされたという次第。同様にこのModの事は知っていたが、当記事を読んで初めてリリースされていたのを知ったという方も居るのではないかと思う。


 作者はカナダのLong Nguyen氏。Justin Lassen氏からサウンドトラックの提供を受けた以外は、全てのコンテンツを一人で作っている。制作に時間が掛かったのには当然そのたった一人での作業というのが影響している訳だが、なぜチームを組まなかったのについては、「コミュニティで知り合ったMod制作チームのリーダー達から、複数人数での制作には意見の食い違いによるゴタゴタが発生するというのを聞いていたから」, 「自分自身で全てを行う事によりブレの無いビジョンを保てるから(全てを自分で完全にコントロールしたいから)」という点を挙げている。

 キッカケはUnreal Tournamentに熱中した事からで、その中でユーザーがマップやModといったコンテンツを作れる事を知り、自分でもそれに興味を持ち始めたという所から始まっている。当初はUTエンジンでの制作を考えていたが、そこからUnreal 2エンジンへと移り、更にUT2003 → UT2004とユーザー人口が多いゲームへとModの対応を移行している。

 影響を受けたゲームはバイオハザード(ゾンビのデザイン), サイレントヒル(霧, 裏世界やUFO設定, 雰囲気やアート), スプラッターハウス(ゴア描写)だと話している。

 発表当時は全く異なるストーリーで、地下世界からやって来た悪魔達に地上が侵略されてしまい、それを倒す為に主人公の僧侶が戦うという設定だった。彼はポータルを通って地獄に向かって、全てを倒した後にそこから脱出するという展開で、唯一それを表した“Out of  Hell”というタイトルのみが残されている。

 同様に様々な設定が導入されては捨てられの繰り返しで、複数の主人公, 二周目要素, マルチエンディング, ハブシステム(拠点から各ミッションへと向かう), 購買要素等はリリース版では全てカットされている。


 導入方法  インストールの順番。Modは解凍方式なので関係無いように思えるのだが、必ず以下の順番を守るようにという指示が出ている。

1.UT2004をインストール
2.UT2004のパッチv3369を適用(現時点での最新版)
3.UT2004(Epic) MegaPackをインストール(Steam版でも要)  Shacknews Softpedia

4.Out of Hellの圧縮ファイルをUT2004のインストールされたフォルダ内に解凍する。
  UT2004のフォルダ類の中にOut_Of_Hellフォルダが出来る形になる

5.パッチV1を同様に解凍する。上書きの形になるので、許可を求められたら全て上書き。


 起動は用意されたショートカットから行えるが、C:\Games\UT2004 にインストールされたという設定になっているので、自分がUT2004をインストールしたフォルダに合わせて書き換えないとならない。或いはUT2004のメニューからCommunity → User ModsでもOK。

STORY  主人公は警察官のDonovan Ling。(架空の)Grinwoodの地にて何らかの異常が発生しているという件を受けて現地へと調査に向かうが、そこでは大量のゾンビ達が人間を襲っているという状況にあった。彼はその中へと探索を進めて、生き残りの仲間の探索やゾンビ発生の理由を探る事になる。


PATCH

DEMO
 V1パッチがリリースされている。現時点ではこれが最終であり、またこれが最後になりそうである。

 2005年に一度デモをリリースしているが、リリース版とは大きく内容的にも異なる時代の物に加えて、グラフィックス面も変わっているので動作検証にも使えない。そもそもこのデモも動作にはUT2004が必要なので、既に完成版が無料でダウンロード可能な現在ではデモの方を試すという意味自体が消失している。

動作環境

トラブル
  必要環境 推奨環境
CPU Pentium III or AMD Athlon 1.0 GHz Pentium IV or AMD Athlon 2.0 GHz
MEMORY 128 MB 512 MB
VIDEO VRAM 32MB Hardware T&L対応
VRAM 128MB
SOUND ウィンドウズ互換 Sound Blaster Audigy 2 ZS
対応OS 98/Me/2000/XP
DirectX 9.0b以上要


 ウィンドウズ版のみでMacとLinuxには対応していない(サポート外)。必要環境の具体的な数値は公開されていないが(上記はUT2004の物)、リリースされた2009年末の時点にて非常に重いというレベルで、フレームレートの低さが代表的なトラブルになっている。原因はディテールに凝りたいという作者の希望を優先した結果、最適化を無視して大量のオブジェクトをマップ内部に詰め込んだりエフェクトを多用しているため。現在では3年以上が経過しており、マシンの平均性能が上がっているのでトラブルは軽減されているはずだが、それでも場所によっては重いというのは確かである。


*フレームレートがガタ落ちしてプレイ出来ない
 基本的な対策として解像度を下げる、またグラフィックスの各種設定を低くする。パッチからは'fog distancer'という項目が追加されており、これで霧の描画距離を短く出来る様になった。非常に重くなるとされる霧の存在するマップでは大きな効果を持つ。それと敵の中に光を発するタイプがおり、この処理は負荷が高いので相当重くなるとされている。ゾンビも大量に発生すると重くなるが、そこまで一気に出現する例は少ない。以上の様にエフェクトが多用されたりと場所によって非常に重くなるというゲーム。

 なおOpenGLモードで動作させているケースでは、Nvidia GeforceならばコントロールパネルよりManage 3D Settingsの一覧からExtension LimitをONにすると改善されるという情報あり。


*画面上下に表示される黒帯(レターボックス表示)を取り去りたい

 アスペクト比が固定されている為に、その他の設定ではレターボックス表示になるゲームがあるが、このOoHでは雰囲気重視の理由から意図的にレターボックス表示を採用している(映画の雰囲気を出す為の意味だと思われる)。

 左SSは4:3の物だが、上下の黒い部分がカットされて黒帯となり、下段の黒い部分は弾薬数等のHUDとしても使われる。上下方向の表示サイズはワイドスクリーンにしても変わらず、黒帯部分はどんな解像度でも表示される仕様。

 消すにはHUDの設定から「HUDの非表示」を選択すれば黒帯が消えてフルスクリーンでの表示になるが、同時にヘルス値や弾薬数等のHUDの情報が消えてしまうのでプレイする上では不利となる。



 公式に作者からOut Of Hell Cheatfileが配布されている。これはチートの機能を取り去っているオリジナル版にてそれを復活させる物(Out_Of_Hell.uを差し替える)。ただし無敵コマンド等のチートを可能にするのが目的では無く、幾つかのトラブルへの一時的な対策として配布される事になったという経緯がある。これは導入しておく事を強くお勧めする。理由は以下に述べる。


*オブジェクトにスタックして動けなくなる
 ハマって動けなくなるというトラブルが多発すると報告されている。作者も認めている通りにプレイテストが十分に行われておらず、且つ大量にオブジェクトが置かれているマップが多い為に、特に脇道などのルートで地形やオブジェクトにスタックしてしまうケースが発生する。個人的には計6回発生した(脇道を探索しなければもっと軽減されると思うが)。

 パッチV1にて操作キーに“jostle”が対策として追加されており、このキーを押すと武器をしまってモードが切り替わる。これはいわば自動ロケットジャンプモードで、地面や近くのオブジェクトの表面を狙って攻撃キーを押すと、その場所に対してロケジャンを行ったのと同じ意味になり、上手く行けば大きな反動によってハマリから飛び出せる。

 ただし必ず成功する訳では無く(私の場合は1/3の成功率だった)、そこでチートファイルが用意されている(根本的にはマップの全エリアを徹底的に検証して治すべきなのだが)。@キーを押下するとコンソール画面が開くので、ここで fly(宙を飛ぶ) か ghost(オブジェクト透過モード)を入力してスタックから抜け出し、その後walkにて元の状態に戻れる。チートが使えない状態だと終了して再度やり直すしかない。


*マップの切り替え時やプレイ中に落ちてしまう(General Protection Faultが多い)
 パッチにて改善はされたようだが、私の場合には一度だけ発生した。必要とはされていないはずなのだが、Epic Mega Packを入れると治るという情報があり、現在ではこれを必ず入れるように指示が変更されている。なおSteam版のUT2004に対してもこれは行う必要があるそうだ。

 とりあえずやり直してみて同じ場所で再発するかどうかを試す事になるが、この件については困った問題がある。レビューの方で詳しく触れるが、このゲームはマップ途中でのセーブ機能を持っていない。各マップをクリアした時にのみセーブされるので、落ちたりしてやり直すには常にそのマップを最初からになる。よってマップ終了して次のマップに移る際に落ちると、セーブされる前であったらまた最初から全部やり直す羽目になってしまう。短いマップならばまだマシだが、長いマップでは大変な苦労になるし、それで再度切り替え時に落ちたりしたら悲惨である。

 そこで先のfly, ghostを使用してゴール地点(orさっき落ちた地点)まで進めてしまい、そこでwalkで元に戻してからマップを抜けて(or先に進めて)みる。これで落ちなければ一時的なエラーとなるし、繰り返し落ちるならば設定を最低まで下げてみるとか別の対策が必要になってくる。なおゴール地点から次のマップへの切り替えが正常に動作した場合、セーブ箇所が次のマップへと上書きされるので注意(テストするだけならSaveフォルダのバックアップを採っておく)。アイテム集めもあるのでちゃんと進めるにしても、長い移動セクションはこのチートで飛ばしてプレイするという手もある。


*マップ切り替え時に武器類が消えてしまう
 持っていたはずの武器が出て来なくなるバグ(デフォルトのナイフだけになるとか)。ここでセーブ機能の更なる問題として、セーブデータの中に武器や弾薬の所持データを持っておらず、別のファイルにその情報を持たせている。よってそちら側の情報が壊れているケースでは、再度セーブデータを読み込んでも武器情報は復活しない。例えばゲームの最終マップはエンディングムービーとなっており、このマップではプレイヤーの所持武器は全てリセットされているので、終了後にバックアップしておいた過去のセーブデータを読み込んでも、武器を全く持っていない状態となってしまう。

 そこでチートのReadmeには武器の呼び出し方が書いてあるのだが、Out_Of_HellUser.ini を変更した方が早いと思う。最後の方にある[Out_Of_Hell.LingPlayer]内に記述されている。武器名の記述が“False”ならば非所持なので、これを“True”に書き換えれば良い。numShotgunAmmo等は弾薬数の記述である。

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