CALL OF CTHULHU
    DARK CORNERS OF THE EARTH

                                 06/11/13



   GAMEPLAY

   COMBAT

   GRAPHICS・SOUND

   BOTTOMLINE

   公式サイト


   HOME


製作/販売: Headfirst Productions / 2K Games(北米)・ Ubisoft(欧州)
発売: 2006/03
日本代理店版: 無し


概  要  アメリカのホラー小説家H.P.ラブクラフトのクトゥルー神話(表記はクトゥルフ等いろいろとあるが、元々の設定では人間には発音出来ない音声となっている)を背景にしたAction Adventure。ただゲームの基本的なシステムは、この小説を題材にしたChaosium社が1981年からリリースしている著名なTRPGゲーム"Call of Cthulhu"を元にしており、このRPGからの公式ライセンスを受けているゲームである。日本でもこのTRPGの翻訳版がホビージャパンから発売されていたが、現在ではエンターブレインから”クトゥルフ神話 TRPG”の名前で新しいバージョンが出ている。

 これまでにもクトゥルー神話がテーマのゲームはアドベンチャーゲーム等で出ているが、どうやら正式ライセンス物としては初めてらしい。またアクションゲームとしても初のゲームかも知れない。シングルプレイ専用でマルチプレイは無い。

 発売に至るまでには相当な紆余曲折が有ったゲームで、何しろ当初の発売予定は2001年の11月。結局のところ予定よりも4年半遅れた事になる。最初は2001年のE3で注目を集めたのだが、その後Headfirstが手掛けていた他のゲームの開発が遅れてしまった影響を受けて2002年中盤へと延期。次に契約していた代理店のFishtank InteractiveがJoWoodに買収されたのだが、この時にJoWoodとの新たな契約条件で折り合いが付かずにゲームは宙に浮いた状態となってしまう。
 それから新たな契約先としてBethesda Softworks(Morrowindで有名)が決まったというアナウンスが出たのだが、そこから公式サイトの動きは止まってしまって進行状況が見えない状態に。2003年のE3では一応公開されてプロジェクトの存続は確認出来たのだが、その後また半年以上の沈黙。2004年に入ってようやくわずかながら情報等が出て、公式サイトも更新されて何とか発売はされそうな雰囲気にはなったのだが、グラフィック自体が変わっているのを始めとして、どうも当初の計画とはかなり違うゲームになってしまうのではという嫌な雰囲気も漂い始める。
 Xboxでもリリースされる事にはなったのだが、結局は先に2005年の10月にそちらがリリースされる。全く情報が聞かれないのでPC版はキャンセルされてしまうのではという噂が立ったが、とにかく発売はするというアナウンスだけで音沙汰無し。実は既にこの時点で会社は傾いていたようで、ほとんどの社員は辞めておりHeadfirstは倒産状態。最終的には義務感からかBethesdaが契約を盾に強制的にやらせたのかは定かではないが、残ったLead Engineer一人の手によって何とかPC版も発売まではこぎ着けたという状況だったそうだ。

 続編として計画されていたCall of Cthulhu: Beyond the Mountains of Madness、PS2用のDCotEの姉妹編であるCall of Cthulhu: Tainted Legacy(現代にてDCotEの子孫となる女性が主人公となる三人称ゲーム)、二人の異なったキャラクタを操作して進める新しい作品となるCall of Cthulhu: Destiny's End。以上は全て会社が無くなった関係上キャンセルされている。

 代理店は健在なのでゲーム自体はそのまま売られており、今年のゲームなので特に入手に問題は無い。PC版は若干安い価格設定で発売されている($29.95)。直接の契約会社はBethesda Softworksとなるが、流通・販売を手掛けているのは地域によって異なった会社となっている。

STORY  私自身はクトゥルー神話のファンではないので詳しくは分からないのだが、その概要について分かる範囲で解説しておこう。元々はH.P.Lovecraftが1920-30年代に雑誌Wierd Talesに連載していた小説が元となっている。この頃は特に体系的な形態をなしておらず、またこのクトゥルー神話という概念を他の作者が使用する事を彼が許可していた為に、多数の作家による総合的な世界といった感じで発展していった(誰かが考えた設定を別の人が流用するといった形で)。しかしLovecraftは若くして亡くなってしまい、彼の存命中にはこの神話の世界が広く知れ渡るという事にはならなかった。
 その後彼の弟子であったAugust DerlethがLovecraftの功績を認めさせようと自ら出版社を設立して、彼の小説を再販すると同時に自分も神話の体系に則った小説をリリースし始める。DerlethはLovecraftが残したメモ書き等を基にしてそれを共著という形で発売し、またそれまで体系化されていなかったクトゥルー神話の世界に古の神々と旧支配者の対立という図式を持ち込んでその世界観を明確な形で示した。このDerlethの尽力によってクトゥルー神話の世界は世界的に知られる有名な物となったのである。(ただしこのDerlethについては、「彼の設定した世界観はLovecraft自身が考えた物ではなく勝手に神話の設定を変えてしまった」、「自分の為にLovecraftの業績を利用した」といった批判も有るようだ)。現在知られるクトゥルー神話の設定はLovecraft本人ではなく、ほぼこのDerlethが確立した世界観を元にしている。

 クトゥルー神話に登場する正邪を含む大いなる神々は人間を超越した物として設定されており、人類と敵対するとかといったレベルの存在ではない。その存在や姿形を想像する事自体が不可能な者とされている。言い換えると人間とは極めて矮小であまりにも小さく儚い存在であり、偉大なる神々からすると塵以下の何の意味も持たない存在でしかない。
 このゲームではホラー(恐怖)という概念が使われているが、クトゥルーにおける恐怖とは通常のそれとは意味が異なっている。人間は恐怖を感じる時、どんなパニック状態になろうとも「今自分が見ている・体験している対象は自分にとって恐怖を感じる物である」というのを心の底では理解(認識)している。つまり恐怖とは裏を返せば理解の下に初めて生まれる感情である。
 しかしクトゥルー神話においては、それ等の神々と人間が遭遇した場合、それは人間の理解の範囲外に存在する者の為に”恐怖”という感情は生まれない。それらは人間の想像を超越しているので人間は発狂する(脳が許容範囲外の情報を受け入れて壊れる)。日本語で言うならば”恐れ”ではなくて”畏れ”である。あまりにも相手が巨大な存在過ぎる故の怖さ、例えば「海にはどれだけの量の水が存在しているのか」と頭の中で想像した時の妙な感覚、或いは宇宙という存在に思いを馳せた時に感じる自分自身の矮小さから来る得体の知れない恐怖感、に類する物と考えて良いだろう。

 ゲームの世界では先に書いたようにPen & Paper(TRPG)としてゲーム化されており、これが一番有名な物なのは間違い無い。現在でもそのバリエーションを含めて広くプレイされているゲームである。中でもこのDCotEでも取り入れられているSanity(正気度)チェックのシステムは有名である。その他にはAlone in the Dark(初代)がその世界観に影響を受けていたり、AdventureゲームでもNecronomiconShadow of the Comet等のゲームが過去にリリースされている。日本ではPRGのラプラスの魔が有名だろう。また神話に出てくる邪神をゲーム内に敵モンスターとして登場させる物も数多い(Quake、女神転生シリーズ、ペルソナシリーズ等数十を数えるようだ)。


 このDCotEでは原作からの地名や神々を登場させるが、ストーリーは独立したオリジナルである。有名な"The Shadow over Innsmouth"がベースとなっており、これに"The Shadow out of Time"の要素を加えた物となっている。ゲームをクリアするのに原作の知識は必要とされないが、読んでおいた方が小説中の登場人物に会えたりするので理想的ではある。ただしこの神話の背景設定を知らない場合には、主人公が時々見るそれに絡んだ内容の映像(ゲーム中に於いてはムービー)の意味合いが理解出来ない可能性は高い。

 主人公はJack Waltersという私立探偵。その活躍振りで有名だった彼は、1915年に狂信的なカルト集団に絡んだ事件に関わり、そこで強い精神的なショックを受けて精神病院へと入院する。彼が自我を取り戻したのは6年後だったが、記憶喪失状態で当時の事は何も憶えていない。
 日記等から自分が私立探偵だった事を知った彼は再度その職業を始めるのだが、そんな時にArthur Andersonなる人物から捜査の依頼を受ける。New England(マサチューセッツ州)の港町インスマウスにて、Brian Burnhamという自分の店のマネージャーが失踪した事件の原因究明が依頼の内容。店が破壊されて金品が盗まれており、警察はBurnham自身が犯人でそのまま逃亡したとしているのだが、全てにアクセス出来る権限を持った人間がわざわざそんな事をする訳が無く、何等かの事件に巻き込まれたのではないかと言う話。調査の為に訪れた彼は、"Innsmouth Look"と陰で呼ばれる特異な容貌を持った人間が多く、余所者には冷たい不気味な町インスマウスで捜査を続ける内に、自身の過去に関連する恐ろしい事件に巻き込まれることになる。



PATCH

DEMO
 パッチは存在しないし、会社がもう無いので期待も出来ない。実際問題としてバグが相当に有るのでパッチを求める声は多いが、残念ながら諦めるしかないだろう。ただしファンで改造ツールを製作している人がおり、このツールは直接的なバグ修正を行う物ではないのだが、実際にはそれも含めて非常に便利な物となっている。最後のページに解説を載せておくので詳しくはそちらを参照してもらいたい。

 デモはリリースされていない。

動作環境
HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU Pentium III 800Mhz
SSE対応
Pentium 4 1.8 GHz
SSE対応
MEMORY 256MB -
VIDEO VARM 64MB
Hardware Vertex & Pixel Shaders対応
VRAM 128MB
Hardware Vertex & Pixel Shaders対応
SOUND DirectX 8.1 Compatible -
対応OS  2000/XP
DirectX 9.0c以上要


 SSEとはインテルが開発したCPUの拡張命令セットの一種で、CPUの最低必要速度は低いがこれに対応している物でないと起動しないので注意。HardwareでのVertex & Pixel Shaders対応要なので、GF4 MXや多くのオンボードのビデオチップ系だと動作しない。単体ビデオカードだとGeforce 3やRadeon 8500クラスが最低ライン。その為にCPUやメモリの要求は低いのだが、実質それなりのゲーム用マシンでないと起動しないゲームと言える。

 起動にはCDを必要としない。セーブや設定データは\My Documents\Bethesdaに保存される。


*セーブが保存されない
 保存スロットを選んでEnterで実行した場合、見た目には出来ているようでも実際には行われない事がある。よってセーブは該当スロットをマウスのクリックで行う必要がある。既に保存データが有るなら、上書きの確認が出ないとおかしい。それとWindows上の時刻表示設定が24時間制(AM/PM不可)になっていないとセーブが出来ないそうだ。

*マウスのボタンが左右以外設定出来ない
 そういう仕様のようで、左右ボタンとホイール以外は認識してくれない。また設定ファイルはテキストでは無いので直接の書き換えも不可能。マウスやドライバの種類によっても変ってくるのかも知れないが、どうしてもというなら何等かの入力変換ツールを見つけて来るしか無さそう。

*インストール出来ない
 停止する方のCDをHDにコピーしてみて、可能ならばそのフォルダを指定してインストールを試す。バックグラウンドのソフトとの相性も有るようで出来る限り止めて試す(XfireやSteamを止めると治ったという情報も有り)。或いはSafe Modeから行う。NvidiaのIDE driversを使用しているならWindowsのstandard IDE controller driverに戻す。

*Dual-Coreでのトラブル
 カットシーンの再生後に落ちる、異様にパフォーマンスが悪いといったトラブルがかなりの数報告されている。AMD Athlon 64 Processors DriverやAMD Dual-Core Optimizerを導入して、シングルコア・モードにして動作させてみる。

*特定のカットシーンの後必ず落ちる
 もしもそのカットシーンのトリガーとなるポジションが分かるなら、そこを通らずに通過出来ないか、またはそれが別のNPCが起すトリガーならばそれが起きる前に通過出来ないかを確認。

*Safe(金庫)の使い方が分からない
 初期状態ではどの数字に合っていても構わない。4桁のコードを入れるには、通常最初に右方向に回転させる。例えば1234が暗証番号ならば、まずDキーを押してダイヤルを向って右に回転させて1まで回して合わせる。次にAキーで向って左に回転させて2に合わせる、次は右回しで3へといった具合に合わせて行き、コードが合っていればそのまま金庫が開くようになっている。

    次の頁