SINGULARITY

                                  11/10/23



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製作・販売: Raven Software / Activision
発売: 2010/06
日本代理店: 無し


概  要  FPSゲーマーにとっては御馴染みのRaven Softwareが制作。同社としては期待度の割には評判が良くなかったWolfenstein(2009)に続く作品となる。PC, Xbox 360, PS3での発売。

 2008年にアナウンスされてからというもの、Activisionにおけるこのゲームの扱いはAAAクラスであった(Raven内部のコアチームが65人の他に、外部の開発陣が50人程度の規模で制作期間が4年)。そしてそれは2009年後半の発売予定を、「Call of Duty: Modern Warfare 2との今年のホリデーシーズンにおけるバッティングを避ける為に2010/03へと延期する」という所までは同じだったと言える。しかし何があったのかは不明だが、その後このゲームのActivisionにおける扱いは著しく低下した模様で、更に延期されて実際に発売される際には、北米ではプロモーション活動の類はほとんど行われなかったそうである。

 その結果ゲーム自体の評価は77.7%(PC)と良好だったにも関わらず、売り上げの方は期待値に届かずに終わっている。具体的な数字は公式に発表されていないが、外部調査機関による売り上げデータでは発売初月の売り上げがたったの3万本という結果だったのを考えると、大幅な目標未達だったのは間違いないだろう。


 製品流通の方にも謎が感じられるゲームで、私は近年ではUKからゲームを買う事が多いのだが、このゲームについては売っている店自体が何故かほとんど無いという状態だった。現時点(2011/10)でも売っている店は在るが、レアだからなのかまだ発売当時の定価のままだったりする。北米でも売り上げ不振の割には値段が一向に下がらず、現在の相場は$29.99と“一年以上経過している有名でもないゲーム”としては値崩れが遅い。新品リテール版を安価で買うなら、eBayだと北米版が$10(送料別)程度から有る(ただし私の買ったのはカナダ仕様なのかパッケージとマニュアルがフランス語併記だった)。ダウンロード販売はSteam等で扱っており、価格はやはり$29.99が相場。


 PC版は日本では未発売。Xbox 360, PS3版はスクウェア・エニックスよりシンギュラリティとして発売されている。海外PC版とコンソール日本語版では善し悪しが存在するので、どちらでもプレイ可能な環境の方にとっては少々難しい選択となる。

 PC海外版の弱点とは字幕機能が無い所。Bioshockの様にオーディオログ(オープンリールのテープレコーダー)が散乱しているのだが、これ等を文章で読む事が出来ない。コンソール日本語版では字幕機能は無いが音声が日本語になるし、多数のノート類も日本語で読む事が出来る。また今作では日本語声優の質も高いという評価を概ねされている。よってストーリーを理解する上ではコンソール版の方が優れている。それとこれは人によるが、PC版には実績(トロフィー)が用意されていない。

 反対にコンソール版の弱点は残虐表現の規制で、以下の部分が米国版とは異なる。

・敵対する人間キャラクターの身体分離欠損表現の修正(ミュータントには欠損表現あり)
・マップ内のオブジェクトの一部として配置されている残虐な死体表現の除去

 なおマルチプレイでは「日本語版専用サーバーでの対戦」という問題も在るが、既にどのプラットフォームにせよ人が全く居ないようなので関係が無いという状況。


STORY  第二次大戦後のソビエト連邦は、原子力の研究で優位に立つアメリカに対抗する為に自国でも研究を急ピッチで推し進めていた。ところがその過程である小島のウラニウム鉱脈の探索中に全く新しい物質を発見する。“Element 99”と名付けられたその物質は高エネルギーを生み出すだけでなく、時間軸に干渉する事が出来る性質を持っており、その未知なる可能性の研究の為に島には巨大な研究施設Katorga-12と作業者の移住区が極秘に設けられた。

 そして施設のトップである科学者Victor Barisovは、研究の末に時間軸を操る装置TMD(Time Manipulation Device)の開発に成功する。しかし1955年に島では大規模な爆発事故が発生し、バリソフ博士を含めた多数の研究員が死亡してしまう。なおこの事故はゲーム中のキャラクタからはSingularityと呼ばれているが、ここでの“Singularity”とは特異点(ブラックホールの中心に存在するとされる密度&重力が無限大の場所)の意味で使われており、それに準えて時間軸が過去と接続されている特異点という事に設定されている。

 そして事故で漏れ出したE99の影響により人間がミュータント化し、更に島の一部では時間の流れが不安定になるという状況に陥っていた。元々不安定な物質だったE99の処理が不可能と判断したソビエト政府は島を封鎖すると共に、事実を知る生き残りの人間達を抹殺。研究自体が無かった事として処理されKatorga-12の存在は闇に葬られる。


 それから55年後の2010年。アメリカ政府は人工衛星より強烈な放射能の発生を検知して、原因調査の為に主人公Nathaniel Renko大尉を含めた特殊部隊をそのエリアへと送り込む。しかし強大なエネルギー爆発に巻き込まれてヘリは島に墜落。そのKatorga-12ではE99の影響によってSingularityの発生した1955年当時とのゲートが不規則に開閉している状態にあり、レンコはその時限波に巻き込まれて過去へと飛ばされてしまう。そしてそこで彼が行ったある行為によって歴史が改変されてしまい、現代へと戻ったその世界では同じく研究者であったNikolai Demichevがソビエト連邦の新たなる支配者として君臨しており、E99のパワーを使ってアメリカを含めた世界を征服しているという状況になっていた。

 その後彼は新世界となった島にてMIR-12という組織の一員であるKathrynと遭遇。MIR-12とはデミチェフが指導者としての力を手に入れた背景を探るレジスタンスグループで、彼等はその謎に関わっているのがレンコであるというのを突き止めていた。MIR-12との協力体制を受け入れたレンコは再度過去へと飛び、デミチェフの陰謀からバリソフ博士を救出して過去を再度改変。55年後の現代のバリソフ博士と協力して過去と未来を行き来し、デミチェフの支配する世界を元に戻す為に奔走する。


PATCH

DEMO
 V1.01がリリースされている。

 デモは無し。

動作環境

トラブル
  必要環境 推奨環境
CPU Pentium D (dual core) 2.8GHz or Athlon X2 4800+ Core 2 Duo E8400, Athlon 64 X2 6000+ (XP)
Core 2 Duo 3.0GHz, Athlon X2 4800+ (Vista/7)
MEMORY 1GB (XP), 2GB (Vista/Win7) 1.5GB (XP), 2GB (Vista/Win7)
VIDEO DirectX 9.0c互換, VRAM 256 MB GeForce 8800 GT, Radeon HD 3850
SOUND DirectX 9.0c互換 同左
対応OS XP / Vista / Windows 7
DirectX 9.0c以上要


 PhysXのドライバ要(NVIDIA PhysX システムソフトウェア)。自動的にインストールされるがDVD収録のバージョンは古いので、最新版をNvidiaからダウンロードしてインストールしておかないと起動時に問題が発生する恐れがある。

 以下は発売時点でサポートされているビデオカード。オンボード系は未サポート。

NVIDIA GeForce 8800 GT 256 MB RAM and better chipsets (excluding GeForce 9400)
ATI Radeon X1800 256 MB RAM and better chipsets (excluding X1800 GTO, HD2400, HD2600, HD3450)

 特別に高い性能要求では無く、また使用しているのがUnreal Engine 3という定番の物の為、ゲーマー環境のPCならば起動自体には問題はまず無いと思われる。実際に起動しない等の障害報告は少ない模様。だがデモが存在しないので、未サポートとされるオンボード系ビデオを使用するノートPC等での動作確認が事前に出来ないというのは難点。

 少なくともXbox 360コントローラーには対応している。



*テクスチャの貼り遅れが発生する
 発売時点での大きな問題で、テクスチャのストリーミングが遅く、しばらく待たないと正規のクオリティにならないという件。これはパッチで修正されているので適用すればOK。UE3はデフォルトではPC版にストリーミング機能が無い筈なので、おそらく独自に開発した機能が問題を起こしたのだろう。


*テクスチャのクオリティが低いオブジェクトが見受けられる
 これは貼り遅れとは異なり、待ってもストリーミングで改善されないというケース。どうやら最高レベルの高解像度にしたりするとエリアによっては発生する障害の様で、解像度を落とすかテクスチャのクオリティを下げるしか無い。ただチェックポイントをリロードすると治る事もあるらしい。個人的には最終のチャプター6で数回遭遇したが、気付かない箇所で他にも在ったかもしれない。


*起動に失敗する
・インストールされたフォルダのexeから直接起動している場合、デスクトップorスタートメニューのショートカットから起動してみる
・(特にRadeonユーザー)PhysXのドライバを最新に更新する
・(Vista/7)ショートカットのプロパティからXPSP2互換モードで起動してみる


*Windows 7で初回起動時に"This program may not have installed correctly"
 正常にインストール済みでも出るので無事に動くならば気にしなくて良い


*全く音が鳴らない
 まずは(Vista/7)のみの対策。アプリケーション毎に音量調整を行う音量ミキサの設定を変える。

1.ゲームをスタートさせてから [ALT] + [TAB]で画面切り替え
2.システムトレーの中のスピーカーアイコンをクリック
3.ボリュームミキサーを開いてSigularityのボリュームをアップさせる

 次にXPを含めた対策。

・スピーカーの構成がクアッド(4SP)ならサラウンド(5.1ch以上)に。それでもダメならステレオへと変更してみる。
・サウンドのハードウェアアクセラレーションを下げてみる(XPのみ)


*グラフィックス系の設定項目が少ない。解像度を用意されていない値に変えたい。
 このゲームでは設定をレジストリに保存しており、直接それを編集する事である程度は設定を変えられる。ただしレジストリの編集には注意する事(バックアップを採っておくべき)。

 HKEY_CURRENT_USER\Software\Activision\Singularity の中に設定が在り、項目はUE3では御馴染みの物が多いので、UE3の各種Tweakガイドを参照したりすれば良いだろう。ResX, ResYが解像度設定。


*解像度変更後に起動しなくなった
 上記レジストリの中身ResX, ResYを直接編集して標準的な値に戻すか、項目を削除して再生成させる。


*マウスでの操作がおかしい
 コントローラー系統が接続されていると発生する可能性がある。全て抜いて試してみる。


*FoVの値変更
 例によってFoVの値が狭いという不満が出ているが、このゲームについては現状では変更方法が見付かっていない。上記のレジストリの中にFoVの項目を作るという方法が検索すると見付かるが、実際にはその通りにやっても反映されないようだ(パッチ適用前なら可能なのかもしれない)。他には不完全ながらFlawlessWideScreen(公式サイトはダウン中)というツールで強制的に引き伸ばすという方法が存在する(HUDも一緒に伸びてしまう)。

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