METRO 2033

                                  10/09/28


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製作・販売: 4A Games / THQ
発売: 2010/03
日本代理店: ズー


概  要
 Dmitry Glukhovskyの同名小説Metro 2033をゲーム化した作品。この小説は2002年にまずオンライン上で発表され人気を得て、その後2005年に出版されてロシアだけで40万部のベストセラーとなり、現在では20ヶ国以上で発売されている。日本でも小学館からゲームに合わせて発売の予定だったのだが、どうも現時点では発売されるかどうか判らない状況になってしまったようだ。

 製作はウクライナの新興会社4A Gamesでこれがデビュー作。同社はGSC Game WorldにてS.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobylを製作していたメンバーの中の数人が、ゲームの完成前に退社して設立している。この小説をゲーム化しようという案は会社の設立前から持っており、作者のDmitryにコンタクトを取って承諾を得たのだが、その後Dmitry自身が結構なゲーマーというのもあって、このプロジェクトに加わりストーリーの構成等に関わっている。


 最初にアナウンスされたのは2006/08のことで、その時には“Metro 2033: The Last Refuge”というサブタイトルが付けられていた。この時点ではS.T.A.L.K.E.R.の製作チームから抜けたメンバーの作品という点の他に、個人的にはPCとPS3のマルチプラットフォームというのが気になっていた。ロシア圏ではPCゲームが圧倒的に強いので、同地域の製作会社はほぼPCゲームしか製作しないという状況の中、まだ代理店も決まっていない内から何故コンソール版も製作するつもりなのか。そして製作環境の類似性から大抵は選ばれるXbox 360の方ではなく、PS3を選択している理由は何なのかが解らなかった。

 その後はニュースがバッタリと途絶えてしまい、ようやく2009年になってTHQから発売される事がアナウンスされる。代理店契約自体は2007年末の事で、4A Games側から話を持ち掛けたそうだ。THQを選択したのは既にS.T.A.L.K.E.R.の件でTHQ内部に知り合いが居たからという理由。ただしそこでは発売機種がPS3からXbox 360へと変更されていた。


 ウクライナというお国柄からコンソールゲームの開発に詳しい者が社内にいる訳ではなく、最初からメインプラットフォームはPC。それをコンソールでも作ろうと考えたのは、単純にチャレンジしたかったからだそうだ。Xbox 360ではなくPS3を選んだのは、Chief Technical OfficerのOles ShishkovstovS.T.A.L.K.E.R.のX-Ray engineの開発者の一人で、このゲームの4A Engineも製作している )が、GSCに居た頃にNvidiaのビデオチップであるコードネームNV40の開発チームに加わっており(当時S.T.A.L.K.E.R.がNvidiaの宣伝タイトルとなり両社に緊密な協力関係が在った事からだと思われる)、その彼からするとNvidiaのビデオチップを搭載したPS3の方がやり易いと判断したからである。

 そのPS3版が中止されたのは、THQの上層部が「実力が未知数の新しい会社が、新しく制作するエンジンで、プログラミングが難しいとされるPS3向けにゲームを製作するのはリスクが大きい」。それと「PS3で出さないとならない理由も無い」と判断したからだそうだ(このタイトルがTHQに取ってAAAクラスの大物ではなく、また当時のPS3の勢力からすると、という意味だろう)。この決定はかなり早期だったので、PS3版は研究の段階で終了してしまい、実際にはPS3上で動いているバージョンは製作されていない。

 しかし4A Gamesとしてはコンソール版も出したかったので、残りの一方であるXbox 360に切り替えたという話になる。製作はマルチプラットフォーム環境ではなく、PC版の完成後にXbox 360へと移植という形を取っている。MSから提供されるツール類が優れていたので、移植は19日間で終了したそうだ。


 THQの発表によると、ゲームの売り上げは2/3が欧州で残りが北米(小説の知名度の違いから)。売り上げの大半はPC版によるもので、Xbox 360ではあまり売れなかったようだ。具体的な販売数は明らかにされていないが、人件費の安い東欧での製作という事から破格の安値となる製作予算だった為に、利益面では大成功だったとしている。今回の成功に倣って今後もこのビジネスモデルを推し進めて行くと話しており、続編小説を舞台にした“Metro 2034”の制作も既に決定している。



 シングルプレイ専用でマルチプレイは含まれていない。Xbox 360コントローラーに対応。少なくとも初回のプレイ前にはSteamでのオンライン認証が必須である。

 ゲームの平均評価の方は81.2%とPC版の方がやや高い。新参会社のゲームとしては高ポイントであり、評価面でも成功したタイトルと言って良いだろう。



 発売から半年が経過しておりリテール版はもう価格が下がっているが、2010/09現在Steam他のダウンロード販売ではまだ値下がりしていない。

 PC版の日本代理店はズーで日本語版を発売している。Xbox 360版はスパイクから。PEGIのレーティングは最高レベルの18禁ではなく16歳以上指定であり、日本語版での規制は無い模様。日本語PC版もSteamの認証を採用しているが、日本からの海外版のアクティベーションに特に問題は無いようだ。


 数種の限定版がリリースされている。欧米地域での限定版は、4枚の特製ポストカードの他に、ゲーム内に限定版専用の武器としてHeavy Automatic Shotgunが登場する(特定の場所で拾える)。UKではその他に初回限定版として、Red Faction: Guerrillaが同梱されたパッケージが出ている。

 ドイツの限定版は横長の特製パッケージ仕様。Heavy Automatic Shotgunの特典の他に、ゲーム内で主人公が使用しているメーター付きの時計, Hunterのエンブレムとクマのぬいぐるみの付いたキーチェーン, 特製のアートブックが付属。ポーランドの初回版には、原作小説, 実物のガスマスク, ミリタリー仕様のバックパック, ゲームのガイドブックが付属している。




 DLCの『Ranger Pack』が10/09/04にリリース済み。PC版ではこれは無料という設定で自動的に導入される。ゲーム内で新しい武器が使える様になっている他、更に難しくなった2つの難易度を追加している。

 Nvidiaの3D Visionをサポートしており、環境があれば3D映像でプレイ出来る。


STORY  背景設定や主人公は同一だが、小説と全く同じ内容の物を作る気は最初から無く、ある程度は原作と異なっている。

 2013年に世界規模の核戦争が勃発し、地球全土が壊滅状態と化したという設定。地表は崩壊した建造物と共に強い放射能で覆われており、人間が地上に出る事は出来ないという年月が長く続いていた。しかしロシアでは有事に備えて以前より核シェルターとしても使える様に設計された地下鉄施設(Moscow Metro)が存在しており、一部の人間はこれを利用して生き延びていた。(世界の他地域については通信機器が無いので状況が判らないという設定)。

 なおこの地下鉄網は実際に存在しており、主に旧ソ連時代に核戦争の危機から逃れる為に建造された。線路の全長は300Km以上。全体が放射能の影響から逃れる為に深い地下に作られており、最深部は地面から60M下を通っている。その為に駅に出入りする為のエスカレーターが長い事でも有名で、降りきるまでに2分以上掛かる駅も存在している。


 舞台となるのはその核戦争から20年後の2033年。生き残った人々は地下のシェルターを利用して、鉄道網の各駅を拠点に自給自足の生活で何とか生き延びていた。その数は約4万人。地表の放射能は大分弱まったものの、大気が汚染されている為にガスマスク無しでは活動が行えず、地表へと再び出て暮らせるのはまだ先という状況にあった。またメトロの内部では勢力抗争が勃発しており、ネオナチスや赤軍による人間同士の争いが行われていた。

 しかも放射能の影響で遺伝子変化を起こした動物達がミュータントと化し、人間を餌として求めて人々の暮らす地下へと進入して来ており、人間側はそれを迎え撃つ為の自治組織(Ranger)を形成して対抗。更に全く謎の存在である“The Dark Ones”と呼ばれる生命体も登場し、その精神攻撃にて被害を受けるという事件も所々で発生していた。

 主人公のArtyom(アルチョム)は戦争時に生まれた20歳の若者で、鉄道網の中では外郭地域となる小さな駅で暮らしていた。しかしその駅でもミュータントの襲撃が激しくなり、彼は命を受けて政府の存在する中心都市Polisへと援軍を要請する為に旅立つ所からストーリーは始まる。



PATCH

DEMO
 Steam上で動作させるのでパッチは自動適用される。このゲームではパッチ適用の履歴が見られないので、リリースから間もなく出されたV1.1と称されるパッチ以外の修正があったのかは不明である。


 かなり遅れたが8月の末にデモがリリースされている。

動作環境

トラブル
  必要環境 推奨環境 最適環境
CPU Dual core CPU Quad Core
3.0GHz以上のDual Core CPU
Core i7 CPU
MEMORY 1GB 2GB 8GB以上
VIDEO Shader Model 3.0以上に対応
GeForce 8800, GT220以上
DirectX 10互換
GeForce GTX 260以上
DirectX 11互換
GeForce GTX 480 and 470
SOUND - - -
対応OS XP / Vista / Windows 7
DirectX 9.0c以上要


 最適環境もアナウンスされているが、これはDX11環境での設定を上げた場合。メインメモリ 8GB以上となっているが、これは更にあるだけ在った方が良いとされている。

 DX10/11環境がDX9に比べて特に重いという訳ではないようだが、ビデオ系の設定を上げた場合にはDX10/11の方が確実に重くなる。特にMSAAの負荷が非常に高い。私のマシンはDX9までなのでそれは試せなかったが、(XP SP3, E6850, MM 4GB, Geforce GTX 260, V197.45, SB X-Fi)にて、プリセットの“High”なら問題は無く、その上の“Very High”だと場所によっては重くなるというレベル。

 DLCの『Ranger Pack』にはベンチマークツールが付属しており、負荷の高いシーンを使用して様々な設定でベンチマークを計測可能になった。上記の環境だと“High”ならfpsは30を越えるが、“Very High”では25を切ってしまう。“Advanced PhysX”の設定を切ると6〜8程度fpsが上昇したが、これは単体カードでの処理なので変化が大きいと思われる。猛烈にPhysXを利用しているタイトルではないので、レンダリング用のビデオカードの性能が高ければ、PhysX処理専用のカードを入れてもあまり変化は無いようだ。


 トラブルについては計4回プレイ中にフリーズして強制終了させるしかなくなった。256ドライバはDX11や新カード用の修正がほとんどなのでまだ入れていないのだが、それが関連しているのかどうかは何とも言えない。

 前回正常に終了されていない場合には自動的にセーフモードで起動するかを聞いてくるので、繰り返し発生する際にはそれを使ってテスト。現在ではデモにより動作や負荷の検証が購入前に行えるようになったのは良い点である。


 THQのサポートには何の情報も無いし、公式サイトに掲示板も無いので障害状況は掴み難いが、Steam他の掲示板から幾つか問題となっている件を掲載。


*インストールがDVDから行われないで、ダウンロードを始めてしまう
 Steamを停止させてから、スタートボタンより[ファイル名を指定して実行]を選択(XPの場合)。そこに以下の様に入力して実行。

 "C:\Program Files\Steam\Steam.exe" -install Q:

 ここでデフォルトの場所以外にSteamをインストールしているならばそれを変更。最後のQ:はDVDドライブのレターがQの場合なので、自分のPCに合わせて変更。


*起動しない
 ...\Steam\steamapps\common\metro 2033\install の中にPhysXのドライバを含めて必要なプログラムが入っているので、自分のPCにインストールされていないか、或いはバージョンが古いならばちゃんとインストールしてやる。他にはSteamのゲームなのでキャッシュの整合性をチェックしてみる。


*起動するとブラックスクリーンとなり画面が出ない
 ...\Steam\userdata\(数字名のフォルダ)\43110\remote の中のuser.cfgを開く。r_fullscreen を on から off へと書き換えて保存。
Steamを再起動させてからゲームを起動させるとウィンドウモードで起動するので、これで画面が出るならそこから解像度等の設定を変えて試す。


* X3audio1_7.dll error
 DirectXのバージョンが古い。


*特定のシーンでゲームが進行しなくなる
 発売初期に主に発生していたバグによる進行停止の問題で、直前のチェックポイントをリロードしてやり直すしかない。その際には解像度を800*600にして、設定も最低まで下げると発生し難くなるとされている。



 ゲーム内で詰まったりする可能性がある箇所や難所でのヒントについて、掲示板から複数質問が出ている物を抜粋。(答えは反転)。

◎2.4 Lost Catacombs  冒頭で何をすれば良いのか判らない
 カットシーンが三回流れて位置を戻されるが、いずれもドアを開こうとするブルボンの方に向かって進めば、最後の三回目にドアを抜けた時点でカットシーンに切り替わって通り抜けられる。周囲のアイテム類は早めに拾っておけば問題無い。


◎3.4 Cursed  コンパスの方向に向かってもゲームが進まない
 向かって左を爆破せよという指令であり、その前に右手の爆弾を入手しないとならない。その後は左側を爆破→もう一箇所を爆破でOK。


◎4.2 Trolley Combat  オートセーブされた地点から何度繰り返しても死んでしまう
 乗っている貨車はダメージが累積方式なので、被弾し過ぎて破壊寸前まで行くとその先のクリアが実質不可能になったりする。難易度を下げても駄目なら、このマップの先頭からなるべくダメージを受けないようにしてやり直すしかない。


◎4.5 Child  子供に出会った後に操作が変になる
 解り難いかも知れないが、子供はアルチョムの背中に乗っており、その為にジャンプが出来なくなる。また子供の指示による視界の強制移動があるので、マウスの動きが変になるシーンも出て来る。


◎5.4 Depository  Librariansの扱い
 まずは戦闘を避ける方法から。最も手早いのは脇目も振らずに逃げてマップのゴールを目指す方法で、何回かリトライしてルートを憶えさえすればこれが一番簡単。彼等は自分のテリトリーから出て来ないので、一度に多数に追われるという事は無い。ただしアイテム類の回収は困難になる。

 次に戦闘の避け方は前のマップで教わるのだが、ちゃんと理解していないと上手く行かない。相手が普通に立っている状態では、そのまま接近して来ても下がっては行けない。相手から目を逸らさずにいれば、その内に背を向けて去ってしまう。一方で床を叩いたりと怒っている状態では、少し下がって怒りが静まるまで待つ。その際に目を逸らしたり背中を向けてしまうと、走って追い掛けてくるので絶対にそれはやらないこと。これを繰り返して通り抜ける。失敗した場合だけ戦闘するか逃げるかに切り替える。


 戦闘しても構わないのだが、普通に戦うとタフなので相当な数の弾薬が消費されてしまう。弾薬が十分にないなら全部を相手にするのは避けた方が良いだろう。基本としてはヘッドショットをとにかく狙う事。またグレネードは効かないので避ける。

 どんな攻撃が有効なのかは意見が分かれているが、Helsingの空気を一杯にした状態で頭に矢を撃ち込むのが効果的なのは確か。矢は回収出来るので無駄にならないし、これを薦める意見は多い。その他では「ステルスで近付いて頭部に投げナイフも、気が付いていない状態では高ダメージが入る設定なので有効」。「リボルバーでヘッドショットを連続すれば倒せる」。「MGAを装填してヘッドショット」という意見もある。



◎6.5 Biomass  最初のエレベーターから降りた直後のエリアがクリア出来ない
 第一に重要な点として、アメーバ状の敵が沸いて出るスポーナーは撃って破壊出来る。これで破壊していかないと無限に湧き出るのでクリアが困難になってしまう。

 破壊するにはショットガンの方がダメージが高いので早いが、リロードが長いという欠点有り。MGAを多く持っているならアサルトライフルでそちらの弾を使うという手もある。それとミラーに近付いて守るのは良いが、あまり近付き過ぎるとミラーの撃ったアメーバの爆発でダメージを受けてしまうので注意。

 どうしても駄目なら、ここだけ難易度を下げてみるという手もある。

 おそらく一番有効な方法は、開始と同時に棚のアイテムもミラーも無視してゴール地点となるハシゴ(若しくはある程度前の地点)までダッシュし、自分を追ってきたアメーバと周囲のスポーナーを破壊しながら、スタート地点に向けて逆向きにミラーに遭うまで進むという戦法。棚のアイテムはクリア後に回収に行けば良い。


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