THE THING

                                  07/04/19


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製作・販売: Computer Artworks / Black Label Games(VU Games)
発売: 2002/08
日本代理店: サイバーフロント



 ※レビュー内容は当時の物です(V1.1時点)

 *注意* このゲームのレビューについては、その内容解説が映画のネタバレになってしまうのが避けられないので、映画を未見の方は次ページ以降を見るのは注意してもらいたい。また映画を見た事が無くてもプレイは可能だが、映画の内容を知らないと意味不明の箇所が出て来るのは確かである。


<概要>

 ゲームの内容はジョン・カーペンター監督による1982年公開の映画"The Thing"の続編という位置付けであり、映画のストーリーが終了した後の出来事を描いている。監督自身が製作に加わっている訳では無いが、ゲームの内容自体はお気に入りだったらしく、登場人物の一人のモデルとしてもゲーム内に登場している。

 製作を担当した英国のComputer Artworksは(他にはEvolva等)、2003年に倒産しており既に存在しない。Black Label GamesはVivendiの内部レーベルの様な存在だがこちらも無くなっている。現在ではゲームの公式サイトも消えているし、このゲームのコンテンツ自体がSierraのサイトに無いという状態(サポート頁に記載が有るのみ)。

 英国では再販レーベルとして有名なSoldoutより現在(2007/04)でも販売されているので入手は容易な部類。

 日本ではサイバーフロントより「遊星からの物体X」日本語マニュアル付英語版として販売されていたが既にカタログには存在しない。

 シングルプレイ専用であり、マルチプレイはサポートされていない

 コンソール用にはPS2とXboxにて発売されているが、こちらは欧州ではKonamiが販売を担当しているようだ。


<THE THING>

 原作映画についての解説をネタバレにならない範囲で先に行なっておきたい。日本でのタイトルは「遊星からの物体X」。原作は1930年代のSF小説で、一度1950年台に映画化されている。この映画はその初代のリメイクと言われているが、どの程度の類似性があるのかは原作小説&最初の映画(日本題「遊星よりの物体X」)共に未見なのでわからない。

 舞台は南極のアメリカ観測基地。10数人の観測員が働くこの場所では、最近無線による外部との連絡が全く取れずに孤立状態にあった。そんなある日ヘリに追われて一匹の犬が基地にやって来る。何事かと外へ飛び出して犬を介護した観測隊員達に向かってヘリから降りた男は銃を乱射、応戦した隊員達に射殺される。異変を感じてそのノルウェー観測隊員の基地へと向かった彼らは、そこで全滅した基地とこの世の物とは思えぬ異形の死体?を発見する。残された観測ビデオを調べた彼等は、ノルウェーの観測隊が南極の氷を爆破して宇宙船らしき物を発見する映像を見付ける.....。
 約10万年前に地球に不時着してそのまま氷付けとなった宇宙人が爆破による温度上昇で目を覚まし、発見した人間に襲い掛かるというSF物。パターンとしてはありがちなのだが、この映画を他の凡作から際立たせているのは以下の2つの点による。
 
 一つはその異星からの生命体”The Thing”の形状と言うか映像表現である。この生命体は他の生物に寄生するのでは無くて、その体を奪って擬態するという性質を持っている。つまりこの手の話でよく有るパターンの精神に取り付いて乗っ取ったりするのでは無いのだ。まず目的の生命体に接近するとその体を取り込んで捕食してしまい、完全に自分の中に取りこんでしまう。その後数時間掛けてその生命体の細胞に擬態して、完全に元と同じ形状の生物になってしまうのである。この状態では見た目も精神も元の形態を真似ているので外部からは見分けが付かない。この様な形である集団に一度でも取り込まれると、その集団全体を気付かれない内に自分の仲間で埋め尽してしまうのだ。
 映画ではこの捕食やその変形表現について非常にグロテスクな特殊映像を使っており、その奇妙さグロさは一度見たら忘れられない位強烈である。内臓的なというかグチャグチャ、ネトネトした感じの気色の悪い映像が随所に出現する。この異性人The Thingは幾つかの基本的な形状を持っているらしいのだが、いずれも気味の悪い物ばかりだ。時代的に古いとは言え一応バイオレンス指定有りなのでそういうのが嫌いな方はお気をつけて。

 そしてもう一つ、これが映画のメインとも言える要素が存在する。それは観測隊員間に生じる疑心暗鬼による緊張感である。先に述べた様にこの生命体は一度捕食した相手に完全に擬態する事が出来る。するとそれが判明した時点で観測隊員達の間にはある疑惑が湧き上がって来る。それは「この中の誰が(或は誰と誰が) 既にThe Thingなのか?」という事だ。
 自分達の探索行動を邪魔する物が存在する事から、内部に既に乗っ取られて擬態化した者がいるのは間違い無い。しかし外見や言動を完全に真似る事が出来る知能の持ち主であるので、通常の方法では区別の付けようが無い。相手は完全に焼き付くす事で殺す事は出来るのだが、肝心の誰がそうなのかが判らなければ行動の起こしようが無いのである。そんな中隊員達の間にはお互いを疑い合う空気が広がりだし、やがては発狂寸前までになってお互いの殺し合いにまでエスカレートする事に。しかし隊員達が一人また一人と減っていく中、依然として敵の活動は終わる様子を見せない。果たして相手を見分ける方法とは? また誰が"The Thing"なのか? という風に最後まで重苦しい緊迫感の中映画は進んでいく。


<STORY>

 映画のエンディングから3ヶ月後、観測基地(Outpost#31)より連絡の途絶えた事を不審に感じた米軍は調査隊を派遣したが、その調査隊さえも連絡が取れなくなってしまう。プレイヤーは主人公のBlakeとして当の南極観測基地に降り立ち、調査隊の捜索及びに3ヶ月前に起きた事件の究明に当る事となった。



<PATCH・DEMO>

 V1.2までリリースされているが、USとUK版は別となっている。ただしUS版だと中身としては1.0-1.1と1.1-1.2の2種類が入っているだけ。再発パッケージでは適用済の可能性も有り。パッチ適用時の注意点として、実行時に開いたウインドウが自分で閉じるまで待つ必要がある(マシンによっては長時間掛かる)。この時に何もウインドウ内にメッセージが出ないのは正常であって、これを誤って終了させるとゲームが起動しなくなったりとトラブルが発生する事が確認されている。 V1.2ではMouselookの機能が追加されている。

 日本代理店版はUS仕様の様だ。サイバーフロントにパッチは有るがV1.1で止まっている。


 デモはリリースされていない。


<動作環境>

HARDWARE 必要環境 推奨環境
CPU PentiumU 500MHz PentiumV 700MHz
MEMORY 64MB 128MB
VIDEO VRAM 16MB VRAM 32MB
SOUND DX8対応の物 同左

対応OS: Win 98/ME/XP(SP1)
Direct X 8.1以上要


 動作条件なのだが、場所によって書いてある事が違っている。例えば私の米版パッケージではVRAMは8MBで動くとあるが、海外のファンサイトの記述や日本のサイバーフロントでは上記の通りに16MB要となっている。対応OSに2000は記載されていないが理由は不明。初期の段階ではXP Proだと問題有りという話が出ていたが、私の環境(XP Pro SP2にてV1.2を適用)でのテストでは、最初のパートだけだが特には問題は見られなかった。

 ビデオのサポート対象カードが明らかにされていないので、どのレベルからがOKなのかが判らない状態。一応DX8クラスの機能を持っているならばOKという事で今となっては相当な古いカードでも大丈夫と思われるが、ノートやメーカー製のPCでのオンボードクラスのビデオでも大丈夫なのかは定かでは無い。またデモが無いので検査が出来ないのも難点である。

 プレイした当時の環境(Win98, Geforce 3)ではゲームそのものの不安定さというのは私の場合は全く無く、終了まで一度も落ちなかった。基本的には軽いゲームと言えるのでは無いか。問題はサウンド系にトラブルを抱えている事で、私の場合もゲームの途中からある特定の行為(Need Engineerという発生)の音声が出なくなってしまった。

 セーブゲームについては特定のポイントでしか出来ないのだが、それに対する不満が多かった為に開発チームからレジストリを変更してテストモードでのセーブを可能にする機能が公開されている。レジストリエディタ(regedit)を開いてやり、HKLM/Software/Computer Artworks/TheThing/1.0を参照する。その中に新規作成で DoInGameLoadSave という項目を文字列値(S)にて作り、その値を1に設定してやる。これによってゲームのメニューにSAVEが現れるようになり、任意の地点にて"TestGameName"という名前でのセーブが可能になる。ただしこれを使用する場合、ゲームをロードする際には(それがTestGameNameのセーブでなくても)、必ずQuit to main Menuにて一度メインメニューに戻ってからLoadを行なわないとゲームが落ちるので注意。


画面が暗い
 明るさ調整を持たないので、ビデオカードのユーティリティから別の明るさのプロファイルを作っておいて切り替えるとかで対応する。或いは直接モニタの明るさをいじるかしかない。

サウンドが出なくなる(特にカットシーン)
 典型的な例としてはカットシーンで心音以外のサウンドが聞こえなくなるというトラブル。特に当時XPとSB Live, Audigy 1の組み合わせで頻繁に発生していた。またVIAのマザーボードを使用時に4in1を更新していないと同様に発生する。一応パッチで修正という話なので、最新のV1.2までを必ず適用しておく。サウンドカードのドライバ等も当然更新が必要。

文字が表示されない。崩れる。
 外部からアンチエイリアスを使用していると発生する可能性有り。

フラッシュライトを付けると落ちる
 上記レジストリの中に "DisableProjectedTorch" を製作して1を値としてセットする。



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