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ダウンロード販売にて未だに売られていないゲーム

2回に分けた内の後半パート。前回は「ダウンロード販売から消えてしまっており現在では購入出来ないゲーム」だったが、今回は「ダウンロード販売にて未だに売られていないゲーム」の方について語る。

だが近年においては復刻が進んでいるとは言え、昔のゲームを含めるとそれは膨大な数となるので、「かなりのメジャータイトルなのに未発売」, 「何故か発売されていない」といった作品に絞っての話となる。ただこの辺は完全な調査は困難な面、例えばメーカー直販サイトでの販売履歴や、欧州における定額プレイ可能サイトでの供給履歴の有無などもある為に、見落とし情報などがあればコメント等にて頂きたいと考えている。

対象として90年代以前のゲームは省いて2000年以降に発売された物。ジャンルはFPS/TPSで且つある程度はメジャーな物だけとした。

DL_NOLF_NDS*No One Lives Forever 1, 2
まずは有名な物から。発売当時の人気が高く、評価も高かった作品で復刻のリクエストも多いゲームである。そのダウンロード販売への実現を手掛けていたのがNight Dive Studios。同社は数々の旧作品の再発を行う会社で、権利関係の整理と共に現行PCハードウェアに対応させる為の改造をも行っている。最近ではTurokTerra Novaの再発、或いは困難と言われていたSystem Shockシリーズの復刻を実現させた事でも知られる。

この作品については既にソースコードを入手しており、当時のバグ修正, 現行OSへの対応(64bit版, Linux, OSX), 時代に合わせた新たな改造(ワイドスクリーン等), Steamworksでのマルチプレイ対応など、完全版としての復刻への準備の方は出来上がっていた。

問題は権利関係で、同シリーズを制作したのはMonolith(Blood, Shogo, F.E.A.R.等)で、1の代理店はFox Interactive 。2の方はSierra。そしてFoxとSierraは後にVivendi Universal Gamesの傘下に入り、更にVivendiはActivision Blizzardに買収されるという歴史を辿っている。Monolithの方はWarner Brosの傘下という状態。

最初に権利を持っていたのはMonolithだったが、問い合わせても現在の権利がどこに在るのかは判らないという返答。Warner, Activision, Foxがそれぞれ部分的な権利を持っていそうなのだが、どこに問い合わせても「所持しているとは思うが、それを証明する書類が存在しているのかは判らないし、自社内のどこを探せば良いのかも不明」といった感じで埒が空かない。探すのに協力してくれるという姿勢でもなく、裁判沙汰にでもならなければ書類の有無を探そうとはしないという状況であった。実際に権利書類を一緒に探そうとなった事もあったそうだが、結局は具体的な物は見付からず、ソースコードという具体的な物を所持しているWarner以外は、本当に権利の一部を所持しているのかも怪しいという話になってしまう。

そこでNight Dive StudiosはNOLFの発売権利を得る為の訴訟を起こす。それに対してWarnerが待ったを掛けてきたので具体的な相談に入る事になった。NDSとしては自社に権利を認めて貰うか、またはWarnerが主導で発売するのに自社が協力するという形でも良いと譲歩したのだが、結論としてはWarner側の返事は「ノー」。再発をするつもりは無いし、それを他者に任せるつもりも無いとして拒否されてしまう。その為にNDS側では再発を諦めたというのが現況で、今ではもう話し合いに向けての活動も停止しているそうだ。よって権利関係がWarnerから他社に移るとかでも無い限りは再発の見込みは無いと見るべきだろう。リテール版の中古はまだeBay等では特に高値でも無く売っているので、未所持の方は早目に手に入れておいた方が良いかも知れない。(1は日本語版, 2は日本代理店版在り)。

*Aliens Vs Predator 2
これは当然映画の権利関係(20th Century Fox)が絡んでいると思うのだが、初代及び3作目はダウンロード販売されている為に、何故これだけが?という話にはなっている。2にはSierraが関わっている為に、そこからVivendi, Activisonとも繋がっていくのでその辺の権利が何か有るのか。なお現行OSにおいても互換モードにて大きなトラブルは無いらしく、マルチプレイ用の公式サーバーは停止されているが修正Modにより今でもマルチプレイは行われているそうである。

*Halo 1, 2
これは調べていて意外だった一品。てっきりGames on Demand(Games for Windows Marketplace)にてダウンロード販売されていると思っていたのだが、MSブランドからはGears of Warなど多数のゲームがラインアップされているにもかかわらずこの作品は無し。(今見ると北米MSサイトでは1のリテール版ならばまだ売っている)。他社運営のダウンロード販売サイトでMS製のゲームが売られていたりもするので可能性は在ると思うのだが、2の方はGFWLタイトルなのでちょっと難しいかも知れない。

*Soldier of Fortune 1, 2  GOGにて再発された
これも待望されながら発売されていない作品。発売されればかなり売れそうなタイトルだが未発売である。John Mullins監修だった訳だが、彼の許可を得るのに大金が掛かるとかなのだろうか? 今でもファンが多い故に現行OSやハードウェアへの有志制作の対応パッチなども存在しており、許可さえ取れればその辺の対応は難しくは無さそう。

*American McGee’s Alice
再発の期待が大きい作品の一つ。日本では『アリス・イン・ナイトメア』として特に人気が高い洋ゲーでもある。実は続編となるAlice: Madness ReturnsComplete Collectionに最新OSやワイドスクリーン等に対応したリマスターバージョンが同梱されており(ただしこれはOrigin版にしか付いていない様である)、既にそこまで出来ている事から単体再発の期待が高まったのだがまだ実現していない。

DL_vietcong*Vietcong
Windows7以降での動作には問題あり。だがその修正やサーバーが停止されているマルチプレイを実現するパッチなども有志により製作されているので、その辺を取り込めれば再発も十分に可能ではある。Co-opが面白いゲームなのは確かだが、仮にシングルプレイだけでの発売となっても受け入れられる余地はあるのではないかと個人的には思う。
10年以上前のゲームなのでグラフィックスは既に古いものの、ジャングルの中の雰囲気描写においては非常に優れており今でもまだそこは通用すると感じられる。

制作会社のPterodonはIllusion Softworksに吸収されて、その後ISは2K Czechになっているので、おそらく版権はその2K Czechに在るのではないかと思われる。なお2も存在するがこちらは評判も良くなく、特に再発の希望は出ていない。

*Men of Valor
同じくベトナム物として。これはVivendi Gamesなので現在の権利はActivisionか。動作状況についてはマイナーな部類なのであまり判らない状態。

<16/02/11 追記>
awgsさんより情報。16/02/09にGOGから再発された。パブリッシャーはNordic Gamesでここが権利を持っていたようだ。マルチプレイは出来るとあるが、ゲーム自体に現行OSやハードウェアに対応する何等かの改造が施されているのかという情報はまだ見当たらない。

*Hidden & Dangerous 2 再発された
これはファンの「ダウンロード販売での再発の可能性」という質問に対して、2K Czechが2013年に「検討はしている」と返答したので一時的に話題となったが実現していない。動作的にはWindows8までは割と大丈夫な様だが、10ではいろいろと問題が発生している模様。

*Splinter Cell: Pandora Tomorrow
既にシリーズは7作を数えているが、この2作目だけダウンロード販売にて売られていない。何故なのかについては二つの意見があり、一つは権利関係が障害なのではないかという主張。だが「制作が上海スタジオでここが権利を主張しているから」というのは、ここは単なるUbiの制作スタジオの一つでしかないので変だと思える。ただ楽曲にしろ人物にしろ、何等かの権利が絡んでいるという可能性は否定出来ない。

もう一つは描画障害が原因という意見で、私としてもこちらの方ではないかと考えている。1作目はxbox専用だったのを移植したというのもあって、Nvidiaのビデオチップでしかシャドーバッファーと呼ばれる影描画の最高設定が選択出来なかった。2作目ではそこを改造してきたのだが、まず先にNvidiaがドライバの構造変更によってあるバージョン以降では影が正常に描画されなくなる。次にユニファイドシェーダー採用のビデオカードからはRadeonシリーズでも駄目になって今に至っている。更にややこしい事にシーンに応じてライティング&影描画の方法を変化させている為に、ある部分では正常であっても全体を通してどうかは判らないとなっている。

一般的なゲームであれば現行のビデオカードでは影が描画されないという障害があっても発売される可能性はあるが、このゲームでは影描画が生命線な所もあり、影に隠れて敵から身を隠すのでライティング&影描画が変だとゲームプレイ自体に影響してしまう。特にサーチライトを避けて移動しないとならないシーンで、そのライトが描写されないという致命的な欠陥も知られており、そこまで来てしまうと発売は無理ではないかと判断されてもおかしくない。(なおこの件を修正するパッチを製作している有志は存在する)。しかし「Ubisoftは金儲けの為ならバグ位で売るのを止めるとは思えない」とか「動作に問題があるのが理由ならなんでDouble Agentは発売中止にならないのか」といった異議も出ており、何が原因で売られていないのかは確定していない。

*Star Wars – Battlefront 1 再発された
2005年発売の2は売られているが1は未発売。1の方を好むプレイヤーも居るのでリクエストは多いし、2が売られているなら権利問題が生じるとも思えないと言われているが理由は不明。昨年改めて新作も出たので特に発売の意義を感じていないという話なのだろうか。

*Midwayの旧作
<16/02/18修正> 自分で記事に書いておきながら忘れていたのだが、旧Midwayのゲームの中で幾つかは今は亡きD2D(現在別会社が運営している)にて売られていた経緯がある。その後破産時に権利が色々な所に売られたらしく、過去の発売作品は(全てかどうかは未確認だが)ダウンロード販売にて再発はされていない模様。

*Silent Hill 2, 3, 4
HD版としてコンソールで再発されたのを機にPC版も期待されたのだが発売されず。あまりPCへの移植の出来が良くなく、再発するには結構な改造が必要という見方もあり、その手間がダウンロード販売での復活を妨げているという可能性はある。現行OSとの相性問題では一番古い2がいろいろとある様だが、3,4はそこまでではないらしい。バイオシリーズがHD版として復活して人気も得ているので、こちらもリメイクとなれば売れそうな感じがするのだがどうなるか。現行コンソール向けにリメイクされればPC版の可能性も高まる。だが2011年のDownpourのPC版発売に関してコナミがPC市場に否定的な考えを持っている為に中止されたという過去も在れば、現在コナミ自体が据え置きゲーム業界からモバイルへと移行しつつあるらしいので、手間の掛かるリメイクは期待値が低そうとも言える。