ネットの上にも10年

 2009/08/15をもって当サイトも開設以来10周年を迎える事が出来た。そこで今回はこの10年間の歩みをいろいろな角度からランダムに振り返ってみたい。



 FPSゲームをメインに扱っている当サイトだが、これについては巡り合わせというのも関係している。個人がホームページを制作して運用する事(或いはインターネットにアクセスする行為)が結構一般化して来たのが1998年頃からだと記憶するのだが、この時に丁度私が熱中していたのがFPSだったのでそれをテーマにしたサイトになったと言える。もしその普及が数年早かったなら、おそらく同じPCでもアドベンチャーゲームのサイトを運営していただろう。


 80年台はアドベンチャーとRPGがPCゲームの二大主力分野であり、私もそのジャンルのファンであった。アクション系もプレイはしていたが、私の中の相対的な順位ではその2つよりも下の方。90年台中盤からRPGをプレイする比率が下がり、代わりにハードウェアの進化を受けて面白くなった来たアクションゲームの比率が上昇。しかし95-97年辺りならばやはりADVの方がメインだったので、それについてのサイトになったと思う。


 しかし90年台末から市場におけるADVのパワーは低下し始めて、特に北米市場では壊滅的と言われるまでに落ち込んだ。実は2003年辺りまではサブのコンテンツとしてADVの紹介ページも作ろうという構想があったのだが(実際に多少の記事は載せていたが)、この辺の市場の冷え込みに影響も受けて止めてしまった。その後DreamCatcherを中心とした北米の代理店が、欧州のADVを安価でリリースして普及に努めた結果、現在では北米でも市場は大きく持ち直してきているが、私自身が時間の関係からADVをプレイする機会がここ数年減って来ており、やはりADV系のコンテンツを扱う事は(少なくとも当分の間は)無いと思われる。何よりここ日本ではADV自体の人気はコンソールを含めてあると思うのだが、海外制作ゲームの日本語版がほとんど出ない為、英語がある程度理解出来ないとプレイが困難というハードルが高過ぎて、相当マニアックなサイトになってしまうという問題もある。



 当初の予定から大きく変わった点といえばハードウェアの扱いが挙げられる。1997-99辺りは3Dアクセラレーションカード(ビデオカード)を含めて、PCゲーマーにとってはハードウェアの進化が目まぐるしかった時代であり、それに関連するハードウェア系の記事が当サイトでももっと多くなると考えていた。しかし開設後はビデオカード市場は規格の統一化に向かい始め、混沌としていたAPIの覇権争いの方もD3DやOpenGLに固定されだして面白味が薄れてくる。その後もハイエンドPCでないとまともに動かないというタイプのゲームは減り続け、ここ数年ではマルチプラットフォーム化もあって更に重いゲームは無くなりつつある。(凄く重いのはPCへの最適化に失敗した移植版が多いという状況)。そうなると私自身も1年もしない内に次々にパーツを差し替えるという事も無くなり、今ではほぼHigh設定にてちゃんと動くレベルならば良いだろうという感じで、すっかりアップグレードへの熱意も失せてしまっている状態である。


 また最初は「ハイパワーなPCを組んで最高レベルのグラフィックスを楽しもう」というノリだったのだが、PCゲームの面白さを広めようという立場からすると、そういった限定的なアプローチはむしろ問題という事に気が付き、あまりに「PCゲームをやるならハイエンドPCでないとダメ」という指向を強調しても逆効果だという立場に変わった。中レベル程度のマシンでどの位動くのかをレポートした方が、PCでゲームをやってみたいと考えている人に対しては役に立つのではという考えになって来ている。(一番の理想は複数の性能の異なるマシンでの比較を示す事だと思うが)。結果的に最新ハードの性能レポートやベンチマーク系の記事は、予定とは異なりすっかり無くなっているという結果である。



 この10年で学んだと言うのか実感した点は、「後で時間が空いた時に書こう」というその時間はまずやって来ないという事だ。他の記事でも書いたが、私のレビューの書き方は、プレイ中に簡単なメモを取る→レビュー記事用のテンプレートに基本情報を書き込む→メモの内容を基にして感想文を書く。この時は構成を考えずにぶつ切りにした短い文をバラバラに書き連ねて行く。そこでレビューを仕上げるつもりならば文章としてまとめて行く事になるが、他にプレイしたいゲームがある場合には後回しにして、時間が空いたら完成させようとして保留になる。しかし現実の生活ではそれ程の空き時間は生まれず、空いた時間は新作のプレイやそのレビューにほぼ使われるので、過去の保留作品が採り上げられる事は少なくなる。
 ここは悩まされる所で、どうも私は簡略化したレビュー記事を書くのが苦手であり、それなりに長くなるので時間も掛かってしまう。よって保留中の記事になかなか取り掛かれないという状態に陥る。面白くなかったゲームは大抵書きたい事が減るので早く仕上げられるが、詰まらないとなるとあまり書きたくないというモチベーションの問題が今度は生じる。(どうして面白くないのかをちゃんと分析したレビューには価値はあると思うのだが)。取りあえずレビューの数はもっと増やしたいという願望を持っているので、自分でも納得がいくレベルの記事簡素化の道を探るか、面白くないと感じたゲームでも積極的にレビューを公開して行くか、いろいろと考慮中である。



 サイト開設時の思い出...と言っても特に思い出せないのだが、カウンターを付ける件で悩んだ事を憶えている。無知なのでどうやって組み込んだら良いのか分からず、ネットでの友人に聞いてCGIとして記載すれば良いというのが分かった。当時のプロバイダ提供のホームページはセキュリティの観点からCGIの使用を原則禁止しており、プロバイダ側で用意した物だけを使用可能という仕様だった。その中にカウンター機能が存在し、確か唯一使用可能なCGIだったと思う。しかしその友人から「付けてもどうせすぐ飛んじゃうよ」と言われて、それなら意味ないかと考えて結局付けるのは止めてしまった。(今はどうなのか知らないが、当時はサーバー側のトラブルでカウンターがリセットされてしまう事故が多かったらしく、そうなると当然カウンタの値を勝手にはいじれないのでまたゼロからのスタートになってしまう)。
 今思うとやはりカウンターというのは諸刃の剣であり、アクセス数が多ければ更新にやる気が出るというプラスはあるものの、反対にアクセス数が減るとモチベーションが下がってしまう恐れがある危険なアイテムでもある。ヒット数が増える事で有名になって更にアクセスが増えるという可能性は持っているが、その域に達するのは一部のサイトだけであり、リスクを考えると付けない方が無難なのではという意見。


 そのサイトへのアクセス状況を知るという点では、アクセス解析機能の方が役に立つと思う。メインとなるぷららのサイトにはこの機能は無いのだが、レンタルしているデータ用のサーバーではこれが使える。簡単に言えばどのページや画像に何回ヒットしたのかを、期間を指定したりしてデータとして見られる機能である。ただ最初の頃は結構興味深くて見ていたのだが、その内にあまり見なくなってしまった。物凄くヒット数にこだわる人とかビジネスユースだとヒット数を上げる為の重要な資料となるのだろうが、そういったこだわりがないので今は時々参考に見る程度である。しかし時々「何故今これが?」という昔の記事のヒット数が増えていたりして、そういうのは不思議に思うと同時に面白かったりする。


 参考までに現在参照可能な全アクセス期間 2006/09/27から2009/08/17 までの各ゲームレビューのトップページへのアクセス順位は以下の通り。サーバーのレンタルは2002年から始まっているので、2006年9月より前にアップされたゲームのレビューほど数字の上では不利になる。それとぷららのサイトに掲載されている分は対象外となる。


01.S.T.A.L.K.E.R. SoC 75669
02.Bioshock 74783
03.Far Cry 53481
04.F.E.A.R. 43153
05.Call of Duty 4 42677
06.Doom 3 36544
07.Half-Life 2 36048
08.Crysis 32046
09.Gears of War 29271
10.Quake 4 28861
11.Call of Duty 2 25456
12.Call of Cthulhu 24618
13.Area 51 24108
14.Soldier of Fortune II  23847
15.Suffering 21905


 Doom 3はレビュー時期からすると本来ならば3位辺りかなという気がする。後は特に注目度が高いとか傑作という評価ではないのに、13位のArea 51は何故こんなにアクセス数が多いのか謎である。



 サイト運営で困っている事は何かというと、私の場合普段から気にしているのは転送量制限である。ホームページ用のスペースをレンタルしているサイトは、自社サーバーへのアクセス用の回線を自前で用意している訳なので、そこを使うユーザーに過度にその帯域を使用されては困るという事情がある。例えば一人当たりこれ位あれば十分だろうという見込みで回線容量を決めているところへ、誰か一人のサイトに過度なアクセス(ファイルや画像のダウンロード等)があってその帯域を占有されてしまうと、他者のサイトへのアクセスが遅くなって迷惑が掛かってしまう。そこで転送可能なデータ量の最大値を制限して、それを越えるようならばレンタルを禁止するという風に設定している。この上限値は運営会社やレンタル料金によって大きく変化するし、安くて無制限だからといって選ぶとその分酷く重かったりと選択は難しい。


 メインとなるぷららのサイトは原則的に制限は無し。(ただ過度のアクセスがある場合には警告を受ける可能性が高い)。しかし無料での使用可能容量には制限があるので、全てのコンテンツを置く事は不可能。そこでレンタルしたサイトに分散する訳だが、稀にその転送量が制限をオーバーしてしまって警告を受ける事がある。これが続くとアカウント停止も有り得るので、レンタルしている2つのサーバーに短期間にアップが集中しないように注意して振り分けを行っている。うちではファイルをダウンロードさせる事は滅多にないので、問題となるのはやはり画像ファイル。昔は綺麗な方が良いだろうと圧縮率の低い物をアップしたりしていたが、現在では容量を見ながら調整する事が多い。ちなみに今までで一番短期間にアクセスが集中したのがS.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobylのレビューで、一日で別のサーバーにデータを移す羽目になった。



 他に問題点としてはサイトのデザインにも触れないとならない。理想論としては記事を書く人間とは別にサイトのデザイナーがいるべきだとは考えるのだが、個人サイトでそこまでは難しい。サイトのデザインを気にする人は自分で勉強もするのだろうが、私にはそこまでの時間も気力もなく、その時間があるなら中身の記事を書いた方がと考えてしまうたちで放置状態である。ブラウザの種類も増えているし、標準的な存在のIEでもバージョンによって違いがある。その辺の検証もちゃんとするべきだが、そこまで手が回らないというのが実情だ。使っているホームページ・ビルダーもそういった標準化の意味では独自仕様で良くないとの評判だが、既に慣れているので変えるのも面倒だと感じている。取りあえずページの表示に高度で複雑な技術を使うほど、ブラウザによる見え方に差が出る可能性が高いので、なるべく凝った事をせずに済ませるようにはしている。しかし将来、新しいデザインにしたら3,4種のブラウザでの表示テストを行わないとならない時代が来るとしたら最悪である。そうなったら全てのブラウザでのあらゆるバージョンで表示テストを自動的に行って問題を指摘してくれるようなソフトに乗り換えるしかないか。



 記事内容の削除要請の類は幸いな事に経験無し。よっぽど変な内容を書かない限り文章の削除依頼など来ない筈だが、スクリーンショットや攻略記事についてはチェックが入る恐れがある。ただしあるとすれば同じ日本のゲーム会社からになるだろうし、その辺はほとんど紹介していないというのもあると思う。


 逆に当サイトの紹介依頼は数回あった。ほぼ開設した1999-2000頃の話で、PC関連の雑誌に「PCゲームを紹介しているホームページ」という括りでリストの中に掲載された事はある。当時はそういうサイトが少なかったので目に付いたのだと思う。後は今でも謎だが、Doom 3のレビューが海外のニュースサイトからリンクを張られた事があった。日本語のレビューにリンクしてもしょうがないと思うのだが、どういう理由だったのか不明である。


 
 これまでのサイト運営における最大の危機?となると、既にその時から見てくれている方も少ないと思うが、やはりオープンしてから数ヶ月後の入院騒ぎになる。リンパ腺の酷い痛みにより病院通いが続いた結果、結局はそれが破裂して緊急で入院に。入院後は痛みは既に無いのだが安静状態で病院の外には出られず。ノートPCは無いし自分用の携帯は持っていないしでネットに繋げず、何の連絡も無いままに掲示板を20日ほど放置。一度だけ外出許可を貰って連絡を書き込んでから、また20日ほど入院してサイトは放置のままという状態だった。今は携帯から直にウェブサイトに書き込める時代なので、緊急で入院しても手が使える状態ならば何の連絡も無く放置状態になるようなケースはまず無いだろう。



 最後にサイトの運営に関しては、マイペースでやるのが長く続けるには重要だと感じる。見に来てくれる人の意見や反応はもちろん重要だが、あまりそれを気にし過ぎるのも良くないように思う。例えば近年ではブログが大流行だが、あれは言ってみれば一種の日記である。そしてブログが出て来る前から日記を書くという習慣は存在していた。基本的に自分だけが読み返す日記に対して、外部の不特定多数の人間にも公開するのがブログな訳だが、この「他人に公開する」という面を重要視し過ぎると、ヒット数やコメントが少なくなるに連れてやる気が無くなってしまうという状態に陥る。よって日記感覚で特に他者を強く意識する事なく書く方が、自分の趣味という風になって長く持続させ易い。当サイトの記事も日記的な側面を持っているので、長く続けられているというのはあると言えるだろう。


 あまり真剣に短期の目標を立ててもしょうがないので、取りあえず次は「何時の間にか20周年」を目指す程度の緩いスタンスで続けて行こうと考えている。