今回はSteamのブロードキャストを体験してみた感想。これは15/01/20から公式に
Steamクライアントに加わった機能で、自分のプレイしているゲーム映像を配信出来る
というものである。簡単に言えば配信者がプレイ中の映像をストリーミングとして
Steamのサーバーへと送信し、視聴者はそのサーバーへとアクセスしてデータを受け取り
Steamクライアントやブラウザ等でそれを視聴可能というシステム。ライブ配信なので
配信者がオンライン状態でありさえすれば良く、ゲーム自体はオフラインの物でも可能。
なお単純にデータを送るだけなので、そのストリームデータを自分で保存しておいて
後に動画制作に利用するという事は現状出来ない。
私が最初に体験したのは1/31の事で、プレイ中に視聴要請のリクエストがフレンドの
一人から届いた。私はこの時機能が搭載されたのは知っていたが、どんな物なのかに
ついてまでは知らず、単純にチャットボックスから「承認」を返したが、何も配信設定を
していないので視聴は出来ないのではないかと思っていた。オンラインでCo-opを
プレイ中だったので設定画面を出して確認する時間も無くそのままとなる。
その後のプレイ時間も長かったためこの件はその場限りで忘れてしまっていた。
公式の解説によると初回リクエスト時に設定画面が自動的に開くそうなのだが
そんな事が起きたか記憶にない。(或いは機能搭載時に設定画面を開いてみた事が
あったのかも知れない)。
そして二回目が2/28。今回はプレイ中に画面上のアイコン表示に気が付いた。
最初は当然プレイ中のゲームが出している物だと考えたが、前回もプレイしており
その時はこんな物は無かったはずだが?と思いつつプレイ続行。
その後私だけゲームから落ちてしまい、その時に視聴リクエストが来ていたのに気付き
このアイコンは配信視聴のリクエストを示しているのでは?と思い当たる。
(なおステータス表示はデフォルトでオフだと思うのだが、いつオンにしたのかは
憶えていない)。
ただこのステータス表示は背景の色にもよるが薄さもあってかなり判り難く、
もっとリクエスト表示が解り易い形態へと変えた方が良いと思う。
リクエスト受信時に別のアイコン表示がオーバーレイで発生するのかは未確認だが、
通常は「誰かがXXのゲームを開始しました」なので 戦闘中などは良く見ていないため
見逃す恐れがある。
具体的な視聴システムに関して。公開側における設定はSteamの設定項目の中にあり
最も基本となる公開設定は、「誰でも視聴可能」, 「フレンドのみ視聴可能」,
「フレンドのみ視聴リクエスト可能(デフォルト)」, 「非公開」の4種類。
つまり何も変えていないなら勝手に公開されてしまう様な事は起きない。
視聴リクエストに対して「承認」の返事をして初めて公開が始まる。
一方で承認無しで公開したいのならば他の設定を選択しておけば良い。
特定のフレンドにだけ視聴して貰いたいなら招待のリクエストを送付も可能。
視聴する側は、第一にコミュニティタブからブロードキャストを選ぶと
「誰でも視聴可能」に設定しているユーザーより現在配信中のストリーミングが
(全ゲーム中から)視聴者が多い順に表示される。第二に特定のゲームの配信を
視たいなら、各ゲーム頁のコミュニティハブをクリックしてやり
一覧からブロードキャストのタブをクリックすれば配信中の一覧が視られる。
第三にゲームをプレイ中のフレンドの頁(orプロパティ)にて
フレンドには自由公開しているなら「ゲームを視聴」タブが出てくるので
それを選択すれば視られる。リクエストが必要ならばそれを選択して
承認を受ければ視られるようになる。
Steamクライアント上から視る場合だとデフォルトでは小さな画面表示となり
右下のアイコンクリックで全画面表示へと切り替えが可能。
配信URLが解っているなら対応ブラウザから視聴も出来る。
配信データ設定項目では、解像度, 転送レート, エンコード品質を設定可能。
当然解像度が高いほど転送レートは合わせて高くしないとならないし、
エンコード品質を高くするとCPU性能によっては時間が掛かる為に
送信遅延がより長くなってしまう可能性がある。
次に下段にある設定のうちで「ゲーム中ではない時デスクトップを録画する」は
デフォルトではオフ。通常はゲーム画面からフォーカスが外れると視聴者への配信は
ストップしてしまうが、そのままデスクトップを映し続けたいならオンにしておく。
なおこの時に現在フォーカスされているアプリ(アクティブウィンドウ)を映すのか
デスクトップ全体を映すのかは定かではない。
次の二つはサウンドの設定で、まずデフォルトの状態ではゲーム内のサウンドのみを
そのまま流す。「マイクを録音」はSteamのボイスチャット(OS上でデフォルト指定の
マイク)の音声を同時に出力するかどうか。(ステレオミックスの絡みもあるので
オフでも流せるかも)。現在英語の「ウインドウズ上のアプリケーションのサウンドを
全て流す」の設定は、おそらく他のボイスチャット用だと思われる。
例えば我々はプレイの際にSteamのボイスチャットは切っておいてSkypeを使っているのだが
この状態でSkypeやTeamSpeakなどのボイスを一緒に流したい時にオンにするのだろう。
或いはゲームの音声にかぶせて何か別のBGMを流したい時とか。
最後の「アップロード状況を表示」は先ほどの右上のアイコン表示の有無。
ブロードキャストのFAQ(現在は日本語は用意されていない)は以下。
https://support.steampowered.com/kb_article.php?ref=6730-TOAK-6497
話を戻して先日のCo-opが終了した際、別に私からこの件には触れなかったのだが
たまたま一人からこのストリーミングを実験してみないかという提案があり
配信者を切り替えながらどんな風に見えるのかをテストしてみた。
テストによる描画コマ落ちなどは特に見受けられなかったし、
全画面表示でもここまで高画質で視られるのかという点には驚いた。
しかしその一方で遅延の方は想像以上に長く、私の環境だと送信者が軽い設定にしても
6,7秒ほどは遅れての視聴となり、高画質にするとこれは10秒を超えてしまう。
全員がストリーミング配信に詳しくないので、これは何か変なのではという話にも
なったのだが、後に調べてみると世界的に有名なTwitchなどでも10秒程度の遅延は
珍しくなく、国内同士のニコニコ生放送でも遅延無しとは行かないようである。
現在では遅延が5秒以内に収まれば優秀というレベルの様だ。
よってリアルタイムで視聴者からコメントを貰ったりするケースでは
この遅延はかなり問題な事案となる。例えば私が配信する番ではPortal 2を使ったが、
既にクリア済みの2人が視聴しているという状態でヒントをくれるけれども、
プレイしているこちら側の動きとズレているのであまり上手く行かなかったり等。
なお実際に受信者が居るとアイコン表示にて赤くLIVEが点灯するのでこれは解り易い。
私自身は配信を積極的にやっていこうという考えは持っていないのだが
これは何かの役に立たないかと考えてみた。まずはあまり無いとは言え、
死亡時に復活が不可能で且つ観戦者視点に出来ないCo-opにて
こちらの配信映像に切り替えて観戦が可能になるというのが便利。
途中参加出来ないゲームで待っている間も同様。
次に参加可能人数を上回る数が集まった際に(&観戦者モード不可)
交代しながら非参加者もゲームを視る事が出来る様になる。
他にもゲームをプレイしながらブラウザで視る事も出来るので
はぐれて迷っている人の映像を視て道をアドバイスするとか。
後はプレイ動画がほとんど存在しない様なマイナーなゲームを、
それを持っているフレンドにプレイしてもらっているのを視て購入の参考にするとか。
或いはCo-opのプレイ動画が無くてどんな物か判らない時に、持っているプレイヤーに
誰かとやって貰いそれを視るとかという風な使い方も有り得る。
通信面では配信する側に回った場合、データ送信はアップロード速度に依存する事になる。
最高設定の3.5Mは光通信にとっては簡単そうなハードルにも思えるが、
通信速度は混雑時だと大幅に低下するので、実際に配信したい曜日&時間帯で
調べてみないと何とも言えない。我々がテストを行ったのは土曜日深夜とは言え
AM5:00頃だったからそれ程混んではいなかったはず。
私の環境だと国内の通信速度テストで空いていれば100M近く出るものの
混んでいる時間帯では10Mを切る程度まで落ちてしまう。
更に言えばインターネットは安定性を欠くので、常時3.5M以上を維持するのは
結構困難かもしれない。
後はマルチプレイにてクライアント側なら大きな影響は無いと考えられるが
ホストだとクライアント側への送信量もあるので配信はなるべく避けるべきであろう。
しかし誰がホストに成るのか不明なシステムを使っているゲームも有るので
その判断は難しい。
またランダムに視聴してみて感じたのだが、海外配信の物だとコマ落ちせずにまともに
視られる物は少ない。同国内だと視聴に問題は無いという観点からなのか
高解像度の配信が多く、それをPingの高い地域からダウンロード視聴するには
問題が在りそうである。それと配信サーバーの帯域は無限ではないので
視聴者が多い時間帯だと更に悪影響を受ける事にもなるだろう。
日本からだと一旦アップロードされるサーバーは国内に有るはずだが
そもそも日本の何所に幾つサーバーが存在しているのか不明である。
アップロード場所がゲームのダウンロードを行うのと同一の拠点だとするならば
ダウンロード時の速度がある程度は参考になるかも知れないが
この辺はSteamにアップロード速度テスト用の測定機能を設けて貰えると有り難い。
結局の所は配信時にフレンド等に協力を要請してフィードバックを受けるのが一番確実か。
いろいろと設定や時間帯を変えながら配信してコマ落ち状態などの品質をレポートして
貰う。ただこの辺は通信速度の状況やエンコード遅延などをグラフ化して見られる
ツールが有った方が理想的である。