2018 新年の挨拶

2017年を振り返って
昨年も大手のタイトルにはほとんど手を付けずにインディーズ作品、それもSteam等で販売されている様なそこそこ知られている物ではなく、フリーゲームを中心にした本当にアマチュアの手による作品をメインにプレイしていた。ジャンルとしてはごった煮で、FPS/TPSのシューター系はアマチュア作品ではかなり少ないのでそれ以外が大半。アドベンチャー, ウォーキングシミュレーター, ホラーが多いが、類型ジャンルに縛られないユニークなアイディアやプレイ感のゲームを好んで試してみたりしていた。

当然ながらこういったフリーゲーム中心のアマチュア作品をプレイする人は大手のゲームをプレイする人に比べたら圧倒的に少ない訳で、「そんな小規模の物をプレイしても...」と考えている方も多いはず。そこで今回は“擁護”ではないのだが、そういった特に小規模なインディーズ作品の魅力についてちょっと解説してみたい。

第一に大手のAAAタイトルでは絶対に勝てない事が在る。それはその数の多さ。面白いゲームを見付けた場合、フリーゲーム系の配布サイトではそれに似通った作品をお薦めとして表示してくれる事が多く、新しいタイプの傑作を発見すれば後は数珠繋ぎ的に次々と面白い作品に巡り会えたりする事もあって、抜け出せない底なし沼的な魅力を秘めている。実際のところ一昨年の段階で、「積んでいるAAAタイトルとかもかなり増えたし、いったんフリーゲームは控え目にしよう」と考えていたのだが、そこからまた面白い物を見付けてしまったりして切り替えるのが延びたという経緯がある。

全体の数が膨大な分だけ酷い作品の割合は確かに多いはずだが、大手からのタイトルでも酷い物は在る訳でそこは特に問題では無い。また評価を付けたり出来るサイトも有る為にそれが参考になるので、片っ端からやってみないと判らないという事も無し。それと大半は短いので、大手の様な「最後まで長時間プレイして確認した結果駄作だった」といったケースは少ない。同様に短いので「評判は良いが自分には興味がそれほど湧かないゲーム」でもチャレンジし易いという利点もある。

 
アイディアの豊富さとユニークさではインディーズの方が勝っているのは最大の魅力と言って良いだろう。ただしこれは必ずしもアマチュアの方が発想に優れているという意味では無く、大手から出るゲームはボリュームと価格の両面に条件が存在しており、例えば一つのアイディアだけで短い作品を作るといった事はほぼ出来ない。一定以上の価格を付ける分だけボリュームが必要になり、そうなるとゲームを成立させるアイディアが限定されてしまうという縛りが生じる。その点インディーズならばどんなアイディアやどれだけ短い物であっても成立させる事が可能なので、非常にユニークな大手では決して味わえないような作品に出会えたりもする。

違った角度から見てみるなら、AAAタイトルには「どういう風に面白いのかが事前に解ってしまう」物が結構多かったりする。確かにプレイしてみた結果として面白かったのだが、その面白さが予測の範囲を出ないという意味である。その点インディーズならば予想外の展開や面白さに遭遇出来る作品が比較的多いというのも楽しい点。

 
純粋な質という点においては、確かに大手の中でもクオリティが高い作品と同等な物をインディーズが生み出すというのは不可能に近い。しかしインディーズにおける傑作の中には大手からはまず出せないというタイプも多いので、その辺は完全に世界が違うからとしか言えない。どちらにもそれぞれの良さがあるという話で、どっちが勝ちとかの判定は付け辛い。

プレイ時間に関しても大手ゲームとインディーズには大きな差がある。インディーズでもストラテジー系など繰り返しプレイ出来るタイプのゲームも存在するが、その多くはクリアまでのプレイ時間は短い。すると大手からの10時間、20時間といったプレイ時間のゲームに対して満足度では勝てないのではないかという考え方も出来る。しかしこれも比較の仕方の問題で、10時間の大手ゲームが有ったとしてその間にフリーゲームならば10~20本程度プレイ出来るとするならば、その全ての本数の合計の評価が10時間で1本のゲームに対してどうなのかという話にもなってくる。そうなるとフリーゲームの方では当然面白い物も駄目な物も混在しているはずだが、10時間のゲームの方でもクリアまでの間には面白い瞬間も詰まらない状況も混在する可能性が高いのだからその意味では同等である。長時間だからこそ成立する面白さという物が存在する一方で、短いが面白いという物も有る訳だから一概には長い方が上とは言い難い。


 
インディーズの中でもその系統のサイトで配布されている物にはフリーゲームが多く、フリーゲーム=安っぽい低品質な物というイメージが付いて回るのは仕方が無い。だが価格は配布側が勝手に決められるものなので、別にフリーだから安っぽくて出来が悪いという事ではない。Steamで販売されているからフリー配布の物よりは質が高いとは限らず、特に現在では基本審査さえ通れば誰でも販売が可能になっているし、Greenlight時代でも優秀な物しか投票をクリア出来なかった訳ではない。よって有料だが酷い物もある為に、フリーだから大した事が無いという先入観で見るのはお勧めしない。

余談だが日本でもアマチュアによるフリーゲームというのは多く、私自身は詳しくないのだが質が高い作品も数多くリリースされている様である。しかしこれは「ゲームはフリーで配布する物」という制作側の共通認識があるからではなくて、日本ではゲームを有料で配布するような環境が整っていないからという面が大きいと考えられる。昔ならばパッケージ版として、今ならばダウンロード販売として売ることは可能だが、ゲームに特化してこういったインディーズ作品の販売を請け負っている所(サイト)が存在していない。(PLAYSIMという所は有るが十分な規模とは言えない)。つまりSteamの日本版の様な所が無いから、実は売りたいけど困難という事情があってフリー作品ばかりになってしまうという状況なので、フリーだから質が低いという見方はここでも止めた方が良いという事になる。

以上の様にインディーズにはインディーズの魅力があるという話。別に「だから皆さんもやりましょう」と強く誘うつもりはないが、基本フリーのゲームなんて大手の作品には面白さで全く敵わないだろうといった誤解は解いて欲しいと願っている。

 
2018年の予定
さすがに大手のゲームなども積んでいる物が大量になって来ているので、一時的にフリーゲーム系は今年こそは控えようと考えている。ただし大手からのゲームを積極的にプレイして行くのかとなるとそうではなく、今年は段階を一つ上げるという形で進めていく予定。

1.大手からのAAAタイトル
2.大手からの通常作品(中~低予算)
3.インディーズによる比較的規模(予算)の大きな作品。もしくは低予算でも比較的知名度が高い作品。
4.フリーゲームがメインとなる業界全体では知名度の低い作品

大雑把に開発規模でランク分けすると上の様な感じになると思うのだが、ここ数年4が中心だったのを3へと上げてその辺りの記事を書いていきたいという意味である。現在はゲームレビューへの登録数がかなり多いので、インディーズゲーム用のレビューをまとめる項目を新設しようかなと考えている。

後はフリーゲームを実際にプレイするのは控えるようにするが、プレイ済みの作品については各々が紹介記事にするとしても短くて済む物が多いので、フリーゲームの紹介項目を再編成してある程度はレビューを書きたいなとも思っている。

大手ゲームはある程度消化はしたいが、そのレビュー記事となるとどうなるか何とも言えない。