ゲームは殺人鬼でいっぱい (紹介編)

先日非対称型の対戦マルチプレイゲームであるDead by Daylightが発売されたが、こういったスラッシャー映画がテーマ, FPS/TPSスタイル, 殺人鬼vsサバイバー, 一対多のマルチプレイ対戦形式、という物が年内に他にも2本予定されているという状況にある。そこでこの様な状況に至った経緯を簡単に振り返ってみると、

2014/10/31 Gun Mediaが制作中のゲームとしてSlasher Vol. 1: Summer Campを発表。スラッシャー映画をテーマにしたシリーズ化予定ゲームの一作目。殺人鬼vsサバイバーで一対多形式のマルチプレイゲームとなり、タイトルやトレーラーからも明らかに映画『13日の金曜日』を意識した作品で、制作チームにはホラー映画界の著名人であるTom Savini(特殊効果メイク), Harry Manfredini(作曲家)も加わっている(両者共に初代『13日の金曜日(1980)』にも関わっている)。しかしあまりにも似ていることから権利関係についての疑問も出された。

2014/11/02 わずか数日後にJames Matthew Wearing氏が、個人制作中のプロジェクトとしてLast Yearを発表。形式は同じく殺人鬼vsサバイバーで一対多形式のマルチプレイゲーム。すぐにKickstarterでの資金募集が開始される。

2015/01/09
 映画『13日の金曜日』の公式ライセンスを所持するCrystal Lake Entertainmentが『13日の金曜日』を題材にしたゲームの製作を発表。形式は同じくジェイソンvsサバイバーで一対多形式のマルチプレイゲーム。この時点では2015/10頃に発売予定だった。

2015/01/20 Last YearがCrystal Lake Entertainmentの訴えによりKickstarterから削除される。あまりにも『13日の金曜日』に似ているという抗議からの措置だったが、その後話し合いが持たれた結果、殺人鬼のしているホッケーマスクを削除するといった若干の変更により復活。

2015/06/16 Behaviour Interactive制作、Starbreezeが代理店となるDead by Daylightがアナウンスされる。形式はやはり殺人鬼vsサバイバーで一対多形式のマルチプレイゲーム。

2015/10/13 Friday the 13th: The GameCrystal Lake Entertainmentより正式発表。ここで初めてGun Mediaが発表したSummer Campに対し、ゲーム化に興味を持っていたSean S. Cunningham(映画『13日の金曜日』の監督)がコンタクトをとり、そこから公式ライセンス契約に至ったという件が明らかにされる。

2016/06/14 Dead by Daylight 発売

2016/10 Friday the 13th: The Game 発売予定

2016/11 Last Year 発売予定

 
以上の様に予定通りならば今年中に3作品が出揃うという事になる。アイディアの相似に関してはトラブルもあったが、この辺りはアイディア段階まで遡ると、誰が一番早かったのかは判らないしその証明も難しい。ただし真似したと捉えられるのは嫌だというのは当然ある訳で、例えばDead by Daylightでは6年前から計画していたという当時のドキュメントなどを公開している。或いは訴えられたLast YearのJames Matthew Wearing氏は、「ホッケーマスクが権利的にダメとされたがGTA5とかでもそれを付けて殺害を行えるシーンがあるし、どこまでがジェイソンの真似だと判定されるのかは非常に曖昧だ」と不満を述べている。

発売時期の一致については、やはり「事情を知らない人から見ると、後から出されたゲームは先行作品を真似たと受け取られてしまう恐れがある」という懸念は大きかったと思われ、そこから先行発売争いの為にどこも開発が急ピッチで進められて、その結果近い時期に重なってしまったという可能性が高い。遅れての発売は、新鮮味の欠如, 他作品への飽きからの不買, 後発故により高い完成度を求められる, 二番煎じとされてその分レビューが低評価、等いろいろと不利になる要素を持っている。しかし一方で、先行作品への反応を見てのデザイン修正が可能, このジャンルが盛り上がっていれば売り上げアップに期待出来る, 時間を掛けた分だけ完成度を高められる、等のプラスに転じる要素も持っており、一概に不利とも言えない。

もう一つ留意すべき点として、本当に近接した状態での発売というのはライバル側の高評価や売り上げに影響されて自身の売り上げが落ちるという危険性があり、なるべくならば避けたいところ(相乗効果でどちらも売れるという可能性もあるものの)。ネームバリュー的には明らかにFriday the 13th: The Gameが強く、それを踏まえてDead by Daylightでは「先行するにしても9月とかでは近過ぎる」という事で発売を早めたとも考えられる。その意味ではFriday the 13th: The Gameの発売が予定通り10月に決定した場合、Last Yearの方はバッティングによる注目度の低下を避けて来年2~3月頃に延期するという動きは有り得るだろう。


 続いては各ゲームの紹介。未発売のゲームは公開されている情報の範囲内での解説の為、製品版では変更されている可能性もあるのをお断りしておく。

DeadbyDaylight-01
*Dead by Daylight 公式サイト

別にベータ版の記事を書いているので詳しくはそちらを参照。既に20ドルで発売中。プラットフォームは現時点ではPCのみで、具体的な移植決定の話は出ていない。Unreal Engine 4を使用。

1vs4のキラーvsサバイバー対戦。ランクマッチは5人揃わないと開始出来ない。フレンドリーマッチは2~5人でプレイ可能。マルチプレイ専用でオフラインモードは無し。botが足りないスロットを埋めたりも出来ない。

マップはロケーション3つにバリエーションが各4個で計12。それぞれにランダム要素が在り、内部のオブジェクト配置がその都度変更されたりする。ただしベータ版においては劇的にプレイ感が変わるという印象では無く、製品版でもそれは同じ様だ。

サバイバーの勝利条件は、マップ内の発電機を修理して合計5台を稼働させる → 2箇所有るいずれかの大扉のスイッチをオンにする → 扉からの脱出。特定の条件下においては一つだけ存在するハッチからの脱出も可能。キラーはサバイバーを全滅させてそれらを阻止するのが目的。ただ現時点ではこれだけしかお互いの争点が用意されておらず、別の脱出の為の目的・方法(ルール)を導入する予定だとコメントされている。

 
一対多の対戦とされているがチーム戦では無く、むしろ個人戦という方が適切に感じられる。明確に双方に勝利条件は設定されておらず、キラーは全員を殺さなくても良いし、サバイバー側も全員で脱出を達成する必要が無い。サバイバーは他人に関係なく自分自身が脱出を達成するかどうかが判定基準となり、キラー側も出来るだけ殺せれば良しという程度で、どちらの側が勝利したかという結果画面は存在しない。或いはゲーム後の獲得ポイント(経験値)を出来るだけ高くする目的でプレイするというゲームである。

別のサバイバーを助けることでポイントを稼いだりが可能だが、助けるかどうかは個人の自由。よってサバイバー同士でチームとして行動するかどうかはそのセッションやプレイヤーによって異なる。逆に自分が助かる為に他のサバイバーを利用したり犠牲にしたりが許容されている。

1回のセッションは10~20分程度。しかし制限時間を持たない為に、決着が付かなければ延々と続く事になる。

経験値による成長要素を持つ。経験値を貯めてレベルアップする事でPerksのアンロックや様々なアイテムの入手が可能。それとは別にプレイヤーの能力を判定するランクシステムを持ち、レベルでは無くランクをベースにしてマッチングが行われる。

 
キラー側は現在3タイプ用意されている。プレイヤーが自由に使用するキラーを選択可能。スラッシャー映画では殺人鬼が人間orモンスター系となるが、このゲームは混合型。姿を消しオブジェクトを透過して移動出来るタイプのキラーが存在する。なおサバイバー側からはゲーム中に自身で確認する以外に、どのキラーが対戦相手なのかを知る事が出来ないルール。

サバイバー側は4人のキャラクターで、基本的な能力は全員同じ。レベルアップにてどのPerksを選択するかで能力が変わって行くというシステム。特定のキャラクターでしか獲得出来ないPerksによる個性化要素も持っているが、低レベルでは大きな差は生じない様になっている。

キラーは一人称固定、サバイバーは三人称固定という別仕様が一つの特徴。

スラッシャー映画ではキラーの残虐な殺害方法が見せ場の一つになっているが、DbDではキラーがその場でサバイバーを殺す事が出来ないという意外なルールが採用されている。サバイバーをダウンさせられるだけで、その後マップ内に多数用意されたフックのどれかに吊り下げて処刑まで持って行かないとならない。だがこのルールにより、吊されているサバイバーを助けられるという協力要素が生まれている。

情報伝達を禁止する為に、ボイス及びテキストチャットは禁止されている。これは一人だけしか居ないキラーに対して、サバイバー側が本来なら知り得ない情報を共有出来てしまい、それで優位に立ってしまう事を避けるという観点からの仕様。


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*Friday the 13th: The Game   公式サイト

Gun MediaがIllFonicと協力体制で制作中の公式ライセンスゲーム。発売予定は2016年10月。プレオーダー中のダウンロード版は30ドルの価格が付いている。プラットフォームはPS4/Xbox One/PC。Unreal Engine 4を使用。

Kickstarterでは目標の70万ドルに対して1万2千人強から$823.704を集めて関心の高さをうかがわせたが、ストレッチゴールの設定を見ると期待額はもっと何倍も高額であり、ゲームに盛り込まれる要素も限定される事になりそうだ。そこで現在もプレオーダーの形で寄付を募っており、ストレッチゴールの高段階達成の為に協力を要請している。なおパブリッシャーと契約することで金銭的には大分有利となるが、どうしても内容に制限を受けてしまうので完全に自分達の自由にやりたいように作る為に自己資金での制作を選択したそうである。

 *以下はプレイ動画などを多数繋げたミックス版。一部に残虐な表現もあるので苦手な方は注意。

1vs7のキラーvsサバイバー(カウンセラー)対戦。ただし最大7人という記載が在るので8人揃わないとならないというルールでは無い。ランクマッチの有無は不明。

マルチプレイ対戦用のゲームだが、ジェイソン側でプレイするシングルプレイキャンペーンの実装を検討中。しかしそれを実現する目標額には遠く届いておらず、今後の寄付次第ではあるが発売時には無理そう。発売後の売り上げが良ければ追加、若しくは有料DLCとしての提供となるのではないか。

オフラインでもプレイ可能になるbotの実装についても検討中。実際の人間レベルのものは困難としているので、練習用とかある程度の水準に留まると想像される。しかしこちらは更にストレッチゴールの額が上であり、キャンペーンに比較すると優先順位は低く、仮に導入されるとしても発売後になるだろう。

ロケーションはクリスタルレイクのみだが、その中を幾つかに分割し異なるマップとして提供するという形になる。完全に別のロケーションのマップはやはりストレッチゴールの達成次第。

残虐さとエロの表現はどこまでやるのか、或いはやれるのかについてはまだ具体的な話は無い。パーティープレイやボイスチャットが可能なのかも不明。

視点はどちら側も三人称固定

他のゲームとは異なり公式ライセンスなのでキラー役は当然ジェイソン固定となる。そこでこれまでの映画の中から幾つかのタイプが選択されて登場するという風になっている。ただしこれはアンロック形式になるという話なので、初期状態では一種類だけしか選べないのかも知れない。

サバイバー側はキャラクター毎に基本能力が異なるというシステムで、ある種の行為が可能/不可能, 得意/不得意といった差異が設定されている。こちらも同様のアンロック形式で、最初から全員を選択する事は出来ない。

経験値, レベルアップ, アイテム類のアンロック等については存在しているのかまだ不明。

 
サバイバー側が目指すのは基本的には脱出。脱出方法は幾つか用意されており、ボートや車を見付けて燃料&鍵をマップ内で入手しそれを使って脱出地点まで到達する(それぞれ同時に乗り込める人数が異なる)。電話ボックスから警察の救助を求めるという手もあり、連絡に成功すると10分後に警察がランダムな地点にやって来るのでそこまで到達すればクリアとなる。その他にも脱出方法は用意されており、マップやそのセッションに応じてランダムに可能な手法が変更される模様。そしてかなりの難易度になるそうだが、何等かの仕掛けを使ってジェイソンを倒すという選択肢も用意されている。

ジェイソンは捕まえたサバイバーをその場で処刑可能。それには武器を使っても良いし、周囲の環境を使用しても良い。映画の雰囲気再現が最も重要としているので映画内で実際に使われた処刑方法の導入は大事だが、アニメーションの制作等に金が掛かるのは確かで、どれだけ多種の殺害方法が導入されるのかは、やはりこれもストレッチゴールに掲げられておりそれ次第。

 
ゲームの基本的なシステムとしては「ノイズ」が設定されている。スプリントするとノイズが発生するので見付かり易くなるとかの他に、ジェイソンは非常に怖いという設定の為、サバイバー側が恐怖を感じてもノイズが発生するというルールになっている。これには実際に姿を目撃する他に、ジェイソン側から何等かの行為を用いて恐怖させるという事も出来るようだ。一方でサバイバー側にはこの恐怖(ノイズ)を減らすという対策が用意されており、一緒に居る人数が多いほど, 武器を所持している, 明るい場所に居る, 使用キャラクターの特性、等で随時変化する。

ノイズは最も激しい状態ではその個人の居場所がマップ内のオブジェクトを透過してでも探知出来るが、それほどでは無い時にはロッジ全体の様な大きな範囲で探知される。そしてその際にはサバイバーはベッドの下やロッカー内に隠れたりしてノイズを消去出来る。またはラジオなどを点ける事でノイズを発生させて、そこにまだサバイバーが残っているとジェイソンを騙す事も可能。

その他のサバイバー側での可能な行動としては、まず走って逃げることは可能だがスタミナの概念あり。そしてノイズも発生するので捲くのは難しくなる。ただし捕まった際に振り解く抵抗は可能。次に罠を仕掛けてジェイソンを足止め出来る。それとマップ内で入手した武器を使って攻撃する事も可能だが、スタンさせて追跡を鈍らせる程度で武器でジェイソンを倒し切るというのは不可能。

1回のセッションは平均して15~20分位を想定。双方のバランスは調整中で、ジェイソン側が過剰に強いという風には現時点ではなっていない。公平に勝つチャンスがあるというゲーム的なバランス設定。

Friday13th-02

最近になってアルファ版の実際に動いている映像が公開され始めているが、その中で論議を呼んでいるのがジェイソンのテレポート能力。どの様な使用制限があるのかは不明だが、マップを表示させてクリックすることで瞬時にその場所に移動する事が出来る。サバイバーの位置が判明しているなら即そこに移動して処刑が可能な様だ。これに関しては動画に付いているコメントを見ると「なんだそりゃ」的な否定的意見が目立つ。

初期のインタビューでは「キャンプ地の雰囲気を再現する為にマップはかなり広い。しかしサバイバー側が散らばって逃げてしまうと、ジェイソンが物理的にそれ等全員を追い掛けるのが困難になるし、現在ジェイソンと離れているのが確認出来るならば恐怖感が生まれない。そして実際に長距離を追い掛けさせると1セッションのプレイ時間が長くなるという弊害もある」として調整の難しさを語っていたが、それへの解決策として導入されたシステムだと考えられる。映画では移動のシーンを詳細に描く必要が無いので、突然ジェイソンがそれぞれのサバイバーの前に出現しても構わないのだが、ゲームにてマップ内をジェイソンに物理的に移動させる必要が生じるとそれは厄介な問題と化す。しかし不自然という弊害はともかくとして、サバイバー側に安心感を与えないという面からは非常に有効な能力ではある。

それとは別に初期段階から言われているのが、時間が進むに連れてジェイソンが強くなって行くという仕様で詳細は不明。これもまた常にジェイソンに恐怖を感じさせるという狙いからの設定なのだろう。

 
形式的には7対1だが、このゲームもDbDと同様にチームとして協力するのか個人行動をするのかは自由というスタンス。そして自分が助かる為に他人を犠牲にしても構わないし、騙す等の裏切りも許容(推奨)されている。例えば仕掛けた罠に他のサバイバーを引っ掛けてジェイソンに対する囮として使うというのも可能だし、皆で協力して脱出用の車(4人乗り)が用意された後に自身の安全の為に他のプレイヤーを待たずに勝手にスタートさせて自分だけゴールまで逃げてもOK。この辺は映画内の自己中心的なキャラクターの再現という観点からの設定と言える。ただし他のサバイバーを直接殺すという行為だけは出来ないそうだ。

対戦が面白くなるにはジェイソンが強いというのが非常に重要である。それはジェイソン側を受け持つプレイヤーの責任が重大であるというのを意味する。サバイバー側に比してスキルが低いとまるで怖くなくなってしまいそれでは楽しめない。だがジェイソンをやりたがるプレイヤーが多いのに対して、純粋な確率としては8回に1回しかジェイソン役にアサインされる事はない。当然競争率が高くなるが、そこで各プレイヤーのジェイソン役としての能力判定システムを導入する予定。ジェイソン役を要望した場合、その成績が優秀なプレイヤーほど高頻度でジェイソン役にアサインされるという物である。だがこれは聞いた時点で「そんなにジェイソン役をやりたがるプレイヤーって多いかな?」と感じていたのだが、最近のインタビューでは「内部テストではカウンセラー側をやりたがるプレイヤーの方が多い。ホラー映画を体験するのに追われるサバイバー側としてプレイする方が面白いと感じるようだ」と話しており、このシステムが狙い通りに働くのかは疑問である。むしろサバイバー側を希望しているがジェイソン役として有能なプレイヤーを、強制的にジェイソン役にアサインする物になってしまう可能性もある。


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*Last Year  公式サイト

発案者のJames Matthew Wearing氏はCrytek(Crysis等), Ubisoft(Far Cry 3, Assassin’s Creed 23等)と渡り歩いて、現在はカナダのSquare Enix Montrealに勤務中のオーディオ部門担当者。これは個人的なプロジェクトとしてスタートさせたゲームでKickstarterにも成功。それを受けてスクエアエニックスに許可を取って一時的に離脱。同僚を数名雇ってElastic Gamesを設立し、現在はこのゲームの制作に注力している。

2016年11月発売予定。プラットフォームはPCのみで他への移植は未定。Unreal Engine 4を使用。

Kickstarterでは$114,711を集めたが、その他にカナダのゲーム制作支援プログラムから$260,000の融資。更にEpic Gamesからも使用エンジンの応援として$17,000の援助を受けている。

1vs5のキラーvsサバイバー対戦。常に6人揃わないとならないのかは不明。シングルプレイや空きスロット用botの導入については否定はされていないが、ゲームの複雑さから言ってかなり難しそうである。

経験値, レベルアップ, アイテム類のアンロック要素などは存在しているのかまだ明らかではない。ただプライベートマッチは可能とされており、またLANでもプレイ出来るそうなので、オンライン必須の成績管理用サーバーを用いて各プレイヤーのステータスを開発側が管理するという可能性は低そう。

ボイスチャットOK。オープンモードとサバイバー側限定モードを持つ。この仕様からもプレイヤーのレベル管理要素などは無いように思える。

視点はどちら側陣営も一人称視点固定

ロケーションは発売時点では2箇所を予定。Silver Lake Summer CampとEast Side High School。あと二つを発売後に追加する計画を持っている。

公開されている実際のプレイ映像がほぼ無いので、グラフィックス面にどの程度力を入れているのかは不明。キラーによる殺害シーンの残虐さもどの程度なのか判らない。

   
サバイバー側は高校生5人組で、リーダー格のモテ男, スタイル抜群のその彼女, リーダーの親友の黒人, メガネのオタク, リーダーに憧れる地味子、といういかにもな構成。各人には役割分担が成されており、出来る事がキャラクター(クラス)によって明確に異なるというデザインを採用している

アサルトは近接武器を用いてキラーとの戦闘が可能でHPも一番多い。追われている際にキラーを足止めして味方を守る役割も果たす。サポートもある程度の戦闘が可能で、他にトラップを仕掛けてキラーを足止めする能力を持つ。スカウトは移動速度の速い偵察役で、見付けたキラーやその仕掛けた罠をスポットして他者にも確認可能に出来る。またアイテム類をより発見し易くなっている。メディックは治療役で他のサバイバーのヘルスをフル回復させられる。テクニシャンは鍵開け能力と機械類の修理を担当。

出来る事がクラス別に異なるというのはEvolveと一緒だが、それと同様に良い点も悪い点も併せ持っている。役割分担がハッキリしている分チームとしてまとまり易いのは利点。対して各人が自分の役割をしっかりこなさないとピンチに陥り易く、5つのクラスの中で1つでもスキルが比較的劣るプレイヤーが居ると団体行動が上手く行かなくなる恐れがある。

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キラーのタイプは予定では5種類用意される(現在公開されているのは3種類)。全て人間タイプの設定で、どのキラーを使用するのかはその都度プレイヤーが選択可能。それぞれが異なる武器と特殊能力を持っている。ただし武器はマップ内で入手した物と切り替えが可能となり、サバイバー側の裏をかくという風にも出来る。

公開されている3人のキラーの特徴。Slasherはチェンソーを含めた近接武器使い。HPが高くスピードもあるバランスの取れた優秀型。トラップを仕掛けられる能力を持つ。Hitterは巨大ハンマー持ちで、HPは高いがスピードに劣るタイプ。それを補うのにチェーンを放って遠くのサバイバーを捕まえる能力を持つ。Stranglerは素手での絞め攻撃がメイン。高速ダッシュでサバイバーを捕まえて、任意の場所に連れて行って捕虜(囮)にする能力を持つ。

  
サバイバー側は武器を持たない状態でゲームがスタートする為、アイテム類と武器を探さないとならない。ただし近接武器を扱えるのはアサルトとサポートのみ。そしてリボルバーの様な銃器類も用意されているが、いずれにせよキラーをスタンさせて一時的に足止め出来るだけで、武器を使って倒すという風には出来ない。基本的に襲われた際に一時的に食い止める為の手段であり、武器を持っているのでこちらから戦闘に向かうといった設定のゲームでは無い。

サバイバー側の勝利条件は脱出となるが、その方法は幾つか用意されている。これはマップ毎に変わる可能性もある。例としてトラックを治すという手段があり、それには車のキーの発見, ガソリンの発見と運搬といった複数の目標を達成しないとならない。その後実際に運転してゴールに到達すれば脱出となる。なおキラーを直接倒すという方法も存在しているそうで、相当難易度が高いがある種のやり方を達成する事で実現出来る。

各クラスは出来る事が異なっており、また設定的に死亡するとリスポーン出来ないゲームであるが、キラーに誰かが殺されたとしても不利にはなるがそれで詰みにはならないというデザイン。キラーが発電機を壊せば電力が途絶えて各所が暗くなって有利となり、それを治せるのはテクニシャンだけという構図となる。ここでテクニシャンが死亡すると発電機を復旧させるのは不可能になるが、フラッシュライトとバッテリーを探し出して状況を改善するという方法は残されている。またはメディックが殺されるとヘルスの全回復は不可能となるが、ある程度までなら代用のアイテムを探すことで補える等。よって何も達成出来ていない状態で他の4人が死んで1人だけになったとしてもクリア出来る可能性は残されている。

このタイプのゲームではリスポーンは出来ないと書いたが、実はあるユニークなシステムとして限定的にだが死亡したプレイヤーのリスポーンを実現している。サバイバー側が電話を見付けてそれを使えば警察を呼ぶ事が可能で、この場合最初に死亡していたプレイヤー一人に限り警察官としてゲーム内にリスポーンする事が出来る(初期武器リボルバー)。キラーは電話回線を切断する事でそれを防ごうとするが、対抗策としてテクニシャンの力を使って電話回線を修理出来る。テクニシャンを殺している状態で回線を切断出来れば警察の応援を呼ぶ事は不可能。

各クラスはそれぞれが同等に重要なバランスだと考えられるが、現時点の情報からは上記の発電機や回線修理などを含めてテクニシャンが非常に重要なポジションという印象を受ける。他にも肩に乗せているペットのハムスターを独立して操作可能で、人間の通れない小さな場所を通ってドアの鍵を開けたり、キラーの現在位置を偵察したりを行える。ただし自身のHPは低くて死に易いのが欠点。

  
マップの広さや1ゲーム当たりの想定プレイ時間は不明。それに関連して詳細はまだ解らないがChoke Pointsと呼ばれるシステムが用意されている。これは新しいエリアへのアクセスを達成する為のチャレンジで、バリケードを築いた後に閉じた部屋の中で鍵開け作業へと向かう。制限時間は30秒で、それが過ぎるとキラーがバリケードを破壊して侵入してくる為、間に合わないと多数の死者が出る恐れがある。このチャレンジは必須で何回か行われるのか、それとも任意エリアのアンロックとしてサバイバー側がやるかどうかを選べるのか。鍵開けとはテクニシャンが行うのか、それとも別のミニゲーム形式なのか。いずれも不明である。

このゲームもまたサバイバー同士の協力を強制しないというスタンス。自分が脱出に成功したのかどうかが問われるだけなので、他者と一緒に行動するのか単独行動か、或いは協力するのか裏切って利用するのかは各人の自由である。

協力するにしても多彩な選択肢が設けられている。アイテムを探して集めるには分散行動した方が早いが、それだけ襲われた際に死亡する危険性が高くなり、実際に殺されてしまうとその後の展開が不利になる。固まっている事で死亡確率は下げられるが、それだけキラー側にも様々な行動を許すハメになってしまう。この様にサバイバー側に多彩な選択肢を常に用意して、それを数少ないマップ内でのリプレイ性に繋げようという狙いが窺える。

  
キラー側の戦い方はPredator modeと呼ばれる独特なシステムが導入されている。まず基本としてLYではサバイバーの方が足が速いという設定で、各キラーにスピードの違いこそあれ単純な追い駆けっこでは捕まえる事が出来ない。その代わりにキラーはプレデターモードに入る事が可能で、このモードに入ると姿が完全に消えてサバイバー側からは探知出来なくなり、また非常に高速で移動出来る様にもなる(その間攻撃は行えない)。キラーはこの状態でターゲットの動きを観察し、アンブッシュ(奇襲)ポイントを決めたらそこに隠れてから実体化する。そしてタイミングを見計らってサバイバーに襲い掛かるという風にする。制限は見られている状態ではプレデターモードに入れないのと、実体化するにはサバイバーから一定以上離れていないとならない事(実体化時であって奇襲時ではない)。それとサバイバーはロッカーやベッドの下等に隠れる事が可能で、このハイド状態であればプレデターモードであってもキラーからは検知されなくなる。

キラーの恐ろしさを演出するには、サバイバー側がプレイ中に一時たりとも決して安心出来ない様にするのが重要。またスラッシャー映画内のシーンを再現するなら、突然の奇襲というのは欠かせない事柄でもある。このプレデターモードはそれを実現する為に考え出されたシステムだと言えよう。キラーが物理的に移動するしか無いのであれば、離れた場所に居る事が確認出来た時点で安心となるし、周囲を探りながら皆で移動していれば突然の奇襲に遭う確率はほぼ無くせる。だがこのプレデターモードにより、どれだけ離れていてもキラーはすぐに追い付けるし、サバイバー側が周囲を観察していても姿を消しているので近くに隠れる事が可能。そして突然の奇襲でサバイバー側をパニックに陥れられる。

ただ一見するとキラー側が非常に有利に思えるが、サバイバー側も「このシステムの存在を知っている」という点では映画と異なっており、「このエリアで奇襲を仕掛けて来るなら、この場所から、このタイミングではないか?」というのを読めれば対処も可能になる。例えば「ここを通過した後に背後からこの扉を開けて襲って来る」と予想出来れば、そしてその読みさえ当たれば、直線での追い駆けっこではサバイバーの方が速いので逃げ切れる事になる。

キラー側も行動の選択肢は多彩。集団で居る所を狙って一網打尽を目指すか、分離したのを狙って一人ずつ仕留めていくかは自由となる。敵はクラスによって出来る事が異なる為、その人数では無く集団のクラス構成が重要であり、近接武器で対抗可能なアサルト&サポートは一人だけでも狙い辛いが、彼等が居なければ他の3人が集団でも攻撃が仕掛け易くなる。個人別にしても、まずはテクニシャンを狙って敵側の出来る作業を減らしてしまうのも一つの作戦なら、それを防ぐ為にテクニシャンを固く警護してくる作戦の裏をかいて別のクラスを先に襲うとかいろいろと考えられる。

一番開発が遅れており情報が少ないゲームとなるが、現段階ではアクションを行うスキルよりも、お互いの陣営の読み合いと騙し合いに力を入れているストラテジー重視のゲーム性という印象を受ける。


これはオマケ。既に発売済みだが同系統のゲームとして参考までに。

*Damned  Steam

1vs4の非対称型対戦マルチプレイゲーム。ホラーがテーマなのは一緒だが、これはスラッシャー映画ではなく純粋なホラー寄り。1920年台を舞台にして、邸宅などの様々な場所でそこに取り憑いている幽霊(悪霊)から逃げるという設定。

制作はブラジルの9heads Game Studios。2013/07/08にDesuraでアルファ版がリリース。その後Steamの早期アクセスを経て2014/10/06に正式発売。価格は20ドルだがセールは既に何回か行われている(最大75%オフ)。PC版のみ。マルチプレイ専用。

発売から結構経過しているが、最近の人口を見ると平均して30人強、ピークで100人前後。無名に近いインディーズのマルチプレイ専用ゲームとしては、まだこれだけでも人が残っているのは優秀な部類だと思える。

昔はかなり評判も良かったのだが、アップデートの頻度が下がっており今はそこまでではない。久し振りに見に行ったら、やはりDbDの影響からか同じく掲示板に様子見に来た人も居て、開発側も「開発が停止した訳では無く、まだこれからもアップデートは続けて行く予定」だとコメントしていた。今年の同タイプゲームのラッシュ発売により、想わぬ形で注目を浴びて売り上げアップのチャンスになるかも知れない。

 

自分自身大してプレイしていないので概略のみ簡単に。

悪霊(モンスター)側は皆殺し目的、探索チーム側は脱出が目的という点は変わらず。最終的な目的や必要アイテム、それ等の配置等がランダムに変化するというシステムを採用しているが、劇的にやるべき事が変化するという程では無い。

どちらも一人称視点固定。マップは多数有るがどれも暗くてフラッシュライト(バッテリー)が無いと移動にも困る。

幽霊は現在4種類用意されており、担当プレイヤーにはランダムでアサインされる仕様。風変わりな能力を持っている物がおり個性的。例えばLurkerは標準では霊体で扉をすり抜けられるが、この状態ではサバイバー側からはもちろん、自分からもサバイバーが見えない。エネルギーを溜めて実体化すると見えて攻撃も可能になるが、お互いに見えるし透過も出来なくなる。Phantomは常に扉をすり抜けられるが、基本的にサバイバーの姿を見る事が出来ない。相手が走る, ライトを点ける, 接触する等でのみ位置を確認出来る。ただし見えていない状態でも攻撃は当てられる。

サバイバー側は全員が脱出する必要は無いが、人数が少なくなると恐怖心から幻覚が見えだしてプレイが不利になるというルールあり。

ボイスチャット可能で、標準と3Dモードの切り替え。3Dモードではお互いの距離と、間に挟まっているオブジェクトの存在により音量が変化する。近くに居るなら良好に聞こえるが、離れていては会話が届かず、また間にドア等を挟んでいると近くでも声が届かない。ただしこのモードは問題も多いらしく、計算が不正確で声がちゃんと伝わらないという報告も出ている。またゲーム自体が不安定になったりもする模様。

違法コピー対策の意味からなのか、公式が運営しているサーバーにアカウントを作成してその都度ログインが必要。しかし登録やログインが上手く行かないとか、そのサーバーがダウンしているとプレイが出来ないとかの障害報告も多い。

私がプレイした際に困ったのはチュートリアルが無い事。モンスターの特性程度は把握しておくかと思ったのだが、能力などについての記載がSteamには無く、公式サイトには文字通り何も無い。どこにも無いので、ゲーム内にてテキストで解説しているのかと考えて始めたら、いきなりモンスターにアサインされて詰んだ。ゲーム内にすら何の説明も無く、更に非常に変わった能力をモンスターが持っているので理解していないとどうにもならない。掲示板での「チュートリアルは何所に?」の質問に対しても、開発が「有志が制作してくれたガイドを読んで」の返答という有様。モンスターの能力は一番とも言える位の重要事項なのに、それを説明しないという態度は何故なのか理解出来ないし、人口増加への妨げにもなったのではないかと想像している。(開発チームにガイドを制作出来るだけの英語に堪能な人が居ないとか?)。幸いにも日本語のガイドを制作している方が居るので、やや古いがこれを先に読めばチュートリアルとして機能してくれるだろう。
Damned 日本語簡易ガイド
by Funuke

   
紹介編が長くなってしまったので、比較や分析等の続編についてはまたその内に書く予定です。