新PCへと移行

 毎度決算期で忙しい3月終了後、本来ならば活動復活の筈がこのところ更新をしていない。では何をしていたのかと言えば、実はようやくPCを新調してその移行作業等をやっているという状況にある。まさか本当にサポート切れ直前までXPを使い続けるとは考えていなかったのだが、自作PCの構成を検討する → 忙しくなり購入が先延ばしになる → 新しいパーツ類が出て検討し直しに → その繰り返しで入れ替えが面倒になってくる、といった感じでズルズルと進んでしまった。切羽詰まらないとやらないという悪しき事例と言える。


 ゲームの方もVista以上が必要環境な中で、どうしても今やりたいという物が無かったというのも影響した。むしろWindows7 64bit以降の環境では不具合が在る事が判っている物をXPの内に終了させるのを優先という風になっていたのもある。それとコンソールとのマルチがほとんどになった結果、非常に高性能のPCを要求されるゲームが減っており、性能の低いマシンでもそれなりに動いてしまうという状況でもあった。


 それにしても振り返ってみてXPは良いOSだったと言わざるを得ない。既に知らない人も増えている筈だが、その前の不安定で再起動を日常的に余儀なくされていたWindows95/98/MEに比較したら“格段”というレベルで安定していた。御大ジョンカーマックが以前にVistaの発売が盛り上がらない件に関して、「マイクロソフトの失敗はXPを優れたOSにし過ぎた事」と述べていたが正にその通りだと思う。先代マシンについては新PCにて何か問題のあるゲームをプレイする際に備えて、今後も邪魔になるまではそのまま保管しておくつもりである。



 新マシンでのOSはWindows7 64bitを選択。8はゲーム関連の掲示板を見る限りでは、どうもまだゲーム環境には向いていないという印象なのでパス。新OSへの乗り換えにおいてはデバイスドライバの互換性(特に32bit環境から64bitへの移行時)がまずは問題となるが、特に古いデバイスは使用していなかったのでこの点は特に障害無し。


 使っていたアプリや無料のツール類は64bit版が有るなら入れ替えてインストール。まだ詳細な検証は行えていないが、Windows7 64bit環境では起動しない等の深刻な問題を抱えたアプリは無い様である。しかし問題が無い訳では無く、例えばXP時代便利なので愛用していた「Foldersize」は、昔は仕様上無理とされていたVista以降対応版も有ったのだが、7では別窓で開く形態となり見辛い。「窓の手」なども7版が用意されていたがリリースは古くて不安が残る。一例としてXPでは見映えが悪いのでショートカットアイコンの記号を無くす機能を有効にしていたが、これをやるとアイコンがしばらくして真っ黒になってしまう現象が発生してしまう(解除すると戻るのでこれが原因と考えられる)。様々な使用アプリには古い物も多いので、その辺は新しいバージョンや同等アプリへの乗り換え(買い換え)も考えて行かないとならないだろう。


 それと私はWindows7以降を会社の環境においてもあまり使った事がない。景気が良い訳でも無いので、社内のPC入れ替えは事務等の使用時間が多い物から優先。そんなに使用時間が多くないPCの入れ替えはやはりXPのサポート切れまで引っ張られていたので、触れる機会がそう頻繁には無かったのである。よって入れ替えてからはXPとWindows7との違いに慣れる必要があり、その奮闘はまだ継続中である。


 仕様の変更もしっくりこない。XPからの乗り換えだと、仕方ないとは言えやはりUACが鬱陶しい。スタートメニューがクラシックスタイルでの表示不可, デスクトップのアイコン整列を有効にすると勝手に並び替えられてしまう, 検索とか階層指定とかエクスプローラーが使いにくい等を始めとしていろいろと不満がある。その辺を修正するフリーソフトを探して試したりはしているのだが、自分の理想とは仕様が異なっていたり不安定になったりもあって、そういった実験に今でも時間が費やされている状況である。レジストリをいじらないとならない改造も7では多いという印象。


 ハードウェア系はとりあえず問題は無さそう。ベンチマークなどは似たマシンと比較して同じ程度であり、長時間負荷におけるCPU&ビデオカードの温度も良好。実践ではFar Cry 3を8時間位ぶっ通しでプレイしたが特に異常は無かった。気になるのはCreativ ALchemyの出来栄えだがまだ試していない。今困っているというか謎なのは、DVDドライブに挿入したゲームディスクが自動的に起動しない点(設定上は問題無い筈なのだが)。



 OS関連については書きたい事がまだいろいろと在るのだが、キリが無いのでここからは本題のゲームに話を移させて貰う。Windows7環境への移行で問題が発生する過去のゲームにはどういう物が在るのか


 まずは明確に決して動作しないゲームとして、何回かレビューなどでも書いているが光学メディア媒体のコピープロテクトにStarforceを使用しているゲームの問題。2004~2006年辺りにUbisoft, Codemasters, Midway等で良く使われていた代物である。サポートサイトを久し振りに見ると8&8.1の対応情報が追加されており、使用バージョンを調べるツールも提供されていた。ここに記されているOS別対応可能バージョンよりも古いStarforceを使用しているゲームでは、起動時の正規メディア認証が通らない。よってデュアルブートにして昔の対応可能OSでプレイするとか、売っているならダウンロード販売にて買い直すと言った対応が要求される。或いはNo-CDを探してきてクラックするかだ。


 次にWindows98以前のゲームではインストール時に問題が発生する恐れがある。ゲームのインストールを行うソフトウエアも自社で制作するケースはほぼ無く、他社製の物をライセンスして使うのが一般的だが、こういったインストーラーの中には厄介な物が存在する。一例としてインストール時に対応OSかどうかの認証を行うのだが、その際にWin95か98でなければ「これは適切なOSでは無い」としてはねてしまう物が在り、それ故にXP以降のOSではそこから先に進まない。また中にはインストーラーは16bitモードなんて物もあったりする。新OS上にて互換モードでインストールを行えば突破出来るケースも在るが、中には正常動作しないインストーラーも在る。対応策としてインストール可能なPC上でインストール&パッチ適用後に、インストールされたフォルダをそのまま新PCにコピーして持ってくれば動かせるケースが多いのだが、今からやるとなると旧環境が用意出来るのかが難点となる。この辺は実験していないが、98時代以前に購入したゲームでまだ未プレイという物はもう相当少ないので個人的にはそれ程困らないかなと楽観している。


 古いゲームの互換性の面では、DOSBoxの成熟により64bitOS上でもMS-DOS時代の16bitゲームをプレイ出来る確率はかなり高くなっている。逆にそれより後のWindows95以降のタイトルの方が問題発生の確率が高いと言えよう。対応OSにXPが記載されているゲーム以降(2002頃~)は現行OSでも互換性はグッと良くなるので、具体的には1995~2001年辺りが対象となる。昔から対応リストを作成しているサイトなどもあるのだが、この辺りはPC環境による変化も在り、かなりのユーザーからの検証データがないと何とも言えないという面も持っている。よってこの件はネット上にて情報を集めつつ自分のPCで実際にやってみるしかない。なおGoG.comではこの時代の古いゲームを発掘して提供しているが、独自の改造を施しているケースも多いので、ここで新OSに対応と記載されていても当時のCD媒体からのインストールで同じ様に動くとは限らない。(例えば良くある障害であるコーデックの互換性によるムービー再生時の問題などを、現行でも通用するフォーマットにムービーを変換して提供している等)。3Dアクセラレーションを必要としないゲームについてはVirtual PC 2007からWindows98環境を構築して対応という手もあるが、速度面等に問題が出る可能性は持っている。


 他ではUACの影響によりCドライブのProgram Filesフォルダへのインストールには注意しないとならない。昔のゲームは設定ファイルやセーブデータを自らがインストールされたフォルダ内に作るのが一般的で、こういったゲームはXP時代の中期辺りまでは存在していた。だがVista以降のUACによりProgram Filesフォルダへの新規ファイル作成が制限される形になっており、そうなるとセーブ出来ないとか設定が保存されないといった問題が発生する。(細かく言えばバーチャルストアという機能があるのだが、こいつがUACとの絡みで問題を引き起こす)。よってこのフォルダにはゲームをインストールしない方が無難であるが、これは簡単に守れるので問題無い。


 後はデスクトップコンポジション(Aero関連)による問題発生の危険性は以前より聞いているのだが、この点は
発生時にそのゲームの互換性設定から機能を切れば良いはずである。



 ただやはりこうしてみると純粋にOSに絡んだ互換性の問題点よりも、それ以外の変化によってもたらされた障害の方が遥かに多いと言える。その筆頭は当サイトにてメインで扱っている3Dアクション系ゲームにて顕著なビデオカード&ドライバーの互換障害。主に最新ドライバが原因だが、時には特定のビデオカードとの組み合わせで発生するケースも在る。最新のメジャーなゲームであれば障害対応して貰える可能性が高いが、昔のゲームだとそこまでしてくれないケースが多い。


 メーカー別ではGeforceとRadeonのどちらかでのみ発生する方が多い。現象は完全に描画がおかしくなるのでプレイ不能から、一部の描画が正常では無いという物まで様々。どのバージョンのドライバからおかしくなるのかは特定されている事もあるが、ビデオカードによって対応可能なバージョンが限られる為に、対応可能な最も古いバージョンよりも更に古いドライバが正常動作には必要というケースでは問題となる。この辺りはメジャーだったゲームだと「現在のドライバでは駄目」と知られていたりもするのだが、いずれにせよ遭遇してしまったら解決はかなり困難である。私の手元には昔使っていたビデオカードは今でもほぼ残っているが、それで古いドライバは使用可能だったとしても、Windows7にて使えないビデオカード&ドライバでは意味が無いからだ。



 そしてフレームレートの問題。これもやはり3Dアクション系にて多いのだが、昔のゲームを現行マシンでプレイした際に当時との性能差からfps(フレームレート)が上がり過ぎてしまい、それが原因でメニューが表示されない, 画面がチラチラと明滅する, プレイ中のゲーム内時間が速くなる(自分や敵がスピードアップする等)といった障害が発生する事がある。垂直同期(V-sync)をオンに出来ればfpsはそれ以上にはならないので解決出来る可能性が高いが、設定メニューにそれが無い物もある。この場合にはコンソールコマンドより設定出来ないかや、ビデオカードのユーティリティー側から強制的に有効に出来ないかを探る事になる。


 ゲーム内の速度が速くなり過ぎる件の方は、起動時のPC速度判定プログラムが現行のCPU速度を正しく測定出来ないとか、省電力化が進んでいる影響で起動時のCPU速度を実際速度と誤認する(起動時に省電力モードだった場合、その時のクロック速度に合わせて調整されてしまい、ゲーム実行時にはフルスピードになったクロック下では数倍に高速化されてしまう)などのケースが含まれる。後者は定番対策として省電力モードの解除という方法もあるが、前者は実行速度を指定出来ないと難しい。


 他には上記に比較するとマイナーだが、ゲームに必要とされる同梱ソフトウェアのインストールが問題となる事もある。通常は自分よりも新しいバージョンが既に存在しているのなら、インストールをキャンセルして終了してしまうので問題は無い。しかし例えば古いPhysxのドライバを最新バージョンがインストール済みのPCにインストールしようとすると、仕様の変更から正常に機能せずに停止してしまう(「テキスト」という表示だけをされたウインドウでハングアップ)。通常はこれを閉じてしまえばキャンセルとなりそれで良いのだが、稀にそれをインストールするかどうかを選択出来ず, ゲームのインストール前にインストールが行われる方式で, キャンセルされるとそこで全体のインストールが停止してまう、という変態仕様ゲームがあったりする。つまりこの例ではPhysxドライバのインストールをキャンセルするしかないが、それをやるとゲーム本体のインストールが行われない。このケースでは一旦最新のバージョンをアンインストールしてから、ゲーム+Physxドライバをインストールし、その後再度最新バージョンをインストールするという面倒な手順を踏むしかない。こういった動作には必須だがインストールが出来ないプログラムについては、インストールされない物を画面でチェックしておいて、後に媒体上のフォルダから個別にインストールするしかないだろう。



 今回の新PCにて問題や発見のあったあるゲームについても書きたかったのだが、なんだか長くなってしまったので続きはまた明日にでも。