プレイ日記 The Blackout Club


具体的なプレイの感想は動画を視てもらうとして、今回はゲームの持つ非常にユニークな要素であるStalkerに関してまとめておこう思う。公式FAQにも記述はあるのだが体系的に詳しく説明されている訳ではない為に、基本的な点から総合的に解説する。なおこのゲームの事を知らずにいきなり以下を読んでも理解出来ない点が多いと思うので、先に動画のレビューの方を視てもらいたい(Stalkerについても動画内に出て来る)。

 
*Stalkerとは何か
最大4人までのCo-op用ゲームで対戦モードは持っていないが、そこに早期アクセス中の2019/01より特殊な形での非対称対戦モードを導入。Stalkerという役割のプレイヤーがCo-op中のゲーム内に侵入する事が出来る様になった。StalkerとはTBC内の裏切り者といった存在で、敵の組織の為にTBCのミッション中の活動をこっそりストーキングしてそれを報告する仕事を行う。

Stalker自身に特技と言える様な能力は無く、各地に配置された敵の拠点であるRed Doors間をテレポートのようにして移動出来るのみ。TBC側に捕まってしまうと自力では振り解けず、テイクダウンされればそのままゲーム内から排除されてゲームオーバー。周囲にスリーパーやルーシッドが居ればそれが抑えているTBCのメンバーを襲ってくれて助かるチャンスはあり。Stalkerの基本的な仕事はTBCの活動を報告する事で、テイクダウンされて倒れている状態のスリーパーとか、蹴破ったドアなどを見付けて撮影し報告していく。より直接的な攻撃方法としては、TBC側の活動を直接撮影する行為によってSinの値を大きく上昇させる妨害が可能となるので、Stalker無しの時よりもずっと早くShapeを呼び出してTBC側を追わせる様に仕向けられる。

これだけ聞くと「流行りの4vs1の非対称型対戦モードか?」と連想されると思うのだがそうではない。まずStalkerが現在プレイしているCo-opのゲーム内に侵入したという事はミッションをプレイ中のTBCのメンバーには知らされない。そしてStalker側からすると文字通りにTBC側には気付かれない様にストーキングにて行動するのが基本となる。ただしTBCのメンバーを直接スマホで撮影して報告するとその時点でStalkerの存在がTBC側に通報されるので注意が必要。その他ではアイテムボックスの中身を漁れるので、まだ開けていないはずのボックスが開いている?といった点から存在を気付かれる可能性はある。

一方でStalkerの方も一覧から入るサーバーを選択したりは出来ない。またスタート直後のサーバーに入れるという保証も無い。最後の脱出モードに入っているサーバーには接続されないというだけで、既にかなりミッションが進んでいるサーバーに接続されてしまい、短時間でTBC側が脱出モードに入ってしまったという事例もあり。

TBC側がStalkerを捕まえた場合でも排除されるだけでミッションの方はそのまま通常通りに進行する。捕まえられなかった場合においても、Stalkerがどんな活動をしていたのかとか、どれだけの成果を挙げて終了したのか等は知らされない。またStalkerのプレイヤー名も表示されないので、捕まえたとしてもそれがどこの誰だったのかは解らないままに終わる。この様にStalkerが侵入したゲームにおいては結果画面の様な物は存在しない為に、ケースによってはTBC側が今のミッションに実はStalkerが侵入していたという事すら気付かずに終わる可能性もある。つまりTBC側にとって重要なのはミッションを成功させるか否かのみであり、侵入したStalkerを発見及び捕まえられなかったからと言ってペナルティは生じない(捕まえるとボーナスPは得られる)。

Stalker側の目的はTBC側を妨害してミッションを失敗させること...に思えるがそうではない。それは副次的な目的であり、最大の目的はハイスコアの獲得である。Stalkerとして一回のセッションで獲得したスコアのリーダーボードが用意されており、週単位でこのランクの上位10名、更にトップ3にはここでしか獲得出来ないアイテムを報償として貰えるというシステム(将来的には報償変更の可能性あり)。それと実績に「Stalkerとして一回のセッションで500P以上を稼ぐ」という物も用意されている。その為にTBC側のミッションを失敗に導くことはむしろ逆効果になる恐れもあって、Shapeを早期に呼び出した結果TBC側が総崩れとなってしまいミッション失敗 → ゲームが終わってしまうのでハイスコアが稼げないという両者共に敗北という感じの結果にも。反対にTBC側はStalkerに妨害されはしたがミッションを達成したので成功。Stalker側も高スコアを得られたので両陣営共にこのセッションは成功とかにも成り得る。という風にStalker側の勝敗の位置付けとかも曖昧といった感じで、設定の極めてユニークなゲームモードとなっている。

Blackout_Club-01
*Stalkerになるための条件
Stalkerになるにはレベル5への到達が必要だが、これにはそれほど長時間は掛からないはず(最大でレベル20)。その後は隠れ家の突き当たりのドアからStalkerの拠点であるバンへと移動出来る様になる(初回アクセス時にStalkerとしてプレイする際のアバターを制作要)。

ただしStalkerになるにはStalker Dossier(フランス語で関係書類, 調査書類)というアイテムが必要。これは1回Stalkerになるに付き1個消費されるアイテムで、現在の所持数はバンのStalkerガイド画面の下欄に表示される。このDossierはレベル5に到達した際に既に持っている可能性もあるが、持っていないのならばまずは獲得しなければStalkerにはなれない。

そして同時にレベル5に達すると、自分がホストのサーバーにStalkerが侵入する可能性が発生するというルールになっている。Stalkerが侵入するサーバーはランダムにゲーム(運営)側が選択すると書いたが、その候補の中に含まれるようになるという意味。だがどんなサーバーでも侵入されるという設定では無い。適合条件は以下の通り。

・ホストのレベルが5以上
・プレイヤーが2人以上存在している
 このゲームには純粋なソロ(オフライン)モードが存在せず、ホスト設定をフレンドオンリーかパブリックのどちらかに設定出来るのみ(XPやレベル等が運営側にセーブされる為に常時オンライン状態が必須)。パスワードも設定出来ない為に、ソロプレイ中にフレンドであっても入らせないという風には出来ない(フレンドがゼロなら可能だが)。だがいずれにせよ1人でプレイしている分にはStalkerには侵入されない。なお2人以上のサーバーにStalkerが侵入後にプレイヤーが減って1人になってしまった際には、条件を満たさないのでStalkerは追い出されてDossierも戻されるとなるそうだ。

・既に別のプレイヤーがStalkerとして侵入していない
・既に誰かがStalkerとして侵入した後に捕まって追い出されていない

 Stalkerは1人だけで複数人の侵入は不可。これはそのミッション中に適用されるので、既に侵入したStalkerを捕まえて追い出しているなら、その後の進行中に更に別のプレイヤーに侵入されたりする事は起きない。

・サーバーのフレンドオンリー設定は関係無し
 Co-opに参加するプレイヤーはフレンドのみに制限することが可能だが、Stalkerの侵入はこの設定に影響されない。参加しているプレイヤーの誰ともフレンドでは無い全くの赤の他人のプレイヤーでもStalkerとして侵入が可能である。

Blackout_Club-02
*Dossierの獲得
Stalkerになるのに必要なDossierは一回使い切りなので、何回もStalkerになってハイスコアにチャレンジしたいのならば多数獲得しないとならない。なおこれはゲームのマップ内には存在していないアイテムである。これを得る方法は以下の4つ。

1.ホストを務めている際にStalkerに侵入される度に1個(ミッションの成否には関係なく貰える)
2.Co-op時にStalkerを捕まえると参加していた全員が各1個受け取れる
(ミッションの成否には関係なく)
3.Stalkerとして侵入時にTBC側を全滅させてミッションを失敗させれば1個得られる
4.祭壇にて祈りを捧げた際にレアケースだが受け取れる可能性がある

 
*侵入可否の設定
自分のホストしているサーバーにはStalkerに侵入されたくない、その様な要素は自分(達)には必要が無いというプレイヤーも居る。その点を考慮して実装当初よりそれを拒否する機能が備わっている。

基本ルールはこうなっている。レベル5に到達後、1回だけStalkerに侵入されるのは誰にも拒否出来ない。そしてここでホスト役はDossierを貰える事になるが、これを使って自分がStalkerにならなければそれ以上はStalkerに侵入される事は起きない。Stalkerのバンにて「誰かのサーバーに潜入する」を選ぶと、そこで「Stalkerになる事を選択した場合、以後も自分がホストのサーバーに誰かがStalkerとして侵入する事を防げなくなります。それでもよろしいですか?」という最終警告が出て来る。ここでNOを選択してStalkerにならなければ以降は侵入もされなくなる。

次に上記の警告文だと一度Stalkerになってしまうともう決してその選択を戻せない様にも受け取れるのだが、実際には開発側も掲示板で説明している様に、Stalkerになってプレイした後に考え直して自分のホストへの侵入を拒否したくなった場合、通常のオプション画面にその設定が存在しているそうだ(私はStalkerになっていないので具体的な画面表示は不明)。ここで拒否を選択すると現在所持している全てのDossierが削除され、その後は一度だけ侵入される可能性が残るがそれの発生以降は侵入されなくなる。

なお侵入可能なホスト設定なのかはサーバー一覧画面のアイコンで識別出来る。レベルや参加人数等の条件を満たしているのに侵入禁止アイコンの物は拒否設定のホストとなる。もし他者のサーバーに参加してプレイするがStalkerが侵入する恐れのある所は避けたいと考えるならここで判断するしか無い。

Blackout_Club-03
*現状や問題点
先に書いておくとこのStalkerというシステムは概ね好評の様で、特に自分がStalkerとしてプレイする事への評判が良く、
もっとDossierを簡単に数多く入手出来る様にとか、最初からStalkerが入っている前提の4vs1モードを開発するべきでは等の要望もいろいろと出されている。ところがこの好評振りが逆に問題と化しているというのが現状で、Stalkerとしてプレイするのが面白そうだとCo-opの方では無くそれを主目的に購入を検討されるなどいう人は、しばらくは今後どういう風に扱われるのか様子見をした方が良いかもしれない。

まず一般導入前にベータテストとして運用された時点がつまずきの始まりで、この時にStalkerがかなりのオーバーパワーの設定だった為に不評。更にゲームとしての駆け引きを楽しむというのではなく、単にスタングレネード等のアイテムをスパム使用したりの迷惑行為でゲームをメチャクチャにするだけというプレイヤー達により不快感が増大。その後Stalkerを大幅に弱体化して正式実装はしたものの、StalkerとはCo-opを楽しむ上で不快で迷惑な存在であるというイメージが定着して侵入拒否を選択するホストが増えてしまった。

そして拒否ホストが多いのにStalkerをやってみたいというプレイヤー数は結構居た事から、(新規ユーザーやテストには不参加等で)Stalkerに関する知識が無い等により拒否の設定をしていないホスト役にStalkerが集中。繰り返しStalkerに侵入されてはミッションを邪魔されてしまう事からストレスが生じ、Stalkerの侵入拒否ホストを更に増やしてしまう事になる。結果的に現時点ではStalkerの侵入を許可するサーバーの数が少ないという状況で、運営側は現在のStalkerは初期から極度に弱体化されていてそんなに酷い暴れ方は出来ないと強調しているのだが、なかなか許可サーバーへと戻してくれる人は増えて来ない。

するとどうなるのかと言えば、Stalkerとしてゲームに参加しようとしても「入れるサーバーが有りません」という結果になってしまうケースが増えている。需要と供給がマッチしていない訳である。また現在は「自分がStalkerとしては頻繁にプレイしていないホスト」、つまりStalkerが入って来ることを許容しているだけというホストには、ある程度のインターバルを置かないと再度の侵入は出来ないと設定されている可能性もあって(先に書いた様に過度の侵入は拒否に繋がる危険性がある為)、そうなると余計に入れるサーバーの数は減少してしまう事になる。

ちなみに自分がStalkerになるにはDossierが必要となるので、ホストとしてStalkerの侵入を許可しているプレイヤーは一定数は確保されている。しかしその数が限られているならば、同じサーバーへの侵入が増えてしまうという別の問題が生じる。更に侵入を許可しているホストの大半はStalkerを捕まえてDossierが欲しいStalkerウェルカムタイプなので、最初からStalkerが侵入しているのではないかと決めつけ、時には参加者全員でチームを組んでStalkerを捕まえようと行動をしてくる事になり、これでは「最初はStalkerに気が付いていない状態のTBCとの戦い」という前提でのバランス調整が崩れてしまってStalker側が著しく不利になるという問題もあり。

そこでStalkerを好むプレイヤー達からはStalkerがあまりにも弱過ぎるのでもっと能力を強化して欲しいという要望が強いのだが、そうしてしまうと今度は一般ユーザーがホストとしてStalkerの侵入を拒否するケースの増加を招きかねず難しい。逆にもっとStalkerを弱体化させる事で一般ユーザーが「この程度の妨害能力ならば許可して侵入されても良いのではないか」となりオープンなサーバーが増える可能性があるが、これ以上弱くされたらどうにもならないと考えるStalker使いが大半であろう。

何か一般ユーザーが「それと引き換えにならStalkerの侵入を許しても良い」と考える様な魅力のあるボーナス要素を導入してサーバー役が増えるように仕向けるとか、侵入拒否制度を廃止する代わりにStalkerの侵入頻度を大きく減らしてCo-opを楽しみたいプレイヤーがストレスを感じない様なバランスを作り上げるとか、これからどんな風にStalkerというシステムを上手く運用していくのかが問われてくる。とは言えゲーム本体の方にも敵のバラエティを増やす, マップを増やす, ミッションのタイプを増やす等の要求事項が多く、そちらが優先事項となれば短期間でのStalkerシステムの改善は困難と考えられる。

 
※動画の補足事項
動画内で疑問として出されている開発規模だが、クレジットによればコアメンバーは7人。そこに9人が追加されて計16人での制作。QAセクションには数十人が掲載されているが、ここには単なる外部から参加の臨時テスターもかなり含まれていると思われる。売れ行きによっては既に人員が追加されている可能性はあるがSteamchartsを見ても好調とは言えない状態であり、現時点では特に増員はされていないのではないかと推測される。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です